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バレット食道を詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

公開日: : 最終更新日:2017/07/22 胃・食道の病気

バレット食道とは

バレット食道(ばれっとしょくどう)とは、食べ物をのどから胃へと送り込む役割を担っている食道を覆っている粘膜が、胃を覆っている粘膜に置き換わっている状態のことです。

食道を覆っている粘膜は扁平上皮(へんぺいじょうひ)、胃を覆っている粘膜は円柱上皮(えんちゅうじょうひ)といい、円柱上皮に変化した扁平上皮のことをバレット粘膜といいます。

そしてバレット粘膜の大体8割には、胃の粘膜が腸の粘膜に置き換わる腸上皮化生(ちょうじょうひかせい)が発生しています。
腸上皮化生が発生していると、癌(がん)が引き起こされてしまうリスクが上昇することが知られています。

バレット食道の場合の、食道癌(しょくどうがん)を引き起こすリスクは年間で0.3%ほどです。
また、バレット食道は、ショートバレット食道(SSBE)とロングバレット食道(LSBE)に大別されます。

食道側へのバレット粘膜の広がり具合によってどちらにあてはまるのかが決まり、3cmに満たない状態ではショートバレット食道、3cm以上の状態ではロングバレット食道といいます。

癌を引き起こしてしまうリスクは、ショートバレット食道と比較してロングバレット食道のほうが高いという報告があります。
日本国内ではほぼ総数がショートバレット食道であり、ロングバレット食道まで進行することは少ないです。

年齢では大人に多く、性別では男性に多いのが、バレット食道の特徴の一つです。
なお、バレット食道のバレットというのは、最初に報告を行なったイギリスの外科医の名前である、Norman Barrettからきています。

バレット食道の原因

逆流性食道炎(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)

逆流性食道炎は胃食道逆流症(いしょくどうぎゃくりゅうしょう)に含まれている病気で、胃液や胃内容物が食道へと逆流し、そこにとどまることで生じる炎症性疾患です。
バレット食道は、胃液の逆流による炎症を繰り返し、改善する過程で粘膜が置き換わっていくのではないかという見方がされています。

逆流性食道炎はどうして起こる?

胃液には摂取したものを消化するため、酸性度の高い胃酸や消化酵素が含まれています。
非常に刺激が強いのですが、胃は粘膜によって守られており、胃液によるダメージを受けません。

一方、食道は胃液に対して弱く、正常な人体では胃液で食道が損傷しないような機能があります。
そのうちの一つとして、下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)があります。

下部食道括約筋は食道と胃の接合部にある筋肉で、飲み込むときには弛緩して胃へと摂取したものが落ちるようにし、それ以外のときには食道をしめて、胃のなかにあるものが食道へと上がってこないようにしています。

このほか、食道のぜん動運動も逆流を防ぐ機能の一つです。
食道のぜん動運動は消化管が筋肉の収縮で、摂取したものを肛門側へと運んでいく運動で、胃のなかにあるものが食道のほうへと上がってきても、速やかに胃へと戻します。

また、唾液も重要な役割を担っており、唾液を飲み込むことで逆流した胃液を薄めて流し、胃液や胃内容物によって食道がダメージを受けないようにしてくれています。

逆流性食道炎は、こうした機能が低下してしまったり、胃酸が過度に増加したりすることで、胃液や胃内容物が食道へと上がってきて、長くとどまり続けることによって引き起こされるのです。

逆流性食道炎を引き起こしやすくする要素とは?

下部食道括約筋や食道のぜん動運動、唾液の量の減少、胃酸の増加は、以下の要素で起こり、結果として逆流性食道炎を招いたり、病状を悪化させたりします。

脂質やタンパク質の多い食物の摂取、1回あたりの食事量が多過ぎる、肥満、過度なアルコール摂取、タバコ、背中が曲がっている、ベルトなどで腹部を強く締め付けている、ストレス、チョコレート、カフェイン配合の飲料、炭酸飲料といった具合に、生活習慣によって逆流性食道炎は起こりやすくなります。

生活習慣によるもの以外では、食道裂孔ヘルニア(しょくどうれっこうへるにあ)によるもの、胃の切除手術によるもの、ヘリコバクター・ピロリの除菌治療によるもの、血圧降下薬など特定の薬剤によるもののように、病気や病気の治療による逆流性食道炎もあります。
そのほか、年齢の高まりも逆流性食道炎を招くリスクを高める要素の一つです。

バレット食道の症状

逆流性食道炎の症状が引き起こされる

バレット食道そのものにはこれといった症状はありません。

逆流性食道炎による胸のあたりの焼けるような不快感である胸焼けの症状や、胸が締め付けられるような痛み、酸っぱいものがこみ上げてきてゲップが出る呑酸(どんさん)、吐いてしまう、咳が出る、のどの違和感や痛みが出る、ものが飲み込みにくくなる、声がかすれる、吐血や出血による黒色の便が出る、寝付きが悪くなる、夜中に何度も目が覚める、バレット食道が発生するといった症状が出現します。

なお、ここであげたすべての症状が出現するわけではなく、実際に起こる症状の種類や症状の程度には個人差があります。

症状が出現しないことも!

バレット食道になっていても、何の症状も出現しないケースが少なくありません。
この場合は無症状のままバレット食道を放置しやすくなり、癌ができて進行していき、自覚症状が出てようやくおかしいと思い受診するということになりかねません。

食道に発生する癌は発見しにくく進行しやすい、転移や再発が起こりやすい、死亡率が高いというやっかいな特徴があります。
目立った症状が出るころには進行したり、転移を起こしていたりする可能性が高いため、注意が必要です。

バレット食道の検査・診断

相談に行くのに適した診療科は?

バレット食道は逆流性食道炎が長期にわたり持続していることが原因で起こるとされているものです。

逆流性食道炎によって起こる胸焼けや酸っぱいものがこみ上げてくるなどの症状がある場合には、内科、胃腸科、消化器科のいずれかがある医療機関へ行けば対応してくれます。

また、胸やけ外来などの専門的な診療科を開設している医療機関に行く選択肢もあります。

バレット食道かどうかを調べる方法とは?

内視鏡検査を行なうことにより、バレット食道の有無を確認することが可能です。
胃と食道のつなぎ目まで挿入した内視鏡を口のほうへと引き戻していきます。

食道の扁平上皮と比較して、赤みのある円柱上皮が確認された場合には、組織の採取を行ない腸上皮化生の有無を確認します。
また、染色液を用いることで扁平上皮と円柱上皮を見分け、バレット食道がどこまで拡大しているのか確認したり、癌のリスクを上げる腸上皮化生が発生しているかどうかを確認したりすることも可能です。

バレット食道の治療

バレット食道は治る?

ひとたびバレット食道になってしまうと、消失することはありません。
バレット食道の治療は、逆流性食道炎によってバレット食道の範囲が拡大してしまうことの抑制が目的です。

薬物療法

バレット食道の拡大を抑制するため、PPI(プロトンポンプ阻害薬)が使用されています。
PPIには胃酸の分泌過多を抑制する作用がある、逆流性食道炎の治療で使用される薬です。

定期的な検査

バレット食道が発生していると、食道癌を引き起こしてしまうリスクが高まります。
癌の早期発見治療のため、内視鏡検査を年に1~2回のペースで受けることが推奨されています。

バレット食道の予防

逆流性食道炎の予防に努める!

バレット食道は胃酸の逆流で発生します。
逆流性食道炎になるのを阻止することは、バレット食道を予防することにも繋がります。

胃酸が分泌しやすい食品を控えよう!

脂っこい、甘い、辛い食品、カフェイン入り飲料、炭酸飲料、アルコールなどは胃酸が出やすい食品です。
いっさい摂ってはいけないわけではありませんが、逆流性食道炎の予防のためには控えめにするに越したことはありません。

食べ過ぎをやめよう!

1回あたりの食事量が多過ぎると、胃酸が食道へと上がっていきやすくなります。
また、毎回の食べ過ぎは肥満の原因にもなります。
限界まで食べるのはやめて、ゆっくり時間をかけて食事をとり、量は腹八分目までにとどめておくのが理想的です。

肥満解消に取り組もう!

太っていると逆流性食道炎の原因の一つである食道裂孔ヘルニアが起こりやすくなります。
また、腹圧が上昇することにより、逆流を起こしやすくもなります。
食生活の見直しと同時に適度な運動を日常生活のなかに取り入れて、適正体重を目指しましょう。

食後の行動に注意しよう!

食後すぐに横になったり、前かがみになる作業をしたりするのはやめましょう。
疲れているなどやむを得ず食後に横になる場合には、頭が高い位置にくるようにして寝るか、体の右側が下にくるようにして寝ることをおすすめします。

食後以外の行動にも注意しよう!

腹圧が高まることにより、逆流が起こりやすくなってしまいます。
重量のあるものを持つことや、前傾姿勢になること、ベルトやガードル、コルセットなどで強くお腹を締め付けること、排便時にいきむことは腹圧上昇の原因になります。

逆流性食道炎の治療を受けよう!

逆流性食道炎が長期化することにより、バレット食道は発生しやすくなります。
胸焼けなどの不快症状がある場合はほうっておくことなく医療機関で受診し、治療をスタートしましょう。

治療方法としては胃酸分泌を抑制するPPI、H2ブロッカー、胃酸から食道粘膜を守る食道粘膜保護剤、胃腸のぜん動運動を促し、胃液を早く十二指腸へと送り込み、胃酸が食道に上がってくるのを防ぐ消化管機能改善剤などを使用した薬物療法や、生活・食事指導で治していくことになるのが基本です。

薬物療法や生活・食事指導が有効でない場合、手術によって逆流性食道炎を治す方法が選択されるケースもあります。

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