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膵胆管合流異常を詳しく:原因・症状・検査・治療など

公開日: : 最終更新日:2018/09/18 すい臓の病気, 胆嚢の病気

膵胆管合流異常とは

膵臓(すいぞう)で分泌される弱アルカリ性の消化液のことを膵液(すいえき)といい、三大栄養素のすべて(タンパク質、脂質、炭水化物)の消化を行なうことが可能です。

肝臓(かんぞう)で産生されるアルカリ性、黄褐色をした液体のことを胆汁(たんじゅう)といい、膵液を活性化させ消化吸収を助ける役割を果たしています。

膵臓で分泌された膵液は、膵液の通り道である膵管(すいかん)を流れていって十二指腸(じゅうにしちょう)へと送り込まれます。

一方、肝臓で産生された胆汁は、胆汁の通り道である胆管(たんかん)を通って肝臓と膵臓のあいだの場所にある臓器の胆嚢(たんのう)で一時的に貯蔵され、濃縮されたのち、最終的に十二指腸へと送り込まれます。

膵管と胆管は合流し、1本の共通管(きょうつうかん)となって十二指腸につながっています。

共通管は括約筋(かつやくきん)という筋肉に取り囲まれており、この筋肉がはたらくことによって膵液が胆管に、胆汁が膵管に逆流しないしくみになっています。

この部分は胎児のごく初期のころに形成されますが、そのときの問題によって膵管と胆管が正常ではない形で合流してしまうと、括約筋がうまく機能せず、膵液が胆管に、胆汁が膵管に逆流し、種々の障害が発生してしまいます。

このような状態を招く膵管と胆管の生まれつきの奇形のことを、膵胆管合流異常(すいたんかんごうりゅういじょう)といいます。

先天性胆管拡張症(せんてんせいたんかんかくちょうしょう)が起こっている場合、そのほぼ総数が膵胆管合流異常を伴います。

このようなタイプの膵胆管合流異常は胆管拡張型(たんかんかくちょうがた)といいますが、先天性胆道拡張症を伴わない胆管非拡張型(たんかんひかくちょうがた)の膵胆管合流異常も多いです。

膵胆管合流異常の原因

膵液が流れる膵管と胆汁が流れる胆管は合流して共通管という1本の管になり、十二指腸につながっています。

共通管は括約筋に取り囲まれており、括約筋がはたらくことで膵液が胆管へ、胆汁が膵管へと逆流しないしくみになっています。

この部分は胎児のごく初期のころに形成されますが、そのときの問題で膵管と胆管が正常ではない形で合流すると、括約筋がうまく機能せず、膵液が胆管へ、胆汁が膵管へと逆流してしまいます。

そしていろいろな障害を起こしてしまうのですが、こういった状態を招く生まれつきの奇形のことを膵胆管合流異常とよびます。

膵胆管合流異常と胆道癌(たんどうがん)の関係

膵臓で分泌されている膵液が、胆嚢や胆管の中へと逆流することにより、膵液が活性化されて胆道粘膜の炎症が生じます。

炎症が続いていることによって、癌化を招いてしまうとされています。

膵胆管合流異常が起こっていると、胆道癌を起こす年齢は、通常の胆道癌を起こす年齢と比較して低く、20~39歳より年齢を重ねることに伴って発癌リスクが増大するということが報告されています。

その発生率は、正常な方と比較して10~30倍高いといわれています。

先天性胆管拡張症のほとんどに膵胆管合流異常が伴う

肝臓で産生された胆汁の通り道である胆管は、胎児のごく初期のころに形成されます。

形成される中で問題が生じ、管の一部が嚢状(のうじょう)に大きくなってしまった病気が、先天性胆管拡張症です。

先天性胆管拡張症のほぼ全例で、膵胆管合流異常が伴います。

先天性胆管拡張症は欧米人と比較して日本人によく起こっており、性別では男性と比較して女性のほうが高い割合を占めています。

そのため、遺伝性があるのではないかという見方もされていますが、はっきりしない点が多数あります。

膵胆管合流異常の症状

膵胆管合流異常は、先天的な奇形によって起こります。
この病気では共通管を取り囲んでいる括約筋がうまく機能せず、本来であれば胆汁が流れる胆管に膵液が、膵液が流れる膵管に胆汁が逆流することによって、さまざまな症状が出現します。

出現する症状は、膵液が胆管に逆流した場合と、胆汁が膵管に逆流した場合とで違いがあります。

膵液が胆管に逆流して起こる症状

膵臓で分泌された膵液が胆管に逆流すると、胆管の壁が障害されて胆管炎(たんかんえん)、胆嚢炎(たんのうえん)、胆石症(たんせきしょう)などが起こるほか、胆管の拡張を招くこともあります。

胆管炎や胆嚢炎、胆石症を起こすと腹痛、発熱、嘔吐(おうと)といった症状が出現します。

胆道癌が起こると、皮膚や粘膜が黄色く変色する黄疸(おうだん)、閉塞性黄疸(へいそくせいおうだん)によって排泄される便の色が灰白色になる症状、腹部腫瘤(ふくぶしゅりゅう)といった症状が出現することがあります。

閉塞性黄疸は、胆汁の成分が血液の中に逆流することによって生じる黄疸のことをいいます。
腹部腫瘤は、お腹に生じるしこりのことをいいます。

胆汁が膵管に逆流して起こる症状

肝臓で産生された胆汁が膵管に逆流すると、膵炎(すいえん)や膵石症(すいせきしょう)が起こる原因になります。

腹痛、黄疸、発熱、嘔吐、腹部腫瘤といったものが、膵炎や膵石が生じた場合に出てくる症状です。

無症状のこともある

膵胆管合流異常の状態になっているだけでは、症状が出現しません。
胆管炎や膵炎などを起こした場合に、その病気の症状が起こることになります。

そのため、無症状のまま生活を送っていて、成人になって受けた定期健診で異常の指摘を受けたのちに、精密検査を受けた結果、膵胆管合流異常を起こしていることがわかることがあります。

腹部CT検査(ふくぶしーてぃーけんさ)、内視鏡的逆行性膵管胆管造影検査(ないしきょうてきぎゃっこうせいすいかんたんかんぞうえいけんさ)、内視鏡超音波検査(ないしきょうちょうおんぱけんさ)などを受けたことをきっかけに、偶然に見つかることが珍しくありません。

膵胆管合流異常の検査・診断

膵胆管合流異常は、膵管と胆管が異常な形で合流した状態になる、先天性の形成異常です。

この病気を起こしているかどうかは、血液検査や各種の画像検査によって調べることになります。

受診に適した診療科

膵胆管合流異常は、何科へ行くのが適切なのでしょうか。
人によっては、このことが気になってどこの病院へ行くかで迷ってしまうこともあるはずです。

この病気の診療に関してですが、消化器専門医のいる医療機関へ行くと良いでしょう。
胆道癌が起こる前に適切な処置をほどこすことができれば、膵胆管合流異常の予後は良好です。

これに対して、胆道癌を起こした場合には、手術を行なえるケースと行なえないケースとで5年生存率が変わってきます。

手術が可能なケースでの5年生存率は40%程度、手術が不可能なケースでの5年生存率は1%程度と、きわめて低い数値になっています。

また、胆道癌の治療では大掛かりな手術を行なうことになるケースが多く、手術で命を落としてしまう確率が数%~10%あります。

膵胆管合流異常を調べる方法

患者本人に起こっている症状のほか、通常の血液検査で肝機能や膵機能を調べます。

血液検査では程度の違いはあるものの、肝臓や膵臓の機能の異常が発見されます。

また、血液検査では腫瘍(しゅよう)マーカーといって、癌の進行に伴い増加する物質も調べます。

血液検査のほかには、各種画像検査が行なわれています。
画像検査では、膵管と胆管が異常な形で合流した状態になっていることを確かめます。

実際に行なわれている検査としては、腹部超音波検査(ふくぶちょうおんぱけんさ)、超音波内視鏡検査、腹部造影CT検査(ふくぶぞうえいしーてぃーけんさ)、磁気共鳴胆管膵管撮影(じききょうめいたんかんすいかんさつえい)といった方法をあげることができます。

こういった方法で診断できなければ、直接胆道造影検査(ちょくせつたんどうぞうえいけんさ)を行ない、診断する方法があります。

直接胆道造影検査としては、内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査、経皮経肝胆道造影検査(けいひけいかんたんどうぞうえいけんさ)、術中胆道造影法(じゅつちゅうたんどうぞうえいほう)をあげることができます。

そのほか、直接胆道造影検査によってとり出された胆管や胆嚢の中の胆汁を調べることにより、膵臓で分泌される炭水化物を分解する酵素などの異常の有無を確かめます。

膵胆管合流異常の治療

膵胆管合流異常を起こしていることがわかった場合の主な治療は外科的治療です。

胆道癌を起こしていない状態で手術がうまくいけば、膵胆管合流異常の予後は良好です。

しかし、胆管炎などを招いてしまうことなどがあるため、術後の経過観察は必要です。

分流手術(ぶんりゅうしゅじゅつ)

先天性胆道拡張症を伴っている場合には、胆嚢と胆管を可能な範囲で切除し、胆汁と膵液の流れをわけます。
胆管は小腸とつなぎ合わせます。

この分流手術によって、胆汁はつなぎ合わせた腸管へ流れ込むようになり、膵液は十二指腸へと流れ込みます。
そのため、胆汁の膵肝への逆流と膵液の胆管への逆流が解消されます。

先天性胆道拡張症を伴っている場合には、腹痛、嘔吐といった症状や胆道癌を防ぐことを目的に分流手術が行なわれていますが、ほうっておくと症状を繰り返すほか、胆道癌のリスクが高まるため、診断した時点で分流手術を行なうことが推奨されています。

胆嚢摘出術(たんのうてきしゅつじゅつ)

胆管非拡張型の膵胆管合流異常で行なわれている治療方法です。
手術の名前にあるとおり、胆嚢の摘出を行ないます。

胆管非拡張型の膵胆管合流異常では、この手術だけを行ない、経過をみるケースもあります。

合併症に対する治療

膵胆管合流異常が起こっていると、胆管炎、胆嚢炎、膵炎といった病気が合併することがあります。

実際にこうした合併症が引き起こされた場合には、まず起こっている個々の合併症に対する内科的治療が行なわれることになります。

一度は良くなっても症状が繰り返されるほか、癌のリスクが高いことなどを理由に、最終的には膵胆管合流異常に対する外科的治療を行なわなければいけないと考えられています。

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