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胃ポリープを詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

公開日: : 最終更新日:2017/05/25 胃・食道の病気

胃ポリープ/胃腺腫

体の表面に生じる、イボのように盛り上がった形をしているもののことをポリープといいます。
ポリープが胃で形成された場合には胃ポリープと呼びます。

一般に、胃炎が生じている人に胃ポリープは形成されやすいといわれています。

ほとんどはガンではなく良性の病気で、外観などの違いで過形成性ポリープ、胃底腺ポリープなどの複数種類が存在します。

ガン化することはほとんどありませんが、まれにガン細胞を含有しているものや、胃腺腫(いせんしゅ)ポリープのようにゆくゆくはガン化する可能性を秘めているものもあります。

形は4種類あり、粘膜下腫瘍型(ねんまくかしゅようがた)、無茎型(むけいがた)、亜有茎型(あゆうけいがた)、有茎型(ゆうけいがた)といいます。

これは文字通り、ポリープが茎を持っているかどうかでどの型にあてはまるかが決まり、粘膜下腫瘍型というのは胃の粘膜層より深部にポリープが形成されている場合にあてはまる型です。

無症状のことが多く、検査ではじめてわかることが多いのですが、胃ポリープの種類によっては出血による貧血症状が起こるなどするケースもあります。

検査は内視鏡検査が主な方法であり、治療はポリープが1cm以下と小さい場合は経過観察し、2cm以上で大きい場合や急に巨大化するポリープ、さらに一部の腺腫では、内視鏡を使って切除を行なう形になるのが一般的です。

胃ポリープの種類

過形成性(かけいせいせい)ポリープ

30歳以上で多くなる胃ポリープで、胃の出口付近に形成されやすいです。

サイズは2~3cmほどで、外観はイチゴに似た凹凸があり、赤く光沢をはなっています。
出血やびらんを伴うことがあり、これによって貧血を起こすこともあります。

ピロリ菌との関わりが深く、感染率は76~100%と非常に高いです。
また、ガン化は1.5~3%ときわめて低い数値となっています。

ピロリ菌除菌を行なうことによりポリープがなくなることがありますが、除菌後もなくなることなくサイズが2cm以上ある場合、ピロリ菌感染がなく2cm以上ある場合には内視鏡的切除が行なわれることがあります。

胃底腺(いていせん)ポリープ

過形成性ポリープが胃の出口付近で形成されやすいのに対し、胃底腺ポリープは胃の入り口付近に形成されやすいポリープです。

中年女性に形成されることが多く、変色はせず、なめらかな表面をしています。
数mmほどの半球性の形状をしており、多発するケースもありますが、サイズは10mm超になることはありません。

原因ははっきりしていませんが、ガン化することがないため経過観察をする必要はなく、ピロリ菌との関わりもありません。

胃腺腫(いせんしゅ)ポリープ

過形成性ポリープと一緒で、胃の出口付近で形成されやすいポリープです。

男女では男性のほうが圧倒的に多く、女性の4倍の人に胃腺腫ポリープが起こっており、年齢では高齢者に多く起こっているのが特徴です。
サイズは通常2cm以下で、整った凹凸があり、平坦なコブのような形状をしています。

ピロリ菌感染で起こる慢性萎縮性胃炎で形成されるポリープであり、ほかの胃ポリープと比べてガン化しやすく、2cm以上ある場合には約50%程度にガンの合併が認められています。

また、出血を起こしている場合には貧血を起こすことがあります。
治療は定期的に内視鏡検査を受けることでの経過観察または内視鏡的粘膜切除術が行なわれています。

胃ポリープの原因

過形成性ポリープの原因

過形成性ポリープを発病した人の76~100%がヘリコバクター・ピロリに感染しています。

このことから、この種類の胃ポリープが形成されることとは、ピロリ菌が深く関係していると考えられています。

胃底腺ポリープの原因

この種類の胃ポリープは、中年女性に多く起こることがわかっています。

そのため、女性ホルモンなどが関係しているのではないかという見方がされていますが、はっきりとした原因は未だ解明されていません。
なお、ほかの種類の胃ポリープとは異なり、ヘリコバクター・ピロリとの関係はありません。

そのほか、プロトンポンプ阻害薬といった胃酸を抑制する薬を長期で使っていることによって、胃底腺ポリープは形成されやすくなるともいわれています。

胃腺腫ポリープの原因

胃腺腫ポリープはピロリ菌の感染が多く、萎縮した胃粘膜に形成されるポリープです。

このことから、胃の粘膜が腸の粘膜に置き換わってしまうことで起こるという見方がされていますが、くわしい原因を突き止めることはできていません。

胃ポリープの症状

過形成性ポリープの症状

ほとんどの人に自覚症状はありません。
しかしながら、胃ポリープで出血が起こっている人には、貧血症状が出る場合があります。

また、胃の入り口や出口にポリープが形成されると、通過障害を招いてしまい、吐き気、嘔吐、腹痛などの症状が出ることがあるでしょう。

胃底腺ポリープの症状

過形成性ポリープと同じで、ほとんどの人に自覚症状がありません。

ただ、過酸症状といって、胃酸が出るところに多発するために胸焼け、しゃっくり、腹痛などの異常が認められる場合があります。

胃腺腫ポリープの症状

自覚症状がとくにない場合が多いです。
しかしながら、ポリープによって起こっている慢性胃炎がある人には、食欲不振、吐き気、胃もたれ、胸焼け、腹痛、膨満感といった症状が出る場合があります。

また、出血を起こしている場合には貧血症状が出てくることがあります。

胃ポリープの検査・診断

X線検査

バリウムと発泡剤を飲み、胃のなかをX線で造影することにより、胃のなかに突起物が発生していないかを調べる方法です。

突起物が形成されることがわかった場合、一般的には内視鏡検査をする形になります。

内視鏡検査

前述したとおり、X線検査が行なわれた結果、突起物があることがわかった場合、内視鏡検査が行なわれる形になります。

直径1cm程度のレンズの付いた細長い管のことを内視鏡といい、口(経口内視鏡)または鼻(経鼻内視鏡)に挿入して、レンズによって映し出された胃内部の映像をモニターで観察します。

発見された突起物の色、形、サイズ、出血などを確認し、胃ポリープの診断が行なわれます。
なお、内視鏡検査を受ける場合には、前の日には早めに軽く夕食をとり、眠る前以降は飲食禁止となります。

痛みは麻酔薬が使用されますし、鎮静剤を使ったり胃の運動を抑制する注射が行なわれたりするため、苦痛は少ないです。
検査自体の時間は短く、約15分で終了します。

生検

内視鏡検査による病変や胃の粘膜表面の異常があった場合、生検を実施して病理検査に提出します。
生検は胃のなかにある組織の一部を内視鏡の鉗子で採取します。

鉗子というのは物をつかんだり引っ張ったりするために使用する医療器具のことです。
採取した組織は顕微鏡で観察されて、胃ポリープなのか別の病気なのか細胞診断されることになります。

検査後の注意事項

車の運転やアルコールの摂取、激しい運動に関しては、検査を受けた日は控えるよう指示されるでしょう。
また、飲食は検査を受けたあと1時間程度が経過すれば行なって良いことになっています。

ただ、人によって指示される内容には違いが出ることがありますので、医師にいわれたことのほうを優先して守ってください。

なお、検査結果が出るまでの日数は医療機関によって違いがあり、すぐには出ないこともあるため、心配な人は事前に検査を受けに行く病院に確認しておくとよいでしょう。

胃ポリープの治療

過形成性ポリープの治療

過形成性ポリープの場合、治療せず1年に1回程度の経過観察が行なわれます。
ただ、ピロリ菌感染がある場合には除菌治療をしますし、2cm以上の胃ポリープや出血が起こっている人や、通過障害が起こっている人には、手術療法が行なわれます。

5mm以下の小さい胃ポリープは鉗子で切除し、形状などによっては内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が、悪性であることがはっきりしている場合やポリープがあまりに巨大な場合には、開腹手術が選択されることもあります。

胃底腺ポリープの治療

ガン化のリスクがきわめて低く、とくに治療を行なう必要はありません。
経過観察をする必要すらないのですが、過酸症状を起こしている人に対しては、この症状に効く薬を使った治療が行なわれることがあります。

胃腺腫ポリープの治療

半年~1年に1回、内視鏡で生検をするという経過観察が、医療機関では行なわれています。

ピロリ菌感染がある人に対しては除菌治療が行なわれており、2cm以上のサイズで赤く、陥没が認められる場合には内視鏡による切除が検討され、1cm以下のサイズで褐色調、なめらかな表面をしているケースでは経過観察が選択されることが多いです。

ポリペクトミーとは

胃ポリープに内視鏡の先端に取り付けられているワイヤーを引っ掛け、高周波電流で焼き切る治療法です。

病変部がはっきりしており、容易に引っ掛けることが可能な形をしている胃ポリープの場合に選択されることが多いです。

EMR・内視鏡的粘膜切除術とは

引っ掛けにくい形状をしている胃ポリープに対し、止血剤を添加した生理食塩水を注入し、胃ポリープを隆起させます。

そして胃ポリープに内視鏡の先端に取り付けられているワイヤーを引っ掛けて、高周波電流を流して焼ききります。

ESD・内視鏡的粘膜下層剥離術とは

病変の範囲が広く大きいケースで、取り残しを防ぐことを目的に行なわれているのがこの治療法です。

内視鏡の先端から高周波ナイフを出し、直視下に胃ポリープを残さないようにまわりの正常な粘膜ごと切除します。

日帰りで手術を受けることは可能?

内視鏡手術が行なわれた場合、日帰り手術ができることは多いものの、症状や経過しだいでは1~3日ほど入院しなければいけない場合があります。

日帰り手術が可能な場合には、手術を受けた次の日には仕事などのこれまでどおりの生活に戻ることが可能です。

なお、胃ポリープのサイズや悪性度によって内視鏡手術を受けることができず、腹腔鏡下手術が行なわれた場合には、10日前後入院しなければいけなくなることがあります。

腹腔鏡下手術とは

お腹に5~6箇所の小さな穴(5mm~1cm)をあけ、ポート(器具)を挿入し、カメラ、鉗子、メスなどを入れて胃ポリープの切除を行ないます。

カメラで映し出された映像をモニターで確認しつつ、鉗子、メスを操作して切除を行ないます。

胃ポリープの予防

規則正しい生活習慣、ストレスの蓄積を防ぐことが胃の健康を守るためには大切です。

食事では胃に過度な刺激が加える香辛料がたっぷり使用されている料理や、アルコールが強い飲料などは避けておくのが無難です。
また、食事の際には十分に噛むことで、胃への負担を軽くしてあげることも大切です。

そのほか、慢性胃炎を起こしている人に胃ポリープは形成されやすいといわれていますので、胃酸分泌抑制薬などを使った胃炎治療を行なっておくことも、ポリープ形成を未然に防ぐためには効果的といえるでしょう。

ガン化を防ぐという意味では、定期的に健診を受けることで、早期発見・治療をすることも大切です。

ストレスの蓄積に関してですが、適度な運動を習慣化したり、十分な時間、良質な睡眠をとって休んだり、趣味の時間を作ったりといった方法で発散することが可能です。
ストレス解消法は数多くありますが、健康的な方法で発散することが大切です。

よくストレスがたまると暴飲暴食をする人がいますが、このような不健康な発散方法は胃への負担が増してしまうだけでなく、摂食障害や肥満などの別のトラブルを招いてしまうことにもなりかねません。

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