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カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

公開日: : 最終更新日:2015/10/04 感染症, 人獣共通感染症


カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症は、その名が示す通りカプノサイトファーガ・カニモルサスという細菌を原因とする感染症です。
犬や猫を通じて感染する病気で、免疫機能が低下している人は重症化しやすいとされています。
患者の年齢は40歳代~90歳代と中高年が多く、悪性腫瘍や全身性自己免疫疾患、肝硬変、糖尿病などの患者が発症しやすいことがわかっています。
ここではカプノサイトファーガ・カニモルサス感染症がどんな病気なのか、どのように対処していけばいいのかを見ていきます。

カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症の症状

カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症を発症すると、頭痛や吐き気、倦怠感、発熱などの症状があらわれます。
感染から発病までの潜伏期間は1~8日とされ、どんな症状があらわれるのか、症状の程度などは人によって異なります。
重症化すると、髄膜炎や敗血症を発症し、敗血性ショック、播種性血管内凝固症候群(DIC)、多臓器不全などが起こり、最悪の場合死亡してしまうこともあります。

敗血症は病原体が体中に拡散してそれぞれの部位で炎症を引き起こすというもので、髄膜炎は中枢神経である脳と脊髄を包む髄膜に炎症が拡大することを言います。
播種性血管内凝固症候群は出血した箇所だけに生じるはずの血液凝固反応が、なんらかの理由で体中の血管内に生じてしまうことを言います。
細い血管内での凝固は目詰まりと破裂の原因となり、あちこちの臓器が機能不全を起こします。

重症化した場合、敗血症にいたった人のおよそ30%、髄膜炎にいたった人のおよそ5%が死亡するとされています。
脾臓摘出者が発症しやすい傾向にあり、悪性腫瘍や免疫異常疾患、糖尿病などの慢性疾患、アルコール中毒といった免疫機能が低下する基礎疾患がある人が重症化しやすいと言われています。
そのため、免疫が低下している人は日頃から特に注意しなければいけません。

カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症の感染経路

カプノサイトファーガ・カニモルサスは犬や猫などの動物の口腔内に存在する細菌です。
そのため、菌を保有する犬や猫に引っかかれたり噛まれたりすることで、人間に感染します。
動物の場合は保菌していてもなんらかの異変が見られることもなく、外見上はいつもと変わりません。

動物に噛まれた事故の発生数と比較して、カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症は少ないことから、発症率自体はそれほど高くないと言われています。
動物から人間に感染することはありますが、人間から人間に感染するということはありません。

菌が唾液中に含まれるため、噛まれたり引っかかれたりするだけでなく、口移しでペットに餌を与える、人間と同じ食器をつかうといった行為も危険です。
菌に含む唾液が体内に取り込まれ、感染に至るといったケースは珍しくありません。

カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症の治療

カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症が疑われる場合は、患者の状態にもよりますが、できるだけ早く抗菌剤などで治療をスタートさせることが重要だと言われています。
そのため、異変を感じたら時間をおかずに、医療機関で受診することが大切となります。
特に疾患などによって免疫機能が低下している人は症状が重篤化しやすいので、できるだけ早く治療を開始する必要があります。

噛まれた場合に有効な抗菌薬としては、テトラサイクリン系抗菌剤やペニシリン系が有効だとされています。
しかし、カプノサイトファーガ・カニモルサスにはβラクタマーゼを生成する菌株も存在するので、ペニシリン系の抗菌剤をつかう場合にはβラクタマーゼ阻害剤と合わせたものなど、その影響を軽減できるような工夫が必要です。

カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症の予防

カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症の予防は一般的な動物由来感染症の予防方法と同じと考えていいでしょう。
犬や猫との過剰なふれあいは控えて、動物に触れたあとは手洗いなどを徹底することが予防として有効な方法です。
仕事で動物と触れ合う機会が多い人は、施設内にいる猫や犬の健康状態や行動に注意すること、衛生的な飼育環境を保持するといったことに特に注意すべきでしょう。

カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症は免疫低下などの基礎疾患がない人でも、重症化して死亡に至ったケースもあります。
しかし、感染時に早めに医療機関で適切な診断と治療を受けていれば、重症化しなかった可能性があります。
そのため、噛まれた傷の程度にかかわらず、医療機関で相談をすることが大切です。

犬や猫に引っかかれたり噛まれたりして感染する病気はほかにもいろいろあるので、予防に力を入れることが重要だと言えるでしょう。
また、抵抗力が落ちると感染時に悪化しやすくなるので、食生活や生活習慣に注意を向けて免疫力を向上させるような生活を心がけることも大切だと言えます。
万が一、動物に噛まれてしまった場合は、傷口の洗浄・消毒をし、悪化しそうなら医療機関で診てもらう必要があります。

カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症の検査

カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症を発症した疑いがある場合は、患者の血液や傷口の滲出液、脳脊髄液を培養して、菌を分離させてからその性質を見極めます。
培養したサンプルから、遺伝子検出を行うこともあります。

通常はこういった検査でカプノサイトファーガ・カニモルサス感染症かどうか明らかになりますが、医療機関を受診した時点で敗血症の状態となっていることは珍しくありません。
その場合はすぐに重篤化することがあり、さらにカプノサイトファーガ・カニモルサス菌は十分に育つのに時間がかかるため、培養検査の結果が明らかになるまでにはかなりの時間がかかります。
そういった理由から、検査結果をまたずに先行して患者の状態に応じて早めに治療が開始されることもあります。

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