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ビタミンA欠乏症を詳細に:原因,症状,検査,治療など

公開日: : 最終更新日:2018/03/13 体力・栄養

ビタミンA欠乏症とは

ビタミンA欠乏症(びたみんえーけつぼうしょう)とは、栄養素の一種であるビタミンAの体内量が減少することにより、眼精疾患や皮膚疾患などを引き起こす病気です。

ビタミンAの摂取量が減少した場合に発症しやすく、発展途上国など栄養摂取状況がよくない国での発症率が高くなっています。
そもそもビタミンには水溶性と脂溶性の2種類があります。

水溶性ビタミンとしてはビタミンB群(B1、B2、B6、B12)・ビタミンC・ニコチン酸・ビオチン・パントテン酸・葉酸の9種類が存在しており、脂溶性ビタミンとしてはビタミンA・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンKの4種類があります。

脂溶性に分類されるビタミンAですが、さらにβ(べーた)カロテンとレチノールにわけられます。

βカロテン

βカロテンは植物性ビタミンAという別名があり、主に緑黄色野菜に豊富に含まれているビタミンAです。

緑黄色野菜に含まれるβカロテンはビタミンAとして含まれておらず、食事などで体内に入り、腸内で消化されるときにはじめてビタミンAに変化します。

しかし、βカロテンの体内への吸収率はレチノールと比較すると低く、油と同時に摂取することで吸収率がアップすることから、緑黄色野菜などからビタミンAを摂取する場合は野菜炒めやバターソテーなど料理に工夫を凝らすことがポイントとなります。

レチノール

レチノールはうなぎの蒲焼や動物のレバーに豊富に含まれているビタミンAで、緑黄色野菜に含まれるβカロテンよりも体内への吸収率に優れているという特徴があります。

βカロテンの体内吸収率が10~30%程度であることに対し、レチノールの体内吸収率は80~90%と非常に優れており、効率よくビタミンAを摂取するにはレバーなどを摂取すると効果的です。

ビタミンAは健康な体を維持するためには欠かせない成分で、体内の細胞の働きを正常に保つほか、細胞分裂には欠かせない成分でもあります。
とくに目の機能、皮膚や粘膜の機能、がんの抑制作用といった重要な役割を担っています。

目の機能を維持

目が正常に機能するには、光の明暗を感知するための杆体(かんたい)細胞と色彩を感知するための錐体(すいたい)細胞が正常に機能する必要があり、この2つの細胞の構成成分の一つにビタミンAの一種であるレチノールが含まれています。

そのため、ビタミンA欠乏症を発症すると目の機能が低下し、光の明暗の感知力が低下して夜盲症(やもうしょう)などを引き起こす場合があります。

皮膚・粘膜機能の維持

ビタミンAは免疫機能を担っており、皮膚や粘膜の機能を正常に維持するためには欠かせない成分です。

鼻、口、のど、肺、胃、腸などの粘膜や皮膚を、ウイルスによる感染症や傷からの体内侵入を阻止する役割を担っており、ビタミンA欠乏症を発症すると粘膜機能が低下して口内炎(こうないえん)や風邪(かぜ)を発症しやすくなるほか、肌荒れなどの肌トラブルを引き起こしやすくなります。

がんの抑制

ビタミンAの働きを研究するなかで、がんの抑制作用があることが解明されています。

ビタミンA欠乏症患者の肺がんの発症率は、正常な人と比べて5~7倍も高いというデータがあり、ビタミンAががんの発症率と大きく関係していることが解明されています。
なお、がんの抑制のためには、レチノールよりもβカロテンの摂取が望ましいとされています。

レチノールは過剰摂取すると頭痛や吐き気、肝機能障害などさまざまな症状や病気を引き起こす恐れがありますが、βカロテンは過剰摂取しても安全な成分であるため、がんの抑制に効果的とされています。

このように、ビタミンAは健康な体を維持するために欠かせない栄養素であり、ビタミンA欠乏症を発症すると日常生活に支障をきたすさまざまな症状が出現します。
そのため、日頃から積極的にビタミンAを摂取することが予防へと繋がる重要なポイントです。

ビタミンA欠乏症の原因

ビタミンA欠乏症の原因としては、ビタミンAの摂取不足と肝臓や腸の疾患をあげることができます。

ビタミンAの摂取不足

ビタミンAは体内で生成できない成分であり、食物を摂取することで体内に取り入れることができます。

ビタミンAは緑黄色野菜に豊富に含まれるβカロテンと、レバーなど動物性食物に豊富に含まれるレチノールの2種類がありますが、長期間にわたりビタミンAが含まれる食物を摂取しないとビタミンA欠乏症を発症します。

日本国内においては食物の摂取不足が原因とされるビタミンA欠乏症患者数はまずいないという状況にあり、主に栄養不足に陥りやすい発展途上国での患者数が多くなっています。

肝臓や腸の疾患

ビタミンAのうち緑黄色野菜に豊富に含まれているβカロチンは、野菜に含まれている時点ではビタミンAではなく、体内で消化・吸収される際にビタミンAへと変化します。

しかし、肝臓や腸に疾患がある場合、βカロテンがビタミンAへと変換されにくく、ビタミンAに変換されても吸収されにくいといった障害が起こることがあり、ビタミンA欠乏症を引き起こす原因となります。

主に胆管障害(たんかんしょうがい)や肝硬変(かんこうへん)、嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)、慢性下痢(まんせいげり)、十二指腸バイパス(じゅうにしちょうばいぱす)、膵機能不全(すいきのうふぜん)、ジアルジア症(じあるじあしょう)などを患っている人は、ビタミンA欠乏症を発症するリスクが高いです。

ビタミンA欠乏症の症状

ビタミンAは目の機能や皮膚・粘膜機能の維持には欠かせない栄養素の一種であり、ビタミンA欠乏症を発症すると夜盲症をはじめ、皮膚や粘膜、気管・消化管、生殖器、成長障害などの症状が現れます。

夜盲症

ビタミンA欠乏症を発症した場合、一番はじめに出現する症状が夜盲症です。
夜盲症とは鳥目とも呼ばれており、光の明暗の感受性が低下することで引き起こされる症状です。

目の機能を正常に保つためには網膜にある光の明暗を感知するための杆体細胞と色彩を感知するための錐体細胞が正常に機能する必要があります。
この2種類の細胞の構成成分の一つにビタミンAの一種であるレチノールが含まれており、ビタミンA欠乏症を発症することで目の機能が低下し、暗い場所では物が見えにくいといった夜盲症の症状が引き起こされます。

夜盲症を放置すると失明する恐れもあり、発展途上国における失明の原因として最多です。

皮膚・粘膜の症状

ビタミンAは皮膚や粘膜機能を正常に維持する役割を担っており、ビタミンA欠乏症を発症すると皮膚や粘膜にさまざまな症状が引き起こされます。
主な皮膚症状には、皮膚表面の上皮細胞が角質化し、肌がカサカサになる、肌荒れするといった肌トラブルがあります。

こういった肌トラブルは二の腕や太ももに引き起こされやすく、症状が悪化すると肩や腹部、背中、お尻の部分にも出るようになります。
また、湿疹を引き起こす場合や、色素沈着を引き起こす場合、脱毛を引き起こす場合もあります。

皮膚症状が悪化すると免疫力が低下し、皮膚炎を引き起こしやすくなります。
粘膜症状としては、目や口腔内の粘膜異常があります。

目の場合、涙の分泌量が減少し、一般にドライアイという病名で知られている眼球乾燥症(がんきゅうかんそうしょう)や眼球結膜乾燥症(がんきゅうけつまくかんそうしょう)など、主に乾燥症状が出現します。

症状が悪化すると角膜軟化症(かくまくなんかしょう)を引き起こし、角膜が破れて水晶体が飛び出し、最悪の場合は失明に至ります。
口腔内の症状としては口内炎(こうないえん)が挙げられます。

気管・消化管の症状

ビタミンA欠乏症を発症すると粘膜機能が低下し、気管支の上皮細胞粘膜に炎症を引き起こす場合があります。

また、消化管のうち胃粘膜に炎症を引き起こす場合もあり、食欲不振といった症状が出現することがあります。

さらに輸尿管や胆道の粘膜が角質化し、結石を生成する場合があります。

生殖器の症状

ビタミンA欠乏症を発症すると、男性の場合は輸精管の上皮変性や睾丸萎縮などの症状が引き起こされることがあり、女性の場合は子宮の粘膜が角質化することがあり、不妊症(ふにんしょう)を招くことにもなりかねません。

成長障害

妊娠中の女性がビタミンA欠乏症を発症した場合、胎児の成長に障害が出る場合があるほか、知的障害を引き起こす場合もあります。

その他の症状

ビタミンA欠乏症を発症した場合、味覚障害や聴覚障害、嗅覚障害を引き起こす場合があります。

ビタミンA欠乏症の検査

ビタミンA欠乏症を発症した場合、初期症状として夜盲症が引き起こされて、さらに進行すると皮膚症状や粘膜症状などが出現するようになります。

そのため、ビタミンA欠乏症の検査では最初に問診が行なわれて、次に暗順応試験や網膜電図検査といった眼の検査を行ない、最終的に血液検査を行ないます。

問診

問診では、ビタミンAの摂取状況を把握するために日々の食生活について確認が行なわれます。
また、この際に皮膚や粘膜などにビタミンA欠乏症の症状が出現していないか確認されます。

眼の検査

ビタミンA欠乏症を発症すると眼に症状が出現しやすいため、視力検査や視野検査などを行ない、視覚機能が正常であるかどうかを確認します。

また、ビタミンA欠乏症の初期症状である夜盲症が引き起こされているかを確認するために、暗所で光をどの程度感じることができるかを確認する暗順応試験を行ないます。
このほかにも網膜電図検査や、杆状体暗点測定といった検査を行ないます。

血液検査

血液検査では血液中のビタミンAの量を測定することができます。
血液中のビタミンAの濃度が30μmdl以下の場合、ビタミンA欠乏症のリスクが高まり、夜盲症を引き起こしやすくなります。

ビタミンA欠乏症の治療

ビタミンA欠乏症の治療では、ビタミンA製剤の摂取または食事療法が行なわれています。

ビタミンA製剤の摂取

ビタミンA欠乏症は、体内のビタミンA量が減少することで発症するため、ビタミンAをビタミンA製剤などで効率よく摂取することが効果的です。
ビタミンA製剤の摂取は内服薬で摂取する場合と、筋肉注射によって体内に直接注入する場合があります。

ビタミンA欠乏症の症状が進行している場合には、即効性を発揮する筋肉注射が効果的で、数時間で症状を改善させることができます。
基本的に内服薬や筋肉注射によるビタミンA製剤の摂取は数日から数週間ほど続けることで症状が改善されるため、そのあとはサプリメントなどでビタミンAを摂取するか、食事療法などを続けます。

ただし、ビタミンA製剤を摂取すると副作用を引き起こす場合があります。
急性症状として頭痛・めまい・嘔吐・吐き気・腹痛などが出現し、慢性症状として脱毛・便秘・倦怠感・食欲不振・頭痛などが引き起こされます。

食事療法

ビタミンA欠乏症の症状が軽いケースでは、食事療法に取り組むことによって改善することが可能です。
また、日頃からビタミンAを十分に摂ることを習慣化すると、ビタミンA欠乏症を未然に防ぐことにも繋がります。

ビタミンAは、レバーなど動物性食品に豊富に含まれるレチノールと、緑黄色野菜など植物性食品に豊富に含まれるβカロテンの2種類があります。

レチノールは体内への吸収率が80~90%と高く、動物性食品のなかでもレチノールの含有量が多い豚や鶏のレバーに関しては、摂取量に気をつけないと過剰摂取になり、頭痛や腹痛、吐き気などの症状が引き起こされることがあります。
一方、βカロテンは体内への吸収率が10~30%と低いため、緑黄色野菜を過剰摂取したとしても問題ありません。

また、緑黄色野菜を油で炒めるとβカロテンの吸収率がアップしますが、加熱しすぎると成分が破壊されてしまうため、長時間炒めないようにするといった工夫が必要となります。

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