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期外収縮を詳細に:原因,症状,検査,治療など

公開日: : 最終更新日:2017/12/11 心臓・血管の病気

期外収縮とは

期外収縮(きがいしゅうしゅく)は不整脈(ふせいみゃく)の一種

心臓の内部は上部に右心房(うしんぼう)と左心房(さしんぼう)の2部屋が、下部に右心室(うしんしつ)と左心室の2部屋が存在し、計4部屋で構成されています。

心臓には体全体へと血液を送り出すポンプ機能があり、弱い電気を発して収縮していますが、電気は右心房にある洞結節(どうけっせつ)という発電所のような働きをしているところで作り出されています。

ここで作り出された電気は、最初に心房に流れて心房の収縮を起こし、続いて変電所のような役割を果たしている房室結節(ぼうしつけっせつ)という場所を通って心室の収縮を起こし、電気刺激がなくなると弛緩(しかん)して拡張します。

この収縮と拡張の決まったリズムのことを拍動(はくどう)とよび、正常な人では1分あたり60~100回ほどの拍動が決まった間隔で起こっていて、血液はこの心臓の拍動によって送り出されているのです。

心臓の拍動によって送り出された血液によって生じた圧力が体全体の動脈へと伝わり、動脈が起こす拍動のことを脈拍といいます。
正常な状態では、心臓の拍動が一定間隔で規則正しいリズムを刻んでいるため、脈拍も同じように一定間隔で規則正しいリズムを刻みます。

しかし、何らかの原因で一瞬でも脈が不規則になってしまえば、それはすべて不整脈として扱われます。
不整脈には複数のタイプが存在し、期外収縮はそのうちの一種です。

不整脈のタイプ

不整脈には徐脈性不整脈(じょみゃくせいふせいみゃく)、頻脈性不整脈(ひんみゃくせいふせいみゃく)、そして期外収縮の3タイプに大別されています。
徐脈性不整脈は、拍動が正常より遅くなったり、間隔が長くなったりする不整脈で、1分あたりの拍動が50回に満たなければ、徐脈と判定されることになります。

徐脈によって心臓が押し出す血液が減少すると、脳への血液供給量が減って、めまいや失神(しっしん)の症状を招くことがあります。
また、息切れ、倦怠感(けんたいかん)、心不全(しんふぜん)の症状を起こすこともあります。

次に頻脈性不整脈ですが、このタイプの不整脈は頻拍(ひんぱく)と細動(さいどう)に大別されます。
頻拍は、拍動が1分あたり100回以上、発生する不整脈であり、細動は電気信号が250回以上も発せられているにもかかわらず、そのあまりの速度に心臓がついていけず、拍動そのものは必ずしも速くはならず、規則性がなく弱いものになってしまいます。

頻脈性不整脈では胸がどきどきする動悸(どうき)、胸の痛みや不快感、失神によって意識を失うなど、種々の症状が起こり得ます。
また、細動は心房で起こる心房細動(しんぼうさいどう)と、心室で起こる心室細動(しんしつさいどう)があります。

心房細動は脳梗塞や心不全を起こすリスクが正常な人より数倍高く、心室細動は致死性不整脈(ちしせいふせいみゃく)で突然死を招いてしまう恐れがあります。
心室で頻拍が起こる心室頻拍(しんしつひんぱく)が、心室細動に移行してしまうこともあります。

そして期外収縮ですが、正常な拍動のあいだに、ときどく不規則な拍動が出現する不整脈です。
正常な場合、トン・トン・トン・トンとリズムよく動くのに対し、期外収縮ではトン・トン・トトンと速く打つ脈が出現したり、トン・トン・・トンと脈が一拍飛んだりするのが特徴です。

期外収縮は健常な人でも引き起こされる不整脈であり、多くの場合は治療の必要がなく、とくに心配する必要はありません。
ただし、100回の拍動のうち、期外収縮が10回以上出現するなど、高頻度の人に対しては、治療を行なわなければいけないことがあります。

期外収縮は、3タイプの不整脈のなかでも一番多く起こっている不整脈で、自覚症状がない場合もありますが、症状がある場合は胸の痛みや不快感、動悸、期外収縮の程度がひどかったり、頻度が高かったりすると、めまいや失神の症状が引き起こされることもあります。

また、期外収縮が引き金となり頻拍、細動など別のタイプの深刻な不整脈の引き金になることがあります。

期外収縮の原因

期外収縮の種類

不整脈の一種である期外収縮は、どこが発生源になっているのかによって、種類が違います。

心臓の上側に位置する心房が発生源になっている期外収縮は心房期外収縮(しんぼうきがいしゅうしゅく)または上室性期外収縮(じょうしつせいきがいしゅうしゅく)といい、心臓の下側に位置する心室が発生源になっている期外収縮のことは心室期外収縮(しんしつきがいしゅうしゅく)といいます。

この2種類の期外収縮のうち、心房期外収縮は右心房や左心房だけでなく、肺より心臓の左心房へと血液を運ぶ肺静脈(はいじょうみゃく)、上半身の血液を集めて右心房へと流れる上大静脈(じょうだいじょうみゃく)などが発生源となることが珍しくなく、心室期外収縮はとくに血液の流入および流出する部分、心臓の先端部分のことをさす心尖部(しんせんぶ)や、左心室と右心室を隔てる心臓の筋肉の壁の心室中隔(しんしつちゅうかく)が発生源になることがよくあることが知られています。

また、期外収縮には良性期外収縮(りょうせいきがいしゅうしゅく)、悪性期外収縮(あくせいきがいしゅうしゅく)というわけかたもあります。
良性期外収縮は心臓の病気、心臓や血管の機能に異常がない期外収縮、悪性期外収縮は心臓の病気、心臓や血管の機能に異常がある期外収縮です。

期外収縮が起こるしくみ

心臓は体全体へと血液を送り出すため、一定間隔の規則正しいリズムで収縮と拡張を反復しています。
心臓の右心房に存在する洞結節で電気が作り出されて心房の収縮を起こさせたあと、房室結節を経由して心室の収縮を起こします。

期外収縮は、洞結節とは別のところで電気が作り出されて、心臓へと伝えられる不整脈です。
心房で電気が作り出されれば心房期外収縮、心室で電気が作り出されれば心室期外収縮になる、というわけです。

また、期外収縮では洞結節で作り出される電気に比べて、早いタイミングで伝えられるため、脈を取るとトン・トン・トンと一定間隔で規則正しく打っているのではなく、ときどきトン・トン・トトンと速く打ったり、トン・トン・・トンと一拍脈が飛んだりというような異常が認められます。

期外収縮を起こす要素

まず、期外収縮の原因になるものとして、心臓の病気をあげることができます。
心筋梗塞(しんきんこうそく)や狭心症(きょうしんしょう)といった虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)、心筋症(しんきんしょう)、心臓弁膜症(しんぞうべんまくしょう)、心臓のポンプ機能の低下やや形態の異常を伴う心不全(しんふぜん)などをあげることができます。

心臓の病気がある場合には、期外収縮の原因となっている心臓の病気の治療を受ける必要があります。
ただ、心臓のポンプ機能や形態に問題がある病的な心臓だけではなく、健常な心臓にも期外収縮が起こることはあります。

心身のストレス、睡眠不足、疲労、過度なアルコールやカフェインの摂取、タバコの煙、ホコリなどが引き金となるケースがあります。

期外収縮の症状

脈拍の異常

正常な脈拍は1分あたり60~100回ほど、一定間隔で規則正しいリズムで打っています。

これに対し、期外収縮ではときどき速いタイミングで脈を打ったり、一拍あいたりすることがあります。

正常な脈拍がトン・トン・トン・トンと打つのに対し、期外収縮ではトン・トン・トトンと打ったり、トン・トン・・トンと打ったりするのが特徴です。

自覚症状

胸がどきどきする動悸、息切れ、胸の痛みや不快感のほか、期外収縮の程度がひどかったり、期外収縮が連発したりすると、めまいや一時的な意識の消失発作=失神を招くことがあります。

また、期外収縮から頻拍、細動のような別のタイプの深刻な不整脈に移行してしまうこともあります。
悪性期外収縮は移行のリスクが高いため、注意が必要です。

一方で、まったく症状を自覚することなく過ごしている人も多く、このような人が大半を占めています。

期外収縮の検査・診断

不整脈の自己チェックと医療機関へ行く場合の診療科

ほとんどの場合は治療の必要がなく、心配の要らない期外収縮ですが、命に関わるような深刻な不整脈に移行する恐れがあるということで、不安に感じている人もいるでしょう。

そのような人はまず、自分の脈をはかってみることをおすすめします。
脈をはかるのは簡単で、人さし指、中指、薬指の腹を、手首の内側の血管がよく透けている部分の、親指側にあててみましょう。

拍動を感じる部分が見つかるはずですので、しばらくはかってみてください。
トン・トン・トトンと速く打つことがあったり、トン・トン・・トンと一拍あいたりするような状態であれば、期外収縮を起こしている疑いがあります。

また、異常に速い(1分間に100回以上)場合は頻脈、異常に遅い(1分間に50回未満)場合は徐脈の疑いがありますので、医療機関を受診しましょう。
なお、病院へ行く場合、何科に行けばいいのか迷ってしまう人もいるでしょうが、内科、心臓内科、循環器科、循環器内科、不整脈科などへ行けば対応してくれます。

医療機関では以下のような検査を行ない、診断を行ない、治療方針が決定されています。

12誘導心電図検査

定期健康診断などでも行なわれている検査方法です。
ベッドに横になり、電極を手足と胸の必要な場所に取り付け、心臓が発する電気信号を器械が波形として出力します。

12誘導心電図検査では、12ヶ所の心電図を記録します。
安静にしているだけで痛みなどの苦痛を伴うことはなく、数分で終了します。

トレッドミル検査

運動負荷検査の一種であり、心電図や血圧を観察しつつ、段々に加速したり坂道になったりするベルトコンベア上を歩行する検査方法です。

歩行することによって心臓に負荷がかかり、安静時の心電図検査では確認できなかった異常が発見されることがあります。
所要時間は着替えや準備を入れて30分ほどです。

ホルター心電図検査

24時間連続で心電図を記録する検査方法です。
胸に電極を取り付け、小型軽量の装置を携帯し、心電図を記録します。
短時間での心電図検査では知り得なかった異常を発見するのに役立ちます。

装置が邪魔に感じたり、水に弱いため入浴や水泳などが制限されたりする以外は、苦痛に感じるようなことはありません。

イベント心電図検査

小型軽量の携帯可能な心電図器機を使用する検査方法です。
電極を体に貼って普通に生活し、症状が出現したタイミングでボタンを押すことにより、心電図の記録を行ないます。

ホルター心電図検査のように24時間装着したままというわけではないため、24時間以内に症状が出現しない、発生頻度の低い不整脈の人が受けるのに適している検査方法です。

心臓超音波検査(心エコー検査)

画像検査の一種で、高周波数の超音波を心臓に発し、返ってくる反射波=エコーを受け取り、心臓の様子を画像化して診断する方法です。
実際の検査ではベッドに横になり、超音波を発する装置=ブローブを体に当てて行ないます。

一緒に心電図もとることになるため、胸や手足に電極を取り付けます。
所要時間は20~30分程度であり、痛みなどの苦痛を伴うことはありません。

期外収縮の治療

どういう場合に治療が必要になる?

心臓の病気がなく、心臓や血管の機能に異常がない良性期外収縮で、期外収縮自体が低頻度の場合、無症状の場合はとくに治療を行なう必要はありません。
期外収縮が100回中10回を超えていても、心臓の病気がなければ、経過観察で問題ありません。

なお、経過観察というのは半年や1年に1回ほど、病状に変化がないか、心電図検査や血液検査で確認することをいいます。
また、薬などによる治療は行なわれなくても、生活指導を受けることがあります。

ストレス、運動、疲労、睡眠不足、過度なアルコールやカフェインの摂取、タバコの煙、ホコリなどが引き金になることがあり、期外収縮で動悸の症状がある人は、生活習慣の改善によって軽快することが珍しくありません。

心配ない期外収縮だとわかった場合には、気にし過ぎないことも大切です。
一方、期外収縮が高頻度な場合、低頻度でも症状が強く出ている場合、頻拍・細動のような深刻な不整脈の誘因になる場合には治療が必要になります。

また、心臓の病気が原因で不整脈になっている場合には、原因となっている病気を改善させるための治療が必要です。

薬物療法

ベータ遮断薬などの抗不整脈薬が使用されます。
薬は内服薬のほか、静脈注射薬が使用されることがあります。

人によっては向精神薬の一種である抗不安薬が選択されることもあるでしょう。
期外収縮の治療でどのような薬が使用されるかは、起こっている症状、本人の年齢、期外収縮が起こっている場所、心臓のポンプ機能や形態、心臓の基礎疾患、薬物による副作用など、いろいろな要素が考慮されています。

そして、1種類または複数種類の薬を組み合わせて治療が行なわれています。

カテーテルアブレーション

根治が見込める治療方法であり、カテーテルという細長い管を太ももの付け根から挿入し、血管を通じて心臓まで進めます。
そしてカテーテルの先端から高周波の電気を流すことにより、期外収縮の発生源となっているところを焼くことで、不整脈を起こさなくします。

高頻度で強い症状の心室性期外収縮に関しては、90%以上の成功率を誇っており、長々と薬剤の使用を行なうより安全性に優れているとも考えられています。
入院期間は本人の状態、不整脈の種類によって1~7日間程度、施術の所要時間は1~5時間ほどで個人差があります。

傷はカテーテルを挿入するための数mmしかなく、とくに問題がなければ治療を受けた次の日には起き上がって歩行することが可能です。

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