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習慣流産を詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

公開日: : 最終更新日:2017/12/05 女性に多い病気

習慣流産とは(概要)

妊娠中に何らかの原因によって胎児が死亡し、妊娠が継続できなくなることを「流産(りゅうざん)」といいます。

日本産婦人科学会では流産を「妊娠22週未満の胎児が母体から娩出されること」と定義付けをしており、妊娠22週以降の場合は「死産」と定義しています。

また、流産のなかでも妊娠12週未満を「早期流産」、妊娠12週以降22週未満を「後期流産」と定義しており、流産の割合は早期流産が全体の約90%を占めています。

一般的に流産は妊婦の10~20%が発症するとされていますが、加齢とともに流産の割合は高くなり、流産率は35~39歳の場合は25%、40歳以上の場合は約50%というデータがあり、妊娠年齢が流産に大きく関係していることが判明しています。

妊娠初期に発症する流産にはさまざまな原因が考えられていますが、約80~90%が「染色体異常」といわれており、予防や治療が難しいとされています。

しかしながら、流産を何回も繰り返す場合には毎回の原因が染色体異常であるとは考えにくく、母体の異常や特別な原因が考えられ、検査が必要となります。
また、流産を3回以上繰り返す場合を「習慣流産」といいますが、習慣流産には2種類あります。

原発習慣流産

出産経験のない女性が流産を3回以上繰り返す場合、原発習慣流産と呼びます。

続発習慣流産

出産経験のある女性が流産を3回以上繰り返す場合、続発習慣流産と呼びます。

習慣流産の原因

妊娠初期の流産の原因のうち約80~90%が「染色体異常」とされています。
しかしながら、流産を何回も繰り返す場合は「染色体異常」以外の原因が考えられますが、この場合は「原因」ではなく、流産のリスクを高める「リスク因子」を有すると考えられています。
流産を3回以上繰り返す「習慣流産」にはさまざまなリスク因子があります。

染色体異常

妊娠初期の流産は、ほとんどの場合が染色体異常によって引き起こされます。
一般的には胎児(受精卵)に偶発的な染色体異常が発生して流産を招きますが、流産を3回以上繰り返す習慣流産の場合は夫婦どちらかに染色体異常を有する可能性が高いです。

流産を招く染色体異常には「均衡型転座」や「相互転座」、「ロバートソン転座」など染色体構造に異常が見られます。

子宮異常

子宮筋腫の一種で子宮内腔に筋腫が突出する「粘膜下筋腫」は流産のリスクを高めるとされています。
また「双角子宮」や「中隔子宮」など子宮の形に異常がある場合には着床障害を招き、胎盤や胎児を圧迫して流産のリスクを高めるとされています。

内分泌異常

「糖尿病」や「甲状腺機能亢進症」、「甲状腺機能低下症」など内分泌異常がある場合、流産のリスクが高まるとされています。
これは糖尿病や甲状腺機能の異常が招く高血糖が胎児染色体異常の増加に大きく関係しているためと考えられています。

自己免疫異常

「膠原病」や「抗リン脂質抗体症候群」など、自己免疫機能に異常がある場合は流産のリスクが高まるとされています。
膠原病というのは、体内組織に対し抗体をつくって攻撃をする自己免疫の異常のことで、皮膚や肺、腎臓、関節などに障害が現れます。

膠原病患者が妊娠した場合、抗体が胎盤血管内に血栓をつくり出して子宮内の胎児を死亡させ、流産を引き起こします。
抗リン脂質症候群も膠原病と同様に、細胞膜組織の一つであるリン脂質に対して抗体をつくり出し、この抗体が胎盤血管内で血栓をつくり出して子宮内の胎児を死亡させ、流産を引き起こします。

凝固異常

「プロテインS欠乏症」、「プロテインC欠乏症」、「第ⅩⅡ因子欠乏症」など、血液が凝固して血栓症が起きやすい疾患を持っている場合は流産のリスクが高まるとされています。
また、流産を発症しない場合でも、胎盤異常や胎児の発育異常などを引き起こす場合があります。

感染症

ヘルペスウィルスやトキソプラズマ、サイトメガロウィルスなどに感染すると流産を引き起こすリスクが高まります。
ただし、ウィルス感染によって何度も流産を引き起こすとは考えられにくく、習慣流産の原因と考えられることはまずありません。

免疫異常

習慣流産にはさまざまなリスク因子がありますが、どれも当てはまらない「原因不明」のケースでは、免疫異常が考えられます。

母体高年齢

母体の高年齢も流産を引き起こすリスクが高まります。
女性は加齢にともない、卵子の染色体異常を起こしやすく、ダウン症などの発症率が高まることで流産率も増加するとされています。

習慣流産の症状

流産は「妊娠22週未満の胎児が母体から娩出されること」、習慣流産は「流産を3回以上繰り返している」と定義されていますが、習慣流産においては妊娠12週までは通常の自然流産、妊娠12週以降では胎児死亡となる場合が多いです。
また、流産する場合はこれといった自覚症状がない場合や、出血、腹痛をともなう場合とがあります。

出血

妊娠するとまれに安定期に入る妊娠初期に出血がある場合がありますが、出血量が多い、長期間出血するといった場合は流産がはじまっていることがあります。
早期に治療すると流産を防ぐこともできるため、少量の出血でも直ぐにかかりつけの産科医に相談してください。

腹痛

妊娠初期に腹痛がある場合は流産の可能性があります。
流産の場合の腹痛は、重い生理痛のような痛みが5~10分間隔で周期的にきますが、少し時間が経つと治まる「擬似陣痛」の場合もあります。

そのため腹痛を感じたあと、数時間ほど体を休めて痛みが引くようであれば問題ありませんが、続くようであればただちにかかりつけの産科医に相談してください。

習慣流産の検査

全妊婦の10~20%が発症するとされている流産は80~90%が「染色体異常」によるものとされていますが、流産を3回以上繰り返す習慣流産は「染色体異常」以外のリスク因子によって引き起こされると考えられ、さまざまな検査を行なうことでリスク因子を特定し治療を行ないます。

夫婦染色体検査

胎児の染色体異常は多くの場合は偶発的なものですが、繰り返し流産をする場合は夫婦どちらかに染色体異常がある可能性があり、夫婦の染色体を検査することで染色体異常の有無を確認します。

しかしながら、染色体や遺伝子といった遺伝子情報を取り扱う場合、事前にカウンセリングが必要とされ、さらに遺伝子情報の保護や検査意義、検査のメリットやデメリット、検査結果の伝達方法などについて事前に十分な説明が必要とされています。

子宮形態検査

子宮形態に異常がある場合や、子宮筋腫、子宮腔癒着症などが疑われる場合に行なう検査です。
検査方法には、子宮内に造影剤を入れて子宮内腔の形を確認する「子宮卵管造営検査」や、子宮内に生理食塩水を注入する「経膣超音波検査」、中隔子宮と双角子宮の鑑別のために「MRI検査」や「3次元超音波検査」を行ないます。

内分泌検査

糖尿病や甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症な内分泌機能異常が考えられる場合に行なう検査です。
糖尿病の場合は血液検査や血糖検査を行ない、甲状腺機能亢進・低下症の場合は甲状腺ホルモン検査を行ないます。

自己抗体検査

膠原病や抗リン脂質抗体症候群など自己免疫異常が考えられる場合に行なう検査です。
抗リン脂質抗体症候群の場合、「抗カルジオリピンβ2グリコプロテインI(CLβ2GPI)複合体抗体」、「抗カルジオリピン(CL)IgM抗体」、「抗カルジオリピン(CL)IgG抗体」、「ループスアンチコアグラント」の抗体の有無を検査し、一つ以上陽性反応が出た場合は、12週間以上の間隔をあけて再検査を行ないます。
再検査後も陽性反応が出た場合は、抗リン脂質抗体症候群と診断されます。

感染症検査

ヘルペスウィルスやトキソプラズマ、サイトメガロウィルスなどのウィルスの感染が疑われる場合、ウィルス検査を行ないます。

随時検査

男性の体調変化にともなう精子の状態や、女性の月経周期に合わせて変化するホルモン状態、リスク因子に対する治療の経過などを検査します。

習慣流産の治療

習慣流産のリスク因子が検査によって特定された場合、それぞれのリスク因子に対応した治療を行います。

染色体異常の治療

染色体異常は現代の医学では治療法がありません。
しかしながら、染色体異常の種類によっては理論上、25%の確率で正常な子どもが生まれ、25%の確率で自分と同じ染色体異常を持つ子どもが生まれるとされています。

そのため、夫婦のどちらか一方に染色体異常が認められるケースでは遺伝カウンセリングを実施し、染色体異常に応じた染色体正常児の妊娠確率や、着床前診断のメリット・デメリットを十分に理解させたうえで治療方針を決定します。

子宮異常の治療

子宮筋腫や子宮奇形が見られる場合、外科手術が有効です。
手術を行なう場合、子宮奇形の種類によって術式や有効性が異なることから、正確な子宮奇形のタイプ診断が求められます。

中隔子宮の場合にはお腹を切る「開腹術」と開腹せずに中隔を切除する「子宮鏡下中隔切除術」とがあり、患者の体の状態やほかのリスク因子の有無などにより総合的な判断が求められます。

内分泌異常の治療

「糖尿病」や「甲状腺機能亢進症」、「甲状腺機能低下症」など内分泌異常がある場合、血糖値の管理・治療を行ないます。
また、治療後に妊娠に至った場合でも、引き続き血糖値の管理・治療を行ないます。

感染症の治療

ヘルペスウィルスやトキソプラズマ、サイトメガロウィルスなどに感染した場合、対症治療を行ないます。
ただし、ウィルス感染は流産のリスクを高めるとされていますが、習慣流産の原因とは考えられないため習慣流産の治療としては行なわれません。

自己免疫異常・凝固異常の治療

「膠原病」や「抗リン脂質抗体症候群」など、自己免疫機能に異常が起こっている場合や、「プロテインS欠乏症」、「プロテインC欠乏症」、「第ⅩⅡ因子欠乏症」など血液が凝固して血栓症が起きやすい疾患を持っている場合は同様の治療を行ないます。

治療法としては「低用量アスピリン治療」が有効とされ、妊娠成立後は血栓形成予防作用のある「小児用バファリン」や漢方薬の一種「柴苓湯」を服用し、さらに副腎皮質ホルモンを加える場合もあります。
しかし、改善が見られない場合は「血液透析」を行ないます。

免疫異常の治療

習慣流産のリスク因子が不明の場合は免疫異常が考えられ、免疫治療として「OK432(ビシバニール)療法」を行ないます。
この方法はNK細胞の活性力が高い方に対し、免疫賦活補助剤の「OK432(ビシバニール)」を皮下注射することで、NK細胞活性を正常に保ち妊娠維持を試みる方法です。

習慣流産の予防法

流産の原因の80~90%を占める「染色体異常」は治療法が存在せず、現状においては予防措置をとることはできません。

しかしながら、流産を3回以上繰り返す習慣流産の場合には「染色体異常」のほかにさまざまなリスク因子が考えられ、そういったリスク因子を抱えないように日常生活において気をつけることはできます。
ここでは流産を予防するために、日常生活でできる注意点をご紹介します。

体を冷やさない

「女性は体を冷やしてはいけない」と昔から言われますが、これは女性の体、とくに腰まわりを冷やしてしまうと子宮内の血流が滞り、子宮内膜機能の低下を招き妊娠しにくい体になると考えられてきたからです。

科学的にも子宮内膜機能が低下すると胎盤が正常に作られず胎児が育たないことが証明されており、流産を招くリスクが高まるとされています。
そのため、日ごろから体や腰まわりを冷やさないように心掛けましょう。

喫煙をしない

妊娠中にたばこを吸うという行為は、早産や流産のリスクを高めるということがわかっています。
そのため、妊娠中の喫煙を控えるだけでなく、妊娠を望む女性は普段から禁煙を心掛けるようにしましょう。

さらに受動喫煙も早産や流産のリスクを高めるため、配偶者や家族にも喫煙を控えるようにしてもらいましょう。
また、喫煙者が多くいるような場所に近付かないというのも、流産を防ぐためには大切なことです。

激しい運動は控える

妊娠初期に激しい運動をすると、流産を引き起こすリスクが高まるとされています。
なかでも子宮に負担をかけやすいジョギングやゴルフは流産を引き起こすリスクが高いため、妊娠初期は控えるようにしてください。

“ビタミンE”を摂取する

ビタミンEは血流促進作用に優れており、流産の予防に効果的な栄養素とされています。
ビタミンEを継続的に摂取すると体や子宮内膜の血流が促進されて妊娠しやすい体へと変化するほか、さまざまなホルモンの分泌を促して胎盤の形成不全の予防や改善に効果を発揮します。

そのため普段から「キウイ」、「ほうれん草」、「モロヘイヤ」などビタミンEを多く含む食材を摂取するように心掛けましょう。

規則正しい生活習慣を心掛ける

睡眠不足や過労なども流産のリスクを高めるとされています。
そのため、普段から体を労わり、疲労を蓄積させず、また睡眠時間をたっぷり取るなど規則正しい生活習慣を心掛け、良好な体調の維持を図りましょう。

感染症に気をつける

妊娠初期は体の免疫力が低下する時期であり、感染症によっては流産のリスクを高めてしまいます。
とくにB型肝炎やヘルペスウィルス、風疹などは流産を引き起こすリスクが高いとされているため、妊娠初期は体調管理をしっかり行ない、感染しないように健康を保つようにしてください。

ストレスを溜めない

妊娠初期はホルモンバランスが乱れやすく精神的にデリケートな時期であることから、ストレスを溜めやすくなりがちです。

精神的ストレスは妊娠初期の体に負担をかけ、流産のリスクを高めることがわかっており、日ごろからストレスを発散して溜めないように心掛けることが重要です。

妊娠・出産に関する心配事や悩み事はかかりつけの産科医に相談するようにし、ショッピングや趣味で適度にストレスを発散するようにしましょう。

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