*

精巣炎を詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

公開日: : 最終更新日:2018/01/16 男性に多い病気

精巣炎とは

精巣(せいそう)とは、精子を形成し男性ホルモンを分泌する役割を担っている臓器で、睾丸(こうがん)ともいいます。
陰茎(いんけい)基部に位置する袋状の器官である陰嚢(いんのう)内におさまっており、左右1対、直径は大体4~5cmあり、たまごのような形をしています。

精巣炎(せいそうえん)はこの精巣に炎症が生じる男性特有の病気であり、またの名を睾丸炎(こうがんえん)といいます。
精巣の隣に位置する精巣上体(副睾丸)があり、精子が産生されると最初に精巣上体へと運ばれますが、この部位に炎症が生じる病気は精巣上体炎(せいそうじょうたいえん)といって、精巣炎とはまた異なる病気です。

ただ、細菌感染によって精巣上体炎を発症し、精巣にまで拡大していくようなことはあります。
精巣炎自体は、ウイルス感染によって発症するケースが多いです。

精巣炎は左右1対の精巣のうち、左だけまたは右だけに発症することが多いのですが、比較的珍しいケースではあるものの、左右の精巣に炎症が生じるケースもあります。

精巣炎が左右に発症した場合には、精巣が萎縮し、精液中に精子がいない無精子症(むせいししょう)により、男性側に原因がある不妊症(ふにんしょう)を招いてしまうことにもなりかねません。

精巣炎の原因

精巣炎には急性精巣炎と慢性精巣炎の2種類があります。
急性精巣炎の原因の多くは、ムンプスウイルスに感染してしまうことです。
この種類のウイルスはおたふく風邪=流行性耳下腺炎(りゅうこうせいじかせんえん)の病原体です。

幼いころのおたふく風邪の経験がなく、予防接種まで未経験である人の場合、ムンプスウイルスに対する免疫を獲得していません。
大人になってこのウイルスに感染するとおたふく風邪に伴って精巣炎が引き起こされてしまいます。

おたふく風邪を発症した思春期以降の年齢の男性では、約1~3割の人が精巣炎を経験するといわれています。
なお、小児が精巣炎を発症するケースは滅多にありません。

ムンプスウイルス以外の病原体としては、大腸菌、結核菌、レンサ球菌、ブドウ球菌、淋菌、インフルエンザウイルスといった細菌やウイルスがあります。

細菌が病原体となる場合にはたいてい、精巣上体炎が精巣にまで波及して、症状が出現するようになります。
ウイルスや細菌に感染すること以外には、外傷や寄生虫によって精巣炎を発症するケースもあります。

精巣炎の症状

病原体が増殖してできた生息巣(せいそくそう)のことを感染巣(かんせんそう)といいますが、ここにいるウイルス・細菌が血液の流れに乗って精巣まで運ばれることにより、精巣炎の症状が出現するようになります。

実際に出現する症状は、急性精巣炎と慢性精巣炎とで違いがあります。
まず急性精巣炎を発症した場合ですが、急激に精巣が赤くはれ上がるほか、強烈な痛みに襲われたり、高熱・倦怠感(けんたいかん)が出たりします。

おたふく風邪にかかった場合、こうした症状がおたふく風邪発症後最長で1週間ほどで出現します。
発症する場所が場所であるため、排尿に関する症状が出現するのではないかと思う人もいるでしょうが、精巣炎によって排尿障害を招くことはありません。

次に慢性精巣炎を引き起こした場合ですが、急性精巣炎のように精巣が赤くなる症状や強烈な痛みに襲われる症状はほとんどの場合は出現しません。
慢性精巣炎の場合、精巣が次第にはれあがっていくのが主な症状です。

そのほか、精巣炎は左右両方に引き起こされた場合、無精子症を招いてしまうことになりかねません。
急性精巣炎の2~3割の人が左右両方の精巣炎による不妊症を起こしているといわれています。

精巣炎の検査・診断

おたふく風邪の病原体であるムンプスウイルスが原因の急性精巣炎を例に出して解説しますが、精巣炎を発症しているかどうか調べるための基本的な方法は視診や触診です。
視診は肉眼で状態を調べる方法、触診はさわることで状態を調べる方法です。
この視診と触診により精巣の赤み、はれ、圧迫による痛み、精巣や精巣上体の位置などを確かめます。
精巣炎に該当する精巣の異変と、おたふく風邪を発症したあとでは簡単に診断することが可能です。
ウイルス検査として血液、精液、ノドなどを調べる方法もありますが、おたふく風邪の先行と精巣の症状で診断することが可能なため、実際に行なわれることは多くはありません。
なお、精巣炎を起こしているかもしれないと思った場合に、何科に行けばいいのか疑問に感じている人もいるでしょう。
この疑問に対する回答ですが、精巣炎の診療に適した診療科は泌尿器科です。

精巣炎の治療

原因として多いムンプスウイルスに感染することで発症する急性精巣炎の場合、病原体に対して有効な薬は存在しません。
対症療法により、自然に回復するまで待つことになります。

症状の緩和を目的に行なわれている方法ですが、精巣炎による激しい痛みや高熱を緩和するため解熱鎮痛薬を使用するほか、湿布による陰嚢の冷却を行ない、安静にして様子をみていく形になります。

炎症が鎮まるまでには、大体7~10日の期間が必要になるケースが多いです。
なお、自然に回復するまで待つとあるため、病院へ行く必要がないと思う人もいるでしょうが、診察は受けに一度は医療機関へ足を運んだほうがいいです。

なぜかといいますと、精巣炎以外に、痛みなどの症状を伴う別の病気があるためです。
精巣炎と区別の必要な深刻な病気としては、精索捻転(せいさくねんてん)があります。
精索捻転は精巣炎と共通していて急激な痛みやはれの症状が引き起こされる病気です。

精策とは、精子が産生される精巣と腹部を繋ぐひも状のものであり、精巣に出入りする血管と精液の通過路である精管が入っています。
捻転というのはねじれることであり、この状態を早く正してあげないと片方の精巣が萎縮して、精子が産生されなくなってしまいます。

精索捻転のほかには、精巣腫瘍(せいそうしゅよう)を発症している疑いもあります。
精巣腫瘍は精巣に形成される腫瘍であり、悪性であるケースが多いです。
基本的に痛みや熱の症状は出現しませんが、痛みが付随することもあります。

主な症状としては精巣が部分的に硬くゴツゴツしてくる、全体的にはれあがってくるというものがあります。
医療の進歩により90%以上の人が完治可能な病気であり、転移を招いていても適切な治療により70~80%の人がよくなります。

ただ、ガンが進行していると治療が困難なケースもあり、最悪の場合には命を落とすことにもなりかねません。
はじめから自己判断で精巣炎と決めつけて病院に行かないというのはやめて、ほかの病気のことも疑って検査を受けに行くことが大切といえるでしょう。

精巣炎の予防

とくに急性精巣炎を発症する原因として多いのは、ムンプスウイルス感染によるおたふく風邪にかかることです。

おたふく風邪には予防接種があるため、子どもの頃におたふく風邪を経験していない人で、予防接種を受けていない人は、この機会に受けることを検討してみてはいかがでしょうか。

保険診療の対象外で費用はかかりますが、予防接種を受けることにより約9割の人が免疫を獲得することが可能です。
完全に防げるかどうかは予防接種を受けてみるまでわかりませんが、仮におたふく風邪を発症してしまったとしても軽症で終わる場合が多いです。

おたふく風邪自体、ムンプス難聴(むんぷすなんちょう)という、左右または両方の耳が聞こえない状態になる病気を招いてしまうリスクがありますし、ムンプス難聴を招いた場合の特別な治療方法は確立されていません。

また、おたふく風邪にかかって精巣炎を招いてしまうと、すでに述べたとおり無精子症を引き起こしてしまうこともあります。
以上のことから、おたふく風邪の予防接種はお金をかけてでも受けておくに越したことはありません。

関連記事

前立腺肥大を詳細に:原因,症状,検査,治療など

前立腺肥大とは 前立腺肥大(ぜんりつせんひだい)とは、男性生殖器官の一つである前立腺が大き

記事を読む

精巣損傷を詳細に:原因,症状,検査,治療など

精巣損傷とは 精巣(せいそう)は睾丸(こうがん)ともいい、下腹部の陰嚢(いんのう)とい

記事を読む

精巣腫瘍を詳細に:原因,症状,検査,治療など

精巣腫瘍とは 予備知識を得ておこう! 精巣(せいそう)とは、下腹部に位置する陰嚢(い

記事を読む

前立腺炎を詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

前立腺炎(ぜんりつせんえん)とは、男性の生殖器官器官の一つである前立腺に炎症が生じた状態のこ

記事を読む

精巣上体炎を詳細に:原因,症状,検査,治療など

精巣上体(せいそうじょうたい)とはまたの名を副睾丸(ふくこうがん)といい、精子が産生される精

記事を読む

陰のう水腫を詳細に:原因,症状,検査,治療など

陰のう水腫とは? 陰のう水腫(いんのうすいしゅ)とは、左右の精巣(睾丸)が格納されてい

記事を読む

停留精巣を詳細に:原因,症状,検査,治療など

停留精巣とは 停留精巣(ていりゅうせいそう)とは、一般にいう金玉袋である陰嚢(いんのう

記事を読む

乳房肥大症を詳しく:原因・症状・検査・治療など

乳房肥大症とは 小児乳房肥大症(しょうににゅうぼうひだいしょう) 小児乳房肥大症と

機能性子宮出血を詳しく:原因・症状・検査・治療など

機能性子宮出血とは 生理時以外に性器から出血することを不正出血(ふせいしゅっけつ)と

腸結核を詳しく:原因・症状・検査・治療など

腸結核とは 腸結核(ちょうけっかく)とは、細菌の一種である結核菌(けっかくきん)が腸

腎臓の役割

腎臓について 腎臓(じんぞう)は腰のあたりの背中側に、左右に1個ずつある臓器です。

加齢黄斑変性を詳しく:原因・症状・検査・治療など

加齢黄斑変性とは 年齢が高まると、体のさまざまな部位に病気が起こってくることがありま

→もっと見る

PAGE TOP ↑