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ジフテリアを詳しく:原因・症状・検査・治療など

公開日: : 最終更新日:2018/07/12 感染症

ジフテリアとは

ジフテリア(じふてりあ)とは、桿菌(かんきん)という棒状・円筒状の細菌の一種であるジフテリア菌が原因で引き起こされる、上気道粘膜の感染症です。

感染、増殖したジフテリア菌により放出された大量の毒素により、こん睡、心筋炎(しんきんえん)といった全身症状を招くと命を落としてしまうリスクが上昇しますが、患者数に対する死亡者の比率は平均5~10%とされています。

日本では、1945年には約86,000人の患者を生み出し、その約10%が命を落としてしまったことがありましたが、ワクチンの接種が実施されるようになったことと、有効な抗菌薬があり、耐性菌が少ないという理由で、1991~2000年の患者数は21人で、命を落としてしまったのは2人と、患者数・死亡者数が共に激減しています。

ジフテリアは世界的に起こっている病気ですが、ワクチンの接種は世界各国で行なわれており、日本国内と同様に患者数・死亡数は著しく少なくなっています。
ただ、ワクチンの接種率が落ち込んでしまうと、ジフテリアは再度の流行を起こす危険性があります。

実際、一度はワクチンが普及した旧ソ連圏では、ジフテリアにかかる人は激減していましたが、政権崩壊の影響でワクチンが足りなくなるなどし、その結果としてジフテリアが再度流行した例があります。

このとき、1990~1995年で125,000人がジフテリアにかかり、4,000人以上の人が命を落としました。

ジフテリアの原因

ジフテリアの病原体

ジフテリアの原因は、桿菌という棒状・円筒状の細菌の一種であるジフテリア菌です。
ジフテリア菌はのどなどに感染し、毒素を産生します。

この毒素が心臓の筋肉である心筋や神経に影響をおよぼし、眼球や息をするのに必要な筋肉である横隔膜(おうかくまく)などのまひ、心不全(しんふぜん)などを引き起こして重篤になるケースがあるほか、最悪の場合には命を落としてしまうことにもなりかねません。

最悪の事態を招いてしまうのは、ジフテリアにかかった人の約10%とされており、とくに5歳以下や40歳以上では病状が重くなるリスクが高く、最高で20%の人が命を落としてしまうといわれています。

ジフテリアの感染経路

ジフテリアは人から人へとうつってしまう病気です。
主な感染経路としては飛沫(ひまつ)感染をあげることができます。

ジフテリア菌の感染者が咳(せき)やくしゃみをすると、空気中にジフテリア菌が飛散します。
このジフテリア菌を吸い込んでしまうことによって、うつってしまうのです。

感染は主にのどを通じてしますが、鼻を通じて感染するケースもあります。
なお、感染後に発症するのは10%で、あとの90%は症状が出現しないまま終わる場合があります。

飛沫感染以外では、ジフテリア菌に感染している人との濃厚な接触があったことや、ジフテリア菌に感染している人の唾液などが付着した物品にさわったことがきっかけでうつってしまうこともあります。
このような感染経路のことは接触感染といいます。

ジフテリアの潜伏期間

ジフテリア菌に感染すると、即座に症状が出現するわけではありません。
症状のない2~5日間程度の潜伏期間を経て、ジフテリアを発症します。
なお、前述のとおり、感染後に発症するのは10%で、あとの90%は症状が出現しないまま終わることがあります。

ジフテリアの症状

ジフテリアにかかるとどのような症状が出現するのか?

のどや鼻にジフテリア菌が感染し、2~5日の潜伏期間を経てジフテリアを発症します。

血液が混じった粘液膿性の鼻水、鼻の穴や上唇のただれ、発熱、寒気、おう吐、頭痛、体のだるさ、のどの痛み、嗄声(させい)という声のかすれ、犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)という犬が吠えるような咳、首のリンパ節のはれ、炎症のためにのどがはれて気道が狭まることによる呼吸困難といった具合に、さまざまな症状が起こり得ます。

また、のどに偽膜(ぎまく)という、死んだ白血球や細菌などで構成されている膜が発生することも、ジフテリアの特徴のひとつです。
ジフテリアの偽膜は厚く、はがしにくくなっており、強引にはがせば出血を起こしやすいです。

偽膜は粘り気のある白~灰白色をしており、気道を狭めたり完全に塞いだりしてしまい、窒息(ちっそく)してしまうことがあります。
また、ジフテリア菌により産生される毒素は、神経に作用します。

目、腕、脚を動かしにくい、顔がひきつる、手足がしびれる、飲み込みにくい、息苦しい、物が二重に見えるといった神経まひの症状が出現します。

また、心臓の筋肉の炎症である心筋炎で不整脈(ふせいみゃく)、心不全を起こし、命を落としてしまうこともあります。
患者数に対する死亡者数の比率は平均で5~10%とされています。

ジフテリアの検査・診断

受診に適した診療科

ジフテリアははじめ、発熱、体のだるさ、のどの痛み、飲み込むときに感じる痛みなどの症状が引き起こされます。

いわゆる風邪(かぜ)に似た症状ではありますが、ジフテリアの場合は偽膜による気道閉塞や、心筋炎を起こして不整脈や心不全で招くことなどにより、命を落としてしまうことにもなりかねません。

ジフテリアは有効なワクチンや抗菌薬があるため、日本国内での患者数・死亡数は激減しており、めったに起こるような感染症ではありませんが、この病気を疑うような症状がある場合には、できる限り早く受診しましょう。
ジフテリアは内科、耳鼻咽喉科、小児科へ行けば対応してくれます。

ジフテリアかどうかはどうやって調べるのか?

ジフテリアの診断を確定するには、患者の病気がある部位の偽膜や粘液をとり出して培養を行ないます。

ジフテリアは早期診断により、早急に的確な治療を行なわなければいけません。
培養を行ない診断が確定するまでには、時間を要してしまいます。

そのため、症状などでこの病気の疑いが濃厚と判断されれば、検査結果が出る前に治療が開始されます。

ジフテリアの治療

ジフテリアの治療方法は?

ジフテリアは、入院をして治療を受けることになります。

ジフテリア毒素を中和する作用のある血清(抗毒素)の投与や、ジフテリア菌を死滅させる作用のあるペニシリンやエリスロマイシンといった抗生物質(抗菌薬)の投与が行なわれることになります。

血清療法ははじめる時期が早いほど有効であり、症状などでジフテリアの疑いがあれば診断が確定する前に開始することがあります。

なお、血清療法では馬由来の血清が使用されますが、注射したときにショックを起こして命を落としてしまう問題が起こり得ます。

感染症法上・学校保健安全法上の取り扱い

ジフテリアは感染症法上では2類感染症の一種であり、診断したドクターには最寄りの保健所にただちに届出を行なう義務があります。

一方、学校保健安全法上で、ジフテリアは第1種の感染症に指定されています。
よって、治癒するまで登校することができません。

ジフテリアの予防

ワクチンの接種

ジフテリアはVPD(Vaccine Preventable Diseases)の一種です。
VPDというのは、ワクチンで防止することが可能な病気のことです。
ジフテリアのワクチンは、1期と2期があります。

1期は生後3ヶ月から接種の対象であり、1回1回の間隔をあけて計4回の接種を受けます。
2期は11歳からで、1回の接種を受けます。

ジフテリアのワクチン接種を行なうことにより、ジフテリアにかかってしまう確率を95%ほど低くすることができると報告されています。

ワクチンの接種による副反応

ジフテリアの予防のためにワクチンの接種を受けたときに、接種した部分の赤いはれが起こったり、しこりが発生したりすることがあります。

はれることは回を増すごとにやや多くはなりますが、深刻な状態になることはほぼありません。
腕全体にはれが起こることがあり、実際に起こったときには医療機関で受診することが大切です。

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