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選択性緘黙症の特徴や症状、治療・予防などについて

公開日: : 最終更新日:2016/06/10 精神・心の病

選択性緘黙症の原因・症状

「せんたくせいかんもくしょう」と読み、小児期特有の症状のことを言います。
選択性緘黙症が発症すると言語能力に問題はないのに、特定の場面や人、状況によって話すことができなくなります。

発症は3~8歳頃に多く、数ヶ月で症状があらわれなくなることもあれば、数年間つづく場合もあります。
男女差はあまりありませんが、女児の方がやや多いとされています。
また、状況に関係なくまったく話せない場合は全緘黙と呼び、区別されます。

この症状は家庭では普通に会話することがほとんどなので、家族が気づきにくいという特徴があります。
また、特に他人に迷惑をかけるわけでもないので、医師などに相談しないというケースもよくあります。

なぜ選択性緘黙症が発症するかははっきり特定されていません。
しかし、緊張感や不安感が常にあるために自分の精神を落ち着かせるためにあらわれる症状とも考えられています。

選択性緘黙症がどの程度あらわれるかは、子供によって異なります。
まったく話そうとしない子供もいれば、特定の人だけとは会話をする子もいます。
仕草で意思表示しようとする子供や、小さな声では話すといった子供もいます。
子供によっては、トイレをつかうことや給食を食べることをいやがる場合もあります。

いずれにしても言えるのは、家庭以外でリラックスすることができず強い不安感をもっているということです。
選択性緘黙症の影響で不登校になることはあまりありませんが、からかわれる対象となったりいじめられたりすることはあり得ます。
また、不安性障害を合併することで、家庭で攻撃的行動をとる、かんしゃくを起こす、拒絶をするといった症状があらわれる場合もあります。
さらに遺糞症や遺尿症が引き起こされるケースもあります。

こういった合併症を防ぐためにも、早い段階で子供の異変に気づくことが大切だと言えるでしょう。
両親だけでなく、学校の教師などまわりの大人が連携して子供を見守っていくことが予防につながるのです。

選択性緘黙症の治療・予防方法

選択性緘黙症の治療では、基本的には話せることを最終目的として行われます。
ただし、それだけに焦点をしぼるのではなく、話そうとしても話すことができないという不安や緊張、恐怖心をなくしていくことが治療において大切となります。
選択性緘黙症を人間や社会に対するコミュニケーションの阻害ととらえるのなら、治療の目的は自我の発達と交流の拡大をうながすために行われなければいけないのです。

神経的不安はあるものの家族以外にもコミュニケーションをとろうとする子供には、意思や感情を安心して表現できるような環境作りをするための精神療法が行われます。
家族以外にコミュニケーションをとる意思があまりない、あるいは家族やそれ以外の人ともにコミュニケーションを拒絶する子供に対しては違ったアプローチがなされます。
こういったタイプの子供は精神療法が適さない場合が多いため、より繊細なサポートが必要となります。
場合によっては、発達障害やほかの精神病性の障害と区別が求められることもあるでしょう。

選択性緘黙症は精神性の疾患のため、そして子供特有の症状であるため、手術や薬が用いられることは原則的にありません。
不安や恐怖を感じている子供の立場にたってこまやかなケアをして、そういった感情を取り除こうと努力する必要があります。

強制的に会話をしようとすると、さらに不安感が増して対人恐怖症や引きこもりなどに発展してしまうことがあります。
無理に話さなくても周囲が自分の存在を否定せず、自分を認めてくれるという環境をまわりの大人がつくり出すことで、選択性緘黙症の改善や予防に結びつきます。
家族はもちろん、担任の教師や保育士にも協力してもらって、子供にとってよりよい環境をつくることが大切なのです。

治療には長い期間を要する場合もありますが、焦りは禁物です。
進学などによって環境が変わることで改善するケースもあるので、根気強く治療をつづけていくようにしましょう。

選択性緘黙症の検査・診断方法

選択性緘黙症かどうかは、DSMと呼ばれる精神疾患診断・統計マニュアルを基準として、診断することができます。
家庭では話せるのに特定の状況では話せなくなるか、話せない理由は話し言葉を知らない、もしくはうまく話せないからという理由ではない、といったことが確認されます。
さまざまな視点から、選択性緘黙症かどうかは判断されることになります。

選択性緘黙症に近い症状が見られるほかの疾患と区別することも大切となります。
たとえば、ヒステリー性失声は強いストレスやショックによって発声器官が麻痺している状態で、話せないという点で選択性緘黙症に似ています。
ショックによってまったくしゃべれなくなる心的外傷性緘黙、交通事故や脳卒中の影響で言語中枢にダメージを受けて言葉の意味は把握していても話せない失語症なども、同様に選択性緘黙症とよく似ています。

また、選択性緘黙症と単純な恥ずかしがり屋も、似た状態と捉えられがちです。
ですが、症状が強くあらわれて、さらに長くつづくこと、その影響で子供が十分に能力を出せないことなどが大きく異なる点です。
話すこと自体は可能でも小声しか出せない、返答するまでに時間がかかる、特定の相手としか話さないという状況も、選択性緘黙症ととらえて、きちんとケアをしていく必要があります。

同じような症状であっても、その症状があらわれる原因や症状の特徴はそれぞれ違います。
ひとつの症状だけに焦点をあてずに、それぞれの子供の性格や環境への理解を深めて、その子供に合った治療を行うことが大切だといえます。

たとえば、発達がほかの子供よりも遅くて、自分を表現することが苦手な子供がいます。
また、言語表現や発音が不得意で、失敗することに恐怖を感じている子供もいるでしょう。
選択性緘黙症の要因やきっかけだけ見ても、子供の数だけたくさんの理由があります。
それを理解したうえで、医師と協力しながら対処していくことが大切だといえるのです。

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