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子宮頸がんを詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

公開日: : 最終更新日:2018/04/28 女性に多い病気, がん

子宮頸がんとは

子宮頸がん(しきゅうけいがん)とは、子宮の入り口部分である子宮頸部(しきゅうけいぶ)に発生するがんのことです。

子宮は西洋梨やとっくりを逆さにしたような形で、内部が空洞の器官です。
子宮の入り口部分である子宮頸部は、子宮の下部に位置する細い部分のことで、子宮頸部の先端は膣(ちつ)へと突出してします。
子宮頸がんは、この子宮頸部の内側を覆う上皮(じょうひ)とよばれる粘膜の細胞に、何らかの原因でがんが発生する病気です。

子宮頸がんは、子宮頸部の内側を覆う上皮のどの部分にがんが発生するかによって、扁平上皮がん(へんぺいじょうひがん)と腺がん(せんがん)の2種類に分類されています。

扁平上皮がんは子宮頸がん全体の約75%を占めるタイプで、子宮頸部の内側を覆う粘膜で皮膚細胞に似た平らな扁平上皮の細胞にがんが発生します。
扁平上皮がんは検診時に発見しやすく、早期治療が可能なタイプです。
一方、腺がんは子宮頸がん全体の約25%を占め、検診時の早期発見が難しいタイプで、子宮の入り口部分である子宮頸部よりも、より子宮内部に近い上皮の細胞にがんが発生します。

子宮頸がんは発症初期の段階ではがんが上皮内に留まっていますが、進行するとがん細胞が周囲の組織へとひろがる浸潤によって子宮の筋肉や膣へとひろがるほか、骨盤内のリンパ節にも転移し、さらに進行すると直腸や膀胱(ぼうこう)、肝臓、肺、骨にも転移します。

子宮頸がんは主に、30代後半~40代前半の発症率が高く、次いで40代後半~50代の発症率が高いという特徴があります。
しかし近年では、20代など若年層での発症率も高く、25~35歳の発症率は約40年前と比べて5倍も高いというデータがあるほか、80歳以上で発症するケースもあります。
日本国内で子宮頸がんを発症するのは年間約10,000~15,000人ほどで、年間約4,000人が死亡しています。

子宮頸がんの発症原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染です。
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、主に性交渉によって感染するウイルスで、性交渉の経験がある女性であれば一生涯に一度は感染するといわれているポピュラーなウイルスです。
ただし、ヒトパピローマウイルス(HPV)は150種類以上存在し、子宮頸がんの発症リスクが高いとされるウイルスはこのうちのわずか13種類ほどで、さらに発症リスクが高いとされるハイリスクタイプのウイルスはわずか7~8種類ほどです。

この発症リスクが高いヒトパピローマウイルス(HPV)に感染しない限りは子宮頸がんを発症することはなく、感染したとしても実際に子宮頸がんを発症する確率は約10%です。

実際に子宮頸がんを発症したとしても、初期段階では自覚できるような症状が出現しません。
徐々に進行すると性交中や性交後の出血、月経期以外の不正出血、異常なおりものといった症状が出現します。

さらに進行すると下腹部の痛みや腰痛、下肢の痛みやむくみ、血尿、血便、貧血、排尿障害といった症状が現れます。

初期段階では自覚しにくい子宮頸がんですが、自覚できるほどの症状が現れた段階ではかなり進行している場合が多く、治療も困難になります。

しかし子宮頸がんは、子宮頸部細胞診を行なえば自覚症状が現れていないごく初期段階や、前段階の時点で最大90%の確率で発見することができます。
子宮頸部細胞診とは綿棒などで子宮頸部の細胞を擦り取り、顕微鏡で観察する検査方法です。

子宮頸部細胞診の結果により子宮頸がんが疑われる場合には、コルポスコープ診や組織診を行なって確定診断を下し、確定診断が下るとがんの浸潤度合いなどを確認するためにCT検査やMRI検査、経膣超音波検査などを行ないます。

子宮頸がんの治療は、基本的に手術療法を選択します。
手術療法には準広汎子宮全摘出術、広汎子宮全摘出術、広汎性子宮頸部摘出術、子宮頸部円錐切除術、単純子宮全摘出術、レーザー蒸散術、光線力学療法(PDT療法)などがあります。
手術療法のほかにも放射線療法や化学療法があり、患者の状態や年齢、将来的な妊娠を望むかどうかによって最適な治療法を選択します。

子宮頸がんの原因

一般的に肺がんや胃がん、肝臓がんなどの臓器がんは、臓器の細胞が何らかの原因によりがん化することによって発生しますが、詳しい発症原因は解明されていません。

一方、子宮頸がんの発症原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染であることが解明されています。

ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染

ヒトパピローマウイルス(HPV)は150種類以上存在しますが、子宮頸がんの発症リスクの高いヒトパピローマウイルス(HPV)はこのうちの13~15種類ほどで、これよりもさらに発症リスクが高いハイリスクなヒトパピローマウイルス(HPV)は7~8種類ほど特定されています。

ヒトパピローマウイルス(HPV)は皮膚と皮膚、あるいは粘膜と粘膜が接触することで感染するウイルスで主に性交渉によって感染しますが、性交渉の経験がある男女であればだれでも感染している可能性があるほど一般的なウイルスで、実際に性交渉の経験がある女性の約80%が感染しているというデータがあります。

ただし、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染したからといって、必ず子宮頸がんを発症するというわけではなく、150種類以上存在するヒトパピローマウイルス(HPV)のうち、ハイリスクタイプに感染した場合にのみ子宮頸がんを発症するリスクが発生します。

性交渉の経験がある女性の約80%が感染するヒトパピローマウイルス(HPV)ですが、実際にハイリスクタイプのヒトパピローマウイルス(HPV)に感染する確率はわずか10%ほどで、感染した方が子宮頸がんを発症する確率は約10%というデータがあります。

これは、人間の体には体外から体内へと侵入する細菌やウイルスを攻撃して排出する免疫機能が備わっているためで、体が健康な状態であればハイリスクタイプのヒトパピローマウイルス(HPV)に感染したとしても、約90%の方は2年以内にウイルスが自然と体外へと排出されて一時的な感染に留まり、子宮頸がんを発症することはありません。

しかし、ハイリスクのヒトパピローマウイルス(HPV)が正常に排出されず、体内にずっと存在し続けると、がんの前段階である前がん病変とよばれる状態に移行し、この前がん病変の一部が子宮頸がんへと変化します。

ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性交渉の経験がある女性であれば一生に一度は感染するといわれているほどポピュラーなウイルスですが、一方で近年では20代や30代など子宮頸がんの発症年齢の低年齢化が大きな問題となっています。

これははじめての性交渉の年齢が低い、性交渉の相手が複数人いる、過去に子宮頸がんを発症したパートナーがいる男性との性交渉、免疫力を下げる要因となる喫煙習慣などが、子宮頸がんの発症リスクを高めていると考えられています。

子宮頸がんの症状

子宮頸がんを発症すると、初期段階と進行段階で出現する症状が異なります。

初期段階の症状

子宮頸がんの発症直後である初期段階では、症状が現れることはほとんどなく、この段階で気がつくことは難しいです。
しかし初期段階であっても、子宮頸がん検診を行なうと発見することができます。

初期段階とはいえ、症状が進行すると主に性交中や性交後の出血、不正出血、異常なおりものといった症状が現れます。
子宮頸がんを発症すると多くの場合はまず、性器出血の症状が現れます。

性器出血は性交後に生じやすく、性交中に生じることもあります。
また、月経期以外におりものに少量の血液が混ざったような不正出血や、多量の不正出血が現れる場合もあります。
さらにおりものの量が増え、ニオイも臭くなる場合があります。

進行段階の症状

初期段階からさらに進行すると、子宮頸がんが大きくなることによって不正出血の量が増え、おりものの色が茶褐色や黒褐色に変色し悪臭を放つようになります。

また、子宮頸がんのがん細胞が子宮頸部の周囲にまで浸潤すると下腹部の痛み、腰痛、下肢の痛みやむくみ、血尿、血便、排尿障害、貧血といった症状も現れます。

とくに排尿障害から尿路閉塞(にょうろへいそく)を引き起こすと腎不全(じんふぜん)を招き、適切な治療をほどこさずに放置すると死にいたる場合もあります。

さらにがんがリンパ節へ転移すると、坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)といった神経痛の症状が現れ、がんの進行により悪性胸水(あくせいきょうすい)が貯留した場合には、呼吸困難の症状が現れます。

そのほか、がんが骨に転移した場合には動作のたびに痛みが発生します。

子宮頸がんは、性交渉の経験がある女性ならば発症のリスクがあるといっても過言ではないため、定期的に子宮頸がん検診を受けることが早期発見・早期治療において重要となりますが、子宮頸がん検診の際に行なう細胞診は子宮頸がんの前段階である前がん病変も発見することができます。

そのため、自覚症状がほぼ現れない初期段階で発見するには、定期的な子宮頸がん検診が最も確実であり、20歳を過ぎたら2年に1回の頻度で子宮頸がん検診を受けることが推奨されています。

子宮頸がんの検査・診断

子宮頸がんの検査では主に、子宮頸部細胞診やコルポスコープ診、組織診などを行なって確定診断を下したあとに、がんの進行具合を確認するためにCT検査やMRI検査、超音波検査などの画像検査を行ないます。

子宮頸部細胞診

細胞診とは、綿棒などで病変部分の細胞を擦り取った後あとに顕微鏡で観察する検査方法です。
子宮頸がんでは、子宮頸部の細胞を綿棒やブラシなどで擦り取ったあとに、顕微鏡で観察する子宮頸部細胞診を行ないます。

擦り取った細胞はガラス板に塗ったあとに色素で着色し、がん細胞が含まれているかどうかを顕微鏡で確認します。
子宮頸部細胞診は検査時に強い痛みを感じることはありませんが、検査結果が出るまでに約1週間ほど要します。

子宮頸部細胞診は子宮頸がん検診において行なう検査の一種であり、この検査によって子宮頸がんの発症の有無や前段階の前がん病変を確認することができるため、早期発見につながることから、20歳以上の方は2年に1回の頻度で定期検診を受けることが推奨されています。

コルポスコープ診

子宮頸部細胞診によって子宮頸がんが疑われる場合には、膣拡大鏡診ともよばれるコルポスコープ診を行ないます。
コルポスコープ診では、膣内にコスポスコープという膣拡大鏡を挿入し、膣壁や子宮頸部を拡大して腫瘍の有無や炎症の有無を確認します。

コスポスコープ診の際に子宮頸部に異常が確認できた場合、病変部位の組織を採取して顕微鏡で観察する組織診を行ないます。

組織診

子宮頸部細胞診で子宮頸がんが疑われ、コスポスコープ診によって病変部位が確認できた場合、病変部位の組織を採取して顕微鏡で観察する組織診を行ないます。

組織心では基本的に採取する病変部位が小さいため外来で行ないますが、確定診断までに組織心を何度か行なう必要がある場合や、組織を大きめに採取する場合には、入院が必要な円錐切除術を行ないます。

子宮頸がんはこの組織診によって確定診断が下るほか、がんの悪性度や浸潤度合いなども確認することができます。
ただし、検査結果が出るまでに約1週間ほどの期間を要します。

CT検査

CT検査とは、放射線の一種であるX線を使って、体内の様子を輪切り状に撮影することができる画像検査の一種です。
子宮頸がんの検査におけるCT検査は、がんのサイズや浸潤度合い、リンパ節やほかの臓器への転移の有無を確認することを目的として行ないます。

CT検査は検査の際にヨード系の造影剤を使用する場合があるため、ヨードアレルギーを持っている方は事前に確認しておきましょう。
また、検査の前には食事制限が必要な場合もあるため、こちらも事前に確認しておきましょう。

MRI検査

MRI検査とは、磁力や磁場を使って体内の様子を輪切り状に撮影することができる画像検査の一種です。
子宮頸がんの検査におけるMRI検査は、がんのサイズや浸潤度合い、リンパ節やほかの臓器への転移の有無を確認するために行ないます。

MRI検査は放射線を使用しないため、CT検査のように放射線被ばくのリスクはありませんが、ペースメーカーなどの金属を体内に埋め込んでいる方や閉所恐怖症(へいしょきょうふしょう)の方に対しては、検査が行なえない場合があるため、事前に確認しておきましょう。

経膣超音波検査

経膣超音波検査とは、超音波を発するプローブという特殊な機器を膣内に挿入し、超音波を発して跳ね返った波を画像化することで卵巣や子宮の状態を確認することができる画像検査の一種です。

経膣超音波検査は、内診では届かない部分の状態を確認することができ、実際は内診と同時に行なう場合が多いです。

子宮頸がんの検査では、経膣超音波検査のほかにも通常の超音波検査を行ない、リンパ節やほかの臓器への転移の有無を確認する場合もあります。

子宮頸がんを症状が現れない初期段階で発見するためには、子宮頸部細胞診が最も有効です。
子宮頸部細胞診なら、がんの前段階である前がん病変を最大90%の確率で発見することができるため、2年に1回の頻度で子宮頸がん検診を受けることが早期発見・早期治療において重要となります。

検査によって子宮頸がんであると確定診断が下ると、がんのサイズや浸潤度合いなどにより病期(ステージ)が0~Ⅳ期の5段階に分類されます。

0期

がんが子宮頸部の上皮内に留まっている初期段階の場合。

Ⅰ期

がんが子宮頸部のみに留まっている場合。

Ⅱ期

がんが子宮頸部だけでなく膣壁など周囲への浸潤が確認できるが、膣壁の下1/3には達しておらず骨盤内に留まっている場合。

Ⅲ期

がんの骨盤内全体への浸潤が確認でき、腎機能障害や尿管閉塞といった症状が現れている場合。

Ⅳ期

がんが骨盤内を超えて膀胱や直腸にまで浸潤していることが確認できる、あるいはほかの臓器への転移が確認できる場合。

子宮頸がんの治療

子宮頸がんの治療は、検査によって判明した病期(ステージ)を参考に手術療法、放射線療法、化学療法を行ないます。

日本では基本的に手術療法をはじめに選択し、準広汎子宮全摘出術、広汎子宮全摘出術、広汎性子宮頸部摘出術、子宮頸部円錐切除術、単純子宮全摘出術、レーザー蒸散術、光線力学療法(PDT療法)などから最適な術式を選択します。

手術療法が困難な場合には、放射線療法や化学療法、放射線療法と化学療法を組み合わせた同時化学放射線療法(CCRT)を行ないます。

こういった治療において重要なポイントとなるのが妊孕性温存(にんようせいおんぞん)です。
妊孕性温存とは、妊娠できる可能性を残すことですが、子宮頸がんは治療方法によっては治療後の妊娠が望めない場合があるため、患者の年齢や子どもの有無なども治療を行なううえで重要なポイントとなります。

準広汎子宮全摘出術

準広汎子宮全摘出術とは、子宮膣部や子宮周囲のリンパ節、子宮を支える組織の一部を摘出する外科手術の一種です。

主に病気(ステージ)がⅠ期の方に対して行なう治療法ですが、準広汎子宮全摘出術を行なうと、術後は月経がなくなって妊娠することができなくなるため、Ⅰ期の方でもがんの浸潤度合いや将来的に妊娠を望んでいる方、がんの悪性度が高く進行スピードが速い方、内科的な合併症が現れている方には行なうことができません。

手術時間は2~6時間ほどで終了し、術後は7~14日間ほどの入院が必要です。
実際に準広汎子宮全摘出術を行なう際は、腹部を15~25cmほど開腹したあとに子宮や子宮膣部、周囲のリンパ節、子宮を支える組織の一部を摘出します。

準広汎子宮全摘出術では卵巣を摘出しないため、術後のホルモンバランスは保つことができますが、手術の副作用として出血や開腹部の縫合不全(ほうごうふぜん)による炎症や疼痛(とうつう)、発熱といった症状が出現する場合があります。

また、手術時にリンパ節を摘出した場合には、後遺症として足のむくみを引き起こす場合があるほか、便秘や血栓症(けっせんしょう)、排尿障害といった合併症を引き起こす場合があります。

広汎子宮全摘出術

広汎子宮全摘出術とは、子宮をはじめ卵巣や卵管、子宮の周囲の組織、膣の一部など、骨盤壁の近くまでひろい範囲で摘出する外科手術の一種です。
主に病期(ステージ)がⅠ~Ⅱ期の方に対して行なう治療法ですが、Ⅲ~Ⅳ期の方に対しては行なうことができません。

また、広汎子宮全摘出術を行なうと、術後は月経がなくなって妊娠することができなくなるため、Ⅰ~Ⅱ期の方でがんの悪性度が高く進行スピードが速い方のうち、将来的に妊娠を望んでいる方や、内科的な合併症が現れている方には行なわない場合があります。

手術時間は6時間ほどで終了し、術後は7~14日間ほどの入院が必要です。
広汎子宮全摘出術によって病変部分を完全に切除できた場合には、がんの再発リスクが低くなりますが、術後は再発リスクを下げるために放射線療法や同時化学放射線療法(CCRT)を行なう場合もあります。

また、手術の副作用として出血や開腹部の縫合不全による炎症や疼痛、発熱といった症状が現れる場合があるほか、後遺症として便秘や排尿障害、足のむくみ、更年期障害(こうねんきしょうがい)に似た症状などを引き起こす場合があります。

広汎性子宮頸部摘出術

広汎性子宮頸部摘出術とは、子宮頸部にがんが発生している病変部分のみを切除して摘出する外科手術の一種です。
主に病期(ステージ)がⅠ期の方のうち、がんのサイズが2cm以下で、扁平上皮がんか高分化腺がん(こうぶんかせんがん)である場合に行います。

広汎性子宮頸部摘出術は、子宮頸部の病変部位を切除したあと、新たな頸部と膣管を縫い合わせることにより子宮そのものは残す外科療法で、膣側から病変部位を切除する膣式術式と、開腹して病変部位を切除する腹式術式の2種類があります。

また、広汎性子宮頸部摘出術は、子宮を温存することにより術後の将来的な妊娠の可能性が高く、とくに膣式術式の場合は術後の妊娠率が高いというデータもあります。

手術時間は8時間ほどで終了しますが、日本国内ではまだ実績が少ないうえに、術後は不妊治療が必要になる場合が多く、妊娠したとしても早産となるリスクが高いというデメリットがあります。

また、副作用として手術の際の出血や開腹部の縫合不全による炎症や疼痛、発熱といった症状が現れる場合があるほか、術後に感染症を引き起こして喉の痛みや発熱、倦怠感(けんたいかん)、咳(せき)、下痢、腹痛といった症状が出現する場合もあります。

子宮頸部円錐切除術

子宮頸部円錐切除術とは、子宮頸部を円錐状に切除する外科手術の一種です。
主に病期(ステージ)が0期の方、Ⅰ期の方のうち、将来の妊娠の可能性を残しておきたい方に対して行なう治療法です。
実際に手術を行なう際は麻酔をほどこしたあと、膣に器具を挿入し子宮頸部を円錐状に切除して摘出します。

子宮頸部円錐切除術は使用する切除器具によって術式の名称が異なっており、一般的な医療用のメスを使用する場合はコールドナイフ法、高周波電気メスを使用する場合はLEEP法とよばれますが、レーザーメスを使用する場合もあります。

手術時間は30分ほどで終了しますが、高周波電気メスやレーザーメスを使用した場合は短時間で終了します。
術後は3日ほどの入院が必要ですが、実際の手術時間や入院期間は症状や状態によって異なります。

手術の際に切除した子宮頸部は病理診断を行ない、がん細胞のすべてを切除できている場合には治療は終了しますが、病理診断の結果によっては治療を続ける必要がある場合もあります。

また、手術の副作用として、出血や子宮頸部狭窄(しきゅうけいぶきょうさく)による月経痛などの症状が現れるほか、術後に妊娠しすると早産のリスクが高いというデメリットがあります。

単純子宮全摘出術

単純子宮全摘出術とは、子宮のすべてを摘出する外科手術の一種です。
主に病期(ステージ)が0~Ⅰ期の方に対して行なう治療法ですが、Ⅰ期の方でもがんの浸潤度合いによっては行なうことができません。

また、将来的に妊娠を妊娠を望んでいる方や、内科的な合併症が現れている方は、医師との相談が必要です。
実際に手術を行なう際は、子宮頸部のあたりで靭帯を切除したあとに、子宮のすべてを摘出し、術後は5~10日間ほどの入院が必要です。

単純子宮全摘出術では、腹部を15~25cmほど開腹する術式、膣から器具を挿入する術式、腹腔鏡を使用する術式の3種類があります。

単純子宮摘出術はそれほど難しい外科手術ではなく、卵巣を摘出しないため術後のホルモンバランスを保つことはできますが、子宮のすべてを摘出するため、術後は月経がなくなり妊娠することができません。

また、手術の副作用として出血や開腹部の縫合不全による炎症や疼痛、発熱といった症状が現れる場合があるほか、便秘や血栓症、足のむくみ、排尿障害、更年期のような症状を引き起こす場合もあります。

レーザー蒸散術

レーザー蒸散術とは、レーザー光線を子宮頸部の病変部位に照射して、がん細胞を死滅させる治療法です。
主に病期(ステージ)が0期の方や、がんの前段階である前がん病変が確認できる方、病変部分を目視で確認できる方に対して行なう治療法です。

実際にレーザー蒸散術を行なう際には麻酔をほどこさずに行ない、子宮頸部の病変部分にレーザーを照射してがん細胞を蒸発させます。

蒸発したがん細胞は、時間の経過とともに体に吸収され、やがて消えてなくなります。
手術時間は約10分ほどで終了するため、多くの場合は通院治療を行ないます。

また、レーザー蒸散術は子宮を温存するため、治療後の妊娠に悪影響をおよぼすリスクが低いですが、手術の副作用としてレーザーを照射した病変部位の痛みや、術後1ヶ月ほどは水っぽいおりものが増加します。

光線力学療法(PDT療法)

光線力学療法(PDT療法)とは、レーザー光線の一種である低出力レーザーを使った治療法です。
主に病期(ステージ)が0期の方や、がんの前段階である前がん病変が確認できる方、病変部分を目視で確認できる方、将来的に妊娠を希望する方、高齢者の方に対して行なう治療法です。

実際に光線力学療法(PDT療法)を行なう際は、はじめに腫瘍(しゅよう)親和性光感受性物質というがん細胞にだけ集積する特性を持つ物質を静脈注射し、48時間後に低出力レーザーを病変部分に照射して、がん細胞だけを死滅させます。

光線力学療法(PDT療法)は、病変部分のがん細胞のみをピンポイントで死滅させるため、正常な細胞がダメージを負うことはありませんが、術後は3週間ほどの入院が必要です。

また、手術の際に腫瘍親和性光感受性物質を静脈注射することにより、術後1週間ほどは光に対する感受性が高まる光線過敏症(こうせんかびんしょう)を引き起こしやすく、日光を浴びることで日焼けや炎症といった症状が現れやすくなることから、退院後2ヶ月ほどは直射日光を避け、半年ほどは海水浴も避けましょう。

放射線療法

放射線療法とは、放射線の一種であるX線やガンマ線を病変部分に照射して、がん細胞を死滅あるいは縮小させる治療法です。

主に病期(ステージ)がⅠ期以降の方や高齢の方、外科療法を受けることができない方に対して行なう治療法で、病期(ステージ)がⅡ期以降の方や病変部位の周囲に放射線療法の経験がある方には行ないません。

放射線療法には、膣から子宮頸部に照射する膣内照射法と、体の外側から病変部位に照射する外部照射法の2種類があって、患者の状態に合った最適な照射法を選択します。

ただし、副作用として照射部分の色素沈着や皮膚炎、粘膜炎、膀胱炎(ぼうこうえん)、吐き気、倦怠感、下痢、免疫力低下、下腹部の脱毛といった症状が現れる場合があります。

こういった副作用は治療直後ではなく、数ヶ月~数年後に現れる場合もあるため、治療後は長期にわたり経過観察を行なう必要があります。

化学療法

化学療法は、がんの縮小を目的に抗がん剤や抗悪性腫瘍薬を投与する治療法です。
主に病期(ステージ)がⅠ期の方や再発した方、外科療法の術前あるいは術後の化学療法が必要な方に対して行なう治療法です。

化学療法を行なう場合、シスプラチン、パクリタキセル、カルボプラチン、ベバシズマブなどの薬物を使用しますが、実際に使用する薬物の種類は病期(ステージ)や症状に合わせて選択します。

ただし、化学療法には副作用があり、脱毛、嘔吐(おうと)、吐き気、悪心(おしん)、下痢、口内炎(こうないえん)、手足のしびれといった症状が出現する場合があります。

同時化学放射線療法(CCRT)

同時化学放射線療法(CCRT)とは、化学療法と放射線療法を同時に行なう治療法で、化学療法によって放射線療法の効果を高め、がん細胞を死滅させます。
主に病期(ステージ)がⅠ~Ⅳ期の方や、外科療法後の補助治療が必要な方、再発した方に対して行ないます。

同時化学放射線療法(CCRT)で使用する薬物は、基本的にシスプラチンですが、パクリタキセルとシスプラチン、パクリタキセルとカルボプラチンを組み合わせる場合もあります。

また、同時化学放射線療法(CCRT)には副作用があり、吐き気、悪心、嘔吐、下痢、脱毛、手足のしびれ、口内炎、動悸(どうき)、倦怠感、免疫力の低下といった症状が現れる場合があります。

子宮頸がんは治療後2年以内の再発率が高く、放射線治療を選択し、子宮を摘出しなかった場合は約76%の確率で子宮に再発し、約16%の確率で肺などほかの臓器で再発するほか、外科療法によって子宮を摘出したとしても子宮があった場所に再発する場合もあります。

再発率が高い子宮頸がんですが、初期段階で適切な治療をほどこせば、治療後の5年生存率は1期が80~90%、2期が60~70%、3期が30~40%となっていますが、進行した4期では15%以下と低いため、できるだけ1期の段階で治療をほどこすことが重要です。

しかし、子宮頸がんの初期段階は自覚症状がほとんど現れないため自覚しにくく、初期段階で発見するには子宮頸がん検診を受けるしかありません。
そのため、20歳を過ぎたら2年に1回の頻度で子宮頸がん検診を受け、早期発見・早期治療に努めましょう。

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