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角膜びらんを詳しく:原因・症状・検査・治療など

公開日: : 最終更新日:2018/10/23 目の病気

角膜びらんとは

角膜(かくまく)は、一般に黒目とよばれているところです。
眼の外側部分を形成している透明の膜で、光を眼の中へと通す役割などを担っています。
角膜の厚さは0.5mmで、5層構造です。

表面から順番に角膜上皮(じょうひ)、ボーマン膜、角膜実質(じっしつ)、デスメ膜、角膜内皮(ないひ)といいます。

角膜びらん(かくまくびらん)は、角膜上皮障害の一つであり、角膜の最も表面にある角膜上皮がめくれてしまった状態です。

角膜上皮は基底層(きていそう)から表層まで5~6層の細胞からなっています。
上皮の一部がめくれた状態のことをびらんといいます。

皮膚とは異なり、角膜には血管が通っていないため、出血を起こすことはありません。
ただし、ひどい場合はするどい痛みを感じ、充血して涙が出ます。

異常なまぶしさを感じることも多いです。
再発を招くことがあるほか、起床時に起こりやすいというのも、特徴の一つです。

再発を確実に防ぐ手段がないことも、この病気のやっかいなところです。
なお、感染症を併発しない限り、失明してしまうリスクはほぼないです。

眼がゴロゴロするなどの違和感が消えないといった症状があれば、角膜びらんを起こしているかもしれません。
気になる症状がある場合には、放置することなく眼科へ行きましょう。

角膜びらんの原因

角膜びらんは単純性角膜びらん(たんじゅんせいかくまくびらん)と再発性角膜びらん(さいはつせいかくまくびらん)に大きくわけることができます。

単純性角膜びらんと再発性角膜びらんは、それぞれに違った原因があります。

単純性角膜びらんの原因

単純性角膜びらんは、再発を繰り返さないタイプの角膜びらんです。
主な原因の一つとして、外傷をあげることができます。

手のツメで角膜をひっかく、さかさまつげ、紙などの異物が眼に混入することなどで生じるすり傷がきっかけで起こります。

いまはネイルアートをしているなど、必要以上に手のツメが長い方が多く、気をつけなければいけません。
また、不適切なコンタクトレンズの取り扱いによって、単純性角膜びらんが起こることもあります。

たとえば、1日使い捨てタイプのコンタクトレンズを外さないまま眠ることや、14日間や30日間で交換するコンタクトレンズなどでこすり洗いを十分に行なっていなかったことなどが原因になります。
ほかには、眼の乾燥によって角膜びらんが起こることがあります。

パソコン操作で長時間モニターをみつめていることによる乾燥、エアコンの運転による乾燥などをあげることができます。

このような条件ではまばたきの回数が少なくなり、眼が乾いて角膜を傷つけやすくなり、びらんが起こりやすくなるのです。

また、顔面の神経がマヒすることなどにより、眼を閉じることができなくなり、絶えず眼をあけた状態になることを兎眼(とがん)といいます。
兎眼により眼が乾燥するため、角膜びらんが起こります。

季節では夏場に比べて冬場は空気が乾燥しやすく、発症する方が多くなるといわれています。

再発性角膜びらんの原因

再発性角膜びらんは、治療をしても再発を繰り返すタイプの角膜びらんです。
数日~数ヶ月で再び角膜上皮がめくれてしまうことが多いです。

再生を追いつかず、角膜上皮の全層がめくれて欠損部分が生じてしまうこともあります。
角膜の傷が深い場合にこのような状態におちいりやすくなります。
原因としては手のツメや紙などによる外傷がまず一つ。

このほかの原因としては、角膜ジストロフィ(かくまくじすとろふぃ)という病気をあげることができます。
遺伝が原因であり、両目の角膜がしだいに白く濁っていく病気です。

そのほか、糖尿病(とうにょうびょう)にかかっている方は、かかっていない方と比較して、角膜びらんが治りにくく、再発を招くリスクが高いです。

角膜びらんの症状

角膜びらんを起こすと、眼のさまざまな症状が出ます。
症状は軽いこともあれば、重いこともあります。

角膜びらんで出現する症状

眼がゴロゴロする、眼が痛む、眼が充血する、涙が出る、まぶしさ、視力低下といった眼の症状が起こります。
ただし、目やには少ないです。

めくれ具合が軽い場合には、多くの場合1~2日ほどで傷が治ります。
ごく軽症では、起床時に発症して、昼過ぎにはよくなってしまうこともあり、症状も少し眼が痛む程度で本人に自覚がないこともあります。

これに対して、再発性角膜びらんの方は、上記の眼の症状が強く出る傾向があり、起床時に急に起こるのが特徴です。
再発性角膜びらんの場合、傷が完全に治るまでに、1~2ヶ月間を要します。

角膜びらんの検査・診断

角膜びらんで出現する眼の症状は、別の眼の病気によっても出現し得ます。
そのため、症状だけで自己判断するのは困難です。

眼科で受診をして、角膜びらんなのか別の眼の病気なのかをあきらかにしましょう。

角膜びらんを調べる方法

細隙灯顕微鏡検査(さいげきとうけんびきょうけんさ)が行なわれています。
細隙灯顕微鏡という装置を使用し、眼に光をあてて角膜を含む前眼部(ぜんがんぶ)を拡大して観察します。

光をあてたときのまぶしさはあるものの、痛みなどの苦痛を伴うような検査ではありません。

再発を繰り返すタイプでは、角膜ジストロフィや糖尿病について、血液を採取して調べる場合があります。

角膜びらんの治療

角膜びらんは、単純性角膜びらんなのか、再発性角膜びらんなのかによって治療方法が異なる場合があります。
治るまでにかかる期間も、単純性角膜びらんと再発性角膜びらんでは違いがあります。

単純性角膜びらんの治療

ごく軽症の方に対しては、感染を防ぐことを目的に、抗菌の目薬をさすだけになることもあります。
ただ、このようなケース以外では普通、抗菌薬の軟膏を眼に塗って、眼帯を装着します。

角膜びらんの大きさによって治るまでの日数は変わってきますが、数日間でよくなることが多いです。

再発性角膜びらんの治療

1回1回の治療は単純性角膜びらんと変わりません。
ただ、再発性角膜びらんは痛みが激しく、一度はよくなってもすぐに再発を招くこともあります。

そのため、連続装用が可能な治療用ソフトコンタクトレンズを装用することにより、角膜とまぶたが直接に接触するのを防ぐ方法が選択されることもあります。

そのほかの治療

角膜びらんでは先述のとおり、点眼薬をさしたり眼に軟膏を塗布したりします

目が覚めて眼をあけた瞬間に角膜上皮がめくれることが多いため、就寝前に薬を使います。
そうすることにより滑りがなくなって、眼をあけたときに角膜がまぶたにくっつくことを避けることが可能です。

そのほか、めくれた部分を細い針でつつくことで、細胞の再生を促進する手術、レーザーで悪くなった細胞を除去する手術などもあります。

角膜びらんの予防

角膜びらんを起こす原因には、さまざまなものがあります。
日常生活の中で原因をできるだけ排除できるようにしたいところです。

コンタクトレンズを適切に取り扱う

角膜びらんの原因として多いのが、コンタクトレンズの不適切な取り扱いです。

コンタクトレンズを取り扱うときには事前に必ず手を洗う、十分にこすり洗いを行なう、レンズケースの洗浄と乾燥を徹底する、12時間以上装用しない、つけたまま寝ない、使い捨てソフトコンタクトレンズの再装用をしない、使用期限を過ぎてソフトコンタクトレンズを使用しない、3ヶ月に1回の定期検査を受けることが大切です。

コンタクトレンズとメガネを併用し、眼の異常を感じたときにはコンタクトレンズを外します。

コンタクトレンズの処方は眼科専門医のいる医療機関で受けましょう。
上記のことを実践するのは、角膜びらんだけでなく、ほかの眼の障害の予防にも効果的です。

眼の乾燥を防ぐ

眼の乾燥は角膜びらんの主な原因の一つです。
こまめに人工涙液の目薬をさす、まばたきの回数が減少しがちなパソコン作業時などでは意識的にまばたきをする、エアコンによる乾燥対策として加湿器を使用することなどが効果的です。

生活習慣の見直しをする

糖尿病にかかると、糖尿病にかかっていない方より角膜びらんが治りにくく、再発するリスクが高まります。

糖尿病予防のポイントは、肥満を予防することです。
BMI(Body Mass Index)22が最も病気にかかりにくく、25を超えると糖尿病などの多くの病気にかかるリスクが高まります。

体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))でBMIは計算することが可能です。
数値が高かった場合には食事や運動など、生活習慣の見直しに取り組みましょう。

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