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新生児肝炎を詳細に:原因,症状,検査,治療など

公開日: : 最終更新日:2017/12/28 肝臓の病気

新生児肝炎(しんせいじかんえん)とは、新生時期~乳児早期に引き起こされる肝炎のことをいいます。

消化液の一種であり、脂肪の消化・吸収や、体内の不要物を排泄する役割を担っている胆汁(たんじゅう)のうっ滞(肝臓の内部に胆汁が蓄積されること)して黄疸(おうだん)の症状が出現するほか、摂取した成分の代謝や摂取した成分を貯め込んでおく機能、糖(グルコース)を合成する機能、毒物の分解を行ない無毒化する機能など、肝臓の機能障害が引き起こされます。

約5,000~9,000人に1人の割合で起こっているとされており、新生時期に起こる肝臓の病気のなかでは最多です。

ほとんどの新生児肝炎では生まれて約90~180日のあいだに黄疸の症状が改善し、1歳までに肝臓の機能は回復しますが、まれに肝臓の障害が急速に進み、命を落としてしまうこともあるため、軽視してはいけません。

新生児肝炎の原因

一口に肝炎といっても、数多くの種類があります。
なお、肝炎というのは肝細胞に炎症が生じて、肝細胞の破壊が進み、肝機能が低下してしまう病気です。
日本国内で一番多く発生しているのは、ウイルス感染により肝臓に炎症が生じるウイルス性肝炎です。

ウイルス性肝炎にはA型肝炎(えーがたかんえん)やB型肝炎(びーがたかんえん)、C型肝炎(しーがたかんえん)などが存在し、A型肝炎はA型肝炎ウイルス(HAV)に感染し発症する病気であり、B型肝炎はB型肝炎ウイルス(HBV)に感染し発症する病気、C型肝炎はC型肝炎ウイルス(HCV)に感染し、発症する病気です。

ウイルス性肝炎の場合はウイルスが原因とはっきりしているわけですが、新生児肝炎の場合はどうなのでしょうか。
実は新生児肝炎というのは、ウイルス性肝炎のように原因ははっきりしていません。

新生児肝炎はここまで解説した肝炎ウイルスによる肝炎だけでなく、ほかの胆汁の流れが悪くなる病気、たとえば胆道閉鎖症(たんどうへいさしょう)をはじめとする病気を含めない、新生時期から発症する、原因がはっきりしていない肝機能障害のことをいいます。

新生児肝炎の症状

主な症状の一つとして、黄疸をあげることができます。
黄疸は赤血球のヘモグロビンが破壊されて生じる色素であり、肝臓で処理が行なわれて胆汁を介して腸へと流れていくビリルビンが体内に蓄積されて、肌や白目が黄色くなってしまう症状です。

新生時期に出現する黄疸は新生児生理的黄疸(しんせいじせいりてきおうだん)といいます。
新生児肝炎を発症した場合には、生まれてひと月が経っても新生児生理的黄疸が持続してしまいます。

また、便の色がクリーム色に変わったり、尿の色が褐色になったりするのもこの病気の主な症状のなかに含まれます。
さらに肝腫大(かんしゅだい)といって、肝臓が異常に大きくなってしまうことがあるほか、体重が増量しないというのも、新生児肝炎の症状の一つです。

そのほか、肝臓の障害により胆汁うっ滞が長く継続していると、脂肪吸収障害に付随する形で脂溶性(しようせい)ビタミンや必須脂肪酸(ひっすしぼうさん)の不足を招いてしまい、発症している子どもの成長障害を引き起こしたり、出血しやすく止血しにくくなったりする状態にもなり得ます。

また、黄疸の症状も段々とひどくなり、肌の色が濃緑黄色に変化していきます。
珍しいことではありますが、肝硬変(かんこうへん)、肝癌(かんがん)が新生児肝炎と併発してしまうこともあります。
低出生体重児の場合、低血糖(ていけっとう)の症状が起こることも珍しくありません。

新生児肝炎の検査・診断

新生児肝炎かどうかを調べるためには、別の胆汁の流れが悪くなってしまう病気を除外することがスタート地点になります。

新生児肝炎と別の病気を見分けるため、画像検査法である腹部超音波検査やMRI検査を行ない、胆汁を貯蔵しておく役割を担っている胆嚢(たんのう)や胆汁の通過路である肝内胆管(かんないたんかん)の様子を見たり、同じく画像検査法である肝胆道排泄(かんたんどうはいせつ)シンチグラフィなどを実施し、胆汁が消化管に流れていくのがわかった時点で、胆道閉鎖症を引き起こしているのではなく、新生児肝炎の疑いが濃厚であると判断される形になります。

また、経皮的肝生検(けいひてきかんせいけん)が新生児肝炎の診断のために行なわれています。

皮膚に生検針という細い針を刺し、肝臓の組織を一部だけ採取して顕微鏡で調べる方法です。
一つの細胞中に複数の核がある多核の細胞が発見されるなどした場合、新生児肝炎と診断が下されることになります。

そのほか、医療機関では新生児肝炎を引き起こしているかどうかを調べるため、血液検査も行なわれています。
主な目的は肝機能の確認で、ビリルビンなどの検査項目が異常値を示していることがわかります。

新生児肝炎の治療

胆汁の流れが悪くなっている問題に対しては、胆汁排泄促進剤を使用します。
薬の名称はウルソデオキシコール酸です。
うっ帯の程度によってはステロイド薬が選択されるケースもあります。

ステロイド薬は長期間にわたり使い続けていることにより、感染症にかかりやすくなる、糖や骨代謝(こつたいしゃ)障害が起こる、太る、身長が同性同年齢の人の平均値と比べて著しく低くなるといった問題が起こり得るため、メリットとデメリットのバランスを考慮して使用するかどうかが決定されます。

ウルソデオキシコール酸やステロイド薬以外には、タウリンなどが使用されることもあります。
この場合の使用目的は肝臓の細胞を守ることです。
そのほか、ビタミンの投与も行なわれています。
投与されることになるのは脂溶性の栄養素であり、ビタミンA、D、E、Kの4種類をあげることができます。

脂肪の吸収をよくする効果を狙い、脂肪酸が吸収に関わることがない中佐脂肪酸含有のMCTミルクも使用されています。
肝硬変などの深刻な問題を招いた場合には、肝臓の移植が選択肢のなかに含まれることになります。

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