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急性胆のう炎を詳しく:原因・症状・検査・治療など

公開日: : 最終更新日:2019/01/08 胆嚢の病気

急性胆のう炎とは

急性胆のう炎(きゅうせいたんのうえん)とは、肝臓で産生された胆汁(たんじゅう)を貯蔵する役割を担っている胆のうという臓器に急性炎症が生じる病気です。

胆のうで貯蔵されている胆汁は濃縮されて、最終的に十二指腸(じゅうにしちょう)へと送り込まれることにより、脂肪分の消化・吸収を助ける働きをします。

胆のうの中に胆石(たんせき)がある状態では、胆のうに炎症が生じやすくなります。
胆石は胆汁の成分が固まってしまったものです。

胆石は日本人の成人のおよそ8%にあるといわれています。
とくに中年以降の方に胆石は多く、男性と比較して女性で胆石をもっている方は2倍いるといわれています。
40~49歳の肥満体型の女性に多いといわれてもいます。

肥満や食べ過ぎ、不規則な食生活、ストレスといった生活習慣が関係しているといわれています。
急性胆のう炎の90%以上は、胆のう内に生じた石である胆石が、胆のうの出口で詰まることによって起こります。

急性胆のう炎では胆のうにむくみが生じて腫(は)れ、炎症がひどくなるのに伴って胆のうの壁が壊死(えし)していきます。
細菌感染を伴うと重症化することもある、危険な病気です。

初期症状としては上腹部の不快感やにぶい痛みが生じ、炎症がひどくなるのに伴って右の肋骨(ろっこつ)の下あたりの痛みが生じ、やがて激しい痛みが生じるようになります。

診断は血液検査、腹部超音波検査、腹部CT検査などを組み合わせることによって下します。
治療は絶食、点滴、抗菌薬の投与、手術療法といった方法をあげることができます。

急性胆のう炎の原因

胆汁を一時的に貯蔵し、濃縮する役割を担っている胆のうに急性炎症が生じた状態のことを、急性胆のう炎といいます。

急性胆のう炎の90%以上は、胆石を伴っているといわれています。
また、胆のうの炎症は炎症の程度によって複数の種類があります。

急性胆のう炎は何が原因で起こる病気なのか

既に述べたとおり、急性胆のう炎にかかる90%以上の方には胆石があります。

胆石が胆のうの出口で詰まってしまうことによって、急性胆のう炎が起こることがほとんどです。

胆石が胆のうの出口で詰まること以外には、胆汁が通過する道である胆管(たんかん)の奇形や捻転、胆のうと隣接する臓器に生じた炎症や腫瘍(しゅよう)によって、胆管のうち胆のうへと枝分かれしている部分である胆嚢管(たんのうかん)が圧迫を受けること、胆管や胆のうに寄生虫(きせいちゅう)が侵入することなどによって、急性胆のう炎が起こることがあります。

ただし、胆嚢管が詰まるだけで急性胆のう炎にはかかりにくく、詰まるだけでなく胆汁の細菌感染や胆のうの中に膵液(すいえき)が逆流することによって炎症が生じるという見方がされています。

胆のう炎の種類

胆のうの炎症は急性胆のう炎のほか、炎症の程度によってさまざまな種類が存在します。

カタル性胆のう炎(かたるせいたんのうえん)、化膿性胆のう炎(かのうせいたんのうえん)、壊疽性胆のう炎(えそせいたんのうえん)、気腫性胆のう炎(きしゅせいたんのうえん)をあげることができます。

カタル性胆のう炎は胆のうの内側の表面に軽度の炎症が生じた状態で、化膿性胆のう炎では胆のうの中の胆汁がにごって膿(うみ)状になり、胆のうの壁に腫れが認められるようになってきます。

壊疽性胆のう炎は重い炎症によって、胆のうの壁の組織で壊死している部分が認められるほか、胆のうに穴があいて、お腹の中へと胆汁が出ていってしまうことがあります。

気腫性胆のう炎は、ガスを出す細菌によって起こる胆のうの炎症であり、胆のうの壁とその内外にガスを出します。
通常の胆のう炎と比較して、症状が強まるのが特徴です。

ほかには、慢性胆のう炎(まんせいたんのうえん)もあります。
このタイプの胆のう炎は、急性胆のう炎の繰り返しによるものです。

繰り返される炎症によって胆のうの壁が厚みを増したり、繊維状にかたくなったり、胆のうが収縮したりして、機能が弱まってしまいます。
慢性胆のう炎は普通、急性胆のう炎と比較して軽いのが特徴です。

そのほか、胆石があるかどうかで、胆石性胆のう炎(たんせきせいたんのうえん)と無石胆のう炎(むせきたんのうえん)というわけかたもされています。

急性胆のう炎はどのような人に起こりやすい病気なのか

急性胆のう炎は90%以上の方が胆石をもっているということで、胆石がある方は急性胆のう炎を起こすリスクが高いといえるでしょう。
また、胆石は中年以降の方に多く、男性と女性では女性のほうが2倍多いといわれています。

とくに40~49歳の年齢層の女性に多く、肥満体型の方に胆石は多いともいわれています。
胆石ができることには肥満や食べ過ぎ、不規則な食生活やストレスといった生活習慣が関わっているといわれています。

ほかには敗血症(はいけつしょう)にかかっている方、大手術を受けたあとの方、長期間にわたり絶食をし、点滴で栄養補給をしている方も、急性胆のう炎が起こりやすいといわれています。

急性胆のう炎の症状

急性胆のう炎は、炎症の進行具合で症状が違ってくる病気です。

急性胆のう炎にかかって出現する症状

急性胆のう炎は、肝臓で産生された胆汁を一時的に貯蔵し、濃縮する役割を担っている胆のうに急性炎症が起こった状態です。

この臓器がむくみ腫れて、炎症がひどくなるのに伴って胆のうの壁の組織が死んでいってしまいます。
初回段階の症状としては上腹部の不快感やにぶい痛みが起こります。

そして炎症がひどくなると右の肋骨のしたあたりに痛みが起こり、やがて激しい痛みが生じます。
痛みは深呼吸をすることでひどくなり、右の肩甲骨の下あたりにひろがります。

急性胆のう炎にかかって出現するそのほかの症状

痛みの症状に吐き気・嘔吐(おうと)を伴うことがあります。
また、発熱の症状が3人に1人の割合で起こり、38度以上の高熱症状が出現することがあります。

発熱には悪寒(おかん)を伴うことがあり、皮膚や粘膜が黄色くなる黄疸(おうだん)の症状が出ることもあります。

激しい腹痛や悪寒が付随する発熱、黄疸などが起こっている場合は重症のことが多く、早期の入院治療が望ましいといわれています。

急性胆のう炎検査・診断

急性胆のう炎の診断は血液検査、腹部超音波検査、腹部CT検査などを組み合わせて行なう形になります。
この病気では細菌感染を起こすと重症化するリスクがあります。

気になる症状がある場合には、その症状を放置することなくできるだけ早く医療機関で受診、相談しましょう。
なお、急性胆のう炎を疑うような症状がある場合には、消化器科、内科へ行けば診療を受けることが可能です。

入院・手術が可能な医療機関であるほか、この病気の診療を行なえる医師数が多いところ、手術の実績が豊富なところが望ましいでしょう。

血液検査

血液を採取し、その血液中の成分をみます。
炎症や感染症が生じている場合、白血球数の増加、C反応性タンパクが高まります。
胆のう炎では、C反応性タンパクが上昇しないこともあります。

また、胆管炎(たんかんえん)や膵炎(すいえん)が胆のうの炎症に重なって起こっていないか確かめたり、全身状態を知ったりするうえで、血液検査を行なうことは有用です。

腹部超音波検査

超音波を体外からあてて、お腹の内部の様子を調べる患者への負担が少ない検査方法です。

急性胆のう炎にかかっていると、90%以上の方の胆のう内に胆石ができており、炎症によって胆のうの壁が厚くなっていることや、腫れていることがわかります。

腹部レントゲン検査

お腹のレントゲン写真を撮ります。
胃や腸に穴があいている状態や、腸閉塞(ちょうへいそく)といった、胆のう炎とは別の病気と見分けるために役立つ検査方法です。

また、炎症によって腸が動かなくなり、特徴的なガス像が写し出される場合があります。

腹部CT検査

X線を使い、体の断面を画像で確認することが可能な検査です。

胆のうに穴があいている状態や、お腹の内部に膿がひろがっている状態などの診断のために役立ちます。

MRI検査

磁気を使い、体の断面を画像で確認することが可能な検査です。
胆のうや胆のうのまわりへの炎症のひろがりを詳しく把握することが可能です。

腹部CT検査より時間を要しますが、X線のによる被ばくの心配がありません。

MRI装置を使ったMRCPという検査では、胆石が胆のうの出口などに詰まった状態になっているのを、造影剤を注入することなく画像で把握することが可能です。

内視鏡的逆向性胆道膵管造影(ないしきょうてきぎゃっこうせいたんどうすいかんぞうえい)

ERCP(endoscopic retrograde cholangiopancreatography)ともよばれている検査です。

内視鏡的逆向性胆道膵管造影では、内視鏡(カメラ)を口から挿入し、十二指腸に存在する総胆管(そうたんかん)の出口から細い管を介して造影剤を流し込み、レントゲン撮影を行ないます。

胆のうや総胆管の様子のほか、胆石ができているかどうかなどを把握することが可能です。

急性胆のう炎の治療

急性胆のう炎を起こしている方に対しては、絶食、点滴、抗菌薬の投与、手術療法といった治療が行なわれています。

治療方法は、急性胆のう炎を起こしている方の重症度に合ったものが選択されることになります。

手術以外の治療

胆のう炎を起こしている方に対しては、絶食絶飲によって安静を保ち、輸液による栄養補給、抗菌薬や鎮痛薬の投与を行ないます。
抗菌薬は点滴のものを投与し、細菌感染を抑えます。

ペニシリン系の抗菌薬やセフェム系の抗菌薬が使われることが多いです。
こうした治療によって全身状態の改善を図ります。

そして炎症や感染が落ち着いた段階で、必要な方に対して手術療法が選択されることになります。

手術療法

手術を行なうことによって、胆のうを取ってしまいます。
胆のうを失っても、最低限の消化能力は別の臓器が補ってくれるため、摘出してしまっても問題はありません。
胆汁も十二指腸へと送り込まれていきます。

また、脂肪分の多い食事を摂ることによって下痢気味になる場合があるものの、だんだん良くなります。

胆のう炎の手術には腹腔鏡(ふくくうきょう)という内視鏡を使ってする方法と、お腹を切り開いてする方法に大別されます。
どの方法を選択する場合でも、全身麻酔をほどこすことになります。

胆石ができている胆のう炎を起こしている方は、胆のう炎の再発を何回も招くことがあるため、胆のうと一緒に胆石を取ることが根本的な治療になります。

腹腔鏡下胆のう摘出術(ふくくうきょうかたんのうてきしゅつじゅつ)

腹部に1~2cmの穴を3~4ヶ所つくり、炭酸ガスを注入してお腹を膨らませて、腹腔鏡と専用の機器をつくった穴から挿入して、モニターで腹部の中を確認しながら胆のうの切除を行ないます。

切除済みの胆のうは、ヘソの上につくった穴から取り出します。

手術でつくる傷は既に述べたとおり小さく、術後の痛みも後述する開腹術(かいふくじゅつ)に比べて少なく、傷の治りも早いため、術後2~5日間が経過すれば退院することができます。

開腹胆のう摘出術(かいふくたんのうてきしゅつじゅつ)

胆のうに生じている炎症が激しい方や、これまでに胃をはじめとする上腹部の手術療法を経験している方などに対して選択される方法です。

10~15cm程度の切開を行なうことになるため、腹腔鏡を使用する手術と比較すると傷が大きく、術後の痛みも強く出ます。

ただ、直接にお腹の内部を見てまわりの臓器や血管まで確認しながら治療を行なうことが可能です。
多くの場合、手術が終わったあと5~7日間で退院することができます。

内視鏡的経鼻胆のうドレナージ(ないしきょうてきけいびたんのうどれなーじ)

ENGBD(Endoscopic nasogallbladder drainage)ともよばれている治療方法です。

内視鏡を駆使して、十二指腸に存在する総胆管の出口から細いチューブを挿入し、チューブの逆側の端を鼻から外に出して、胆汁を排出させます。

皮膚や粘膜が黄色く変色する黄疸の症状が起こっている方や、生じている炎症が激しい方に対して選択される治療方法です。

経皮経肝胆のうドレナージ(けいひけいかんたんのうどれなーじ)

PTGBD(percutaneous transhepatic gallbladder drainage)ともよばれている治療方法です。

超音波でお腹の内部を確認しつつ、皮膚から肝臓を通って胆のうに針を刺し、その後、X線で確認しながら胆のうに細いチューブを留置し、胆のうに貯留している胆汁を排出させます。

この治療行なうときには局所麻酔をほどこします。
全身状態が悪く、内視鏡を使った治療方法を選択することができない方などに対して選択されている治療です。

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