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B型肝炎の原因・症状・検査・治療・予防とは

公開日: : 最終更新日:2017/05/30 肝臓の病気

B型肝炎とは

B型肝炎(びーがたかんえん)とは、肝臓に炎症(肝炎)を生じさせるB型肝炎ウイルス(HBV)に感染して起こる肝臓の病気です。

ウイルスが原因となって引き起こされる肝炎のことをウイルス性肝炎といい、B型肝炎はこのウイルス性肝炎の一種です。
肝炎を起こすことによって肝臓の細胞が破壊されて、肝臓の機能が低下します。

放置していると慢性肝炎(まんせいかんえん)、肝硬変(かんこうへん)、肝細胞癌(かんさいぼうがん)にまで移行してしまうリスクがあり、最悪の場合には命を落とすことにもなりかねません。

恐ろしいのは肝臓は沈黙の臓器という通称があることで、病気が悪化しても自覚症状がないケースが珍しくありません。
無症状でも検査を受けて、病気を早期発見することが推奨されています。

なお、国内では推定で人口の1%程度の感染者がいるとされており、1年あたりでは新たにB型肝炎ウイルスに感染している人が大体10,000人いるといわれています。

B型肝炎の原因

感染経路

B型肝炎は、B型肝炎ウイルスが含まれている血液や体液が体内に入り込むことによって感染し、発症する肝臓病であり、ウイルス性肝炎の一種です。
B型肝炎ウイルスの感染経路としては、垂直感染と水平感染があります。

まず垂直感染ですが、母親がB型肝炎ウイルスの感染者である場合、出産時の産道で血液を介して赤ちゃんが感染してしまうことがあります。
このような垂直感染は、またの名を母子感染といいます。

次に水平感染ですが、B型肝炎ウイルス感染者との性行為や、B型肝炎ウイルス感染者が使用した注射器の共用による覚せい剤の使用、B型肝炎ウイルス感染者の血液が付着しているカミソリや歯ブラシの共用、B型肝炎ウイルス感染者の血液が付着している針を間違って刺す、B型肝炎ウイルス感染者が提供する形での臓器移植、不十分な消毒で繰り返し器具を使用する刺青(タトゥー)、ピアスの穴あけ、出血を伴う民間療法、B型肝炎ウイルスに汚染された血液による輸血などによって起こり得ます。

感染様式

感染は一過性の感染で終わり、感染後に数ヶ月間が経過するとウイルスが排除されて免疫を獲得するものと、長期にわたって肝臓にB型肝炎ウイルスが居座ってしまうものに大きくわけられます。

なお、一過性の感染で終わるものは一過性感染、長期にわたってウイルスが居座るものは持続感染といいます。
出産時ないし乳幼児期のB型肝炎ウイルスの感染は、持続感染になるリスクが高いです。

免疫が不十分なこの時期にB型肝炎ウイルスに感染すると、B型肝炎ウイルスを異物であると認識できず、排除されることなく体内にウイルスを抱え込むことになるというのが持続感染になりやすい理由です。

また、献血をするときや検診を受けるときなどで、はじめてB型肝炎ウイルスに感染していることが明らかになった人の大部分は持続感染であることが知られています。

B型肝炎の症状

どんな症状が出るのか

B型肝炎を発症した場合には、全身がだるくなる症状に続いて食欲がなくなり、吐き気、嘔吐などの症状が起こります。
B型急性肝炎では、こうした症状に続いて皮膚や白眼が黄色くなる黄疸(おうだん)が出現することもあります。

そのほか、右側の背中で鈍い痛みを感じたり、軽く叩くとうずくような痛みを感じたりすることがあるのも、B型肝炎で起こり得る症状の一つです。
なお、これはB型急性肝炎やB型肝炎ウイルスの顕性感染といいます。

また、B型急性肝炎では、場合によっては激しい炎症で細胞破壊が急速に進み、肝不全(かんふぜん)症状を起こす劇症肝炎(げきしょうかんえん)を招いてしまうこともあります。

そのほか、はじめてB型肝炎ウイルスに感染しても、自覚症状が出ることなく病原体が排除されて、回復してしまうこともあります。
これはB型肝炎ウイルスの不顕性感染といいます。

感染後すぐに発症するのか

前述したような症状は、病原体であるB型肝炎ウイルスに感染したと同時に起こるわけではありません。
B型急性肝炎の場合には、感染後の早ければ1ヶ月程度、遅ければ半年程度の潜伏期間が過ぎて全身がだるくなる、食欲がわかなくなる、吐いてしまうなどの症状が出現します。

出産時や乳幼児期にB型肝炎ウイルスに感染し、持続感染となったケースでは、自覚症状がないまま経過することが多く、慢性肝炎や肝硬変へと移行してようやく、全身がだるくなるなどの症状を自覚して医療機関を受診するケースが多いです。

また、献血時や検診でB型肝炎ウイルスに感染していると指摘を受けていない人の場合、肝硬変にまで悪化し、腹水、黄疸、食道静脈瘤の破裂でようやく病気であったことがわかる人も少なくありません。

発症していなければまわりに感染しないのか

症状が出現していない状態でも、まわりに感染を拡大させてしまうリスクがあります。

感染が成立していれば「B型肝炎の原因」であげた原因に該当するようなことがあると、ほかの人が感染してしまうことがあります。

B型肝炎の検査・診断

HBs抗原検査

採血をして血液を調べることにより、HBs抗原が検出されるかどうかを把握します。

検出された=陽性を示した場合には、検出された人の肝臓内ではB型肝炎ウイルスが増殖しており、血液内にB型肝炎ウイルスがいるということがわかります。
HBs抗原検査で陽性の結果が出た場合、間違いなくB型肝炎ウイルスに感染していると考えられます。

反対にHBs抗原が検出されない=陰性を示した場合には、まず間違いなくB型肝炎ウイルスには感染していないと考えられます。

HBe抗原・HBe抗体検査

血液のHBs抗原検査によりHBs抗原が検出された場合には、HBe抗原とHBe抗体が検出されるかどうかを確認します。

HBe抗原が検出された場合には、B型肝炎ウイルスが勢いよく増殖するパワーを有しており、まわりへと感染を拡大させてしまうリスクが高いと判断されます。
これに対し、HBe抗体が検出された場合には、HBe抗原が検出された場合とは逆のことが起こっていると判断されることになります。

ただし、HBe抗体が検出されるようになったとしても、しだいに肝炎が進行して肝硬変を引き起こしたり、肝炎が進行しなくても肝細胞癌を引き起こしたりするケースがあります。

HBs抗体検査

HBs抗体が血液検査で検出されるのは、B型急性肝炎の症状が出現した人や、B型肝炎ワクチンの接種を受けた人です。

HBs抗体が検出される人は、B型肝炎ウイルスが体のなかに入り込んだとしても、そのB型肝炎ウイルスは撃退されて、B型肝炎を発症することはありません。

HBV-DNA検査

代表的な方法として、NAT(Nucleic acid Amplification)という方法があります。

NATは遺伝子の一部の核酸を抽出し、抽出した核酸を増幅させて、増幅した核酸を検出して遺伝子の有無を把握することを目的とした方法であり、日本語では核酸増幅検査といいます。

NATをB型肝炎ウイルスの検出のために行なうと、血液中にわずかしかないHBV-DNA(B型肝炎ウイルスの遺伝子)を高精度に検出することが可能です。
これにより、まだHBs抗原が陽性を示さない、感染初期にある人を把握することができます。

また、血液中のHBV-DNAの量を数値で表すことが可能であり、B型肝炎の抗ウイルス療法での効果が出ているか見極めることに活かされています。

肝機能検査

血液検査により、AST(GOT)とALT(GPT)を調べます。

この2種類の数値は、B型肝炎を引き起こしていると高い数値を示します。
数値が上昇しているほど肝炎の程度は強いと判断することが可能です。

また、数値が上昇している期間が長く持続すると、慢性肝炎~肝硬変へと進展してしまいます。

肝生検

生検というのは組織の一部を採取し、顕微鏡で詳しく調べる検査方法のことです。

病気の悪性度を把握したり、別の検査で診断が困難な病気の診断を下したりすることを目的に行なわれています。

B型肝炎の場合、進展の程度を把握することを目的に、肝臓の組織の一部を採取し、顕微鏡でその組織を観察します。

市販の郵送検査

B型肝炎にかかっているかどうかを調べる方法は、医療機関に行って検査を受けることだけではありません。
検査道具一式が市販されており、インターネット通販で購入することが可能です。

説明にしたがい付属の器具で自分の血液を採取し、採取した血液を検査申込書と一緒に返信用封筒に入れて郵送します。

結果は数日後に出て、ネット上の専用ページで確認することが可能です。
匿名での検査に対応している市販の郵送検査もあります。

なお、検査結果が陽性の場合、市販の郵送検査では治療まで受けることはできません。
陽性の結果が出た場合には、医療機関へ行って適切な治療を受けましょう。

市販の郵送検査の種類によっては、ネット上の結果画面から検査結果表や病院への案内状を取得することが可能です。
病院に行くときに持って行くと、診察がスムーズに進みます。

B型肝炎の治療

インターフェロン療法

慢性肝炎を引き起こしている人に対して行なわれている治療方法です。
抗ウイルス薬であり注射薬であるペグインターフェロンアルファ2a製剤を、HBe抗原のあるなしに関係なく1週間に1回、48週間投与する治療が保険適用となります。

インターフェロン療法によって効果が出ると、薬剤の投与を行なわなくなったあとも、B型肝炎ウイルスは増殖することなく、肝炎は鎮まります。

ただ、薬剤による効果が十分に出ず、HBe抗原が陰性を示さないケース、インターフェロン療法の中止によりB型肝炎ウイルスが再び増殖し、肝炎が再燃するケースも珍しくありません。
インターフェロン療法によって効果が出るのは35%前後とされています。
また、インターフェロン療法には副作用があります。

インフルエンザを引き起こしたときのような高熱、全身のだるさ、関節や筋肉の痛みは避けられません。
ただ、このインフルエンザのような症状は薬剤の継続投与によって鎮まっていき、数週間が経過すると起こらなくなるケースが多いです。

このほか、糖尿病(とうにょうびょう)や膠原病(こうげんびょう)の人は、症状が悪化してしまうリスクがあります。

また、間質性肺炎(かんしつせいはいえん)を引き起こすケースもあり、この場合には滅多にはないものの生命がおびやかされることもあるため、痰(たん)の出ない頑固な咳、胸の痛みなど、この病気が疑われる症状がある人にはすぐに胸部レントゲンを撮る検査をし、診断が下されればインターフェロン療法をやめて間質性肺炎の治療に移行します。

そのほか、インターフェロン療法の途中でうつ病を引き起こしてしまう人がいて、悪化すると自殺してしまうケースがあります。

そのため、うつ傾向が確認された場合には、すぐにインターフェロン療法をやめなければいけません。
また、頭髪が抜ける、眼底出血(がんていしゅっけつ)、たんぱく尿などが起こるケースもあります。

核酸アナログ製剤

核酸アナログ製剤は抗ウイルス薬であり内服薬です。
この薬剤は、B型肝炎ウイルスの増殖を抑制し、肝炎を鎮める効果があり、服薬中はB型肝炎ウイルスの量は減少し、肝炎は引き起こされません。

また、肝硬変によって腹水が貯留している人が、長期間にわたる核酸アナログ製剤の服薬で肝機能が高まり、腹水がなくなってしまうこともよくあります。

ただ、核酸アナログ製剤は使用をやめてしまうと肝炎が再燃するケースが非常に多いです。

服薬をはじめて患者が自己判断で核酸アナログ製剤をやめてしまうと、肝炎が急激に悪化し、肝不全で死亡してしまうことがあります。
このほか、核酸アナログ製剤が効果を発揮しない、薬剤耐性株というB型肝炎ウイルスが生み出されてしまうことがあるのもやっかいな点です。

核酸アナログ製剤を3年間にわたり服薬した人の約50%に、薬剤耐性株が確認されます。
そしてこの薬剤耐性株が生み出されることにより、肝炎の抑制が困難になるケースがありました。

ただ、新しく登場した核酸アナログ製剤では、薬剤耐性株が生み出される頻度を抑えることが可能であり、以前の核酸アナログ製剤で薬剤耐性株が生み出されたときには別の種類の核酸アナログ製剤を一緒に使用することで、薬剤耐性株を抑制できることが知られています。

肝庇護療法

肝炎を抑制する=検査データのALT値を低下させることを目的として行なわれている治療法です。

治療法の名称にもあるように、肝臓を守る内服薬(ウルソデオキシコール酸)と注射薬(グリチルリチン製剤)の2種類の治療薬が存在しています。

B型肝炎ウイルスの量を減少させるような効果はないものの、肝硬変にまで進行するのを抑制するには効果的です。

B型急性肝炎

B型急性肝炎の場合は一般に、抗ウイルス薬を使用する抗ウイルス療法や、慢性肝炎の人に対して使用する肝庇護療薬は選択されません。

安静にし、食欲不振などの症状が出現している場合には水分や栄養素を摂ることを目的に点滴などが行なわれます。
そして自然にB型肝炎ウイルスが排除されるまで様子をみていくことになります。

ただし、まれに劇症肝炎を起こすことがあり、この場合には核酸アナログ製剤の使用、血漿交換療法、血液透析などが必要で、こうした治療で肝炎の悪化を食い止められなければ、肝移植をしなければ死亡してしまうこともあります。

B型慢性肝炎

B型慢性肝炎の治療の基本は、インターフェロンや核酸アナログ製剤のような抗ウイルス薬を使用する抗ウイルス療法です。

ウイルス性肝炎のうち、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染して発症するC型肝炎の場合、慢性肝炎に対してはインターフェロン療法などによって高確率でC型肝炎ウイルスをすべて取り除くことが可能です。

しかしながら、B型慢性肝炎の人に持続感染しているB型肝炎ウイルスは、体内からすべて取り除くことはできません。

B型肝炎の予防

B型肝炎ワクチン

B型肝炎を予防する方法の一つに、B型肝炎ワクチンの接種があります。
赤ちゃん、大人であることに関係なく、計3回接種することになります。

初回の接種と次の接種は4週間あけて、初回と最後の接種は20~24週間あけます。
国内には現状で2種類のワクチンが存在し、予防効果は同等です。

遺伝子組み換えによって開発されたワクチンであり、接種によってB型肝炎が起こることはありません。
計3回の接種で抗体を獲得しますが、まれに獲得しにくい人がいます。

この場合、必要に応じて再び計3回、ワクチンを接種することが推奨されています。
また、ワクチン接種でB型肝炎になることはないものの、副反応(副作用)が起こる可能性はあります。

大人の場合、接種した箇所の発赤や軽い発熱の症状が出現することがあります。
起こる確率は数%ですが、小児の場合はこうした症状が出ることは滅多にありません。

日常生活を送るうえでの注意点

B型肝炎を未然に防ぐためには、この病気の原因になるようなことをできる限り避けるのが効果的です。

性行為では検査を受けているなど感染の恐れのない相手とする場合には、絶対にコンドームを着ける、歯ブラシやカミソリなど、自分以外の人の血液が付着している可能性があるものを共用しない、自分以外の血液は素手で触らない、血液や分泌液が付着したものは、露出しないようにくるんで捨てるか、流水で十分に洗い流す、外傷、皮膚炎、鼻血などはなるべく自分で手当てを行ない、誰かに手当てをしてもらうときには手当てをする人に血液や分泌物が付着しないようにする、乳幼児に口うつしで食事を与えない、トイレに行ったあとには流水で十分に手洗いを行なうといったものがあげられます。

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