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副甲状腺機能低下症を詳細に:原因,症状,検査,治療など

公開日: : 最終更新日:2017/11/01 甲状腺

副甲状腺機能低下症とは

副甲状腺機能低下症(ふくこうじょうせんきのうていかしょう)とは、副甲状腺ホルモンの分泌が減少し、このホルモンの働きが悪くなることによって、血液中のカルシウム濃度が下がり、血液中のリン濃度が高まる病気の総称です。
指定難病の一種であり、原因としては複数のものが考えられます。

そのうち甲状腺のオペが行なわれたあとの術後性副甲状腺機能低下症(じゅつごせいこうじょうせんきのうていかしょう)を含めなければ、平成10年の全国調査の成績から、日本では900例ほどしかない珍しい病気です。

遺伝性が認められることのある病気で、家族内で副甲状腺機能低下症の人がいる場合には、検査を受けることが推奨されています。

甲状腺と聞くと女性の割合が高い病気とイメージする人も少なくありませんが、副甲状腺機能低下症に関しては、男性の割合が高い、女性の割合が高いということはありません。

副甲状腺機能低下症の原因

遺伝

副甲状腺機能低下症を引き起こす原因には複数のものがあります。
そのうちのひとつが遺伝であり、この病気の一部では、遺伝子の異常によって副甲状腺ホルモンの分泌が悪くなることが知られています。

自己抗体

細菌などの外敵が入り込んできたときに作り出される免疫抗体とは異なり、自分の体の組織に対して攻撃を仕掛けてしまうのが自己抗体です。

本来、自己抗体が体内で作り出されることはないものの、自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)にかかっている場合には自己抗体が作り出されます。
副甲状腺機能低下症では、この自己抗体によって副甲状腺ホルモンの分泌が悪くなるケースがあります。

原因不明

副甲状腺機能低下症のすべての原因が解き明かされているわけではありません。
そのため、原因を特定できずに副甲状腺ホルモンの分泌が低下してしまうこともあります。

副甲状腺機能低下症の症状

テタニー症状

血液中のカルシウム濃度が下がってしまうことで引き起こされる症状です。
主に手足の筋肉が痙攣(けいれん)し、発作的に起こります。
場合によって痙攣は全身に起こることもあります。

精神症状

副甲状腺機能低下症では、不穏、抑うつなどが起こり得ます。
不穏というのは、落ち着きがなくなったり、興奮状態になったりする症状です。

抑うつというのは、気分が沈んでしまい、思考や意欲などの精神機能が落ちてしまう状態をさします。

循環器症状

循環器というのは、栄養や酸素などを全身に運び、老廃物を各所から集めて運搬する器官のことで、心臓や血管、リンパ管などがこれにあたります。
副甲状腺機能低下症のひとつに、不整脈が(ふせいみゃく)があります。

心臓が正常に一定のリズムで脈打つのではなく、速度が上がったり下がったり、リズムが変になったりするのが不整脈です。
副甲状腺機能低下症ではQT時間といって、心臓の電気的収縮時間を調べた際、QT延長という心臓の興奮が延長している異常が確認されます。

QT延長は心室細動(しんしつさいどう)という深刻な不整脈を起こすリスクが高く、突然死を招くことにもなりかねません。
不整脈以外では、低血圧(ていけつあつ)を引き起こすケースもあります。
低血圧というのは、血圧が異常に低いためにめまいや倦怠感(けんたいかん)などの症状が出現する病気のことをいいます。

消化器症状

消化器というのは、食べ物の消化や吸収などを行なう器官であり、食道や胃、腸などが該当します。
副甲状腺機能低下症で引き起こされる消化器症状としては、吐き気、おう吐、下痢などがあります。

皮膚症状

副甲状腺機能低下症では、肌に異常が出ることもあります。
たとえば皮膚がカサカサになったり、湿疹が出たりといった症状が出現する場合があります。

歯の発育障害

副甲状腺機能低下症では、歯の発育障害を引き起こすことがあります。
歯の発育障害というのは、歯の数の過不足や歯の大きさが異常に大きいまたは小さいといった障害の総称です。

白内障(はくないしょう)

外からの光を集め、ピントを合わせる役割を担っている目の水晶体が白くにごる病気です。
白内障を引き起こした場合には、視界がかすむ、視力が落ちる、光がまぶしく感じる、明るいときと暗いときで異なる見え方になるなどの症状を起こします。
副甲状腺機能低下症では白内障も症状のひとつとして引き起こされるケースがあります。

副甲状腺機能低下症の検査・診断

どうやって調べる

テタニーなどの副甲状腺機能低下症で起こる症状の有無を確認します。
また、血液検査を行ない、血液中のカルシウムやリンの濃度を確認するほか、原因を見極めるために副甲状腺ホルモンの量を確認します。

テタニーなどの症状があった場合でも、血液中のカルシウム濃度が測定されない場合、てんかんなどの別の病気を起こしていることを疑うケースもあります。
ほかにも尿検査を行ない、尿中に含まれているカルシウムやクレアチニンを確認します。

どういう形で診断されるケースが多い?

多くの場合、テタニーなどの症状が起こっている人で、血液中のカルシウム濃度が低下していることをきっかけに、副甲状腺機能低下症と診断が下されます。

ただ、症状を自覚していない状態で、偶然に血液中のカルシウム濃度に異常があったため、副甲状腺機能低下症にかかっていることがわかるケースもあります。

副甲状腺機能低下症は遺伝性が認められることがある病気であり、家族内にこの病気の人がいる場合には、検査を受けることが推奨されています。

副甲状腺機能低下症の治療

副甲状腺機能低下症にはどういう治療法がある?

テタニーの症状を起こしているような人に対しては、緊急の処置としてカルシウム製剤の注射を行ない、血液中のカルシウムを補充します。
そのほかのケースでは、腸からのカルシウム吸収を促進する作用のある、活性型ビタミンD製剤を服用する方法が選択されます。

これにより血液中カルシウム濃度のコントロールがうまくいけば、副甲状腺機能低下症による症状はほぼ出なくなります。
活性型ビタミンD製剤のみで症状が改善しないケースでは、カルシウム製剤を組み合わせることもあります。

副甲状腺機能低下症はどのような経過をたどる?

活性型ビタミンD製剤の服用を続けていくことにより、血液中のカルシウム濃度をコントロールしていれば、副甲状腺機能低下症による症状はほとんど出現しない場合が多いです。
そのため、治療を受けているということ以外には、健康な人と変わりのない日常生活を送ることが可能です。
食事も通常食といって、糖尿病(とうにょうびょう)などの病気で行なわれるような食事制限が不要な場合の食事でかまいません。

普段の暮らしではなにに気をつける必要がある?

薬の服用を止めてしまうと、血液中のカルシウム濃度が下がり、症状が引き起こされることがあります。
したがって、薬の使用は指示されたとおりに続けていく必要があります。

また、同量の薬の使用でも、腎臓の機能に変化が起こることなどによって、血液中のカルシウム濃度に影響をおよぼすことがあります。
そのため、定期的な通院で血中カルシウム濃度などによって治療方法の評価を行なうことが欠かせません。

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