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膵石症を詳しく:原因・症状・検査・治療など

公開日: : 最終更新日:2018/09/27 胆嚢の病気

膵石症とは

膵臓(すいぞう)は、胃の裏側に存在する長さ15cm程度、幅3cm程度、厚さ2cm程度、重量100g程度、淡い黄色をした小さな臓器です。

膵臓では、膵液(すいえき)という、弱アルカリ性の消化液が1日に1.5Lほど分泌されています。
担っている役割としては、消化液の分泌を行なう内分泌機能と、ホルモンの分泌を行なう外分泌機能があります。

タンパク質、炭水化物、脂肪の分解を行なう消化酵素、核酸の分解酵素が膵液には含まれています。
膵液は、膵液の通り道である膵管(すいかん)を通って十二指腸(じゅうにしちょう)へと流れていきます。

膵石症(すいせきしょう)とは、膵臓で分泌された膵液の通り道である膵肝に結石(けっせき)が形成される病気です。

慢性膵炎(まんせいすいえん)と診断された方のおよそ40%に結石症が起こります。
慢性膵炎の悪化とともに、結石症が起こる頻度が上昇します。

平成14年に医療機関で受診をした方の数は約45,000人で、人口100,000人あたりの罹患率は推定で約36人とされています。

慢性膵炎はかつて、大部分を男性が占めていた病気ですが、いまでは女性でかかる方も多くなっており、男性の割合を2とすれば、女性の割合は1とされています。

女性でかかる方が多くなっているとはいえ、男性と女性では患者の割合が倍違う病気です。
発症年齢としては男性では50~59歳、女性では60~69歳が多いとされています。

膵石の形成でよくあるのは、はじめての膵炎発作(すいえんほっさ)のあと、およそ5年が過ぎてできはじめるケースです。
膵石はかたく、表面がいびつで色は白っぽいのが特徴です。

サイズは0.5cmに満たないような小さなものもあれば、1cmを上回る大きなものもあります。

膵管内に膵石が形成されることによって、膵液の通過がさまたげられてしまい、お腹の痛みや発熱、炎症症状が生じた場合を膵石症とよびます。

膵石症の原因

膵石症は、胃の後ろにある臓器の膵臓によって分泌された膵液の通り道である膵管内に、結石が形成される病気です。

結石が形成されることによって、膵液の流れがさまたげられてしまい、腹部の痛み、発熱、炎症症状が生じた場合、膵石症といいます。
この病気が起こる原因としては、さまざまなものをあげることができます。

膵石症が起こるしくみは?

膵石の成分として多くを占めているのは炭酸カルシウムです。
膵石ができるメカニズムは完全にはわかっていませんが、膵液の質に変化が生じたり、膵液の流れがとどこおったりすることなどが原因となって、膵液中に含まれているタンパク質が結晶化し、そこにカルシウムが沈着して結石ができるという見方がされています。

膵石症はどんな人に多い病気?
膵石症は、慢性膵炎と診断された方のおよそ40%に起こる病気です。
慢性膵炎の悪化とともに、膵石症が重なって起こる頻度が上昇します。

したがって、慢性膵炎にかかっている方、慢性膵炎が進行している方に起こりやすい病気といえるでしょう。
膵石症の原因は、慢性膵炎の原因とほとんど変わりません。

アルコールの大量摂取、腹腔状線機能亢進症(ふくこうじょうせんきのうこうしんしょう)などによる高カルシウム血症(こうかるしうむけっしょう)、膵管の形成異常、栄養失調、そして原因不明の膵炎により膵石が形成されることもあります。

なお、原因不明の膵炎のことは特発性膵炎(とくはつせいすいえん)とよびます。
慢性膵炎の原因はアルコールの大量摂取が最多で、全体のおよそ70%を占めています。

続いて多いのは原因不明の膵炎でおよそ20%、胆石(たんせき)によるものがおよそ3%とされています。

慢性膵炎にかかっている方は糖尿病にかかるリスクが高いだけでなく、膵癌(すいがん)などのさまざまな悪性腫瘍(あくせいしゅよう)が重なって起こる頻度が高いため、気をつけなければいけない病気です。

男女別の原因で一番多いものについてですが、男性ではアルコールの大量摂取による慢性膵炎がおよそ77%、女性では原因不明の膵炎がおよそ50%とされています。

膵石症の原因として大部分を占めているのはすでに述べたようにアルコールの多飲ですが、飲酒歴のない若い年齢の方に起こることもあり、このようなケースでは遺伝が関わっているのではないかという見方がされています。

原因と膵石の形やできる場所の関係

何が原因となって膵石が膵管の中で形成されるかにより、膵石の形や形成される場所が異なることが知られています。

具体的には、アルコールの多飲が原因で膵石が形成された場合、その大きさは小さいことが多く、膵全体に分布することが多いのが特徴です。

これに対し、原因不明の膵炎が原因となって膵石が形成された場合、その大きさはアルコールの大量摂取が原因となって膵石が形成される場合より大きい膵石が形成されることが多く、できる場所も限られていることが多いのが特徴です。

膵石症の症状

膵石症は慢性膵炎と診断された方に多く起こっており、アルコールの大量摂取、高カルシウム血症、膵管の形成異常、栄養失調、原因不明の膵炎、遺伝の影響が要因として含まれています。

膵石症が形成されることにより、膵液の流れがさまたげられることによって痛みの症状が出現します。

膵石症で出現する痛みの特徴

膵石症で生じる痛みは、形成された結石が膵管の中にはまり込むことにより、膵液の流れがさまたげられてしまうことが主な原因になるとされています。

よくある痛みの症状は、アルコールの摂取後や食後に起こるもので、腹部や背中側が痛みます。

膵石症によって腹部の生じる痛みは強く、持続性のものであることが多いです。

前かがみの体勢になると軽減されることが多く、痛みが強まったときには前かがみの体勢になりがちです。

膵石症で出現する痛み以外の症状

腹部や背中側に生じる痛みのほかには、消化吸収障害をあげることができます。

脂肪便、下痢の症状が膵石症で出現する症状として含まれます。
また、吐き気・嘔吐(おうと)、食欲低下、体重低下といった症状も出現します。

血糖値にも注意が必要で、膵石症によって慢性膵炎が悪化すると、糖尿病にかかって血糖値が変動しやすい状態になります。

なお、高血糖(こうけっとう)のみではなく低血糖(ていけっとう)を招くこともあります。
そのほか、膵石症にかかっている方は、発癌頻度が高い点にも要注意です。

健康な方の20~30倍の差があるとされており、膵臓の悪性腫瘍による腹部の痛み、体重低下などに気をつけなければいけません。

膵石症の検査・診断

膵石症にかかっているかどうかは、主に画像検査によって調べることになります。

画像検査と一口にいっても、さまざまな方法があり、描出される画像によって得ることのできる情報には違いがあります。

気になる症状がある場合には、その症状を放置することなく医療機関で受診し、診察・検査、治療を受けましょう。

受診に適した診療科
膵石症では、膵液の流れがさまたげられてしまうことによって痛みが生じると考えられています。

腹部や背中側の痛み、吐き気や嘔吐、食欲低下や体重低下などの症状も出現し、糖尿病の発症や発癌リスクも高まります。

膵石症を疑うような症状がある場合には、放置することなくできるだけ早く医療機関へ行ったほうがよいのですが、何科へ行くのが適切なのかで迷ってしまう方もいるのではないでしょうか。

この点に関してですが、消化器科へ行けば診察、検査、治療を受けることが可能です。
医療機関の中でも、膵臓の専門医のいるところへ行くのが望ましいといえるでしょう。

膵石症を調べる方法

膵石症にかかっているかどうかを確認するための主な検査は、画像検査です。

腹部単純X線検査、超音波検査、CT検査、MRCP検査、ERCP検査といった方法をあげることができます。

膵管の中に形成される結石はたいてい、カルシウムが沈着しているため、腹部単純X線検査を行なうことによって診断可能です。

ただし、膵臓との位置関係についての正しい情報を得るには、ほかの画像検査を行なわなければいけません。
そしてそのためには、腹部超音波検査や腹部CT検査が行なわれています。

腹部超音波検査は外来で受けることが可能で、検査を受ける方に対する体の負担が少なく、リアルタイムに体内の様子を画像化することが可能です。

ただし、検査を行なう医師や検査技師の技量のほか、検査を受ける方が肥満体型であることや消化管ガスが検査の結果を大きく左右します。

こうした要素の影響を強く受けることで、膵臓全体を描出できないことがあるのです。

一方、腹部CT検査はX線を使用するため被ばくの問題はあるものの、非常に小さい、細かいカルシウムの沈着も画像化することができ、検査を受ける方の体型や消化管ガスの影響を受けません。

また、いまはMRI装置を駆使して膵管の中の膵液成分を画像化し、膵管像を描出するMRCP検査が普及しています。

この検査で表示される画像は、膵液成分が白く目立ちはするものの、結石は白く表示されないため、膵石自体の診断という点で腹部CT検査のほうが勝っていますが、膵管が太くなっている状態や狭まっている状態など、膵液の流れのとどこおりを調べる上で役立ちます。

そのほか、膵石が形成されている膵管の情報を知るための精密検査に、ERCP検査があります。

ERCP検査は、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ないしきょうてきぎゃっこうせいすいたんかんぞうえい)という名前がよばれていることもある検査です。

ERCP検査は内視鏡を使って膵管を造影する方法で、膵管とつながっている十二指腸から、造影カテーテルという医療用の管を使って膵管の中に造影剤という薬剤を流し込み、膵管像をレントゲン撮影します。

この検査では膵石の存在する場所には造影剤が入り込まず、欠損像として表示されます。

いまはMRCP検査の精度が向上してきているために、膵石の診断のためにERCPが選択されることは減少傾向にあります。

ただ、ERCP検査に引き続いて膵石を取り除く処置をほどこすことができるため、膵石の治療を行なうためにERCPが選択されることが多くなっています。

膵石症の治療

膵石症にかかっていることがわかった場合には、アルコールを断つことのほか、食事療法や薬物療法など、さまざまな治療方法があります。

膵石症では膵癌が重なって起こるリスクがあります。

気になる症状がある場合にはその症状を放置することなく、できるだけ早く医療機関で受診することが大切です。

膵石症の治療方法とは

膵石症を改善するためには、お酒を断つことのほか、食事療法、薬物療法などが行なわれています。

食事療法としては、低脂肪食を摂ることになります。
腹部の痛みが強い方は食事自体を断って、点滴か高カロリー輸液によって必要な栄養を摂取し、膵酵素阻害薬や鎮痛薬といった薬剤を投与して急性炎症を抑制します。

こうした方法を試みても腹部の痛みが続いている場合には、別の治療を行なうことが検討されます。

その治療というのは入院をして受ける形になります。

急性炎症が落ち着いたタイミングで治療は行なわれます。
現状で国内で保険適用となるのは手術しかありません。

結石を砕く治療

体外衝撃波結石破砕療法(たいがいしょうげきはけっせきはさいりょうほう)という治療方法があります。
これは、ESWLという名前でよばれていることもある治療です。

体外衝撃波結石破砕療法では、体外から衝撃波を結石にあたえることにより、細かく砕きます。

1回の治療に要する時間はおよそ1時間で、しっかりと治療効果を出すために適宜、鎮痛薬が投与されることになります。

治療を終えると、腹部の痛みがなければ治療を受けたその日か次の日には食事を摂ることができるようになります。

治療を受けた次の日に行なわれる腹部単純X線検査で治療効果を判定し、膵石がなくなっているか3mmほどの大きさに砕けた状態になるまで1週間で2~3回の頻度で治療が行なわれます。

トータルで4~5回、この治療を受けなければいけないケースが多いです。
この治療では膵炎が悪化することがあり、20人に1人程度の割合で起こります。

ただし、症状は軽く、深刻な合併症は少ないといわれています。

膵石症にかかっている方は、膵石がある場所より十二指腸側の膵管が炎症で細くなっていることが多く、体外衝撃波結石破砕療法だけを行なう治療では十分な効果を得ることができない場合があります。

そのような方に対しては、内視鏡を使った治療が組み合わせる形になります。

内視鏡を使った治療

ERCP検査に引き続いて行なわれている治療方法です。
鉗子(かんし)を膵管の中へと進めて、膵石を取り除きます。
膵石が大きなものでなければ、この治療を1~2回試みることによって処置は完了します。

しかし、処置のために使用する器具が届く場所にあり、把持することが可能なサイズでなければいけません。
そのため、体外衝撃波結石破砕療法を実行して膵石を小さく砕くことによって、相乗効果を得ることが可能です。

ほかには、膵管の細くなっている場所を風船でひろげる内視鏡的バルーン拡張術(ないしきょうてきばるーんかくちょうじゅつ)や、十二指腸とつながっているところを切開する膵管口切開術(すいかんこうせっかいじゅつ)といった方法が、膵石を取り除くことを補助するために試みられています。

また、膵管がひどく狭まっている方に対しては、スペースを確保するために、筒状の管を留置する処置がほどこされることもあります。
なお、この管のことはステントといいます。

手術による膵石症の治療

膵切除術(すいせつじょじゅつ)や膵管減圧術(すいかんげんあつじゅつ)といった方法があります。

膵切除術は強い炎症が生じている場所を切除する方法、膵管減圧術はできるだけ切除は少なくし、膵管と小腸をつなぐ方法です。

体外衝撃波結石破砕療法や内視鏡を使った治療方法より、患者の体にかかる負担は大きいです。

しかし、再び痛みが起こるリスクは低く、体外衝撃波結石破砕療法や内視鏡を使った治療がうまくいかないケースでは、有効な治療となり得るといわれています。

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