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起立性低血圧を詳細に:原因,症状,検査,治療など

公開日: : 最終更新日:2018/07/08 心臓・血管の病気

起立性低血圧とは

寝た姿勢や座っている姿勢から急に立ち上がったときに血圧が低下し、立ちくらみなどの症状が起こるのが起立性低血圧(きりつせいていけつあつ)です。

起立性低血圧には原因となる病気によって一次性、二次性、薬剤性の3種類に大別されています。

起立性低血圧が起こるしくみ

急に立ち上がったときには重力の影響で下半身へと一時的に血液が移行します。

そうなると心臓へと戻る血液量が減少し、急に血圧が低下することによって、結果として脳への血流が減少し、立ちくらみなどの症状が出てしまいます。

健康に問題がない人の場合、自律神経をはじめとした調節作用によって心臓が強く速く拍動して血液量を増加させるなどの現象が起こり、血圧は維持されています。

しかしながら、何かしらの原因によって調節作用に異常が起こると、急に立ち上がったときに血圧が低下したままで寝たり座ったりしていたときの状態に元に戻らず、起立性低血圧になってしまいます。

起立性低血圧の検査・診断

起立性低血圧の診断のためには、血圧を測定する検査が行なわれています。

起立試験を行なって、寝ている姿勢や座っている姿勢での血圧に比べ、立ち上がったあと3分以内に収縮期血圧20mmHg以上、拡張期血圧10mmHg以上の数値が落ちた場合には、起立性低血圧を起こしていると判断される形になります。

また、立った姿勢で立ちくらみ・めまいなどの症状が引き起こされた場合、起立性低血圧によって出ているということがわかります。

なお、起立試験というのは、寝た体勢を一定時間とったあとに血圧と脈拍の測定を行ない、さらに立った体勢を一定時間とったあと血圧と脈拍の測定を行なうような方法です。
起立性低血圧を起こしていない人の場合には、寝た姿勢と立った姿勢を続けたあとに測定して出る数値に大きな差はありません。
そのほかには、head-up tilt検査も病院では行なわれています。

ティルトテーブルと呼ばれる台に、患者の体を血圧測定器や心電図を装着した状態で固定し、寝ている体勢から少しずつ角度をあげていって、血圧を心拍数の変わりようを調べます。

この検査では複数回にわたり血圧を測ることによって、失神の前ぶれがないかといったことの見極めも行なわれています。

起立性低血圧の原因

起立性低血圧には原因となる病気によって一次性、二次性、薬剤性の3種類があります。

一次性に含まれている病気としては純粋自律神経機能不全、多臓器萎縮にともなう自律神経失調(シャイ・ドレーガー症候群)、パーキンソン病にともなう自律神経失調があり、二次性に含まれている病気には加齢、一般的内科疾患(糖尿病、アミロイドーシス、アルコール中毒、腎不全)、自己免疫疾患(ギラン・バレー症候群、混合型結合組織病、リウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス)、中枢神経系の感染(HIV感染、梅毒[ばいどく]、シャーガス病)、中枢性疾患(多発性硬化症、ウェルニッケ脳症、血管病変、腫瘍[しゅよう])、代謝疾患(ビタミンB12欠乏症、ポリフィリン血症、ファブリー病)、脊髄(せきずい)疾患、家族性高ブラジキニン血症があります。

薬剤性に含まれている薬剤としては利尿薬、β(ベータ)遮断薬、α(アルファ)遮断薬、アルコール、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、抗うつ薬、向精神薬、睡眠薬、血管拡張薬、中枢性に作用する降圧薬、節遮断薬があります。

起立性低血圧の症状

急に立ち上がったときの立ちくらみ、めまいのほか、全身のだるさ、動悸、息切れ、頭痛、頭重感、肩こり、食欲不振、集中力低下、イライラ、夜の寝付きが悪い、朝に起きられない、不安、身体動揺感、不整脈、疲れやすい、顔色が悪い、胃もたれ、乗り物酔いしやすい、失神といった症状が起立性低血圧では引き起こされます。
こういった症状は午前中、食後、運動後に起こりやすいのが特徴です。

起立性低血圧の種類

起立性低血圧は原因疾患によって一次性、二次性、薬剤性の3種類がありますが、別の形での種類わけもされています。

起立直後性低血圧、体位性頻脈(ひんみゃく)症候群、神経調節性失神(反射性失神)、遷延(せんえん)性起立性低血圧があり、個々に異なる特徴があります。

起立直後性低血圧

立ち上がってすぐ、一時的に急激な血圧低下を招いて、ひどい立ちくらみや全身のだるさが起こります。
血圧が元に戻るまでに25秒以上の時間を要すると、起立直後性低血圧と判断される形になります。

なお、起立直後性低血圧には軽症型と重症型が存在しており、立ち上がったときに収縮期血圧が15%以上下がったままでは重症型と判定されることとなり、子どもの場合には頻脈の症状も認められます。

ここで紹介する種類のなかでは一番多く起こっているのがこの起立直後性低血圧です。

体位性頻脈症候群

急に立ち上がった際の血圧低下は認められませんが、フラフラする、頭が痛くなる、だるくなる、脈が異常に速くなるといった症状が起こります。

立ち上がった際の心拍数が115以上か、立っているときの心拍の平均的な増加が35以上ある人は、このタイプの起立性低血圧であると判断されます。

立った状態で脚部にたまった血液に交感神経が過度に興奮することや、アドレナリンが大量に出ることによって起こる起立性低血圧で、起立直後性低血圧の次に多く起こっています。

神経調節性失神(反射性失神)

立っていていきなり収縮期血圧と拡張期血圧が下がって失神し、意識を失ったあとのけいれんや、脈が遅くなる不整脈の症状が出ることもあります。

立っている体勢で過度な頻脈を招き、心臓が空打ち状態になることでの刺激で、反射的に意識を消失してしまうという見方がされています。
引き金になっているのは一時的な自律神経の異常とされています。

起立直後性低血圧、体位性頻脈症候群に続いて多く起こっている起立性低血圧です。

遷延性起立性低血圧

4種類のなかで一番少ないのが遷延性起立性低血圧です。
立ち上がった直後の血圧に異常はありませんが、数分後から徐々に血圧が低下し、収縮期血圧が15%以上下がるか、20mmHg以上下がると、このタイプの起立性低血圧であると判断されます。

起立性低血圧の治療

起立性低血圧は、生活指導を含む一般療法と薬物療法が主な治療法としてあります。
一般療法には食事療法、運動療法、物理療法、行動の注意が、薬物療法には循環血漿量の増加薬、昇圧剤(α刺激薬)、血管拡張防止薬があります。

まずは一般療法ですが、食事療法として十分な量の水分と塩分を補給するほか、高たんぱく、高ミネラルの食事をとり、運動療法としてスイミング、毎日の歩行での全身運動、脚の筋肉の強化、乾布摩擦や冷水摩擦のようなマッサージを行なうことによって、皮膚の血液のめぐりをよくする、物理療法としてタイツ、弾性ストッキングによる脚部に血液がたまることを防止する、行動の注意として急に体勢を変えることを避け、寝た体勢から座っている体勢、立っている体勢へ、または座っている体勢から立っている体勢に変えるときにはゆっくり動くように気をつける必要があります。

次に薬物療法ですが、循環血漿量の増加薬としては鉱質コルチコイド(フルドロコルチゾン)、エリスロポエチンが、昇圧剤(α刺激薬)として塩酸ミドドリン(メトリジン)、塩酸エチレフリン(エホチール)、メチル硫酸アメジニウム(リズミック)が、血管拡張防止薬としてロプラノロール、メトクロプラミドなどが使用されています。

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