*

幼虫移行症の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

公開日: : 最終更新日:2016/05/30 感染症, 人獣共通感染症


寄生虫がヒトの体にとりついて起こる病気です。
寄生虫は、最終的にたどり着く動物(最終宿主)と、その途中にとりつく動物(中間宿主)をもっています。
幼虫移行症は、ヒトが中間宿主となる寄生虫が、体内に入っても成虫にならず、体の中を動き回ることでさまざまな症状を引き起こす病気です。
寄生虫は野生動物や野鳥だけではなく、ペットにもとりつくことがあり、ペットの糞便などを介して人間に侵入することがあります。
また、イカやサケ、生肉などを食べることで、寄生虫や寄生虫の卵をとりこむ場合もあります。

幼虫移行症の原因

イヌ・ネコ回虫やブラジル鈎虫、エキノコックス、フィラリア原虫、アニキサスなどの寄生虫が原因です。
寄生虫は、種類によってどの動物にとりつくかが違いますが、イヌ・ネコ回虫やブラジル鈎虫などは、ペットであるイヌやネコを宿主としますので、ヒトにうつる機会の多い寄生虫と言えます。

幼虫移行症の症状

幼虫移行症は、大きく三つの症状に分けられます。
眼幼虫移行症、皮膚幼虫移行症、内臓幼虫移行症です。
血管を通じて、寄生虫が体のどの部位に侵入したかによって症状の出方は異なります。
たとえば、肺に寄生虫が入った場合は喘息のような症状が出ますし、神経や脳に入った場合は、ふらつきや頭痛などの症状が出ます。
眼の中に寄生虫が入った場合は、失明することもあります。
寄生虫のなかには、皮膚の深部まで入れないものもおり、そういった寄生虫は、皮膚の表面に炎症を引き起こし、ひどいかゆみや腫れなどをもたらします。
特に、砂場や泥遊びの機会の多い子供に、幼虫移行症はよく見られます。子供や免疫の低下している人は、健康な人よりもリスクが高いことに注意してください。

幼虫移行症の感染経路

動物の糞便や、糞便で汚染された土壌などから、寄生虫や寄生虫の卵をとりこむことです。
口からだけではなく、寄生虫によっては、皮膚を食い破って体内に侵入するものもあります。
また、寄生虫に汚染された動物や魚の肉を食べることで、幼虫移行症になる場合もあります。
ホタルイカやサケなどを刺身などで食べることで、寄生虫に感染するケースもあります。

幼虫移行症の予防

健康な人に、寄生虫が入り込んでも、それほど問題にはなりませんが、ペットでイヌやネコを飼っている場合は、定期的に駆除薬を与えて、寄生虫を駆除しておきます。
子イヌや子ネコは、母子感染している場合もありますので、飼いはじめから駆虫することが大切です。
寄生虫がヒトの体内に入ると治療が難しくなりますので、ペットの駆虫や予防が重要になります。
土や砂に触れたあとは、手洗いを励行してください。
身近な場所で寄生虫に感染しやすいのが、公園の砂場です。
遊んだあとはかならず手洗いをさせるようにしましょう。
また、幼虫移行症は子供が感染することが多いので、指しゃぶりをさせないように気をつけてください。
糞便だけではなく、動物の毛にも寄生虫の卵が付着していることがありますので、動物を触ったあとは手を洗いましょう。
アウトドア活動をする場合は、生水や生の果物などは避け、かならず加熱して食べるようにしてください。
寄生虫は、冷凍しても死なないものがいますが、多くは熱に弱いので、食器や調理器具などを熱湯消毒することも有効です。

幼虫移行症の治療

寄生虫を外科的に駆除する方法(手術や液体窒素で凍らせるなど)や、飲み薬や塗り薬で寄生虫を退治する治療が行なわれます。
メベンダゾール、ジエチルカルバマジン、チアベンタゾールなどの薬が使われます。
眼の寄生虫を駆除するために、レーザー治療が行なわれることもあります。

幼虫移行症の検査

血液検査で、寄生虫に感染しているかどうかがわかる場合もあります。
皮膚幼虫移行症の場合は、皮膚の外見から診断されます。
そのほか、臓器に針をさして、組織サンプルを採取する方法や、血清反応を調査する方法もあります。
眼幼虫移行症の場合は眼底検査が行なわれます。

関連記事

猫ひっかき病の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

猫ひっかき病は猫や犬に引っかかれた傷、もしくは噛まれた傷が原因によっておこる感染症です。 夏か

記事を読む

鉤虫症(十二指腸虫症)を詳細に:原因,症状,検査,治療など

鉤虫症(十二指腸虫症)とは 鉤虫症(こうちゅうしょう)とは、回虫の一種である鉤虫が腸に

記事を読む

ジアルジア症の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

ジアルジア症は発展途上国を中心に、世界的に確認されている感染症です。 海外渡航者の帰国時に

記事を読む

シラミ症の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

シラミ症はシラミが皮膚に寄生することで引き起こされる感染症です。 ここではその症状や治療に

記事を読む

マールブルグ病の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

1967年、アフリカから実験のために、ドイツに輸入されたサルを解剖したり、臓器に触れた人が発症し

記事を読む

腸チフス、パラチフスを詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

腸チフス(ちょうちふす)、パラチフス(ぱらちふす)とは、サルモネラという細菌の一種であるチフ

記事を読む

リステリア症の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

リステリア症はグラム陽性細菌のリステリア菌が原因となって起こる人と動物共通の感染症です。 人間

記事を読む

回帰熱の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

我が国では、ボレリア属の細菌「ボレリア・ミヤモトイ」を持っているマダニ類に噛まれることで、細菌が

記事を読む

仮性結核の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

仮性結核は仮性結核菌感染を原因とする、感染症のひとつです。 人間と動物共通の感染症で、さまざま

記事を読む

パスツレラ症の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

パスツレラ症は主に犬や猫を介して感染する人獣共通感染症のひとつですが、この感染症の存在はほとんど

記事を読む

no image
膀胱がんを詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

膀胱がんとは 膀胱がん(ぼうこうがん)とは、膀胱の粘膜に発生するがん、いわゆる悪性腫瘍(

乳幼児痔瘻を詳しく:原因・症状・検査・治療など

乳幼児痔瘻とは お尻の穴である肛門(こうもん)の周囲に膿がたまる病気のことを、肛門周

no image
膵臓がんを詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

膵臓がんとは 膵臓がん(すいぞうがん)とは、膵液(すいえき)という消化液を作り出す臓器で

鼻涙管閉塞を詳しく:原因・症状・検査・治療など

鼻涙管閉塞とは 上まぶたにある涙腺(るいせん)より、涙は分泌されています。 涙は眼

no image
自己免疫疾患について

『自己免疫疾患』とは、本来なら身体の外部から侵入してきた異物を排除するための免疫系

→もっと見る

PAGE TOP ↑