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うっ血性肝障害を詳しく:原因・症状・検査・治療など

公開日: : 最終更新日:2018/06/26 肝臓の病気

うっ血性肝障害とは

うっ血性肝障害(うっけつせいかんしょうがい)とは、急性心筋梗塞(きゅうせいしんきんこうそく)や肺炎(はいえん)などによって、突然に心臓の働きが悪くなった急性心不全(きゅうせいしんふぜん)の方や、心臓弁膜症(しんぞうべんまくしょう)や高血圧性心臓病(こうけつあつせいしんぞうびょう)で慢性的に心臓の働きが落ちている慢性心不全(まんせいしんふぜん)の方に起こる病気です。

心臓へと血液がうまく戻ることができなくなり、肝臓の中に血液がとどこおる=うっ滞(たい)するため、肝障害が生じる病気です。

肝臓と心臓は距離が遠くないため、心臓へとかえっていく血液の流れに障害が発生すると、肝臓に血液がたまってしまいやすくなる=うっ血を起こしやすくなります。

うっ血性肝障害では、血液がまわらないために肝臓に血液がうっ滞し、肝臓がはれてしまうだけでなく、低酸素血症(ていさんそけっしょう)が重なることによって肝臓の組織が障害されてしまいます。

うっ血性肝障害の原因

うっ血性肝障害は急性心不全や慢性心不全の方に起こる肝障害です。
この病気ですが、果たしてどのようにして生じるのでしょうか。
以下にまとめていますので、参考情報としてお役立ていただければ幸いです。

うっ血性肝障害はなぜ起こるのか

肝臓は、心臓によって送り出される循環血液の約25%を占める量の血液が供給されています。
このため、心臓のポンプ機能が悪くなる心不全、中でも右(う)心不全ではその影響が大きくおよぶことになります。

右心房(うしんぼう)と肝臓の静脈がそばにあるためこの血管は右心房の圧の変化に左右されやすく、右心房圧の高まりと連動して肝臓の静脈の圧が高まります。
すると、肝臓の中の静脈枝(じょうみゃくし)の圧が上がってひろがります。

そして体中の循環血液量と一緒に肝臓の循環血液量まで減り、肝臓に対する酸素供給も悪くなってしまいます。
こうした現象が体内で起こると低酸素状態がひどくなって肝臓の細胞が障害されてしまいます。

肝臓は低酸素状態を穴埋めするために門脈血(もんみゃくけつ)からの酸素摂取を多くしますが、心不全状態が続くと穴埋めすることができなくなります。

うっ血性肝障害の症状

うっ血性肝障害が起こることによって、どのような症状が出現するのでしょうか。

ここでは、このような疑問をお持ちの方のため、うっ血性肝障害で起こる症状について解説させていただきます。

うっ血性肝障害で出現する症状

脚部のむくみ、頸(けい)静脈がふくれあがる、呼吸困難といった心不全症状が出ます。
こういった心不全症状に重なる形で、肝臓のはれ、肝機能障害が生じます。

急性心不全の場合、急速に肝臓が大きくなることにより、この臓器の表面を覆う肝被膜(かんひまく)が急速に伸びひろがるために痛みが起こり、右上腹部に痛みを感じます。

心不全の程度によって肝障害の程度も違ってきますが、強い黄疸(おうだん)=皮膚や眼の白目部分が黄色くなる症状が起こることもあります。

急性心不全の場合の肝障害は一過性(いっかせい)で、心不全が良くなればそれに連動して肝障害も良くなります。

ただ、慢性的に心不全が続いていると肝臓の組織が壊れて、肝障害もひどくなって黄疸の症状もより強く出ます。
そして、最後には肝硬変(かんこうへん)となり、そこから肝不全(かんふぜん)を招いてしまいます。

この場合には肝炎(かんえん)ウイルスなど別の原因で起こる肝硬変とはわけて、うっ血性肝硬変(うっけつせいかんこうへん)という病名が使われます。

ただし、今は治療法が進歩したことにより、肝硬変にいたることは滅多にありません。
重篤(じゅうとく)な肝障害を招くことも滅多にないです。

うっ血性肝障害の検査・診断

うっ血性肝障害に該当するような症状がある場合には、何科へ行くのが適切なのでしょうか。

また、この病気は医療機関ではどのようにして調べているのでしょうか。
以下にまとめていますので、気になる方は内容をご覧ください。

受診に適した診療科

うっ血性肝障害を疑うような症状がある場合に、何科で受診すればいいのかで迷ってしまう方もいることでしょう。

この点に関してですが、消化器内科や循環器内科などへ行けば対応してくれます。

気になる症状がある場合には放置することなく、できるだけ早く医療機関へ行きましょう。

うっ血性肝障害を調べる方法とは

肝機能を調べることを目的に、血液検査が行なわれています。
古くなった赤血球が壊されるときに生み出される黄色色素のビリルビンは、正常では0.2~1.2 mg/dLです。

しかし、うっ血性肝障害では20mg/dl以上と異常に高い数値が出て、強い黄疸が生じていることもあります。

急性心不全の場合、肝細胞、心臓、腎臓などの臓器に多い酵素のASTが、正常では30 IU/L以下のところ、数千の数値を示すこともあります。

これに対し、慢性心不全の場合には、ALPという肝臓や腎臓などの細胞で産生される酵素の数値が高まります。
肝炎ウイルスマーカーは基本的に陽性は示しません。

しかし、B型肝炎(びーがたかんえん)やC型肝炎(しーがたかんえん)にかかっている方が心不全を起こすと陽性を示します。
そのため、こうした肝炎と見分けることが大事です。

また、心不全症状が起こっている方に肝機能障害が生じている場合には、うっ血性肝障害を疑いますが、画像検査である超音波(エコー)検査やCT検査などで肝臓の静脈および下大静脈がひろがっていることがわかると、診断は難しくありません。

ただ、肝炎ウイルスマーカーなど別の検査も一緒に行なうことにより、急性肝炎(きゅうせいかんえん)や肝臓で産生される消化液の胆汁(たんじゅう)の通り道である胆道(たんどう)の病気ではないことを確認する必要があります。

なお、心臓の状態を調べるために心電図検査や心エコーも医療機関では行なわれています。

うっ血性肝障害の治療

うっ血性肝障害を起こしていることがわかった場合には、医療機関ではどのような治療が行なわれているのでしょうか。

ここでは、うっ血性肝障害の治療方法に関する情報を提供させていただきますので、気になっているという方は以下の内容をチェックしてみてください。

うっ血性肝障害の治療方法とは

うっ血性肝障害の治療の基本は、この肝障害の原因となって病気の治療です。
また、肝細胞を守ることを目的として肝庇護療法(かんひごりょうほう)も行なわれています。

うっ血性肝障害の治療方法としては、たとえば安静にするほか、食事での塩分摂取の制限や、強心薬、利尿薬といった薬剤を服薬することになります。

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