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眼球突出を詳しく:原因・症状・検査・治療など

公開日: : 最終更新日:2018/10/31 目の病気

眼球突出とは

眼球突出(がんきゅうとっしゅつ)とは、眼球が前方に飛び出ているように見える状態で、甲状腺(こうじょうせん)の病気など、さまざまな病気が原因となります。

左右の眼球のうち、片方だけが前に飛び出ているような状態になるケースもあれば、両方が前に飛び出ているような状態になるケースもあります。

眼球突出の状態では、眼の角膜が空気中にさらされるために、眼の強い乾きなどを感じます。

視神経が圧迫を受けることによって、失明にいたってしまうリスクもあります。
診断は眼球の飛び出し具合を測定するほか、原因となっている病気に関する検査も行なわれています。

眼球突出の治療方法は、原因によって内科治療が選択されることもあれば、外科治療が選択されることもあります。
なお、眼球突出の確実な予防方法というものは存在しません。

眼球突出の原因

眼球突出は甲状腺の病気をはじめ、さまざまな病気が原因となって前に左右の一方または両方の眼球が前に飛び出ているように見えるようになります。

眼球が入っている骨で取り囲まれたスペースを眼窩(がんか)といいますが、このスペース内の脂肪組織が増加したり、眼球の向きを変える役割を担っている筋肉の外眼筋(がいがんきん)に炎症が生じてはれたりして、眼窩の中の圧が上昇して眼球が前方へと押し出された状態になります。

左右両方の眼に起こる眼球突出の原因は?

眼球突出は片方の眼だけに生じることもあれば、両方の眼に生じることもあります。

両方の眼に生じる眼球突出の原因となる病気で最多の割合を占めているとされているのは、甲状腺眼症(こうじょうせんがんしょう)です。

外眼筋に炎症が生じることでも、左右両方の眼が前方に飛び出ているように見える状態になることがあります。

また、生まれつきの骨の発達障害によって、左右両方の眼に眼球突出が起こることもあります。

左右どちらかのみの眼に起こる眼球突出の原因は?

左右片方の眼だけに生じる眼球突出の主な原因は、眼窩蜂窩織炎(がんかほうかしきえん)、眼窩腫瘍(がんかしゅよう)です。

内頚動脈海綿静脈洞瘻(ないけいどうみゃくかいめんじょうみゃくどうろう)によって眼球突出は起こり、外傷を負うことも原因になります。

甲状腺眼症

首の全部、のどぼとけのすぐ下に存在する蝶のような形をしている臓器のことを甲状腺といいます。

甲状腺は甲状腺ホルモンという、新陳代謝を促すホルモンの分泌を行なうなどの役割を担っている臓器です。
甲状腺眼症は、この甲状腺の機能に異常がある方に起こることがあります。

主な病気としては、甲状腺ホルモンが過度に分泌されてしまう病気の、甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)をあげることができます。

甲状腺機能亢進症はバセドウ病(ばせどうびょう)ともいって、男性が占める割合が1に対し、女性が占める割合が5と、圧倒的に女性でかかっている方の多い病気です。

また、甲状腺機能亢進症は、年齢では20~30歳代に多く起こっています。

逆に甲状腺ホルモンが十分に分泌されない甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)によっても、甲状腺眼症は起こることがありますし、甲状腺機能に異常がない方でも甲状腺眼症を招くことがあります。

なお、甲状腺機能低下症は橋本病(はしもとびょう)ともいいます。
甲状腺機能低下症は甲状腺機能亢進症と同じく男性と比較して女性がかかっている割合が高く、男性と比較して女性は20倍多いです。

また、甲状腺機能低下症は年齢では50歳代に多く起こっている病気です。
甲状腺眼症の原因は、自己免疫の異常とされています。

眼窩蜂窩織炎

眼窩の脂肪組織が細菌感染を起こし、炎症が生じた状態のことを眼窩蜂窩織炎といいます。
眼窩蜂窩織炎は、眼窩蜂巣炎(がんかほうそうえん)ともよばれています。

主に黄色ブドウ球菌(おうしょくぶどうきゅうきん)、肺炎連鎖球菌(はいえんれんさきゅうきん)が原因となって起こります。

小児に多く起こる病気のため、重症化するリスクが高いです。
眼窩蜂窩織炎は、手遅れになれば命を危険にさらすことになる恐れもあります。

眼窩腫瘍

眼窩内に発生する腫瘍の総称です。
腫瘍は良性腫瘍(りょうせいしゅよう)のこともあれば、悪性腫瘍(あくせいしゅよう)のこともあります。
腫瘍が発生する正確な原因は未だ解明されていません。

眼窩にできる癌(がん)は、周囲にひろがり出血や呼吸困難などによって命を落としてしまうこともあります。

内頚動脈海綿静脈洞瘻

海綿静脈洞という、脳からの静脈が集合してくる場所が眼窩の後方、脳の下方に存在しています。
この場所には眼球と眼窩の静脈も流入してきています。

海綿静脈洞を内頚動脈という脳への動脈が走っていますが、この動脈から海面静脈洞へ出血を起こすことがあり、これを内頚動脈海綿静脈洞瘻といいます。

出血によって海面静脈洞の圧が上昇し、眼球、眼窩の静脈内に血液がたまり、さらには逆方向へと流れていくことによって、眼球突出などの症状が起こります。

動脈瘤(どうみゃくりゅう)の破裂や、外傷を負ったことにより血管の壁が破けることで、内頚動脈海綿静脈洞瘻が起こります。

失明にいたったり、脳梗塞(のうこうそく)を起こしたり、脳出血(のうしゅっけつ)によって深刻な後遺症を残したりすることもあります。

眼球突出の症状

眼球突出は、眼球が前方に飛び出ているように見える状態です。
何が原因で起こるのかによって、突出のしかたに違いがあります。

また、眼球が前に飛び出ているように見える状態になること以外にも、さまざまな症状が起こり得ます。

原因別に異なる突出のしかた

甲状腺眼症や眼窩腫瘍が原因の眼球突出は徐々に飛び出てきます。
これに対して、眼窩蜂窩織炎や外傷が原因となる眼球突出は急に飛び出てきます。

甲状腺眼症は前に飛び出てきますが、涙を分泌する役割を担っている涙腺(るいせん)に生じる腫瘍では、内下方へ飛び出ます。

突出以外に出現することがある症状

視力低下、眼が動きにくくなる、痛みが出るといった症状が起こります。

原因別に、たとえば甲状腺眼症では、眼球突出のほかにまぶたが腫(は)れる、まぶたがつりあがる、眼の白目部分である結膜(けつまく)の充血、眼の痛み、眼がゴロゴロする、まぶしく感じる、物が二重に見える複視(ふくし)、物が歪んで見える、視力が落ちる、視界全体に色がついて見えるといった症状が出現します。

視力が下がる、物が歪んで見える、視界全体に色がついて見える症状は、視神経が圧迫を受けているために出現しています。
眼窩腫瘍では、腫瘍の種類によって症状の起こりかたに差があります。

多くの場合、進行速度は良性の腫瘍は遅く、悪性の腫瘍は急速です。
眼窩腫瘍の場合、眼球突出のほかにはまぶたの腫れ、複視、痛みといった症状が出現します。

眼窩蜂窩織炎では、眼球突出のほかにまぶたの腫れ、結膜の充血、結膜のむくみ、痛み、眼を動かしにくくなる、複視、視力低下のほか、発熱、頭痛、吐き気といった症状が出現することもあります。

内頚動脈海綿静脈洞瘻では、眼球突出以外に結膜の充血やむくみ、視力低下、複視、耳鳴り、頭痛、めまい、そして失明、脳梗塞を起こすことや、脳出血によって深刻な後遺症を残してしまうこともあります。

眼球突出の検査・診断

どの程度眼球が飛び出ているのかを測定します。
また、甲状腺眼症や眼窩腫瘍など、原因と思われる病気に合わせて行なわれている検査もあります。

眼球突出は何科で診る?

眼球突出に気づいたときの、受診に適した診療科は何科でしょうか。
事前にこのことを把握しておけば、実際に症状が出現したときにどこの病院へ行くかで迷うことはなくなるでしょう。

眼に起こる異常ということで、眼科を思い浮かべる方は多いでしょうが、原因となる病気がいろいろあるため、本当に眼科で合っているのか不安に感じる方もいるはずです。
この点に関してですが、眼科で問題ありません。

眼球突出だけに限らず、何か気になる症状があれば放置することなく、すぐに受診することをおすすめします。
眼窩蜂窩織炎のように、手遅れになると命に危険がおよぶことがあるのがその理由です。

眼球突出を調べる方法は?

眼球突出度検査(がんきゅうとっしゅつどけんさ)という方法があります。
ヘルテル眼球突出計(へるてるがんきゅうとっしゅつけい)という、定規のような測定器を使用して突出の程度を調べます。
この検査はすぐに終わり、痛みなどの苦痛を伴うようなものでもありません。
ほかには、眼球突出の原因になっていると思われる病気に応じて、適切な検査法が選択されることになります。
たとえば甲状腺眼症が原因と予想されるケースでは、血液検査のほか、画像検査法である超音波検査、CT検査、MRI検査があります。

眼球突出の治療

眼球突出を起こしている方に対して行なわれる治療は、全員に対して同じ方法が選択されるわけではありません。
眼球突出の原因となっている病気の種類により、行なわれることになる治療方法には違いがあります。

眼球突出の治療方法は?

甲状腺眼症が原因で眼球突出が起こっている方に対しては、ステロイドによる内科治療が選択されます。
ステロイドによる治療以外に放射線療法もあります。

一方、眼窩腫瘍が原因で眼球突出が起こっている方に対しては、外科治療が選択されます。
ただ、甲状腺眼症でも眼の周囲の骨を部分的に削る手術や、物を見たとき左右の眼が同じ方向を向いていない斜視(しゃし)に対する手術が行なわれることがあります。

また、眼窩腫瘍でも腫瘍の摘出手術以外に副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイド薬や非ステロイド性消炎薬、抗ガン剤が使用されることがありますし、放射線療法もあります。

そのほか、眼窩蜂窩織炎に対しては入院をして抗菌薬の投与を、内頚動脈海綿静脈洞瘻に対しては手術を行なう方法があります。

眼球突出では、眼球が空気中にさらされることによって、眼の異常な乾燥が起こります。
この症状を防ぐには、保湿用の点眼薬を使う方法があります。

生活環境の見直しも大事

眼球突出の原因として多い甲状腺眼症は、ストレス、睡眠不足、喫煙によってますます悪くなってしまいます。

禁煙に取り組み、毎日十分な時間、良質な睡眠を確保することが大切です。

生活環境の改善に取り組んだことで、まぶたの腫れ、眼の奥の痛みのような甲状腺眼症による症状によい変化がもたらされたケースは多いといわれています。

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