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狭心症を詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

公開日: : 最終更新日:2017/06/04 心臓・血管の病気

狭心症とは

狭心症(きょうしんしょう)とは、心臓へと栄養や酸素を送り込む血管である冠動脈(かんどうみゃく)が狭まり、血流が悪くなった状態=虚血(きょけつ)状態のことをいいます。

狭心症が進行し、血管が完全に塞がってしまって血液がいかない状態を心筋梗塞(しんきんこうそく)とよびます。
狭心症と心筋梗塞は共に、冠動脈が狭まったり完全に塞がったりして、栄養や酸素が含まれている血液が心臓にいかなくなることで引き起こされる虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)に分類されている病気です。

狭心症に伴って生じる胸の痛みのことを狭心症発作(きょうしんしょうほっさ)といい、胸の痛みや圧迫感などが一時的に生じたあとおさまることが多いです。
ところが、心筋梗塞にまで悪化してしまうと、激しい痛みに5分以上襲われ、長引くときには30分、数時間におよぶようなこともあります。
この心筋梗塞は心停止や突然死してしまう恐れがあります。

血液の通過路である冠動脈の内腔(ないくう)が4分の1程度にまで狭くなると、血液不足によって胸の痛みの症状が引き起こされます。
動脈硬化(どうみゃくこうか)が原因で血管の壁にコレステロールなどがたまることにより、冠動脈が狭まるケースと、動脈硬化とは無関係に血管に痙攣(けいれん)が生じることによって狭まるケースとがあります。

血管の痙攣によって引き起こされる狭心症のことは、冠攣縮性狭心症(かんれんしゅくせいきょうしんしょう)とよびます。
血管は内側から順に内膜、中膜、外膜が存在し、冠攣縮性狭心症では内膜が侵されることによって起こります。

冠攣縮性狭心症は動脈硬化によって引き起こされる狭心症に比べて割合が高く、狭心症の60%は冠攣縮が影響しているとされているほか、欧米人より約3倍、日本人には多いといわれています。

一方、動脈硬化が原因で血管が狭まることによって引き起こされる狭心症のことは、労作性狭心症(ろうさせいきょうしんしょう)とよびます。
詳細は後述しますが、労作性狭心症にはこのタイプの狭心症の多くを占める安定性狭心症(あんていせいきょうしんしょう)が含まれており、労作性狭心症と冠攣縮性狭心症は慢性冠動脈疾患(まんせいかんどうみゃくしっかん)に分類されています。

そのほか、不安定狭心症(ふあんていきょうしんしょう)というタイプもあり、この心筋症は急性冠症候群(きゅうせいかんしょうこうぐん)に分類されています。
なお、急性冠症候群はACSともよばれています。

急性冠症候群には不安定狭心症のほか、冠動脈が完全に塞がって血液が通わなくなり、心臓の筋肉である心筋(しんきん)が壊死(えし)する急性心筋梗塞(きゅうせいしんきんこうそく)が含まれています。

タイプ別の特徴は以下にまとめていますので、参考情報としてお役立ていただければ幸いです。

慢性冠動脈疾患

慢性冠動脈疾患としては、労作性狭心症と冠攣縮性狭心症をあげることができます。

労作性狭心症は、動脈硬化によって血管が狭まることによって引き起こされる狭心症であり、階段や坂道をのぼった、重たい荷物を持ち上げた、通常より激しい運動を行なったことが引き金となって症状が出現します。

労作性狭心症の多くを占めているのは安定狭心症といって、このタイプの狭心症では発作のタイミング、発作が続く時間などが決まっているのが特徴です。

次に冠攣縮性狭心症ですが、この狭心症は動脈硬化がさほど進行していないにもかかわらず、冠動脈が痙攣を起こして血管が狭まり、血流が不足して引き起こされます。
冠動脈の攣縮は、自律神経の副交感神経が過度に働くことによって引き起こされるといわれています。

また、冠攣縮性狭心症は、安静時に発生しやすいという特徴があることから、安静時狭心症(あんせいじきょうしんしょう)という別名があります。
なお、慢性冠動脈疾患は、数ヶ月間以上にわたって症状が安定しており、心筋梗塞に進行するリスクが低い狭心症です。

急性冠症候群(ACS)

急性冠症候群には、不安定狭心症と急性心筋梗塞があります。
不安定狭心症は、安定狭心症のように発作のタイミングや持続時間、強さが決まっていません。

労作時に限定されず、安静にしているときや寝ているときに起こることもあります。
血液のかたまりである血栓(けっせん)が形成されやすくなっている状態であり、心筋梗塞に進行するリスクが高い狭心症です。

次に急性心筋梗塞ですが、血栓などによって血管が塞がり、心臓への血流が途絶えている状態です。
長時間にわたり血液が滞ったままでは、そこの細胞が壊死してしまいます。

狭心症の原因

狭心症が起こるしくみ

血管の内膜中にコレステロールなどがたまって次第に沈着、プラークというかたまりになって血管を狭めます。
狭心症は血管の狭まり具合がひどくなっていって、次第に詰まる病気ではありません。

運動などの影響でこのプラークが破れて、破れたところに血液のかたまりである血栓が形成されることにより、血管が狭まったり塞がったりしてしまいます。

血管が正常な状態の半分ほどまで狭まっても症状は出現せず、一方で血管が大して狭まっていなくても、プラークが何かの原因で破れてしまうと、狭心症や心筋梗塞が引き起こされます。
あるとき急に引き起こされるのが狭心症や心筋梗塞の特徴です。

なお、狭心症のタイプの一つである安定狭心症は、血管が細くなってはいるものの、プラークは破れていません。
しかし、血管が細くはなっているため、運動したときなどに症状が出現することがあります。

狭心症の原因

年齢の高まり、生活習慣の乱れなどによって冠動脈の血管の壁にコレステロールなどが沈着し、血管内が狭まって血液の通りが悪くなるのが狭心症です。

また、血管が狭まってしまうのは、生活習慣病である糖尿病(とうにょうびょう)、脂質異常症(ししついじょうしょう)、高血圧(こうけつあつ)などによって起こる動脈硬化が原因です。

動脈硬化のほかには、血管の痙攣によっても血管が狭まります。

動脈硬化・狭心症の危険因子

加齢、タバコを吸う、塩分・糖分・脂肪分の摂り過ぎ、運動不足、ストレス、遺伝(家系に心筋梗塞や脳卒中などの患者がいる)、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞(のうこうそく)を経験している、高血圧、慢性腎障害(まんせいじんしょうがい)、閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)、大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)、痛風(つうふう)、副腎皮質ホルモンの服用といった要素が、動脈硬化を引き起こしやすくします。

狭心症のリスクを高める要素としては、糖尿病にかかっている、タバコを吸っている、お酒を飲み過ぎる、コレステロール値が高い、血圧が高い、両親や兄弟姉妹に心筋梗塞や脳梗塞などになった人がいる、メタボリックシンドロームになっていることなどをあげることができます。

狭心症の症状

狭心症発作

奥のほうが痛い、押さえつけられるような、締めつけられるような、焼けつくようななどと表現されることが多い胸の痛みのほか、胃のあたりや背中、頭、のど、首、あご、奥歯、左肩、左腕の痛みが出現することもあり、強い痛みでは大量の冷や汗が出ることもあります。

ただ、痛みの感じかたや、痛みが引き起こされる範囲には個人差があります。
この狭心症発作は多くの場合、30~120秒ほど持続します。

激しく胸が痛み、痛みが長く持続する場合には、心筋梗塞を起こしている可能性があるため注意が必要です。
また、冠動脈が狭まり、一時的に心臓への血流が悪化して起こる狭心症では、血流悪化が解消されれば発作は止まります。

ところが、冠動脈の血管が完全に塞がる心筋梗塞では、血流は改善しません。
5分間以上、症状が止まらなければ死亡のリスクがあるため、一刻も早く医療機関に行く必要があります。

自覚症状が出ない狭心症

狭心症を引き起こしていても無症状のケースがあり、無痛性狭心症(むつうせいきょうしんしょう)とよばれています。
症状はいっさい出現していなくても、体のなかでは動脈硬化によって冠動脈が障害されて、進行していることがあるのです。

無痛性狭心症は糖尿病を患っている人に多く、痛みを感じる神経などの異常によって引き起こされます。

慢性冠動脈疾患の症状

労作性狭心症の場合、階段や坂道をのぼったときや、重たい荷物を持ち上げたとき、通常より激しい運動を行なったときなどに症状が出現します。
心臓が一時的に酸素が足りない状態になることで、胸の痛みの症状が出現します。

安静にしたり、狭心症の発作を止める薬を使ったりすることにより、数分~15分ほどで落ち着きます。
時間帯に関係なく症状は出現しますが、午前中に出現することが比較的多いといわれています。

慢性冠動脈疾患のうち、冠攣縮性狭心症では労作時ではなく早朝、夜間などの決まった時間帯の安静時に症状が出現しやすいのが特徴です。
このほか、アルコールを摂取したとき、タバコを吸ったとき、強いストレスを受け続けていることにより、症状が出現することがあります。

労作性狭心症のように発作を止める薬が効果的ですが、症状が頻繁に起こるようになり、症状が長時間にわたって続くようになると、急性冠症候群に移行してしまうリスクがあります。

急性冠症候群の症状

不安定狭心症では、突然に狭心症発作が生じます。
症状が頻繁に起こるようになり、何もせずじっとしているときにも症状が出現するようになります。

できる限り早く医療機関で適切な処置を受けなければいけません。
急性冠症候群のうち、急性心筋梗塞では、冠動脈への血液の流れが完全に遮断され、心筋が部分的に壊死してしまいます。

胸の痛みや圧迫感の程度は狭心症とは比べ物にならないほど激しく、持続時間も20分以上と長いです。
発作を止める薬の効果もほぼなく、急性心筋梗塞を招いた場合には死亡してしまう恐れがあるため、一刻を争います。
なお、いったん壊死してしまった心筋は元の状態に戻ることはありません。

心臓は体全体へと血液を送り出すポンプの役割を担っており、壊死した心筋の量が多いとこの機能が低下し、急性心不全(きゅうせいしんふぜん)を起こして最悪の場合には命を落としてしまいます。

また、心筋梗塞では不整脈(ふせいみゃく)が引き起こされて、突然に心停止して命を落としてしまうこともあります。

狭心症の検査・診断

狭心症は何科へ行けばいい?

胸の痛みなど、狭心症発作にあてはまるような症状があり、ひょっとすると狭心症かもしれないと思った場合、どの診療科目のある病院へ行けばいいのでしょうか。
このようなことを疑問に思っている人もいるでしょうが、選択肢は複数あります。

発作が起こり、短時間でおさまるような場合には、救急車をよぶ必要はありません。
ただ、そのまま放置しておくのではなく、できるだけ日にちをあけることなく内科、循環器科、循環器内科、心臓内科などで受診しましょう。

病院へ行くと、後述の「問診」以降の項目にあるような検査が行なわれることになります。
一方、心筋梗塞に該当するような症状の場合には、一刻を争いますので迷わず救急車をよびましょう。

症状の程度によっては、救急車をよぶかどうか判断に迷うこともあるでしょうが、その場合には救急車をよぶ場合の番号である119ではなく、救急相談窓口を利用する方法があります。
成人は#7119、小児は#8000で対応してくれます。

問診

症状がいつから、どのように出ているのかなどが質問されます。
胸の痛みの症状が出現する時間帯、痛みが出るきっかけ、痛みの程度、痛みが続く時間などの情報で、狭心症の可能性の有無が判断されることになります。

12誘導心電図検査

心臓が動くときには弱い電気が発生しています。
この電気活動を検知、波形として描き出されたグラフを見て、異常の有無を調べるのが心電図検査です。
心電図検査には複数の種類があり、12誘導心電図検査は健診でも行なわれている一般的な心電図検査です。

ベッドに横になって安静にし、体の手足と胸に合計10個の電極を貼り付けて、12ヶ所の心電図の記録を行ないます。

運動負荷心電図検査

狭心症では、狭心症発作が起こっていない状態での心電図に異常がない場合が少なくありません。
発作自体も短時間で止まってしまうため、病院で検査を受けるころには元の状態になっていて、正確な病気の情報を得ることができないことがあります。

そのため、狭心症の可能性がある場合には、発作が起こっているときの状態を確認するのを目的に、運動を行ないながら心電図を記録する方法が選択され、この検査方法のことを運動負荷心電図検査とよびます。

運動負荷心電図検査には、マスター心電図検査、トレッドミル負荷心電図検査、エルゴメーター負荷心電図検査があります。

マスター心電図検査は階段の上り下りの前後の心電図を調べる方法で、トレッドミル負荷心電図検査は腕に血圧計を、胸に心電計を装着してベルトコンベア上を歩行し、血圧と心電図を調べる方法、エルゴメーター負荷心電図検査は、胸に心電図の電極を装着し、自転車のペダルをこいでいるときの心電図を調べる方法です。

ホルター心電図検査

先述したように、12誘導心電図検査では行なわれたときに異常が発見されないことがあります。
この問題を防ぐために行なわれているのがホルター心電図検査です。

小型軽量で携帯可能な心電計を使用し、胸に電極を貼り付けて、24時間の心電図を持続的に測定します。
装置が水に弱く入浴や水泳のようなことは制限されますが、ほかは普段どおりに暮らしてかまわないため負担が軽いです。

なお、ホルター心電図検査は、脚が悪いために運動負荷心電図検査を選択することができない人などにも行なわれている方法です。

血液検査

狭心症の場合、血液検査を行なっても異常は発見されません。
しかし、心筋梗塞の場合には血液検査で異常が確認されます。

心筋梗塞で心筋が壊死すると、壊死した細胞に存在する酵素やタンパク質が壊れるときに、血液中へと漏出するためです。

心エコー(心臓超音波検査)

心臓に高周波数の超音波をあて、返ってくる反射波(エコー)を受信し、心臓の状態を画像化して診断を行なうのが心エコーです。

心筋症(しんきんしょう)、大動脈弁膜症(だいどうみゃくべんまくしょう)、僧帽弁閉鎖不全(そうぼうべんへいさふぜん)といった病気でも、狭心症と同じような症状が起こることがあります。

心エコーを行なうことは、こういった病気と狭心症を区別するために役立ちます。

負荷心筋シンチグラム

心筋に集まる薬を注射し、薬から放出されるわずかな量のガンマ線を体外のカメラで撮ります。
なお、ガンマ線というのは放射線の一種です。
心筋への薬の集まり具合によって、心臓にしっかりと血液が届いているか、血液が届いていないところがないかを確認します。

血管の詰まりの程度が軽い場合には安静時に検査をしても、病気がどこにあるか判断できないため、心臓に負荷をかけて病気の場所と病気ではない場所の区別をつけます。

冠動脈造影CT検査

冠動脈に造影剤を注入して、X線で体内の様子を画像化する検査方法です。
血管の狭まりや、心臓の状態を確認することが可能です。

冠動脈造影検査

カテーテルという細く柔軟な管を手足の動脈から挿入し、心臓の血管内へと進めます。
そしてカテーテルを通じて造影剤を血管内に注入し、冠動脈の撮影を行ないます。

冠動脈MRA検査

MRAは磁気共鳴血管画像ともよばれており、造影剤を使用することがなく、放射線の被ばくの心配もない検査です。

心臓へと栄養や酸素を届けている冠動脈の血管を、MRI(核磁気共鳴画像法)を使用して撮影することにより、立体画像で確認することが可能です。
この検査で冠動脈が狭まっている部位を発見することが可能です。

造影剤にアレルギー反応を起こす人や、腎臓の機能が低下している人はCT検査を受けることができないため、このような人に対して冠動脈MRA検査は選択されています。

全部の検査を受ける必要がある?

狭心症や心筋梗塞を調べる検査方法は数多くありますが、1人で上記の検査を全部受けるようなことはまずあり得ません。
一人ひとりの状態に合った検査が行なわれることになります。

たとえば、検査のなかには予約が必要な方法があり、緊急度の高い人の場合、このような検査を受ける前に緊急入院が選択されることもあります。

また、腎機能が低下していてCT検査を受けることができない人には負荷心筋シンチグラムや冠動脈MRA検査が選択されることになります。
心電図に関しても、一人ひとりの状態に応じて適切な種類の検査が行なわれる形になります。

狭心症の治療

薬物療法

薬物療法は狭心症発作や心筋梗塞を防ぐこと(予防治療)と、出現した症状に対処すること(対症療法)を目的に行なわれています。

予防治療としては冠動脈の動脈硬化を抑制し、心筋梗塞を防ぐことを目的に、抗血小板薬が使用されています。

抗血小板薬は少量使用することで、血小板の活動が抑制されて血栓が形成されにくくなり、血管の詰まりを防ぐ効果が期待できます。

対症療法としては、硝酸薬(しょうさんやく)やカルシウム拮抗薬(きっこうやく)などの血管拡張薬が使用されています。
血管拡張薬は冠動脈をひろげて血流をよくすると共に、体全体の血管までひろげる作用があります。

血管拡張薬の使用は、極端な血圧上昇、脈拍数増加を防ぎ、心臓にかかる負担を軽くするために効果的です。
血管拡張薬以外には、β(ベータ)遮断薬も使用されています。

β遮断薬は自律神経のうち交感神経の活動を抑制し、血圧を下げ、脈拍数を減らして、心臓にかかる負担を軽くする作用があります。
狭心症では少量の抗血小板薬のほか、血管拡張薬やβ遮断薬のなかから2~3種類を組み合わせて使用する形になります。

そのほか、脂質異常症や糖尿病などの持病を抱えている人には、こうした病気の治療薬を使用して狭心症や動脈硬化の進行を防ぐ方法も選択されています。

手術療法

狭心症の手術療法としては、冠動脈形成術(PCI)と冠動脈バイパス術があります。
冠動脈形成術は、バルーン(風船)が取り付けられたカテーテルを挿入し、冠動脈が狭まっているところでバルーンを膨らませて、冠動脈をひろげます。

狭まった冠動脈をバルーンで押しひろげたあとで、金属製・網状の筒のステントを血管内部に留置し、血管を内側から補強することもあります。
ステントは、再び血管が狭まることを防ぐ目的で留置されるのですが、実際には再び血栓が作り出されて、血管が狭まってしまうリスクがありました。

ただ、いまではできる限り再び狭まることが起こらないよう、薬剤が塗布されているステントが使用されるようになっています。
次に冠動脈バイパス術ですが、狭心症の薬物療法の効果がなく、カテーテル治療が難しいまたはできない人に対して選択されている方法です。

冠動脈が狭まっているところに手を着けることはせず、自分の体の別のところにある血管を使用して、血管が狭まっているところの前後を繋ぐ別の通り道=バイパスを作り、狭まっている場所を通ることなく心筋へと血液が流れ込むようにします。

バイパスに使用する血管のことはグラフトとよびますが、足の静脈か、胸、腕、胃の動脈が使用されることになります。

治療後に注意すること

手術を受けることにより、その時点で起こっていた血管が狭まっている問題は解決します。
ただ、冠動脈形成術や冠動脈バイパス術を受けても、再び冠動脈が狭まってしまうことがあります。

相変わらずタバコを吸う習慣やお酒を飲む習慣が続いている、脂質異常症や糖尿病をうまくコントロールできていないなど、動脈硬化や狭心症のリスクを放置している限り、別の場所の血管が狭まってしまうリスクがあります。

このような状態ではせっかく治療を受けたのが水の泡になってしまうため、治療後には定期的に検査を受けることになりますが、生活習慣の改善に取り組まなければいけません。

狭心症の予防

禁煙に取り組む

狭心症を防ぐには、タバコをやめることが大切です。
喫煙によって血管が収縮し、血液がかたまり、動脈硬化を助長してしまいます。

また、喫煙で血圧が上昇し、脈拍も増加。
まわりにいる人が受動喫煙による健康への悪影響を受けてしまいます。

自力での禁煙が難しい人は、禁煙外来のある医療機関へ行き、タバコをやめることを目指すのもよいでしょう。
禁煙は狭心症だけでなく、悪性腫瘍(あくせいしゅよう)など命に関わるような深刻な病気を予防するためにも効果的です。

家族に喫煙者がいるような場合では、禁煙をすすめてみるか、別の部屋やベランダなど、自分が煙を吸わずに過ごせるような環境を作るとよいでしょう。

食生活を見直す

狭心症、動脈硬化は食生活の乱れによる体の変化でリスクが高まります。
カロリーオーバーや脂肪分・塩分・糖分の摂り過ぎを避け、余分な脂肪分、塩分、糖分の排泄を促進してくれる食物繊維を積極的に摂ります。

また、不整脈の誘因にもなるためアルコールの摂り過ぎは避け、青魚をはじめとする、血中コレステロールの酸化を防止して、動脈硬化の予防になる食品も積極的に摂りたいところです。

外食はカロリーや脂肪分などの摂り過ぎになりやすいため、なるべく控えるに越したことはありません。

食事の摂りかたも注意が必要で、食べ過ぎの原因になる早食いをやめてよく噛んで食べること、心臓に負担がかかるため夜10時以降の食事はやめること、できるだけ同じ時間に食事を摂ることが大切です。

食事を抜いたり時間帯が不規則になったりしていると、代謝に関与しているホルモンの分泌に狂いが生じ、生活習慣病を引き起こしやすくなってしまいます。

適度な運動をする

適度な運動は、肥満を含む生活習慣病すべての効果的な対策になります。
狭心症の予防としては、ウォーキング、ジョギング、スイミングなどの有酸素運動がおすすめです。

週に3~4回、1日あたりトータルで30分以上、行なうとよいでしょう。
ベンチプレス、腕立て伏せ、短距離走などの瞬発力が要求される無酸素運動は避けたほうがいいです。

また、朝早くや夜中は冠動脈が日中に比べて収縮していることが多いため、この時間帯を避けて行ないましょう。
可能であれば起床直後ではなく、1時間程度がおすすめです。

なお、すでに動脈硬化を起こしているような人では、運動自体が狭心症のリスクになり得るため、医師の判断をあおぎましょう。

ストレスを発散する

心身のストレスは血中コレステロールが高まって動脈硬化が悪化しやすくなるほか、血中の交感神経系ホルモンが増加し、血圧が高まって冠動脈内皮の傷害が起こりやすくなり、心筋梗塞を招きやすくなります。

十分な休息・睡眠、適度な運動、深呼吸、ゆっくりお風呂に浸かるなど、自分なりのストレス解消法を実践しましょう。
なお、ストレス解消のためとはいえ、暴飲暴食などの不健康な方法はよくありません。

入浴も、熱いお湯では心臓への負担が大きく、脱水で血液がドロドロになってかたまりやすくなるため注意が必要ですし、サウナも同様です。

食後すぐ、お酒を飲んだあとなどの入浴は、血液が胃に集中しているため心臓にかかる負担が増してしまいます。
激しい運動も心臓の負担が大きいため、軽い運動がおすすめです。

体重・体脂肪・血圧・血糖値を管理する

現状で太っている、血圧や血糖値が高い、脂質代謝異常などがある人は、定期的に医療機関に通って医師の指導を受けましょう。

また、自分で普段から体重や体脂肪、血圧などを測ることを習慣化し、動脈硬化の予防に努めることが大切です。

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