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ぶどう膜炎を詳しく:原因・症状・検査・治療など

公開日: : 最終更新日:2018/08/18 目の病気

ぶどう膜炎とは

眼球はその内側に存在する虹彩(こうさい)・毛様体(もうようたい)・脈絡膜(みゃくらくまく)という3種類の膜で構成されています。

眼のしくみはよくカメラにたとえられます。
虹彩はカメラの絞りにあたり、まわりの明るさに応じて瞳孔(どうこう)の大きさを調節する役割を担っています。

毛様体は、その筋肉でカメラのレンズにあたる水晶体(すいしょうたい)の厚みを調節してピント合わせを行なったり、房水(ぼうすい)を産生することによって眼球内に栄養を与える役割を担っています。

そして脈絡膜ですが、この膜は血管が豊富で、その血管を流れる血液が網膜(もうまく)へと酸素や栄養を送り込んでいます。
これらの組織の総称のことをぶどう膜とよび、眼球全体を包み込むようにひろがっています。

球形をしており、ぶどうの実のような色をしているため、ぶどう膜という名前が付いています。
そしてこのぶどう膜に生じる炎症のことを、ぶどう膜炎(ぶどうまくえん)といいます。

ぶどう膜炎は眼の中に生じる炎症であり、内眼炎(ないがんえん)という名前でよばれることもあります。
その原因によっては失明を招く恐れのある重症のものもある病気です。

体の表面に起こる病気は良くなるのもはやいのですが、体内の病気は治りが遅い傾向があります。
ぶどう膜炎は眼の中、つまり体内の病気であるため、数日間~数週間で良くなることは少ないです。

数ヶ月間~数年間、病気次第では持病として向き合っていく必要があるものもあります。

ぶどう膜炎の原因

ぶどう膜炎の原因はさまざまです。
かつて国内で多かったのは原田病・サルコイドーシス・ベーチェット病であり、日本における三大ぶどう膜炎とよばれていました。

しかし、ベーチェット病が順位を落とし、かわりに急性前部ぶどう膜炎(きゅうせいぜんぶぶどうまくえん)が三大ぶどう膜炎の中に入った年があります。

ほかにはヘルペス虹彩毛様体炎(へるぺすこうさいもうようたいえん)や、強膜炎(きょうまくえん)がぶどう膜炎の原因疾患として上位に入った年があります。

また、原因となる病気が不明な分類不能のぶどう膜炎が多くの割合を占めており、ぶどう膜炎と診断された人の3人に1人が原因疾患が不明といわれています。

ぶどう膜炎は原田病・サルコイドーシス・ベーチェット病のように細菌・ウイルス感染、真菌(しんきん)、寄生虫などが原因となることや、強膜炎のように感染に加えて免疫異常が原因になることがあります。
そのほか、外傷や癌(がん)もぶどう膜炎の要因として含まれます。

原田病

自己の正常な色素細胞をターゲットにして排除しようと働く自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)です。

自己免疫疾患というのは、本来は体に入ってきた異物を排除して体を保護する免疫機能が、間違って自分の体の正常な組織をターゲットにして排除しようと働いてしまう病気のことです。

色素細胞に富む場所に炎症が生じ、ぶどう膜炎と前後して、発熱、のどの痛み、耳鳴り、難聴(なんちょう)、めまいなどの症状が出たり、髄膜炎(ずいまくえん)が重なって起こり激しい頭痛に見舞われたりします。

その後、皮膚が部分的に白く変色したり、髪が抜け落ちたり白髪になったりします。
頭の地肌がピリピリするなどの不快症状も出現します。

サルコイドーシス

体中のあらゆる場所に肉芽腫(にくげしゅ)が発生する、原因がはっきりとしていない慢性疾患です。

肉芽腫というのは、細菌に侵される、炎症などによって損傷したところが回復していく中で起こる、正常な免疫反応です。

ところが、この肉芽腫自体が炎症を生じさせたり、消失することなくまわりの組織を繊維化させるため、病気が起こります。

サルコイドーシスではぶどう膜炎以外に皮膚、リンパ節、心臓、脳、肺、腎臓といったいろいろな場所に悪影響がおよびます。

ベーチェット病

眼、皮膚、粘膜、内臓、血管、神経などに炎症が生じる全身性の自己免疫疾患で、原因は解明されていません。

症状が出たり良くなったりを繰り返します。
体の中の異物を排除する際に集まってくる白血球が、異物が存在していないにも関わらず集まってくることで炎症が生じます。

ベーチェット病ではぶどう膜炎のほか、再発性アフタ性口内炎(さいはつせいあふたせいこうないえん)・毛膿炎様皮疹(もうのうえんようひしん)・外陰部潰瘍(がいいんぶかいよう)が主な症状としてあり、ベーチェット病の四大症状とよばれています。

強膜炎

眼の白目部分の強膜に生じる炎症です。
関節リウマチ(かんせつりうまち)・全身性エリテマトーデス(ぜんしんせいえりてまとーです)といった自己免疫疾患のほか、サルコイドーシス・梅毒(ばいどく)・結核(けっかく)・痛風(つうふう)といった全身性の炎症性疾患、局所の感染などによって起こりますが、多くの場合は原因がわかりません。
左右の一方の眼だけに起こることもあれば、左右の両方の目に起こることもあります。

急性前部ぶどう膜炎

眼球の前の部分である虹彩や毛様体に突然、激しい炎症を起こすぶどう膜炎です。
左右の一方の眼に突然に起こります。

白血球の型が影響するものや、関節リウマチ・潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)・クローン病(くろーんびょう)のような自己免疫疾患と影響しあって起こることがあります。

ヘルペス虹彩毛様体炎

ヘルペス1型、ヘルペス2型、水痘(すいとう)・帯状疱疹(たいじょうほうしん)ウイルスによって起こる虹彩毛様体炎です。
虹彩および毛様体に炎症が生じてはれたり充血を起こしたりする病気です。

眼の前方にある虹彩や毛様体に生じる炎症のため、前部ぶどう膜炎(ぜんぶぶどうまくえん)ともよばれています。

近年増加しているぶどう膜炎

臓器移植を受けたあとに免疫抑制剤を服薬している人や、エイズで免疫力が落ちている人が、通常であればまず感染しないウイルスに感染して起こるぶどう膜炎が増加しています。

強い自覚症状が出ないまま重症化することがあり、警戒が必要です。

ぶどう膜炎の症状

ぶどう膜炎は原田病・サルコイドーシス・ベーチェット病・急性前部ぶどう膜炎・強膜炎・ヘルペス虹彩毛様体炎など、多くの病気が原因となって起こり得る眼病です。

また、原因疾患のわからないぶどう膜炎が高い割合を占めており、ぶどう膜炎と診断が下された人の3人に1人は原因疾患が不明といわれています。
ぶどう膜炎を起こしてしまった場合には、果たしてどのような症状が出現するのでしょうか。

ここでは、ぶどう膜炎の症状について解説させていただきますので、どういう症状が出るのかなど、気になっていることがある人はぜひご一読ください。

ぶどう膜炎で出現する症状

霧視(むし)といって、視野に霧がかかったような見えかたになる症状や、飛蚊症(ひぶんしょう)といって視野に虫が飛んでいるように見える症状、羞明感(しゅうめいかん)といってまぶしく感じる症状があります。

ほかには、視力が下がる、眼が痛む、充血を起こす、涙っぽい、物がゆがんで見える、物が小さく見えるといった症状もぶどう膜炎の症状として含まれます。
ぶどう膜炎は失明にいたってしまうこともある、決して軽視してはいけない病気です。

ぶどう膜炎の合併症

白内障(はくないしょう)・緑内障(りょくないしょう)・硝子体混濁(しょうしたいこんだく)・網膜前膜(もうまくぜんまく)・嚢胞様黄斑浮腫(のうほうようおうはんふしゅ)といった合併症が起こるリスクがあります。
高頻度で合併症は生じ、そのせいで眼の機能が著しく悪化してしまう恐れがあります。

ぶどう膜炎はどちらの眼に起こるのか

何が原因となってぶどう膜炎が起こっているのかによって違いがあります。
左右の一方の眼だけに起こることもあれば、左右両方の眼に起こることもあります。
また左右の眼にかわるがわる症状が出ることもあります。

ぶどう膜炎の症状はどのように変化するのか

だんだん病状が悪化していくぶどう膜炎もあれば、一時的に症状が改善して再び悪化する寛解(かんかい)・再発を反復するぶどう膜炎もあります。

ぶどう膜炎の検査・診断

ぶどう膜炎は失明を招くこともある眼病です。
この病気にあてはまるような気になる症状がある場合には、放置することなく医療機関で受診しましょう。

1日も早く治療をはじめなければ失明にいたる病気もあります。
ここでは受診に適した診療科や、この病気を調べる方法について説明させていただきます。

受診に適した診療科

ぶどう膜炎はすでに述べたとおり、眼の中に起こる病気です。
そのため、この病気を疑うような症状が起こっている場合には眼科へ行けば対応してくれます。

眼の症状は生活に支障がなければ放置してしまう人もいますが、ささいなことでも医療機関へ行って相談したほうが良いです。
早期発見・治療を受けることにより、失明を回避できる確率が高まります。

ぶどう膜炎にかかっていることをどうやって調べるのか

ぶどう膜炎を起こしていることを突き止めるためには、まずぶどう膜のどこにどのような炎症が生じているのかを探ります。

そのため、眼底(がんてい)検査を含む一般的な眼科検査を受けることになります。

そして蛍光眼底造影(けいこうがんていぞうえい)検査またはICG赤外線(あいしーじーせきがいせん)眼底造影検査という、造影剤を注入して眼底の写真を撮影する方法によって、どのような形で炎症が生じているのかを把握します。

血液検査や胸のレントゲン撮影、ツベルクリン反応検査を受けることもあります。

さらに、起こっている病気次第では眼の炎症が生じている部分から組織が採取されて、詳しく観察される場合や、特殊検査を受けなければいけないこともあります。

こうした検査の結果を総合的に見て、ぶどう膜炎を起こしていることが判断される形になります。

ぶどう膜炎の治療

ぶどう膜炎が起こっていることがわかった場合に、医療機関ではどのような治療が行なわれているのでしょうか。
また、治療を受けているあいだはどのような点に気をつければ良いのでしょうか。
以下にぶどう膜炎の治療に関する情報をまとめていますので、参考にしていただければ幸いです。

ぶどう膜炎の治療方法

ぶどう膜炎は多くの場合、原因となる病気がわかりません。
したがって、治療の狙いは炎症を抑制し、視力障害を起こす合併症を阻止することです。

局所療法としては、炎症を抑制する副腎皮質ステロイド薬が効果を発揮します。
点眼薬を使用する場合や眼のまわりの組織に注射する場合があります。

副腎皮質ステロイド薬の使用を中止したあとには、非ステロイド性抗炎症薬を使います。
また、散瞳薬(さんどうやく)という薬を点眼して虹彩の癒着を食い止め、虹彩・毛様体のうっ血(けつ)をなくし、安静を保って痛みを緩和できるようにします。

眼の奥の炎症が激しい人に対しては、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制剤を全身投与します。
副腎皮質ステロイド薬は病状が良くなることと連動させて少しずつ減薬していきます。

そのほかぶどう膜炎の合併症に関しては、内科的療法で改善しない場合には手術を受けなければいけません。

治療上の注意事項

先述のとおり、副腎皮質ステロイド薬は病状の改善と共に少しずつ使用量を減らしていきます。
ただ、自己判断で急に薬を極端に減らしたり、中止してしまったりするのは絶対にやめましょう。

再び炎症がひどくなるだけでなく、命を落とすショック症状を招いてしまうことにもなりかねません。
また、薬の不適切な使用や勝手に通院をやめてしまうことは、病状を悪化させてしまうなど、その後の経過に悪影響しかありません。

医師の指示を守って通院を続け、適切な薬剤による治療を受けることが欠かせません。
そのほか、普段の暮らしの中では、ぶどう膜炎がひどくなった状況を記憶しておき、その状況を回避すること、回避ができないときには十分に警戒することが重要です。

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