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敗血症を詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

公開日: : 最終更新日:2017/10/22 感染症

敗血症とは

敗血症(はいけつしょう)とは、血液中に細菌やウイルス、真菌(しんきん)などの病原体が侵入することによって全身に炎症反応を引き起こす病気のことです。
世界では1年間で2,700万人が発症しており、約800万人が死亡するなど、約3人に1人の割合で命を落としている危険な病気となっています。

敗血症は風邪(かぜ)や肺炎(はいえん)、糖尿病(とうにょうびょう)などを患った際に病気の原因となる細菌やウイルス、真菌などの病原体が血液中に侵入し、その病原体が血液によって全身へと運ばれ、全身で炎症が生じることによって発症します。
ただし、病原体が血液中に侵入しただけでは、敗血症を発症することはありません。

人間の体は健康である場合、血液中に病原体が侵入したとしても血液中の白血球によって破壊されます。
そのため、敗血症は体力や免疫力が低下している場合や臓器疾患を患っている場合に発症しやすいという特徴があり、実際に発症患者を見てみると、体力や免疫力が弱い高齢者や新生児、妊婦、免疫疾患や慢性疾患を患っている方が多いです。

敗血症を発症した場合、全身に激しい炎症を引き起こします。
炎症反応は血液中に侵入した病原体に対する抵抗によって引き起こされますが、敗血症の場合は炎症反応が強すぎるため、心臓や腎臓などさまざまな臓器の機能障害を引き起こす場合があり、重症化すると死に至ることもあります。

敗血症はもともと体力や免疫力が低下している場合に発症しますが、とりわけ高齢者の場合は重症化しやすく、敗血症で死亡する方の約80%は65歳以上の高齢者となっています。

発症者の約3人に1人の割合で命を落とす危険な病気である敗血症ですが、早期に治療をほどこすことで重症化を防ぐことが可能です。
敗血症の治療では基本的に薬物療法が行なわれていますが、原因となる細菌やウイルス、真菌に有効な薬物を使用します。

しかし、重症化した場合には集中治療室での治療が必要となるほか、人口呼吸管理や、体内から血液を取り出したあとに透析やろ過などで有害物質を取り除き、体内へと戻す血液浄化療法が行なわれるケースもあります。

敗血症は死亡率が高い病気であることから、できるだけ早期の段階で治療に取り掛かるとともに、予防に取り組むことも重要です。
そのためには体力や免疫力をアップさせることが効果的であり、生活習慣を見直すことが予防に繋がります。

ただ、少しでも体に異変を感じた場合や、敗血症の症状が出現した場合には速やかに医療機関で検査を受けるようにしましょう。

敗血症の原因

敗血症を発症する原因は細菌やウイルス、真菌への感染です。
細菌やウイルス、真菌などの病原体が血液中に侵入することによって発症します。

主な病原体

敗血症を発症する原因となる主な細菌には、連鎖球菌(れんさきゅうきん)、緑膿菌(りょくのうきん)、黄色ブドウ球菌(おうしょくぶどうきゅうきん)、肺炎菌(はいえんきん)、大腸菌(だいちょうきん)などが挙げられます。

風邪を引き起こすウイルスや、まれにカンジダなどの真菌が原因となる場合もあります。
このように敗血症の発症原因となる病原体はひとつではなく、さまざまな要因があります。

感染症を患っている場合

肺炎などの呼吸器感染症(こきゅうきかんせんしょう)、腎盂腎炎(じんうじんえん)などの尿路感染症(にょうろかんせんしょう)、腹膜炎(ふくまくえん)、胆管炎(たんかんえん)、胆嚢炎(たんのうえん)、歯周病(ししゅうびょう)といった細菌感染を患っている場合、感染症の原因となる病原体が血液中に侵入することで敗血症を発症する場合があります。

慢性疾患や基礎疾患がある場合

肝硬変(かんこうへん)や糖尿病などの慢性疾患、がんなどの基礎疾患を患っている場合、体力や免疫力が低下するため敗血症を発症しやすくなります。

化学療法や放射線治療を受けている場合

免疫抑制剤や副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン剤などを投与する化学療法や、放射線治療を受けている場合、血液中の白血球数や体の免疫力が低下して、敗血症を発症しやすくなります。

手術後

何らかの手術を受けた直後は体力や免疫力が低下しているため、敗血症を発症しやすくなります。
敗血症患者の多くは、手術後の院内感染が原因となって発症する場合が多いというデータもあります。

医療器具を体内に入れている場合

尿路や静脈にカテーテルを挿入している場合や、気管内チューブやドレナージを体内に入れている場合、さらに人工心臓弁や人工関節を体内に入れている場合は敗血症を発症しやすくなります。

さまざまな要因によって病原体が血液中に侵入すると発症する敗血症ですが、病原体が血液中に侵入したからといって必ずしも敗血症を発症するとは限りません。

敗血症は体力や免疫力が低下している場合に発症しやすく、実際に発症患者を見ると高齢者や新生児、妊婦、慢性疾患や基礎疾患を持っている方が多いです。

そのため、高齢者や新生児、妊婦、疾患を持っている方は、日頃から体力や免疫力を低下させないように生活習慣に気をつけることが重要です。

敗血症の症状

敗血症を発症した場合、症状が急激に悪化しやすく、また重症になると約3人に1人の割合で死亡するため、初期段階で適切な治療をほどこすことが重要となります。

敗血症の症状は初期段階から重症段階の重症敗血症、さらに最も重症の敗血症性ショックと段階を踏んでいきます。

基本症状

敗血症を発症した場合の基本的な症状としては、悪寒(おかん)、38℃以上の高熱、全身のふるえ、心拍数や呼吸数の増加、全身のむくみ、高血糖、低血圧、手足の冷え、全身の倦怠感(けんたいかん)、意識障害といった症状が挙げられます。

この段階で適切な治療をほどこさずに症状が悪化すると、徐々に尿の量や回数が減少しはじめ、呼吸困難などを引き起こし、重症段階へと移行します。

重症敗血症の症状

敗血症が重症化た重症敗血症の段階になると、初期段階の高熱から低体温へと変化します。

さらに血圧低下によって全身に酸素が供給されにくくなり、低酸素血症(ていさんそけっしょう)や腎不全(じんふぜん)、循環器不全(じゅんかんきふぜん)などを引き起こします。

ただし高齢者や、糖尿病などの慢性疾患を患っている場合は重症化しても症状が現れにくいため注意が必要です。

敗血症性ショックの症状

重症敗血症がさらに悪化すると敗血症性ショックと呼ばれる最も重症の段階へと変化します。

敗血症性ショックの初期症状としては、手足が温かく、血圧が低下するウォームショックという症状が現れ、その後は徐々に心拍数が低下して手足が冷たくなり、循環器不全状態となるコールドショックという症状が引き起こされます。

さらに出血性の斑点や黄疸(おうだん)、貧血、腎不全や意識障害といった症状も現れ、集中治療室でも治療が必要となり、最悪の場合数時間で死に至るなど危険な状態になります。

合併症

敗血症は全身に炎症を引き起こす病気であるため、症状が進行すると合併症を発症する場合があります。
敗血症の合併症は、主に多臓器障害症候群(たぞうきしょうがいしょうこうぐん)と播種性血管内凝固症候群(はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん)の2つが挙げられます。

多臓器障害症候群とは中枢神経をはじめ、肺や心臓、腎臓、肝臓、消化器などさまざまな臓器に障害を引き起こす合併症です。
多臓器障害症候群を併発した場合、腎不全や尿毒症(にょうどくしょう)を発症する腎機能障害や、著しい血圧低下を招く循環不全などを引き起こします。

播種性血管内凝固症候群とは、血液中に血栓(けっせん)を必要以上に生成してしまう合併症です。
播種性血管内凝固症候群を併発した場合、血液中の血栓が増加することによって血小板の消費量が増加し、外傷を負って流血した際に止血がなかなかできない状態に陥ります。

敗血症は初期段階で治療を行なえば死亡率が低いのに対し、症状が悪化するごとに死亡率も徐々に高まり、敗血症性ショックの状態まで悪化すると約3人に1人の割合で死に至ります。

また、合併症を併発した場合、治療をほどこしても予後に影響を及ぼすリスクがあるため、敗血症の症状が少しでも現れた場合はできるだけ早く医療機関へ行くことが大切といえるでしょう。

敗血症の検査・診断

敗血症の検査は基本的に血液検査を行ないます。
血液検査を行ない、発症原因となっている細菌やウイルス、真菌などの病原体を特定します。
ただし、敗血症は早期に治療を開始して重症化を防ぐために、問診から考えられる病原体に有効な薬物を投与する場合もあります。

血液検査

血液検査では、血液中に病原体が含まれるか確認します。
また、敗血症は全身に炎症を引き起こす病気であるため、炎症を発症した際に増加する白血球の数を確認します。
このほかにも収縮期血圧や血漿乳酸値によってショック症状を引き起こしているかどうかを確認することができます。

血液培養検査

血液培養検査では採取した血液を培養し、その中に細菌などの病原体が含まれるか確認します。
ただし培養には数日間を要し、問診後に薬物投与を開始していた場合には培養しても細菌などの病原体が増殖しないことがあります。

敗血症は血液検査や血液培養検査を行なった後、確定診断を下すためにはいくつかの項目を満たすことが条件となります。

体温

体温が38℃以上の高熱であること、または36℃未満の低体温であること

心拍数

心拍数が1分間に90回以上の頻脈であること

呼吸数

呼吸数が1分間に20回以上であること、または血液中の二酸化炭素量を示すPaCO2値が32Torr以下であること

白血球数

血液中の白血球の数値が12,000/μl以上であること、または4,000/μl未満であること、あるいは未熟顆粒球が10%以上を占めている場合

この4項目のうち2項目以上に当てはまる場合、全身性炎症反応症候群(ぜんしんせいえんしょうはんのうしょうこうぐん)と診断されます。
さらに、全身性炎症反応症候群の発症原因が感染症である場合、敗血症と診断されます。

敗血症の治療

敗血症の治療は基本的に薬物療法を行ないます。
原因となる病原体が細菌の場合は抗生物質、ウイルスの場合は抗ウイルス剤、真菌の場合は抗真菌薬を投与します。

ただし、敗血症はできるだけ早い治療が求められるため、血液検査の結果が出るまではいくつかの種類の薬剤を投与する場合もあります。
このほかにも重症敗血症や敗血症性ショックなど重症化した場合や、体内に膿が溜まった場合などにはそれぞれに適した治療を行ないます。

敗血症の基本的な治療法である薬物療法では、主にアミノグリコシド系抗菌薬、ペニシリン系抗菌薬、グリコペプチド系抗菌薬を使用します。

アミノグリコシド系抗菌薬

アミノグリコシド系抗菌薬は、細菌のたんぱく質合成を阻害することで殺菌効果を発揮する抗菌薬です。
敗血症をはじめ、さまざまな感染症に使用されますが、副作用として発熱、皮疹、かゆみなどの過敏症状や、尿量の減少やむくみ、倦怠感などが現れる腎機能障害、ふらつきや耳鳴り、音が聞こえづらいなどの難聴などを引き起こす場合があります。

ペニシリン系抗菌薬

ペニシリン系抗菌薬は、細菌の細胞壁合成を阻害することで殺菌効果を発揮する抗菌薬です。
ただし副作用として、食欲不振や吐き気、下痢などの消化器症状や、腹痛や粘性のある便といった症状が現れる偽膜性大腸炎(ぎまくせいだいちょうえん)、蕁麻疹(じんましん)や皮膚のかゆみ、息苦しさなどのアナフィラキシーショックを引き起こす場合があります。

グリコペプチド系抗菌薬

グリコペプチド系抗菌薬は、ペニシリン系抗菌薬と同様に細菌の細胞壁合成を阻害することで殺菌効果を発揮する抗菌薬です。
ただし副作用として、発熱や発疹などの過敏症、尿量の減少や一時的な増加、むくみや倦怠感などを発症する腎機能障害、聴力低下やめまい、耳鳴りなどを発症する難聴を引き起こす場合があります。

重症化した場合の治療法

敗血症が重症化すると重症敗血症や敗血症性ショックの状態となり、薬物療法とは異なる治療法が必要となります。

重症化した場合は基本的に集中治療室での治療が必要であり、腎不全や肝不全(かんふぜん)、呼吸器不全(こきゅうきふぜん)などを引き起こしている場合には、血液を体内から取り出して透析、ろ過、吸着、分離によって有害物質を取り除いたあと、再び体内へと戻す血液浄化療法や人口呼吸管理を行ないます。

血液浄化療法には血液ろ過透析法や単純血漿交換療法などさまざまな治療法があり、治療中に血圧低下が現れた場合には酸素投与や昇圧剤の投与、輸液治療などを行ないます。

その他の治療法

敗血症の発症原因が体内に溜まった膿である場合、外科手術によって膿を取り除きます。
このほかにも血糖値管理、栄養管理などを行ない、症状が悪化しないようにします。

敗血症は重症化すると約3人に1人の割合で死亡する危険な病気であるため、初期段階でスピーディーに治療をほどこすことが重要です。

基本的な治療である薬物療法は、薬物投与が1時間遅れるごとに約8%も予後に悪影響を及ぼすとされているため、詳しい検査結果が出る前に複数の薬物を投与し、検査結果が出てから原因となる病原体に対し有効な薬物の投与に切り替えるという処置をほどこすケースが多いです。

初期段階に適切な治療をほどこせば、概ね5~10日間ほどで治療は終わりますが、体力や免疫力が低下している高齢者の方や、がんや腎不全、糖尿病など基礎疾患や慢性疾患疾患を持っている方の場合は治療に長期間を要します。

敗血症の予防

敗血症は細菌やウイルス、真菌などの病原体への感染が原因となって発症しますが、原因となる病原体に感染したからといって必ずしも発症するわけではなく、体の免疫力が低下している場合に発症リスクが高まります。
そのため、体の免疫力をアップさせることで敗血症を予防することができます。

体の免疫力をアップさせるには、生活習慣を改善することが効果的です。

手洗いうがいを徹底する

外出から帰宅した際は手洗いやうがいを必ず行なうようにしましょう。
手洗いやうがいを徹底することで病原体への感染を予防することができます。

禁煙

タバコを吸うと白血球の一種である肺胞マクロファージの働きが低下します。
肺胞マクロファージは体内で抗体を作り出す作用があり、肺胞マクロファージの働きが低下すると体の免疫力も低下するため、喫煙習慣がある方は禁煙するようにしましょう。
自力での禁煙が困難な人は、禁煙外来に行くこともひとつの手段です。

朝からしっかり活動する

体の免疫力を司る免疫細胞は日中は活発に働き、夜になると落ち着きます。
朝起きた際に太陽の光をしっかり浴び、朝食を摂ると免疫細胞の活性化を促すとともに体内リズムを整えて免疫力をアップさせることができます。

食生活の改善

免疫力をアップさせるには腸内フローラと呼ばれる腸内の善玉菌を増加させることが効果的とされ、納豆やヨーグルトなどの発酵食品を積極的に摂取するようにしましょう。
さらに抗菌作用に優れた緑黄色野菜も効果的とされており、トマトや人参、ピーマンなどを積極的に摂取するようにしましょう。

入浴の際は湯船に入ること

毎日忙しいと入浴をシャワーだけで済ませる場合もありますが、体温が低下すると免疫力も低下するため、入浴の際は湯船に入ってしっかり体を温めるようにしましょう。
湯船に入る際は38℃前後のぬるま湯に、じんわり汗をかくまで30分ほどを目安に入るのがおすすめです。

睡眠時間をしっかり確保する

体の免疫力は自律神経の働きに大きく左右されます。
睡眠時間が短い場合、自律神経が正常に機能しなくなり免疫力が低下する原因となります。
そのため、1日7~9時間ほどの睡眠時間をしっかり取り、自律神経の機能を正常に保つようにしましょう。

軽い運動を取り入れる

軽い運動を日常生活に取り入れることで自律神経が刺激され、免疫力アップに繋がります。
ウォーキングやストレッチ、ラジオ体操など無理なく続けられる軽い運動を習慣付けるようにすると効果的です。

体の免疫力をアップさせると敗血症だけでなくさまざまな病気の予防に繋がります。
そのためにも規則正しい生活、バランスの良い食生活、ストレスを溜めない生活を心掛けるようにしましょう。

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