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胃拡張を詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

公開日: : 最終更新日:2018/05/11 胃・食道の病気

胃拡張とは

私たちが口から摂取したものは歯で噛み砕かれたあと、食道を通過して胃のなかで一時的にたくわえられます。
そして胃で内容物が混ぜ合わされて、消化・吸収が行なわれたあと、十二指腸へと排出されます。

何らかの原因によって胃に異常が起こると、胃の内容物が十二指腸へと排出されなくなるという問題が発生してしまいます。
この排出障害によって胃の容積が異常に拡大してしまうことを胃拡張(いかくちょう)といいます。
なお、胃の容量は1.2~1.6リットルあり、食べ物が入ることで約2リットルまで膨張します。

これが胃拡張の場合には、正常な状態の倍の量にまで達することがあり、2~4リットルに巨大化することがあります。
また、大食漢で肥満体型の人に対して、胃が大きいためにたくさん食べることができているというイメージがある人は多いでしょう。

しかしながら、実際には大食漢で太っているからといって、必ずしも胃拡張になっているとは限りません。
胃拡張はこのような人より、細身の人に起こっている割合が高いです。

胃拡張で大きくなった胃はアルファベットのJの形をしており、普通に比べて下がっているため、下垂胃(かすいい)といいます。
下垂胃の状態では摂取したものがたまりやすいため、見た目とは違ってあまり食べることができません。

下垂胃は日本人に多いのですが、欧米人に多いのが牛角胃(ぎゅうかくい)です。
これは文字通り牛の角に似た見た目をしている胃で、下垂胃と比較してサイズは小さいものの、食べ物が大量に入るのが特徴です。

胃拡張の原因

十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)

胃拡張を引き起こしてしまう原因の一つに、十二指腸潰瘍があります。
十二指腸潰瘍とは、十二指腸の粘膜に潰瘍が形成される病気であり、胃の付近に起こることが多く、夜間・早朝などの空腹時に起こり、食事をとると楽になる腹痛や、潰瘍部分の出血、吐血、下血、狭窄や変形を起こし食べ物が通りにくくなり、嘔吐を起こします。

原因は粘膜の防御と胃酸の攻撃のバランスに異常が起こることや、ストレス、遺伝的要因が関わっているともいわれています。
なお、年齢では30~40歳代に多く起こっている病気です。

十二指腸潰瘍が治るにつれて表面にいわゆるひきつれが生じ、これが何回も起こることによって幽門(ゆうもん)が狭くなり、食べたものが通過しにくくなってしまいます。
幽門というのは胃と十二指腸の境(出口)のことを指し、狭くなっている状態を幽門狭窄(きょうさく)といいます。

食べたものが胃で停滞してしまうため、胃が拡張して下がってしまい、嘔吐や腹部膨満感(ふくぶぼうまんかん)などの症状が出るようになります。
なお、腹部膨満感というのは、お腹が張った感じになる症状のことをいいます。

胃潰瘍(いかいよう)・癌(がん)

胃潰瘍とは、ピロリ菌や非ステロイド性抗炎症薬などにより、胃粘膜が損傷して粘膜や組織の一部が失われてしまう病気です。
胃粘膜の防御と胃酸の攻撃のバランスに異常が起こり、攻撃側が優勢になっているために起こります。

40~50歳代に多く起こっており、症状としてはみぞおちや背中の痛み、潰瘍の出血があり、出血症状は高齢者の場合、心筋梗塞や狭心症を招いてしまう原因になることがあります。

癌は悪性腫瘍(あくせいしゅよう)や悪性新生物(あくせいしんせいぶつ)ともいい、正常な細胞から生じた、放置していると命をおびやかすことになる、異常な細胞のかたまりのことです。

体のあらゆる部位で起こり得る病気で、血管やリンパ管に乗って離れた臓器に転移することもあります。
胃で起こった場合には腹痛、腹部不快感、食欲不振、吐き気、嘔吐、胸焼け、ゲップ、吐血、タール便、全身倦怠感、体重減少のほか、胃ガン自体がしこりとなって触れることもあります。

なお、胃ガンは40~60歳代の人に多く起こっています。
胃拡張は胃潰瘍を繰り返しているケースでも警戒が必要であり、周囲に癌が発生することにより、そのせいで胃の出口が狭くなってしまい、食べ物が通過しにくくなることがあります。

ストレスによる大食

普段、生活をしていてストレスがたまっていると、意識しているかどうかに関係なく食べて発散する人がいます。
実はこの行為は胃拡張の原因になるということをご存知ない人が少なくありません。
ストレスがたまると胃の運動が弱まってしまい、このような状態で大量に食べてしまうと胃拡張を起こしてしまう原因になります。

そのほかの原因

十二指腸潰瘍や胃潰瘍、癌、ストレスによる大食とは別の原因には、糖尿病性神経障害(とうにょうびょうせいしんけいしょうがい)があります。
糖尿病性神経障害は生活習慣病の代表格である糖尿病の三大合併症の一つです。

原因は解明されておらず、主な症状としては左右対称に引き起こされる手足のしびれ、痛みがあります。
糖尿病性神経障害以外では、手術後や重症の感染症などによって、胃の排出機能に異常が出てしまい胃拡張を起こしてしまうことがあります。

胃拡張の症状

胃拡張を起こしている場合に出る、主な症状の一つには嘔吐があります。
摂取したものを口から吐き出してしまう症状であり、胃拡張の場合には吐いてしまう量が多いです。

また、吐くものもその日に摂ったものだけではなく、前の日や前の日よりも過去に摂ったものが混ざっているケースもあります。
胃拡張では内容物が十二指腸へと排出されなくなる問題が起こるため、上記のような症状が出るというわけです。

嘔吐以外の症状としては、強い上腹部の張り、消化不良での胃痛や腹痛、ゲップが出る、頭痛、めまい、倦怠感、腰痛、けいれんなどが起こることがあります。
また、まれにではありますが、胃粘膜の壊死や胃穿孔(せんこう)、胃破裂を招いてしまうことがあります。

胃破裂に関しては、この症状が原因となって命を落とした人がいるという報告もあります。
なお、胃穿孔というのは胃に穴が開いてしまう症状のことをいいます。

胃拡張の検査・診断

胃拡張の診断を行なううえで重要な検査は、レントゲン撮影です。
X線を照射し、体の内部がどうなっているのかを画像として確認する検査方法です。
また、胃が大きくなっていることは、X線検査と同じ画像検査の一種である腹部超音波検査でも把握することが可能です。

そのほか、胃のなかの状態を確認することを目的に、胃カメラを使った検査も病院では行なわれています。
胃カメラは上部消化管内視鏡検査ともいって、口か鼻から小型カメラを胃まで移動させて、内部の状態を確認する検査方法です。

胃拡張の治療・予防

胃拡張の治療

胃拡張に対しては薬物を使った治療法で事足りるようなケースもありますが、癌や潰瘍が治ったあとにできる瘢痕(はんこん)などで幽門狭窄を起こしている場合には、手術療法が行なわれています。

なお、瘢痕というのは手術、外傷、やけどなどで認められる傷跡のことをいいます。
また、胃拡張ではひどい嘔吐の症状が引き起こされますが、たびたび吐いていることによって脱水症状が出ている人に対しては、点滴などによる治療方法が行なわれています。

そのほか、原因となっている病気がある場合にはその病気の治療が行なわれることになります。

胃拡張の予防

次に胃拡張の予防についてですが、sすでに述べたとおり、胃拡張は胃潰瘍や十二指腸潰瘍を繰り返すことによって起こります。
胃拡張を起こす前に、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を予防することが大切です。

具体的な方法ですが、ストレスをためない生活を送ること、喫煙をやめること、香辛料、コーヒー、炭酸飲料、高脂肪食を過度に摂らないこと、アルコールを摂り過ぎないことが大切です。

たばこは潰瘍の状態を悪化させますし、香辛料などは胃酸分泌を助長します。
アルコールはストレス解消に一役買ってくれますが、摂り過ぎることにより胃酸の分泌が増加してしまい、よくありません。

そのほか、糖尿病性神経障害で起こる胃拡張を未然に防ぐためには、血糖値を適切にコントロールすることにより、糖尿病性神経障害が起こることを予防することが大切です。

なお、ストレスをためない生活習慣は胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防だけでなく、ストレスによる大食での胃拡張の予防にも効果的です。
十分に睡眠・休息をとる、適度に体を動かす習慣を作る、趣味の時間を確保するといった、暴飲暴食のような不健康な方法以外でのストレス発散法を積極的に取り入れましょう。

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