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滲出性中耳炎を詳しく:原因・症状・検査・治療など

公開日: : 最終更新日:2018/05/13 耳の病気

滲出性中耳炎とは

耳の鼓膜(こまく)の奥には骨で囲まれたスペースがあります。
このスペースのことを中耳腔(ちゅうじくう)といい、ここには普通、空気が入っています。

そして中耳腔から鼻へと通じる管があり、この管のことを耳管(じかん)といいます。
耳管は鼻の奥にその口が開いていて、この部分のことを耳管開口部(じかんかいこうぶ)とよびます。

耳管は中耳腔の換気や中耳腔の炎症物質の排出などの役割を果たしていますが、反対に鼻やノドに生じた炎症が耳へ入り込む通路にもなります。

耳管はツバなどを飲み込むと開くしくみになっており、飛行機に乗っているとき、電車に乗っていてトンネルに入ったときに耳の圧迫感が起こり、ツバを飲み込むと圧迫感がなくなるのは、ツバを飲み込んだときに耳管が開いたことによって、中耳腔の中の圧力が適切にコントロールされるためです。

滲出性中耳炎とは、中耳腔に液体がたまっている中耳炎のことをいいます。
鼓膜を観察すると、たまった液体が鼓膜から透けて見え、鼓膜自体は中耳腔側にへこんでいることが多いです。
たまった液体は耳の外から入ってきたものではなく、中耳腔の中で産生されたものです。

炎症が耳管を経て中耳腔の中に達すると、中耳腔の細胞内より炎症性の液体がしみ出してきます。
この水のことを滲出液(しんしゅつえき)とよび、滲出液がたまっている状態を滲出性中耳炎とよびます。

このとき、耳管の機能が正常であれば、滲出液は耳管を経て鼻から抜けていくのですが、耳管の機能に異常があると滲出液が出ていかないのです。
このように、滲出性中耳炎は耳管の機能の異常と、耳管開口部周囲に生じる炎症によって起こります。

耳管開口部は鼻の奥に存在するため、鼻やノドに生じている炎症は、耳管を経由して中耳腔の中までおよび、その炎症が耳管の機能を低下させます。

そのため、急性副鼻腔炎、慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん)、急性咽喉頭炎(きゅうせいいんこうとうえん)、風邪(かぜ)、アレルギー性鼻炎(あれるぎーせいびえん)、アデノイド肥大(あでのいどひだい)といった病気はもれなく耳管の機能に悪影響をおよぼし、滲出性中耳炎を引き起こすリスクがあります。

一番よく起こっているのは、急性中耳炎が十分に改善されずに、鼓膜の内側に膿(うみ)が滲出液として残ってしまうことにより、滲出性中耳炎に移行するケースです。
急性中耳炎の場合、鼓膜は赤くはれた状態で、膿が貯留しているところが見られる場合も多いです。

一方、滲出性中耳炎はにごった状態で、鼓膜はへこんで暗く見えます。
また、滲出性中耳炎はこどもの難聴(なんちょう)の原因として最多を占めている病気でもあります。

3~10歳ごろまでに起こることが多く、こどもの場合は大部分が左右両方に起こります。
これに対し、大人の場合は左右の一方だけに起こることもあります。

滲出性中耳炎の原因

滲出性中耳炎は、中耳腔に滲出液がたまっている状態です。
この病気は一体なぜ起こってしまうのでしょうか。
以下にまとめていますので、気になるという方はぜひご一読ください。

滲出性中耳炎はどうして起こるの?

滲出性中耳炎は中耳腔に液体がたまっている状態です。
鼓膜を観察すると、鼓膜からたまっている液体が透けて見え、鼓膜自体は中耳腔側にへこんでいることがよく認められます。

なお、このたまっている液体は耳の外から入ってきたものではありません。
鼓膜に穴があいていない限り、水泳や洗髪で水やお湯がそこまで入ることはないのです。
たまっている液体は、中耳腔内で生み出されたものです。

炎症が耳管を通過して中耳腔の中に入ると、中耳腔の細胞の中から炎症性の液体がにじみ出てきます。
この液体のことを滲出液といい、滲出液がたまっている状態のことを滲出性中耳炎とよびます。

このとき、耳管の機能に異常がなければ滲出液は耳管を通過して鼻から排出されていくのですが、耳管の機能に異常があると、滲出液が排出されません。
このように、滲出性中耳炎の原因は、耳管の機能の異常と耳管の耳管開口部周囲の炎症です。

耳管開口部は鼻の奥に存在するため、鼻やノドの炎症は耳管を通過して中耳腔の中へと到達するほか、その炎症が耳管の機能を低下させます。

滲出性中耳炎が起こりやすい条件は?

風邪、急性・慢性副鼻腔炎、急性咽喉頭炎、アレルギー性鼻炎、アデノイド肥大などの病気は耳管の機能に悪影響をおよぼし、滲出性中耳炎を起こすリスクがあります。

ただ、一番多いのは急性中耳炎が十分に治りきることなく、滲出性中耳炎に移行してしまうケースです。
急性中耳炎で鼓膜の内側に膿が滲出液として残留してしまい、滲出性中耳炎になります。

そのほか、乳幼児に関しては人工栄養のこどもに滲出性中耳炎はよく起こっており、食べ物の好き嫌いがあるこどもも滲出性中耳炎にかかりやすいといわれています。

滲出性中耳炎の症状

耳管の機能低下や耳管開口部周囲に生じる炎症が原因となって、滲出性中耳炎は起こります。
中耳腔に滲出液がたまった状態になるのですが、これによってどのような症状が出現するのでしょうか。
ここでは滲出性中耳炎の症状について解説させていただきます。

滲出性中耳炎で起こる症状は?
強い毒性の細菌が原因となる急性中耳炎では激しい炎症が生じるために、激しい痛みや高熱の症状が出ることが多いです。
一方、滲出性中耳炎の場合の炎症は弱く、強い痛みや発熱の症状が起こることはほとんどありません。

滲出性中耳炎で一番出現しやすい症状は難聴です。
難聴は中耳腔の中に滲出液が貯留した状態で、音の伝わりがさまたげられてしまうために起こります。
ただ難聴の症状は、こどもが症状を言葉でうまく説明できないこともあります。

家庭ではテレビのボリュームが大きい、喋る声が大きい、声をかけたときに返事をしたり振り向いたりしない、電話で喋ることができない、耳が塞がっているような感じがすると話す、耳が痛いと話す、耳の中でガサガサと音が出る、頻繁に耳に手をやる、赤ちゃんでよく風邪にかかって不機嫌なことが多いといった具合に、こどもの異変に大人が気づいてあげることが早期発見・治療につながります。

大人の場合には、難聴のほかに耳が詰まる、声が響く、頭が重いなどの症状が起こります。
また、大人では滅多にないものの、上咽頭(じょういんとう)に生じた悪性腫瘍(あくせいしゅよう)の初発症状のことがあります。

滲出性中耳炎を放置するとどうなるの?

滲出性中耳炎を未治療のままにしておくと、鼓膜が中耳腔の壁にくっついた状態になる癒着性中耳炎に移行することがあります。

また、鼓膜が奥に入り込んで強い炎症や骨の破壊を起こして難聴、顔面神経麻痺(がんめんしんけいまひ)などの合併症を起こす真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん)に移行することもあります。

真珠腫性中耳炎は未治療でいると髄膜炎(ずいまくえん)や脳膿瘍(のうのうよう)を招いて、命に関わる恐れがあります。
滲出性中耳炎を放置したことによって移行する中耳炎は将来、手術を受けなければいけなくなることがあります。

滲出性中耳炎の検査・診断

滲出性中耳炎にあてはまるような症状が起こっている場合には、何科へ行けば良いのでしょうか。
また、病院へ行った場合、この病気が起こっていることをどのような方法で調べるのでしょうか。

以下にこのような疑問に対する回答となる情報をまとめていますので、参考にしていただければ幸いです。

受診に適した診療科は?

滲出性中耳炎を疑うような症状がある場合には、耳鼻咽喉科へ行きましょう。
この病気を放置していることにより、こどもは難聴によって学校で教師の話が聞き取りにくくなるため、落ち着きがなくなるなどして集中力が低下し、成績が悪くなることがあります。

また、ほかの生徒とのコミュニケーションにも支障をきたしてしまうこともあるでしょう。
そのほか、滲出性中耳炎は未治療のままでいると、数年~十数年が過ぎて、治療を受けてもなかなか改善しない難聴になってしまうリスクがあります。

また、成人後に大掛かりな手術を受けなければ改善しない中耳炎を起こすこともあります。
滲出性中耳炎から移行してなる中耳炎の中には、命に関わることもある病気も存在します。
そのため、滲出性中耳炎は早期に発見し、適切な治療を受けなければいけません。

なお、滲出性中耳炎は再発しやすい病気であり、治りにくい病気でもあります。
治療には数年間を要することもありますが、放置するのはやめましょう。

どうやって滲出性中耳炎にかかっていることを調べるの?

問診によって症状を確認し、電子ファイバースコープで鼓膜を観察します。

ほかに治療方針を決めることを目的に、難聴を確認するための聴力検査、鼓膜の位置や動きを調べるティンパノメトリー、耳管の開閉機能を確認する耳管機能検査、中耳を構成する乳突蜂巣(にゅうとつほうそう)の発育、副鼻腔炎やアデノイド肥大の有無などを確認するX線検査、耳管開口部やアデノイド肥大の状態、上咽頭癌(じょういんとうがん)の有無を確認する内視鏡検査が行なわれています。

乳突蜂巣の発育を確認することは、鼓膜チューブ留置術という治療を行なうかどうか判断するために役立ちます。

滲出性中耳炎の治療

滲出性中耳炎の治療は、貯留している滲出液を解消して聞こえをよくするための治療と、耳に悪影響をおよぼしている鼻やノドの病気に対する治療を一緒に行ないます。
以下に滲出性中耳炎の治療に関する情報をまとめていますので、どのような治療を受けるのか気になるという方はぜひご一読ください。

滲出性中耳炎は治る病気なの?

適切な治療が行なわれることによって、ほとんどの場合は完治します。
しかし、治療には2~3年間、場合によってはもっとかかることがあり、根気よく通院を続けなければいけません。

治療が不十分だと将来、入院や手術をしなければいけなくなる癒着性中耳炎や真珠腫性中耳炎に移行し、命に関わることもあります。
したがって、放置することなく早期発見・治療を受けることが重要です。

なお、こどもは大きくなって体が丈夫になると、中耳炎にかかりにくくなり、かかったとしても快復がはやくなります。

鼻・ノドの治療

薬剤を飲んだり吸入(ネブライザー)したりすることによって、鼻やノドを治療します。
アレルギーを抑制する薬剤とマクロライド系の抗生物質を長期間にわたって内服することもあります。
また、鼻水の吸引清掃も行なわれます。

通気治療

耳と鼻を繋いでいる耳管に空気を送り込みます。
こうすることによって、貯留した滲出液が出ていくように促すことが可能です。
また、耳管の機能を良くする効果を期待することもできます。

鼓膜切開術

鼓膜麻酔をほどこしたあと、鼓膜切開刀を使って小さな切開を行ないます。
鼓膜に小さく穴をあけることによって、貯留した滲出液を排出させます。

ただ、多くの場合、滲出液はねばっこいため、吸引することによって取り除く形になります。
鼓膜切開術を行なうことにより、難聴の改善効果のほか、中耳腔の換気をすることによって炎症の解消を狙います。

なお、鼓膜切開術を行なうと鼓膜に小さな穴が残りますが、この穴は数日間で自然に塞がってしまいます。
鼓膜切開術では痛みはほぼ感じず、外来で行なうことも可能です。

鼓膜チューブ留置術

何度も鼓膜を切開しても滲出液が貯留する場合、鼓膜切開部に小さなシリコンやテフロンのチューブを挿入します。
鼓膜の穴が閉鎖して再び滲出液が貯留するのは、中耳腔へと空気が入っていかないのが理由です。

そのため、鼓膜切開を行なったあとの通気治療がこのような場合には重要です。
チューブには鼓膜切開後の穴が閉じないようにする効果があります。

数ヶ月~1年間以上、閉じていない状態を維持することができ、薬や処置で改善しないひどい滲出性中耳炎でも80%程度は良くなります。

ただ、再発を招くと再度、鼓膜チューブ留置術を行なわなければいけなくなることもあります。
チューブの直径はわずか1mmしかありませんが、これだけで換気は十分にすることが可能です。

なお、チューブの挿入は鼓膜切開によって滲出液を吸い出したあとに行ないます。
外来でも可能な治療方法ですが、場合によっては入院をして、全身麻酔をほどこして鼓膜チューブ留置術に取り掛かることもあります。

たいていチューブは自然にとれますが、そうでない場合は滲出性中耳炎の病状を見て抜く場合もあります。

チューブを抜く処置は外来で簡単にすることが可能です。
また、鼓膜チューブ留置術では鼓膜に穴を作りますが、その穴はその後にほどこされる処置によってほとんど閉鎖します。

治療上の注意事項

なかなか良くならないということで、途中で通院をやめてはいけません。
そのことが原因でさらに滲出性中耳炎を悪化させてしまうことになりかねないためです。

医師が完全に治ったと判断するまで、根気よく通院を続けましょう。
また、風邪をひかないように抵抗力を上げることも大切です。
風邪をひくことで滲出性中耳炎が再発するリスクがあるためです。

もし風邪をひいてしまった場合には耳鼻咽喉科で適切な治療を受けましょう。
また、鼻すすりの癖は滲出性中耳炎の原因になるため、直すに越したことはありません。

指しゃぶりも同じく滲出性中耳炎の原因になるため、やめたほうが良いでしょう。
有害物質が多く含まれているタバコの煙は、滲出性中耳炎悪化の一因です。
禁煙するか、こどもの近くでの喫煙をやめましょう。

なお、タバコをやめることは滲出性中耳炎の悪化を防ぐだけでなく、悪性腫瘍など多くの病気のリスクを高めてしまうことを防ぐ効果を期待することもできます。

そのほか、治療中は原則、プールに入ることは制限されます。
ただ、軽症で医師の許しがあれば入れることもあります。

なお、鼓膜チューブ留置術を受けたあとは、医療用の耳栓をつけることによってプールなどで泳ぐことは可能です。
ただし、飛び込んだり、深く潜ったりしてはいけません。

滲出性中耳炎の予防

滲出性中耳炎を防ぐのに効果的な方法はあるのでしょうか。
ここでは、このような疑問をお持ちの方のため、滲出性中耳炎の予防に関する情報を提供します。

滲出性中耳炎を防ぐには?

この病気を予防するには、鼻やノドに炎症が生じないようにすることです。
風邪をひいたときには耳鼻咽喉科で受診し、せき、鼻水の症状を長引かせないようにしましょう。

鼻すすり、指しゃぶりをやめる、正しい鼻のかみかたを教えてあげる、食べ物の好き嫌いをなくする、母乳栄養で育てるのも効果的です。

また、こどもの様子をよく見て、急性中耳炎や滲出性中耳炎の早期発見・治療を受けることが大切です。

再発を招きにくくなる年齢があるって本当?

こどもは大きくなって体が丈夫になると、中耳炎が起こりにくくなるだけでなく、発症しても病状が早く改善するようにもなります。

再発しにくくなる年齢があるのかということに関してですが、平均で8歳ごろになると滲出性中耳炎の再発を招きにくくなるといわれています。

ただ、完全に再発しなくなるということではありませんので、滲出性中耳炎の原因になるような要素は徹底的に排除するに越したことはありません。

滲出性中耳炎はいったん起こると治療が長期間にわたることが多い病気であり、放置していると入院手術が必要で、命に関わることもある中耳炎に移行する場合があるほか、一度は完治しても再発を招いてしまうリスクが高い病気でもあります。

気になる症状がある場合は放置することなく耳鼻咽喉科で受診し、根気よく通院を続けることが大切といえるでしょう。

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