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膵臓がんを詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

公開日: : 最終更新日:2018/04/22 すい臓の病気, がん

膵臓がんとは

膵臓がん(すいぞうがん)とは、膵液(すいえき)という消化液を作り出す臓器である膵臓に何らかの原因によって悪性腫瘍(あくせいしゅよう)、いわゆるがんが発生する病気です。

膵臓は、胃の後ろ側に位置する長さ20cmほどの細長い臓器です。
膵臓は十二指腸とくっつくように位置しており、全体を3等分して十二指腸にくっついている右側を膵頭部(すいとうぶ)、真ん中の部分を体部(たいぶ)、脾臓(ひぞう)にくっついている左側を膵尾部(すいびぶ)とよびます。

膵臓は主に、2つの役割を担っています。
1つは食べ物の消化を助けるための膵液を作り出す外分泌機能で、もう1つは血糖値を調節するためのホルモンであるインスリンやグルカゴンなどを作り出す内分泌機能です。

膵臓で作り出された膵液やインスリンなどのホルモンは、膵臓の中を網の目のように走る細い管の膵管(すいかん)を通り、膵臓の真ん中を貫く主膵管(しゅすいかん)へと集まります。

主膵管に集まった膵液やインスリンなどのホルモンは、肝臓から膵頭部へとつながっている総胆管(そうたんかん)の中を通る胆汁(たんじゅう)と合流したあと、十二指腸(じゅうにしちょう)へと排出されます。

膵臓がんは全体の約90%が膵管に発生しますが、まれに膵液を作り出す細胞やインスリンを作り出す膵島(すいとう)とよばれるランゲルハンス島細胞に発生する場合もあります。

また、実際に発生した膵臓がんの約95%は、膵管の粘膜に存在する腺細胞にがんが発生する腺がんです。
さらに、膵管に発生する腺がんのほとんどが、十二指腸に近い膵頭部に発生するというデータがあります。

日本国内におけるすい臓がんの発症率は、人口10万人あたり約12%ほどで、1年間で新たに発症する患者は男性の場合は人口10万人あたり約29人、女性の場合は人口10万人あたり約25人となっており、女性よりも男性の発症率が高いという特徴があります。

男女ともに60歳頃から発症し、高齢になるほど発症率が高まり、70歳代の発症率が最も高いです。

膵臓がんの詳しい発症原因は未だ解明されていませんが、膵臓がんを引き起こすリスク要因として喫煙や大量の飲酒、食生活の乱れや運動不足による肥満といった生活習慣をはじめ、慢性膵炎(まんせいすいえん)や糖尿病(とうにょうびょう)、家族歴などをあげることができます。

実際に膵臓がんを発症すると、初期段階では特徴的な症状が現れません。
しかし、進行するにつれて黄疸(おうだん)、下痢、便秘、消化不良、食欲不振、腹痛、体重減少といったさまざまな症状が出ます。

ある程度の自覚症状が現れてから医療機関を受診すると、多くの場合は膵臓がんがかなり進行した段階で発見され、ほかの臓器やリンパ節へと転移しているケースも少なくありません。

医療機関ではまず、確定診断を下すために血液検査の一種である腫瘍マーカー検査を行ない、がんの発生の有無を確認します。
その後、超音波検査やCT検査、MRI検査、PET検査、MRCP検査、ERCP検査などを行ない、病変部分の位置やサイズ、浸潤度合いを確認して確定診断を下します。

膵臓がんであると確定診断が下ると、治療は基本的に外科手術を選択します。
外科手術では、腹腔鏡下手術または開腹手術により、膵臓に発生したがんを切除します。
外科手術が難しい場合には、放射線療法や抗がん剤を使った化学療法を行ないます。

膵臓がんは、臓器がんの中でも初期段階での発見が難しいうえに予後不良による死亡率が高く、術後の5年生存率は約13%です。

そのため、少しでも生存率を上げるには早期発見・早期治療が非常に重要であり、膵臓がんの発症率が高まる60歳を過ぎたら定期健診を受けることが推奨されています。

膵臓がんの原因

膵臓がんは、膵液やインスリンなどのホルモンを作り出す膵臓にがんが発生する病気ですが、詳しい発症原因は未だ解明されていません。

ただし、膵臓がんを引き起こすリスク要因としては、喫煙や肥満などの生活習慣をはじめ、慢性膵炎や家族歴、糖尿病などをあげることができます。

生活習慣

膵臓がんの発症には、生活習慣が大きく関係していると考えられています。
喫煙や大量の飲酒、食生活の乱れや運動不足による肥満などが、膵臓がんを引き起こす要因と考えられています。

とくに膵臓がんは女性よりも男性の発症率が高いため、男性で喫煙習慣のある方は喫煙習慣がない方と比べて膵臓がんの発症リスクが高まるというデータがあります。

慢性膵炎

慢性膵炎を患っている場合、膵臓に何度も炎症を引き起こすことによって膵臓がんを引き起こしやすくなります。

家族歴

膵臓がんは家族や親族内に発症者がいる場合、発症リスクが高いというデータがあります。
これは膵臓がんの詳しい発症原因が未だ解明されていないものの、遺伝子が大きく関係しているためと考えられています。

糖尿病

糖尿病を患っている方は、健康な方と比べて膵臓がんの発症率が約1.85倍も高いというデータがあります。
糖尿病には自己免疫の異常によって発症する1型糖尿病と、暴飲暴食や喫煙、肥満といった生活習慣の乱れによって発症する2型糖尿病がありますが、膵臓がんを引き起こすリスクが高いのは2型糖尿病です。

糖尿病は血液中の糖度を示す血糖値が上昇する病気ですが、血液中の血糖値が上昇しすぎないようにコントロールする役割を担っているのが膵臓が作り出すインスリンやグルカゴンなどのホルモンです。

しかし、膵臓が正常にホルモンを作り出したとしても、2型糖尿病を患っている場合は血液中の血糖値が上手くコントロールされないため、膵臓に負担がかかり膵臓がんを引き起こしやすくなると考えられています。

膵臓がんの症状

膵臓がんを発症すると、特徴的な初期症状は少ないものの、進行するにつれてはじめに黄疸の症状が現れます。
さらに進行すると腹痛や体重減少、食欲不振といったさまざまな症状が出現します。

黄疸

特徴的な初期症状が少ない膵臓がんですが、はじめに自覚できる症状が黄疸です。
黄疸とは、皮膚や目の白目部分が黄色く変色する症状のことで、膵臓がんが原因によって引き起こされる黄疸は閉塞性黄疸(へいそくせいおうだん)といいます。

黄疸の原因は、黄色の色素であるビリルビンが血液中に過剰に蓄積されることによって現れます。
ビリルビンとは、ヘモグロビンという酸素を運ぶ役割を担う赤血球の一部が分解される際に形成される物質で、形成されたビリルビンは血流によって肝臓に運ばれたあとに胆汁と結合します。

胆汁と結合したビリルビンは胆管を通って消化管へと移動し、その後、便や尿とともに体外へと排出されます。

膵臓がんを発症した場合に現れる閉塞性黄疸とは、膵臓に発生したがんが肝臓から膵臓、膵臓から十二指腸へと通っている胆管を圧迫し、圧迫された部分で胆汁の流れが滞ることによってビリルビンが正常に排出されず、その結果として黄疸の症状が出現します。

進行時の症状

膵臓がんが進行すると、膵液の分泌量が減少します。

膵液は食べ物の消化をサポートする役割があるため、膵液の分泌量が減少することによって消化不良、食欲不振、便秘、下痢、体重減少といった症状が現れます。

さらに進行すると、膵臓や肝臓に炎症を引き起こし、腹部や背中に強い痛みが現れます。

膵臓がんは胃の後ろ側と体の奥深くに位置しているため、がんが発生したとしても症状が出にくく、早期発見が難しいという特徴があります。

また、消化不良や食欲不振、便秘や下痢といった症状は体調不良のときや、ほかの病気でもよく現れる症状であるため、膵臓がんを疑うケースは少なく、腹部や背中に強い痛みが現れたときにはかなり進行している場合が多いほか、ほかの臓器へと転移している場合も少なくありません。

膵臓がんの検査・診断

膵臓がんの検査としては主に、血液検査と画像検査を行ないます。
画像検査には超音波検査をはじめ、CT検査やMRI検査、PET検査、MRCP検査、ERCP検査などがあり、こうしたさまざまな検査を行なうことでがんの有無や重症度を確認したあとに病期(ステージ)を診断します。

腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカー検査とは、血液検査の一種です。
腫瘍マーカーとは、がんが進行するに伴い血液中に増加する物質のことで、採血した血液中に含まれる腫瘍マーカーの数値を測定することで膵臓がんの発症の有無を確認することができます。

膵臓がんの腫瘍マーカー検査では血液中に含まれるCEA、CA125、CA19-9という腫瘍マーカーの数値を測定しますが、がんを発症していないにも関わらず高い数値が測定される場合や、逆にがんを発症しているにも関わらず数値が低い場合もあるため、腫瘍マーカー検査だけで確定診断を下すことはなく、画像検査も行なって総合的に確定診断を下します。

超音波検査

超音波検査とは、超音波を発する特殊な機械を体にあて、跳ね返ってくる波を画像化することで体内の様子を観察することができる画像検査の一種であり、エコー検査ともよばれています。

膵臓がんの検査における画像検査は、発症の有無を確認するために行ない、がんの発生場所やサイズ、転移の有無などを確認することができます。

ただし、超音波検査は検査を行なう際には排尿制限や食事制限が必要となる場合があるため、実際に検査を受けるにあたっては事前に確認しておきましょう。

CT検査

CT検査とは、放射線の一種であるX線を体に照射して体内を輪切り状に撮影することで臓器の様子を詳しく観察することができる画像検査の一種です。

膵臓がんの検査におけるCT検査では、発症の有無、がんの発生場所やサイズ、転移の有無を確認することができます。

検査時間は20分ほどで終了しますが、放射線被ばくを伴ううえに検査の際にヨード系の造影剤を使用する場合があるため、ヨードアレルギーを持っている方は事前に確認しておきましょう。

また、食事制限が必要な場合もあるので、こちらも事前に確認しておきましょう。

MRI検査

MRI検査とは、磁力や電磁波を使って体内を輪切りに状に撮影し、臓器の様子を詳しく観察することができる画像検査の一種です。
膵臓がんの検査におけるMRI検査は、CT検査と同じく発症の有無がんの発生場所やサイズ、転移の有無を確認することができます。
検査時間は約20~40分ほどで終了しますが、CT検査のような放射線被ばくのリスクはありません。
ただし、体内にペースメーカーなどの金属を埋め込んでいる方や、閉所恐怖症(へいしょきょうふしょう)の方などは検査を受けることができない場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

PET検査

PET検査とは、ポジトロン断層撮影ともよばれる画像検査の一種で、がんの発生場所や重症度を確認するために行ないます。
検査の際は、FDGというブドウ糖に似た物質を事前に投与します。

これはがん細胞がブドウ糖を多く取り込む性質を利用したもので、検査前に投与したFDGが多く集まる部分をPETカメラで撮影することによって、がんの発生場所やがんのひろがり具合を示す浸潤度合いを確認することができます。

MRCP検査

MRCP検査とは、胆管、胆嚢(たんのう)、膵管をMRIによって同時に映し出す画像検査の一種です。

膵臓がんの検査におけるMRCP検査は、胆嚢に胆石(たんせき)が詰まっていないかなど、ほかの疾患と区別するために行ないます。
検査時間は約30分ほどですが、検査前には絶飲食が必要です。

ERCP検査

ERCP検査とは、内視鏡(ないしきょう)を口から挿入したあとに造影剤(ぞうえいざい)を直接注入し、膵管や胆管をX線撮影する画像検査の一種で、内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査ともよばれています。

膵臓がんの検査におけるERCP検査は、膵管や胆管の様子を確認することにより、ほかの疾患と区別するために行ないますが、検査の際に確認できた病変部分の組織、膵液や胆液を採取し、別の検査を行なうこともあります。

ERCP検査は、外来通院や入院の必要があるほか、検査後は約2時間ほど安静にする必要があり、炎症予防のために点滴を行なう場合もあります。

膵臓がんは、上記のようなさまざまな検査によって総合的に確定診断を下しますが、確定診断が下るとがんの進行度合いを示す病気(ステージ)を0~Ⅳ期の5段階に分類します。

進行度合いを示す病気(ステージ)

0期

膵臓に発生したがん細胞が膵管の上皮内にとどまっている場合。

Ⅰ期

がんのサイズが2cm以下で膵臓内にとどまっており、リンパ節への転移がない場合。

Ⅱ期

がんのサイズが2cm以下で膵臓内にとどまっているものの、膵臓の周囲のリンパ節へ転移している場合。
あるいはがんのサイズが2cm以上で膵臓内に留まっており、リンパ節への転移がない場合。

Ⅲ期

がんが膵臓内にとどまっているものの、膵臓から遠いリンパ節へと転移している場合。
あるいはがんが膵臓の外へと浸潤しているものの、リンパ節の転移は膵臓に近い場所のみである場合。

Ⅳ期

膵臓がんの病気(ステージ)Ⅳ期は、Ⅳa期とⅣb期の2つに細かく分類されています。
Ⅳa期は、がんが膵臓のまわりの臓器や主要血管を巻き込んでいる場合。

Ⅳb期は、がんが膵臓から最も遠いリンパ節や臓器へと転移を起こしている場合。

膵臓がんの治療

膵臓がんの治療は、はじめに外科手術を選択します。
外科手術には腹腔鏡下(ふくくうきょうか)手術や開腹手術などがあり、膵臓の一部あるいはすべてを摘出します。
外科手術が難しい場合には、放射線療法や抗がん剤などの薬物を使った化学療法を行ないます。

腹腔鏡下手術

腹腔鏡下手術とは、内視鏡を使った外科手術の一種で、5~12mmほどの穴を腹部に開け、その穴から内視鏡とよばれる専用のカメラや器具を挿入後、モニター画面で体内の状況を確認しながらがんが発生している病変部分を切除します。

主に病期(ステージ)が0~Ⅳa期の方に対して行ないますが、高齢者など体力が低下している方に対しては行ないません。
膵臓がんの腹腔鏡下手術には膵頭十二指腸切除術、膵体尾部切除術、膵臓全摘出術の3つの術式があります。

膵頭十二指腸切除術は、膵臓の十二指腸に近い膵頭部分に発生した病変部分を切除する術式ですが、膵頭部分は血管や胆管、消化管が複雑に絡み合っているため、非常に難しい術式でもあります。

膵体尾部切除術は、膵臓の真ん中1/3にあたる膵体部、あるいは膵臓の左側1/3にあたる膵尾部に発生した病変部分を切除する術式ですが、膵尾部を切除する場合は膵尾部に近い場所に位置する脾臓も摘出します。

膵臓全摘出術は、膵臓全体にがんが浸潤している場合に膵臓のすべてを摘出する術式で、膵臓だけでなく十二指腸や脾臓、胆嚢、胆管も一緒に摘出し、術後はインスリンをまったく生成できなくなるため体への負担が大きい術式でもあります。

腹腔鏡下手術は、術式によって手術時間が異なりますが3~8時間ほどを要し、術後は3週間ほどの入院が必要です。
また、開腹手術と異なり傷が小さいため、患者の体への負担が小さいというメリットがあります。

しかし、実際の手術は肉眼ではなくモニター画面を通して行なうため、見えない部分でほかの臓器を損傷させてしまうことや出血を引き起こすリスクがあります。

さらに副作用として、食欲不振や胃もたれなどの消化器障害をはじめ、下痢、軟便、胆汁漏(たんじゅうろう)による腹痛や発熱、インスリンの分泌量低下による糖尿病、糖尿病による多尿やのどの渇き、血小板増加、白血球減少といった症状を引き起こす場合があります。

開腹手術

開腹手術とは、開腹したあとに肉眼で術野を確認しながら膵臓に発生した病変部分を切除する外科手術の一種です。
主に病期(ステージ)が0~Ⅳa期の方に対して行ないますが、高齢者など体力が低下している方に対しては行ないません。

開腹手術には腹腔鏡下手術と同じく膵頭十二指腸切除術、膵体尾部切除術、膵臓全摘出術の3つの術式がありますが、開腹手術には手術中に発生した出血に対して素早く対処できるというメリットがあります。

しかし手術痕が大きいため、体への負担が大きいうえに術後は3週間ほどの入院が必要です。

また、副作用として食欲不振や胃もたれなどの消化器障害をはじめ、下痢、軟便、胆汁漏による腹痛や発熱、インスリンの分泌量低下による糖尿病、糖尿病による多尿やのどの渇き、血小板増加、白血球減少といった症状を引き起こす場合があります。

放射線療法

放射線療法とは、がんによる痛みを緩和させることを目的とした治療法で、がんが発生している病変部分に放射線を照射します。

主に外科手術による根治が難しい方や外科手術後に再発した方に対して行なう治療法で、膵臓以外の臓器へがんが転移している方に対しては行ないません。

放射線療法は、痛みを緩和させるための治療法としては高い効果が期待でき、化学療法も併用する放射線化学療法を行なう場合もあります。

ただし、放射線を照射する副作用として胃や十二指腸に炎症を引き起こし吐き気や胃の痛み、不快感といった症状や、造血機能低下を引き起こし血小板の減少による出血といった症状が現れる場合があります。

ゲムシタビン塩酸塩

ゲムシタビン塩酸塩とは、膵臓がんの化学療法に使用される抗がん剤の一種です。
主に病期(ステージ)が0~Ⅲ期の方、Ⅳ期で外科手術による切除ができない方に対する化学療法で使用しますが、妊娠の可能性がある方や妊娠している方、間質性肺炎(かんしつせいはいえん)を患っている方、骨髄抑制(こつずいよくせい)の症状が現れている方、胸部への放射線療法を行なっている方に対しては使用できません。

ゲムシタビン塩酸塩はがん細胞の増殖を阻害して死滅させる作用があり、実際に膵臓がんの化学療法で使用する場合は週1回の投与を3週間続け、その後1週間投与を休止するまでを1コースとします。

ただし副作用として、下痢、便秘、口内炎、蕁麻疹(じんましん)、発疹(ほっしん)、頭痛やめまい、息切れ、動悸(どうき)、立ちくらみ、顔面蒼白(がんめんそうはく)などの貧血(ひんけつ)症状、間質性肺炎による発熱や咳(せき)、痰(たん)、息切れ、息苦しさ、白血球減少や免疫力低下による感染症、血小板減少による鼻血や歯肉出血、皮下出血といった症状を引き起こす場合があります。

S-1単独療法

S-1単独療法とは、胃がんなどのさまざまながんの治療に使用される抗がん剤の一種であるテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム、通称S-1を使用する化学療法です。

主に病期(ステージ)が0~Ⅲ期で外科手術を受けた方や、Ⅳ期で外科手術による切除ができない方に対して行なう治療法ですが、妊娠している可能性がある方や妊娠している方、重度の肝疾患や腎疾患を患っている方、骨髄抑制の症状が現れている方、抗真菌剤フルシトシンやフッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤などの薬物を使用している方に対しては行なうことができません。

S-1は、がんの細胞分裂を阻害する作用に優れた薬物で、実際にS-1単独療法を行なう際は、4週間投与したあとに2週間休止するまでを1コースとします。

ただし副作用として吐き気、嘔吐(おうと)、悪心(おしん)、食欲不振、下痢、口内炎、蕁麻疹、発疹、味覚障害、涙が止まらなくなる流涙(りゅうるい)、色素沈着による日焼け、白血球減少による免疫力低下、血小板減少による鼻血や歯肉出血、皮下出血、急性腎不全(きゅうせいじんふぜん)による血圧上昇やむくみ、尿量の低下、尿が出にくいといった症状を引き起こす場合があります。

ゲムシタビン・エルロチニブ併用療法

ゲムシタビン・エルロチニブ併用療法とは、抗がん剤の一種であるゲムシタビンとエルロチニブの2種類の薬物を併用する化学療法の一種です。

主に外科手術は行なえないものの食欲や体力がある方に対して行なう治療法で、妊娠している可能性がある方や妊娠している方、間質性肺炎を患っている方、骨髄抑制の症状が現れている方、胸部への放射線療法を受けている方に対しては行ないません。

ゲムシタビンとエルロチニブは、がん細胞の増殖や成長を阻害して死滅させる作用があり、実際にゲムシタビン・エルロチニブ併用療法を行なう際は、週1回ゲムシタビンの投与を3週間続け、同時にエルロチニブの投与を4週間続けることを1コースとします。

ただし副作用として下痢、便秘、肩こり、疲労感、肌荒れ、口内炎、食欲不振、蕁麻疹、発疹、骨髄抑制や白血球減少による免疫力低下、血小板減少による鼻血、歯肉出血、皮下出血、貧血による頭痛、耳鳴り、めまい、立ちくらみ、息切れ、動悸、顔面蒼白、間質性肺炎による発熱、咳、痰、息苦しさといった症状を引き起こす場合があります。

FOLFIRINOX療法

FOLFIRINOX療法とは、抗がん剤の一種であるフルオロウラシル、レボホリナートカルシウム、オキサリプラチン、イリノテカン塩酸塩水和物の4つの薬物を使用する化学療法の一種です。

主に外科手術は行なえないものの、食欲や体力がある方に対して行なう治療法で、妊娠している可能性がある方や妊娠している方、骨髄抑制の症状が現れている方、心疾患を患っている方、感染症を引き起こしている方、胸水(きょうすい)や腹水(ふくすい)のある方に対しては行ないません。

FOLFIRINOX療法は、日本では2013年に承認された比較的新しい治療法で、ゲムシタビン塩酸塩を使った単独療法よりも高い効果を発揮します。

実際にFOLFIRINOX療法を行なう際は、初週に4つの薬物を投与し、続けてフルオロウラシルだけを46時間投与し続け、その後1週間薬物の投与を休止するまでを1コースとします。

ただし副作用として下痢、便秘、肌荒れ、疲労感、肩こり、蕁麻疹、発疹、口内炎、白血球減少による免疫力低下、血小板減少による鼻血や歯肉出血、皮下出血、消化器障害による食欲不振や吐き気、貧血による頭痛、耳鳴り、めまい、立ちくらみ、息切れ、動悸、顔面蒼白、末梢神経障害(まっしょうしんけいしょうがい)による手足のしびれや脱力感、間質性肺炎による発熱、咳、痰、息苦しさ、さらに手足にしびれやかゆみ、発疹や水ぶくれなどの症状が現れる手足症候群(てあししょうこうぐん)などを引き起こす場合があります。、

膵臓がんは特徴的な初期症状が現れにくいため、発見されたときにはかなり進行している場合が多く、胃がんや肺がんなど臓器がんの中でもとくに生存率が低いがんです。

また、膵臓がんは再発率が約90%と非常に高く、初期段階で発見し外科手術を受けたとしても、約50%の方が1年以内に死亡します。外科手術や放射線療法、化学療法など適切な治療を受けた場合の5年生存率は約13%で、外科手術を受けた方の平均余命は約14ヶ月というデータがあります。

つまり、膵臓がんは症状が出現していない初期段階で発見することが最も重要であり、そのためには発症率が高まる60歳を過ぎたら定期検査を受けることが非常に重要です。

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