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食道がんを詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

公開日: : 最終更新日:2017/12/11 胃・食道の病気

食道がん(しょくどうがん)とは、消化器官の一種である食道に形成される悪性腫瘍のことをいいます。

そもそも食道は喉の奥、喉仏の下から鳩尾(みぞおち)あたりにある胃の入り口まで、長さ25~30cmほど、内腔2~3cm、厚さ4mmほどの消化器官で、上部から順に頸部・胸部・腹部の3つの部位で構成されています。

頸部の前方には気管、後方には頚椎、胸部の左右には肺、下方に心臓や大動脈、腹部には胃や肝臓など、食道のまわりには重要な臓器があります。
食道そのものは消化器官の一つですが、胃のように食べ物を消化する役割はなく、食べ物を口から胃へと運ぶと共に、食べ物が逆流しないための弁の役割を担っています。

この食べ物の通り道である食道に何らかの原因で悪性の腫瘍ができると「食道がん」となりますが、食道がんは主に「扁平上皮(へんぺいじょうひ)がん」と「腺(せん)がん」の2種類に大きく分類されています。

扁平上皮がん

扁平上皮がんとは、食道内の粘膜の表面に発生するがんで、日本人の食道がん患者の多くが扁平上皮がんです。
食道内の粘膜は飲み物や食べ物によって常に刺激されています。

体が健康な状態であれば免疫機能が正常に働き、刺激を受けたとしても粘膜細胞に異常は現れません。
しかし、免疫機能が低下すると粘膜細胞に異常が現れ、やがてがん細胞へと変化し、扁平上皮がんを発症します。

扁平上皮がんは食道内の粘膜のあらゆる部位に発症しやすいという特徴がありますが、「腺がん」と比べると悪性度が低く、抗がん剤や放射線を使った治療が有効とされています。

腺がん

腺がんとは「食道腺」という腺組織に発生し、欧米人の食道がん患者に多い種類です。
腺がんは食道のなかでも胃に近い部分に発症しやすく、慢性胃炎から腺がんに発展しやすいとされています。

日本人における食道がん患者数は、ほかのがんの患者数と比べると少ないですが、患者数は年々増加しており、毎年10,000人以上が亡くなっています。
食道がんは40代以降に発症しやすく、60代の発症率が最も高くなっています。

また、女性よりも男性の発症率が高いという特徴があり、2004年の食道がん患者数を男女比で比べると男性の患者数は女性の6倍というデータがあります。

男性が女性よりも食道がんの発症率が高いのは、タバコを吸っていることとお酒を飲むことが大きく関係していると考えられています。
タバコを吸っていることでニコチンが唾液に含まれ、その唾液を飲み込むことにより食道に直接触れて刺激を与えてしまいます。

また、アルコールも食道を直接刺激することで悪影響を与えます。
さらに男性の場合は、女性と比べて野菜や果物の摂取量が少ないことも、食道がんの発症率に大きく関係していると考えられています。

野菜や果物にはがん予防効果が認められていますが、摂取量が少ないうえに食生活が偏ったままだとさらに食道がんの発症率を高めることになります。

そのため、普段からタバコを吸っていたりアルコールの摂取を繰り返したりしている方は、早期発見できるように、1年に1回ほど人間ドックなどで定期検査を受けるようにしましょう。

食道がんの原因

食道がんの原因は生活習慣と大きく関係しており、タバコを吸うことやアルコールの摂取などが原因に挙げられます。
また、慢性的な食道炎(しょくどうえん)も原因となるケースがあります。

タバコ・喫煙

食道がんの種類のうち「扁平上皮がん」は食道内の粘膜に発生するがんであり、タバコの喫煙が発症に大きく関係しているとされています。
タバコにはニコチンをはじめ、多くの刺激物質や発がん物質が含まれています。

タバコが原因となるがんといえば「肺がん」がイメージされがちですが、喫煙時にタバコの成分が唾液に混じり、その唾液が食道を通ることで細胞を刺激して異常を招きやすくなり、食道がんの発症率を高めることが解明されています。

実際にタバコの喫煙者は、タバコを吸わない方よりも食道がんの発症率が3~6倍というデータもあります。
また、現在は禁煙していても、過去に喫煙歴のある方も食道がんの発症率が約3.3倍というデータがあります。

飲酒・アルコール

タバコ・喫煙と並んで食道がんの大きな発症原因とされるのが飲酒です。

飲酒が食道がんの原因となる理由は、アルコールが食道を通るたびに細胞を刺激して細胞異常を招きやすくなるということと、アルコールの代謝物質「アセトアルデヒド」に発がん作用があるためで、アセトアルデヒドを体内で上手く分解できない体質の方は食道がんの発症リスクが高いということが解明されています。

そのため、飲酒後すぐに顔が赤くなるというようなアルコールを体内で上手く分解できない体質の方や、飲酒の機会が多いという方は飲酒しない人に比べて食道がんの発症率が3倍も高いというデータがあります。

逆流性食道炎(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)

食道がんの種類のうち、欧米人の発症率が高い「腺がん」の原因に食道炎が挙げられます。
食道炎のなかでも、食道に胃酸が逆流する「逆流性食道炎」を長期間にわたって患っている方は食道がんの発症率が高まるとされています。

これは胃酸が繰り返し逆流することで、食道内の粘膜が酸性に保たれている胃粘膜に似た状態の「バレット食道」に変化するためです。
「バレット食道」を放置すると「腺がん」の発症率が高いことが解明されてます。

欧米人が「バレット食道」や「腺がん」を発症しやすいのは人種的なものもありますが、胃酸の分泌を促す脂っこい食生活が原因とも考えられています。

その他の原因

刺激物や熱い飲み物・食べ物も食道がんの原因になります。
これは食道内の粘膜に刺激を与え、細胞の異常が起こりやすいからと考えられています。

実際に世界の食道がん患者のデータを見ると、香辛料をきかせた料理や熱い飲み物を好む国に食道がん患者が多いです。

食道がんの症状

食道がんは初期症状が少ないがんです。
日本人に多い食道がんの「扁平上皮がん」は食道内の粘膜から発生するため、初期の頃は「喉がしみる」といった症状が出ますが、この症状から食道がんであると気付ける方は少ないです。

病期が進行するにつれて「食べ物が飲み込みづらい」「胸の奥がチクッとする」といった症状が出現しはじめ、末期になると「血痰(けったん)」や「体重減少」といった症状が出現します。

食道がんの主な症状

喉がしみる

食道がんの代表的な初期症状として、熱いものや酸っぱいもの、辛いものを食べたときに「喉がしみる」と感じることがあります。

食道内の粘膜に発生する「扁平上皮がん」は、がん細胞によって粘膜が荒れるため、刺激の強い飲み物や食べ物を飲み込むことで「しみる」と感じます。

ただし、風邪を引いた際にも「喉がしみる」と感じるため、この段階で食道がんを疑う方は少ないです。

しかし、この段階で内視鏡検査を行なえば早期発見に繋がるため、頭痛や発熱などほかの風邪の症状がないにもかかわらず「喉がしみる」と感じた際には、食道がんを疑って医療機関で検査を受けることをおススメします。

食べ物が飲み込みづらい

食道がんが食道内の粘膜の外へと進行した場合、腫瘍によって食道が狭まり、食べ物が通りにくくなって「飲み込みづらい」と感じるようになります。

しかし、食道がんを発症する年代は50~60代に多いこともあり、「食べ物が飲み込みづらい」と感じる多くの方が「年齢のせいでは?」と感じて医療機関で検査を受けない場合が多いです。

この状態を放置すると徐々に症状は悪化し、水分や唾液を飲むだけで胸が詰まったように感じます。
食道がんであれば、食べ物の飲み込みづらさは食事のたびに感じるため、こうした症状がある場合はできるだけ早く医療機関での検査をおススメします。

胸の痛み・背中の痛み

食道がんが食道の外にまで広がると、食道のまわりの大動脈や肺、背骨を圧迫して「胸の痛み」や「背中の痛み」を感じるようになります。
また、がん細胞が肺に達すると息苦しさや激しい咳などの症状も出現します。

これらの症状が出た時点で末期に近く、リンパ節へ転移している可能性が高いです。
この段階になると治療後の5年生存率は30%未満となります。

声が枯れる

食道がんが食道の外にまで広がると、声帯系の神経を圧迫して「声が枯れる」といった症状が出現するケースがあります。

「声が枯れる」といった症状は風邪を引いた際にも現れますが、食道がんが原因の場合にはまったく改善しないため、1週間以上、声が枯れたままの場合は早めに医療機関で検査を受けることをおススメします。

血痰

食道がんの初期を見逃し病期が進行すると、がん細胞が器官や肺に入って出血を引き起こし、「血痰」が現れる場合があります。
また「逆流性食道炎」を患っている場合にも「血痰」が症状として現れる場合があります。

「逆流性食道炎」が慢性化すると食道がんの発症リスクを高めることが解明されているので、「血痰」が現れたらできるだけ早く医療機関で検査を受けることをおススメします。

体重減少

食道がんが進行するにつれて食べ物が飲み込みづらくなり、食事量が減少して体重も減少する場合があります。
生活習慣に変化はないにもかかわらず、3ヶ月ほどで体重が5~6kgほど減少した場合は食道がんの疑いがあります。

しかし、体重が減少しはじめることには食道がんがかなり進行した状態であるので、体重が減少しはじめる前の喉の異変などを見逃さず、また1年に1回は定期検査を受けるようにして早期発見に努めるようにしましょう。

食道がんの検査

食道がんの検査では、主にX線検査や内視鏡検査を行ないます。
また、食道がんであると診断された場合には、がんの広がり具合や転移の有無を確認するため、CT検査やMRI検査、超音波検査などを行ないます。

こうしたさまざまな検査を行なったあと、適切な治療方法を決定するために病期(ステージ)を確定します。

バリウムX線検査

バリウムX線検査は、食道がん検査のなかでもポピュラーな検査方法で、バリウムを飲んだあとにX線撮影を行ない、バリウムの流れかたを観察して食道全体の様子を確認します。

基本的な検査であるため、多くの食道がん検査に用いられますが、バリウムX線検査によってすべての食道がんを発見できるわけではないため、確実性を高めるためには内視鏡検査も同時に行なうことをおススメします。

実際にバリウムX線検査を行なう場合には2日前から飲酒を控え、前日夜10時以降の飲食は禁止となります。
検査時にはバリウムを飲む前に発泡剤を飲み、バリウムを飲んだらすぐにX線撮影を行なうため、検査自体は10~15分ほどで終了します。

内視鏡検査

内視鏡検査は食道がん検査において、X線検査と同様にポピュラーな検査方法です。
内視鏡検査では、小型カメラ付の内視鏡を使って食道内部を観察します。

食道内の粘膜を直接観察できるため、初期段階の小さながんを発見しやすいのが特徴です。
粘膜の状態が確認しにくい際は、ヨウ素液を使った「ヨード染色法」を試します。

ヨウ素液は食道内の正常な細胞組織を黒く染める一方、がん細胞にはまったく反応しないという特性があり、この特性を利用してがん細胞の有無を確認することができます。

また、内視鏡検査時に異常が発見された際にはその場で病変部を切り取り、細胞組織を顕微鏡で観察する「生検」も行なうことができます。

実際に内視鏡検査を行なう場合に、前日の夜10時までに夕食を済ませ、そのあとは飲み物しか口にできません。
検査当日は直前に喉に麻酔を行なってから検査を済ませますが、検査自体は10~15分ほどで終了します。

腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカー検査は血液検査の一種で、がんを発症すると血液中に増加する特定の物質を調べることで食道がんであるかどうかを確認します。

ただし、腫瘍マーカー検査では食道がんのほかに、アトピー性皮膚炎や気管支炎でも陽性となる場合があるため、腫瘍マーカー検査だけで食道がんであると断定することは難しいとされています。

CT検査

CT検査は食道がんであると診断された場合に、がんの広がり具合や転移の有無を確認するために行ないます。

食道がんは、食道のまわりに肺や気管、リンパ節などの組織が多く転移しやすいという特徴があります。
そのため、食道がんであると診断された場合には治療方針を決めるためにもCT検査は重要となります。

また、がんの広がり具合や転移の有無を調べるためではなく、食道がんであるかどうかを発見するために行なう「PET-CT検査」もあります。
PET-CT検査は検査費用が高いというデメリットがありますが、一度に全身を調べることができます。

MRI検査

MRI検査はCT検査と合わせて行なう場合が多いです。
MRI検査ではCT検査よりも鮮明に画像を映し出すことができるため、より詳しくがんの広がり具合を確認できます。

CT検査がX線を使用するのに対し、MRI検査は磁気を利用して行なうため、被爆しないというメリットがありますが、CT検査の検査時間が数十秒で終了するのに対し、MRI検査では検査時間が20分ほど、長い場合は1時間ほどかかるというデメリットがあります。

頚部超音波検査

頸部超音波検査とは、食道がんが頸部のリンパ節に転移していないか確認するために行なう検査です。
検査自体は事前準備を必要とせず、診察室で受けられるうえに検査時間も10~15分ほどと短い時間で終了します。

さまざまな検査によって食道がんと診断された場合、病巣の広がり具合や転移の有無によって病期(ステージ)診断を行ないます。
病期(ステージ)は適切な治療方法を決定するうえで欠かせない指針となる重要な診断項目です。

食道がんの病期(ステージ)診断は「原発巣がどの深さまで達しているか」「リンパ節転移があるかどうか」「遠隔転移があるかどうか」により、I期~Ⅳb期までの5段階に分類されます。

リンパ節は、第1群(原発巣に一番近いリンパ節)、第2群(第1群より範囲が大きいリンパ節)、第3群(原発巣から離れているリンパ節)、第4群(第3群よりさらに離れているリンパ節)と分類されます。

食道がんの病期(ステージ)

I期

がんが粘膜内にとどまり、リンパ節転移や遠隔転移が起こっていない場合。
がんが粘膜下層にとどまり、リンパ節転移や遠隔転移が起こっていない場合。

Ⅱ期

がんは粘膜内にとどまっているが、第2群リンパ節に転移を起こしている、しかし遠隔転移は招いていない場合。
がんは粘膜下層にとどまっているが、第1群リンパ節転移を起こしている、しかし遠隔転移は招いていない場合。
がんが粘膜下層にとどまっているが、第2群リンパ節に転移を起こしている、しかし遠隔転移は招いていない場合。
がんが固有筋層にとどまり、リンパ節転移・遠隔転移が起こっていない場合。
がんが固有筋層にとどまっているが、第1群リンパ節に転移を起こしている、しかし遠隔転移は招いていない場合。

Ⅲ期

がんが粘膜内にとどまっているが、第3群リンパ節に転移を起こしている、しかし遠隔転移は招いていない場合。
がんが粘膜下層にとどまっているが、第3群リンパ節に転移を起こしている、しかし遠隔転移は招いていない場合。
がんが固有筋層にとどまっているが、第2群リンパ節に転移を起こしている、しかし遠隔転移は招いていない場合。
がんが固有筋層にとどまっているが、第3群リンパ節に転移を起こしている、しかし遠隔転移は招いていない場合。
がんが外膜にまで到達し、第1群リンパ節に転移を起こしている、しかし遠隔転移は招いていない場合。
がんが外膜にまで到達し、第2群リンパ節に転移を起こしている、しかし遠隔転移は招いていない場合。
がんが外膜にまで到達し、第3群リンパ節に転移を起こしている、しかし遠隔転移は招いていない場合。
がんが周辺組織にまで広がっているが、リンパ節転移・遠隔転移が起こっていない場合。

Ⅳa期

がんが粘膜内にとどまり、第4群リンパ節に転移を起こしている、しかし遠隔転移は招いていない場合。
がんが粘膜下層にとどまり、第4群リンパ節に転移を起こしている、しかし遠隔転移は招いていない場合。
がんが固有筋層にとどまっているが、第4群リンパ節に転移を起こしている、しかし遠隔転移は招いていない場合。
がんが外膜にまで到達し、第4群リンパ節に転移を起こしている、しかし遠隔転移は招いていない場合。
がんが周辺組織にまで広がり、第1群リンパ節に転移を起こしている、しかし遠隔転移は招いていない場合。
がんが周辺組織にまで広がり、第2群リンパ節に転移を起こしている、しかし遠隔転移は招いていない場合。
がんが周辺組織にまで広がり、第3群リンパ節に転移を起こしている、しかし遠隔転移は招いていない場合。
がんが周辺組織にまで広がり、第4群リンパ節に転移を起こしている、しかし遠隔転移は招いていない場合。

Ⅳb期

遠隔転移が起こっている場合。

食道がんの病期(ステージ)では、I期までが早期がんとなります。
早期の食道がんであれば治療後の5年生存率は80%と高い数字となっており、早期発見・早期治療のために1年に1度は定期検査を受けるようにしましょう。

食道がんの治療

食道がんの治療方法は病期(ステージ)によって異なりますが、早期であれば主に内視鏡療法を行ない、内視鏡療法が選択できない場合には外科手術や化学療法、放射線療法などを行ないます。

内視鏡療法

内視鏡療法は食道がんの治療方法として最もポピュラーで根治を見込める治療方法です。
ただし、がん細胞が食道の粘膜内にとどまっている早期がんでのみ選択される治療方法です。

内視鏡療法には主に「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」「光線力学療法(PDT)」の3種類があります。

「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」とは、内視鏡を使って食道の粘膜に発生した腫瘍の下に生理食塩水を注入し、腫瘍を盛り上がらせたあと、金属性の輪をかけて電流を流し腫瘍を切除する方法で、腫瘍サイズが小さい場合に行ないます。

「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」とは、食道内の粘膜に発生した腫瘍を内視鏡の先端に付いた高周波メスによって切開・切除する方法で、腫瘍サイズが大きい場合でも行なうことができます。

「光線力学療法(PDT)」とは、専用の薬剤を静脈注射して薬剤をがん細胞に集めたあと、内視鏡を使ってレーザー照射を行ない、レーザー照射によって活性化された薬剤によってがん細胞を破壊する治療方法です。

外科手術

食道がんが早期でない場合には外科手術が選択されますが、がんの発症部位によって方法が異なります。

食道上部の「頸部」にがんが発生している場合、腫瘍サイズが小さければ頸部とまわりのリンパ節を切除したあと、小腸の一部で切除した食道部分を再建します。
しかし、がんが頸部の広範囲に広がっている場合には「咽頭」や「咽喉」も切除します。

「咽頭」を切除した場合には自然呼吸が難しくなることから、呼吸を補助するために「永久気管孔」を喉に開ける必要があります。
食道中央部の「胸部」にがんが発症している場合には胸を切り開き、食道の胸部を全摘出すると共に、まわりのリンパ節も切除したあと、残った食道と胃を繋ぎ合わせます。

胃に近い食道の「腹部」にがんが発生している場合、腹部と胃の入り口を切除したあと、まわりのリンパ節を郭清し、さらに残った食道と胃を繋ぎ合わせるバイパス手術を行ないます。

化学療法

食道がんが遠隔転移している場合に選択されるのが、抗がん剤を使った化学療法です。
また、外科手術前に腫瘍を小さくするためや、手術後の再発を予防するために行なう場合もあります。

食道がん治療における化学療法のメリットは、点滴で抗がん剤を使用するため全身の治療を行なえるという点が挙げられます。
しかし、デメリットとして抜け毛や白血球の減少といった副作用のリスクが挙げられます。

放射線療法

食道がんの種類のうち、日本人に多い「扁平上皮がん」には放射線治療が効果的です。
放射線治療法は、体外から病巣に向けてX線やγ腺を照射することによってがん細胞にダメージを与え、がん細胞の増殖を抑制する効果が期待できます。

放射線治療法は病巣が局部的に発生し、サイズが小さい場合に有効で、外科手術のような体への負担や化学療法のような副作用のリスクがないというメリットがあります。

化学放射線療法

化学放射線療法とは、化学療法と放射線療法を組み合わせた治療方法です。
早期がんであれば外科手術と同等の効果が期待できるとされています。

食道がんの予防法

食道がんを発症した場合、早期のI期で発見・治療できれば治療後の5年生存率は80%ですが、Ⅱ期になると50~60%と大きく下がり、Ⅲ期は10~30%、Ⅳ期ではたったの5~10%となっています。

また、食道は気管や肺、心臓など重要な器官に囲まれているため、食道がんの手術は大掛かりになる場合が多いです。
そのため、食道がんを早期の段階で発見すると共に、食道がんの発症リスクを下げるための予防が重要とされています。

食道がんを予防するうえで重要なのが「タバコを吸っていること」と「お酒を飲んでいること」です。
この2つは食道がんを発症する原因となることから、禁煙と節酒することで食道がんの予防に繋げることができます。

タバコを吸っているということは、食道がんだけでなく肺がんや胃がんなど、さまざまな病気を引き起こす原因となることから、食道がんの予防のためだけでなく、健康のために禁煙することをおススメします。

喫煙習慣のある方のうち、喫煙指数(1日あたりの喫煙本数×喫煙年数)が400を超える方は、がんの発症リスクが高いとされているため、できるだけ早く禁煙に取り組むようにしましょう。

飲酒は適量であればリラックス効果が期待できますが、適量以上を日常的に飲酒している方は食道がんの発症リスクが高いとされています。

また、お酒に弱い方も食道がんになりやすいため、アルコールの量を控える、1週間のうち2~3日はお酒を飲まないようにするといった習慣を心がけるようにしましょう。
飲酒を控えるということは、肝臓の病気やアルコール依存症といった別の問題を防ぐうえでも重要なことです。

さらに食道がんの予防として、定期検査も大事な要素です。
食道がんは40代以上の男性が発症しやすく、60代男性の発症率が最も高いというデータがあります。
そのため、40代以上の男性、とくに50代以上の男性は1年に1回のペースで定期検査を受けるようにしましょう。

食道がんは早期で発見できれば生存率も高いため、日頃の生活習慣を見直して定期検査を行なうことで、食道がんの予防と早期発見・早期治療に繋げることができます。

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