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カンピロバクター症の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

公開日: : 最終更新日:2015/09/29 感染症, 人獣共通感染症


カンピロバクターは人間や動物に害を及ぼす細菌のひとつです。
1970年代に入ってから人間への病原性が判明し、研究が進むとともにこれまで原因がわかっていなかった食中毒の多くにこの細菌が関係していたことがわかってきました。
カンピロバクターによる食中毒発生数は年間2000件を超えるとも言われ、注意すべき細菌と言えます。

カンピロバクター症の症状

カンピロバクター症に動物がかかってもほとんどが無症状ですが、子猫や子犬では下痢などの症状があらわれることがわかっています。
人間がカンピロバクター細菌に感染すると、だいたい2~5日の潜伏期間を経て、38~40℃ほどの発熱や腹痛、下痢などの症状があらわれます。
倦怠感や悪寒、頭痛、嘔吐、吐き気などの症状が見られることもあります。
小児の場合は、血便が見られることもあります。

下痢などの症状がおさまってから、数週間~数ヶ月後に反応性関節炎が発症するケースもあります。
反応性関節炎が発症すると、アキレス腱、股関節、膝に痛みをともなう炎症が起こります。
また割合としてはそれほど多くありませんが、カンピロバクター症になったことで運動神経に障害が起こり、手足が麻痺状態となるギラン・バレー症候群を発症することもあります。
ギラン・バレー症候群は脱力や麻痺を引き起こす病気で、多くは回復しますが筋力が大幅に低下します。

呼吸困難となって人工呼吸器が必要になるケースも珍しくなく、脱力は必ずしも完治するとは限りません。
このギラン・バレー症候群の20~40%はカンピロバクター属による結腸炎がきっかけとなっていると言われています。
ほとんどの人は感染しても1週間ほどで治癒し、重篤化することや死亡にいたることはあまりありません。
しかし、子供や高齢者、抵抗力が低下している人は重症化しやすいので、気をつける必要があります。

また、カンピロバクター症は初期には症状や合併症があらわれませんが、ごく一部の人は血液の汚染が繰り返し起こったり、その状態がつづくことがあります。
がんや糖尿病、エイズなどによって免疫系の働きが低下している場合は、こういった菌血症が起こりやすいとされています。
そして、その影響で発熱や再発性の発熱が生じるとともに、血液の流れによって感染がほかの臓器に拡大することがあります。
心臓弁が感染されると心内膜炎、関節の場合は感染性関節炎、骨の場合は骨髄炎、脳と脊髄をおおう組織内空間の場合は髄膜炎が生じます。

カンピロバクター症の感染経路

カンピロバクター症は、汚染された水や食品を摂取することで起こる食中毒、そして感染する動物と接触することで起こる動物由来感染症に分類できます。
どちらのケースも、汚染された食品や手指などから、菌を口から取り込むことによって感染に至ります。
カンピロバクターはほかの食中毒細菌よりも感染しやすいと言われ、数百個の摂取で感染するとされています。

しかし、空気中では長い間生存することがむずかしいため、伝染病のように人間同士で感染することはまれです。
カンピロバクターを原因とする食中毒の調査によると、鶏わさや鶏のたたき、レバーやささみの刺身などの鶏肉関連が原因であることが多いとされています。
このことから、調理中に十分加熱されていないこと、間違った取り扱い方をされていることで感染リスクが高まっていることが示唆されます。

欧米では汚染された牛乳を飲むことでカンピロバクター症が発症するケースが多いですが、日本では加熱殺菌されているため、こういったことはありません。
そのほか、日本国内では殺菌が十分にされていない井戸水、わき水、簡易水道水によって感染するケースが見られます。

カンピロバクター症の治療

カンピロバクター症の程度が軽く、短期間での自然治癒が見込めそうな場合は、整腸剤や補液などを用いた対処療法が治療の中心となります。
補液は口あるいは静脈を介して行われるのが一般的です。
また、食事ができるようになったら消化のいいものから少しずつ食べるようにするといった食事療法も有効です。

出血をともなう下痢、重度の下痢、高熱などの症状が悪化した場合は、3日間のアジスロマイシン投与、あるいは5日間のエリスロマイシン投与が行われます。
アジスロマイシン、エリスロマイシンともに、経口で用いられます。
血液に感染が確認された場合は、アジスロマイシンやイミペネム、ゲンタマイシンなどの薬剤を2~4週間ほど用います。

カンピロバクター症の予防

カンピロバクターによる食中毒の原因として多いのが肉類で、なかでも鶏肉や牛の生レバーはかなりの確率でカンピロバクター菌におかされていることがわかっています。
鶏肉は中のほうのピンクがなくなり、肉汁が出なくなるまでしっかり火を通します。
外食中に加熱が不十分と思える鶏肉が提供されたら、再加熱するよう支持しましょう。

一般的な加熱調理でカンピロバクター菌は死んでしまうので、食肉を調理する場合は十分に加熱することが大切な予防方法となります。
調理前には石鹸を用いて、しっかり手を洗います。
生肉に触れた手、もしくは調理器具でほかの食材に触れると二次汚染が心配されるので、こまめに洗浄するようにしましょう。
肉用のまな板は別で用意したほうが、なお安全です。

動物による感染で多いのが、下痢をしている子犬と接触したことによるものです。
動物に触れたあと、糞の始末をしたあとなどは石鹸をつかって手を洗うようにしましょう。

カンピロバクター症の検査

便をサンプル採取して、研究室に送り細菌を培養させることでカンピロバクター症かどうか調べます。
便中に白血球が存在すること、独特な形状のグラム陰性桿菌が見られることで、カンピロバクター症の診断はほぼ確定します。
ただし、便の培養には数日は要するので、症状の原因菌がわからない状態でも治療は先行して開始されるのが一般的です。
細菌が同定された場合は、用いる抗生物質の種類を決めるために感受性試験と呼ばれる検査が行われます。

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