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バッド・キアリ症候群を詳細に:原因,症状,検査,治療など

公開日: : 最終更新日:2017/12/28 心臓・血管の病気

バッド・キアリ症候群(ばっどきありしょうこうぐん)とは、肝臓から流れ出る血液を運ぶ肝静脈(かんじょうみゃく)か、肝部下大静脈(かんぶかだいじょうみゃく)が塞がったり狭まったりし、肝臓から出る血液の流れが悪化して、門脈の圧力が高まることで、門脈圧亢進症(もんみゃくあつこうしんしょう)をはじめとする症状が引き起こされる病気のことをいいます。

門脈というのは、腹部の消化管から吸収した栄養素などを肝臓へと送り込む血管のことであり、肝臓へと流れ込む血液の60%異常を占めています。
健康な人の場合、門脈の圧力は仰向けの体勢で仰向けの体勢で100~150mmH2Oであり、200mmH2O以上の人は門脈の圧力が高まっている状態です。

門脈の圧力は門脈圧ともいい、姿勢、咳、歩行などによって圧は変動しますが、肝臓などの血液の循環障害によっても変わり、異常なまでの変わり具合になると血液は圧力の低い脾臓(ひぞう)へと逆行して脾臓が腫れる、門脈と下大静脈のあいだに血液の通過路が新設されるなどの異変が起こり、その結果として種々の症状が引き起こされます。

下大静脈というのは、下半身の血液を集めて心臓へと流れ込む静脈のことで、静脈としては人間の体内では最大です。

門脈圧亢進症は、バッド・キアリ症候群を起こす原因になるような異常による門脈圧の高まりにより、食道静脈瘤(しょくどうじょうみゃくりゅう)や胃静脈瘤(いじょうみゃくりゅう)、脾腫(ひしゅ)および脾機能亢進症(ひきのうこうしんしょう)、腹水(ふくすい)、胸水(きょうすい)、肝性脳症(かんせいのうしょう)などの症状が引き起こされる病気の総称で、肝臓の病気の一種です。

門脈圧亢進症は循環障害の原因となる場所が肝臓の手前にある場合は肝前性(かんぜんせい)といい、原因が肝臓内にある場合は肝内性(かんないせい)、肝臓の後ろにある場合には肝後性(かんごせい)といいます。

バッド・キアリ症候群は肝後性の門脈圧亢進症とも呼ばれています。

※門脈圧亢進症については門脈圧亢進症の原因,症状,検査,診断,治療などで詳しく解説

バッド・キアリ症候群は指定難病の一種であり、非常にめずらしい病気です。
100万人あたりのこの病気を起こしている人の割合は、わずか2.4人と推定されています。
また、1年間では大体300人前後の人がバッド・キアリ症候群で通院または入院をしています。

男女のどちらが多いのかという点に関しては、女性と比較すると男性のほうがやや高い割合を占めています。
男性のほうが女性より約1.6倍の人がこの病気にかかっています。

発症年齢は、男性が平均で36歳、女性が平均で47歳と、女性のほうが高年齢でこの病気にかかる傾向があります。

バッド・キアリ症候群の原因

この病気の原因ははっきりしている?

肝静脈か肝部下大静脈の生まれつきの血管形成異常や、生まれつきではなく血栓(けっせん)という血液のかたまりが形成されることなどによって引き起こされるという見方がされていますが、原因がはっきりしないものも3分の2程度を占めています。

どうしてこの部分の血管の詰まりが起こりやすいのか、はっきりしたことは現状では不明なままです。
また、持病として血液疾患、経口避妊薬(けいこうひにんやく)の使用、妊娠や出産、腹腔内(ふくくうない)感染、血管炎(けっかんえん)、血液凝固異常(けつえきぎょうこいじょう)などを併発しているケースも珍しくないとされています。

なお、原因が明確ではないケースを原発性バッド・キアリ症候群といい、原因が明確なケースを続発性バッド・キアリ症候群といいます。

門脈圧亢進症の原因はほかにもある?

実はバッド・キアリ症候群は門脈圧亢進症の原因となる病気としては多くありません。
門脈圧亢進症の原因となる病気として最多なのは肝硬変(かんこうへん)であり、門脈圧亢進症全体の8~9割を占めているといわれています。

なお、肝硬変やバッド・キアリ症候群以外に門脈圧亢進症の原因となる病気としては、特発性門脈圧亢進症(とくはつせいもんみゃくあつこうしんしょう)、日本住血吸虫症(にほんじゅうけつきゅうちゅうしょう)、肝外門脈閉塞症(かんがいもんみゃくへいそくしょう)があります。

バッド・キアリ症候群の症状

側副血行路(そくふくけっこうろ)の形成

門脈圧が高まることにより、血液の一部は肝臓ではなく別の方向へと逃げるための通過路を形成します。
この通過路のことを側副血行路といい、コラテラルという別名もあります。

側副血行路が形成されると、脾臓が肥大化する、腹部に静脈が浮き出る、胃や食道にコブ状の静脈瘤(じょうみゃくりゅう)が形成される、お腹のなかに水がたまるといった問題が起こり得ます。

また、脾臓が肥大すると脾機能亢進症を起こし、血小板の減少や白血球の減少、貧血(ひんけつ)を招いてしまいます。

さらに、静脈瘤の圧が高まることにより、静脈の血管が圧にこらえきれなくなって破裂してしまい、出血を起こして吐血や下血などの症状を引き起こすようにもなります。

バッド・キアリ症候群の主な症状

お腹のなかに水がたまる腹水(ふくすい)、すねやふくらはぎの血管が蛇行して浮き出る下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)、脚がむくむ下腿浮腫(かたいふしゅ)、腹部に静脈が浮き出る腹壁血管起張(ふくへきけっかんどちょう)のほか、門脈圧亢進による症状として食道粘膜の下にコブ状のものが形成される食道静脈瘤、脾臓が腫れる脾腫、貧血などがあります。

なお、バッド・キアリ症候群には急性型と慢性型があり、慢性型はとくに症状が出ないまま経過し、次第に脚のむくみやお腹のなかに水がたまる、お腹の血管が浮き出るなどの症状が出てくるようになります。

急性型は日本では滅多にない型ですが、お腹の痛み、おう吐、急速な肝臓の腫大(しゅだい)や腹水がたまるなどし、ひと月以内に命を落としてしまうケースが多いです。
このように深刻な状態に陥るリスクが高いため、急いで適切な処置をほどこさなければいけません。

バッド・キアリ症候群の検査・診断

どうやって調べる?

貧血と肝臓の機能が正常ではなくなっていることが、血液学的検査で確認されることがあるものの、これだけでこの病気であるとはっきりと決めることはできません。
最終的な判断に向けて内視鏡(ないしきょう)検査や超音波検査、CT検査などを行ない、静脈瘤、肝臓の腫大、脾臓の腫れ、コラテラルなどを調べます。
肝静脈カテーテル検査、肝静脈造影検査は一番精度の高い方法で、診断だけでなく閉塞を起こしている場所を把握することにも効果的です。

バッド・キアリ症候群の治療

静脈の塞がりや狭まりに対する治療法

検査によって血栓が形成されていることがわかった場合には、抗凝固療法(こうぎょうこりょうほう)が行なわれています。
血栓を溶かす血栓溶解薬、血栓が形成されるのを防ぐ抗凝固薬が使用されることになるでしょう。

また、静脈が狭まっている部分に細く柔軟な管のカテーテルを挿入し、風船を膨らませて狭まっている箇所をひろげる狭窄部拡張術(きょうさくぶかくちょうじゅつ)や、塞がっていたり狭まっていたりする状態を直接なくしてしまうような手術が行なわれるケースもあります。

門脈圧亢進症に対する治療法

門脈圧亢進症の恐ろしいところは、静脈瘤が破裂して出血し、ほうっておくとショックを起こすことです。

場合によっては生命がおびやかされてしまうため、緊急で医療機関へ行って点滴・輸血によるショックを治療したり防いだりしなければなりません。
また、内視鏡を使用することで、静脈瘤の出血を止める処置をほどこす必要があります。

方法としてはバルーンタンポナーデ法といって、鼻から挿入したカテーテルを膨らませて、静脈瘤を圧迫することで一時的に出血を止める方法や、静脈瘤の内部やまわりに硬化剤を注入してかためて止血する硬化療法、静脈瘤をゴム製のバンドで縛って壊死させる結紮療法、β(ベータ)ブロッカーなどの薬物で門脈圧を低下させる薬物療法、食道の一部を切り離したあと再び縫い合わせる食道離断術(しょくどうりだんじゅつ)があります。

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