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レプトスピラ症の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

公開日: : 最終更新日:2015/10/03 感染症, 人獣共通感染症


レプトスピラ症は、病原性レプトスピラ感染によって起こる人獣共通の細菌感染症のことを指します。
日本国内だけでなく世界各地で見られる病気ですが、特に熱帯地域に多いとされています。
ここではレプトスピラ症がどういったものなのか、その特徴について解説していきます。

レプトスピラ症の症状

レプトスピラ症では感染者の大多数は軽症で済みますが、ごく一部の人はたくさんの臓器に障害が生じます。
死に至るような重篤な状態となったレプトスピラ症は、ワイル症候群と呼ばれて区別されます。
レプトスピラ症は、大きく2段階に分けられます。
1段階の症状は、感染の2~20日後にあらわれ、悪寒や嘔吐、ふくらはぎと背中に起こる筋肉痛、吐き気、頭痛、発熱などが見られます。

3~4日後には眼が充血状態となって、胸痛や咳などが生じますが、ほとんどの人は1週間以内に治癒します。
2段階では数日経過したころに症状が再発することがあります。
これは、細菌を消滅させるために免疫系が炎症を引き起こすことで起こると考えられています。

発熱が再び起こり、脳と脊髄を囲む組織の内側が炎症状態となることもあり、これによって頭痛や首の硬直といった症状があらわれます。
ワイル症候群は第2段階で生じ、腎不全や黄疸出血が生じることがあります。
鼻血や出血をともなった咳、肺や皮膚内で出血が生じる場合もあります。
消化管からも出血し、貧血が起こりやすくなります。

腎臓や肺、心臓などいくつかの臓器が働くなることもあり、非常に危険だと言えます。
黄疸が生じなければ、その多くの症状は改善されますが、黄疸が起こるとおよそ5~10%の人が死に至ると言われています。
60歳以上の人の場合はさらに致死率が高まるので、注意が必要です。

レプトスピラ症の感染経路

レプトスピラ症は病原性レプトスピラ感染によって起こります。
ドブネズミの腎臓に保菌されるため、尿を介して人間の皮膚や口から感染します。
直接的なものでなくても、尿によって汚染された土壌や水などによっても感染する場合があります。

そのため、以前は農業従事者の感染が多いとされていましたが、最近はカヤックなどのレジャーの仕事に就いている人、海外に旅行することが多い人によく見られます。
そのほか、湖沼での水泳などによって感染にいたることもあるので、レジャーに行く際には十分に注意する必要があります。
洪水や大雨のあとは汚染水が滞ったり、ネズミが活発になったりするため、汚染しやすい環境となります。

海外からの動物輸入の際に、持ち込まれるケースもあります。
ロシアでは日本向けの輸出犬については、ワクチン接種をせずに抗体検査を実施して陰性のものに限って輸出するといった処置がとられています。
ドブネズミと同じ齧歯類に分類されるハムスターはこの菌に弱く、感染するとまもなく死に至るので人へは感染しにくいと考えられています。

それ以外にも、犬などのペット、羊や豚、牛、馬などの家畜も菌を保有していることがあります。
めったにありませんが、尿などを介して人間から人間へと感染することもあります。

レプトスピラ症の治療

軽症の場合は、アモキシシリンやドキシサイクリンなどの抗生物質を経口投与するだけで済みます。
症状が重篤な場合は、エリスロマイシンやペニシリン、ドキシサイクリンを静脈内投与します。
抗生物質の投与はできるだけ早く行う必要があるので、異変を感じたらすぐに医療機関で受診することが大切です。

レプトスピラ症が発症したからと言って隔離する必要はありませんが、尿を介して感染することがあるので取り扱いには気をつける必要があります。
ワイル症候群を発症した場合は、輸血や血液透析を行う場合があります。

レプトスピラ症の予防

汚染されている可能性のある水田、河川などに入る場合は、水中で怪我をすると傷口をつうじて感染する恐れがあるので、防護効果の高い装備を身につけるようにしましょう。
防護効果の高い装備としては、ゴム長靴やゴム手袋などがいいとされています。
皮膚に怪我がある場合は、水中に入るのは控えるようにします。

汚染されている恐れのある場所で、水を飲むのも避けるべきです。
特に洪水後の河などは汚染されている可能性が高いので、水に入らないようにしましょう。
また、ドキシサイクリンと呼ばれる抗生物質でレプトスピラ症は予防可能ですが、長期間の服用は避けるべきだと言われています。
接種する場合は、感染者とともにいて細菌にさらされた人も、一緒に投与することになります。

ワクチンも開発されていますが、接種可能な施設はそれほど多くありません。
ワクチンは血清型が合う菌に対してはおよそ6年間免疫が作用しますが、初回は1週間間隔で2度、1年後に再度接種することになります。
確認がとれている血清型は250以上と言われていますが、現状では5つの型にしか作用しません。

レプトスピラ症の検査

初期のレプトスピラ症は特徴的な症状が見られず、ほかの病気との区別がつきづらいため、診断はむずかしいとされています。
そのため、検査を行うことになります。
レプトスピラ症は血液と尿を採取して分析したうえで、診断をすることになります。

髄膜炎の症状が見られる場合は、脳と脊髄を覆う体液を採取することを目的に脊椎穿刺(腰椎穿刺)が行われます。
数週間かけて、複数種類のサンプル採取を行うのが一般的です。
採取したサンプルは検査室に送って、菌を培養して様子を観察します。
培養する期間は状態によって異なり、数日で済む場合もあれば1ヶ月ほど継続する場合もあります。

増殖した細菌を同定するか、あるいは血液中に細菌に対する抗体が見いだせればレプトスピラ症で間違いないということになります。
感染症法によって、レプトスピラ症は四類感染症(全数把握対象)に定められているため、診断した医師は保健所に届け出をすることが義務づけられています。

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