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肝のう胞を詳細に:原因,症状,検査,治療など

公開日: : 肝臓の病気

肝臓は、右の肋骨(ろっこつ)の下に位置する人間の臓器では最大の臓器であり、体重の約50分の1にあたる、約1,300gの重量があります。

肝臓は別の臓器に比べて不調や痛みを自覚しにくく沈黙の臓器といわれており、3分の2を切除したとしても、半年が経過すれば元の状態に戻るという非常に回復力に優れている臓器です。

人間の臓器は個々にさまざまな役割を担っていますが、肝臓は500以上という、非常にたくさんの仕事をこなしています。

とくに人間の体にとって重要な機能としては、脂肪の消化・吸収を助ける胆汁(たんじゅう)の生成、アミノ酸から人体を構成するタンパク質を合成する、グリコーゲンやビタミンなどを貯蔵し、必要に応じて血液中へと送り出す、アルコールやアンモニアなど人体に有害な物質を分解・解毒する機能をあげることができます。

肝のう胞(かんのうほう)は、嚢胞(のうほう)という液体の入った袋が肝臓内にできる病気です。
大部分は先天性(せんてんせい)=生まれつきのものであり、人間ドックなどで腹部のエコー検査を受けたことをきっかけに、自覚症状なしに発見されます。

腹部のエコー検査を受けた人の100人中5~20人程度の割合でこの病気は見つかると報告されています。
年齢や性別に関しては、40歳代以上の女性が全体の80%を占めており、50歳代の女性で最多です。

嚢胞は1個だけのケースもあれば、複数個できるケースもあり、1個のサイズは小さいものは数mm、大きいものでは10cmをオーバーするようなものまであります。

肝のう胞の原因

この病気の大部分は先天性・良性です。

ほかの原因によって引き起こされるまれな肝のう胞としては、ケガが原因でできる外傷性(がいしょうせい)肝のう胞、肝臓の炎症が原因でできる炎症性肝のう胞、エキノコックスに感染してできることで知られている寄生虫性(きせいちゅうせい)肝のう胞、さらには悪性腫瘍(あくせいしゅよう)による腫瘍性(しゅようせい)の肝のう胞があります。

また、肝のう胞は40歳代以上の女性が全体の80%を占めており、50歳代の女性に一番多く起こっている病気です。

このことから、生まれつきではない=後天性(こうてんせい)の肝のう胞には、女性ホルモンが関与しているのではないかという見方もされています。

肝のう胞の症状

肝のう胞ができていたとしても、症状が出現しないケースが多いです。
ただし、嚢胞が巨大化したり、嚢胞内で感染が起こったりすると症状が出現します。

たとえば、嚢胞が巨大化すると腹部膨満感(ふくぶぼうまんかん)といってお腹が張る症状が引き起こされることがあるほか、お腹に鈍い痛みを感じたり、胃の不快感が出たり、吐き気を催したりすることなどがあります。

一方、嚢胞内で感染が起こった人では、発熱の症状や腹痛の症状が引き起こされます。

そのほか、肝のう胞ができていて、嚢胞内での破裂・出血を引き起こすと、突然に激しいお腹の痛みやショック状態を招いてしまうこともあります。

また、寄生虫や腫瘍が原因でできる肝のう胞では、病気の悪化に伴い、皮膚や目の白目部分が黄色くなる黄疸(おうだん)の症状や、むくみなどの症状が追加されることもあります。

肝のう胞の検査・診断

肝のう胞にあてはまるような症状が気になりだした場合には、消化器内科へ行きましょう。

また、症状がなくても検査がたまたま見つかった場合には、肝のう胞の原因を突き止め、医師に今後の方針を確認することが大切です。
肝のう胞の診断は、エコー検査やCT検査などの画像検査でほぼ確定されます。

エコー検査は腹部に超音波を発する装置をあて、返ってくる反射波=エコーを受け取り、コンピュータ処理で画像化する検査で、CT検査はX線を使って体内の断面を撮影・画像化する検査です。

ほかの検査に関しては、肝機能検査といって、文字通り肝臓の機能に異常がないか確認する検査が行なわれています。

この検査ではほぼ異常はありませんが、胆道系酵素(たんどうけいこうそ)といって、胆道に病気による異常がある場合に血液中に流出する酵素があり、この現象が起こっていることによって数値が高まる場合があります。

また、嚢胞の有無を調べることは容易ですが、炎症性、腫瘍性、寄生虫性の肝のう胞を見極める必要があります。

こうした肝のう胞の可能性がある人に対しては、血液検査による腫瘍マーカーの測定や抗体検査が行なわれています。
腫瘍マーカーというのは悪性腫瘍があることによって血液中に増加する物質で、血液検査で測定することが可能です。

なお、血液検査では炎症が生じているかどうかを把握することもできます。
抗体検査は病原体に対する抗体があるかどうか、ある場合にはその量を確認する検査です。

抗体は異物が体内に侵入したとき、体外へと排除するためにできる対抗物質のことであり、寄生虫性の肝のう胞を調べるために行なわれています。

肝のう胞の治療

先天性の肝のう胞で、無症状の人に対しては、定期的にエコー検査を行ない様子をみていく形になり、とくに治療は行なわれません。

これに対し、肝のう胞が巨大化して圧迫症状が出ている人や、感染、出血、破裂などを招いた人に対しては、治療が行なわれます。
肝のう胞は肝臓に液体が入った袋ができる病気ですが、治療では袋にたまった液体を除去します。

通常、超音波で嚢胞を確認しつつ、皮膚の上から針を刺して液体を除去し、アルコールや抗生物質を使用することで嚢胞壁の細胞を殺してしまうことで改善します。
この治療が対象外になった人に関しては、開腹(かいふく)手術や内視鏡(ないしきょう)手術が選択される形になります。

開腹手術はお腹を大きく切って肝のう胞を摘出する治療法であり、内視鏡手術はお腹の複数ヶ所に小さな穴をあけ、そこから必要な器具を挿入して、なかの様子をモニターで観察しながら摘出を行う治療法です。

内視鏡手術は開腹手術と比較して傷が小さく、術後の痛みが軽く、早く回復するなど、患者の負担が軽い点が主な強みとしてあります。

そのほか、炎症性肝のう胞、腫瘍性肝のう胞、寄生虫性肝のう胞に関しては、原因に応じて的確な処置がほどこされる形になります。

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