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アメーバ赤痢の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

公開日: : 最終更新日:2016/01/31 感染症, 寄生虫症


アメーバ赤痢は感染症のひとつで、世界の広い地域で見られます。
場合によっては死に至る病気で、多くの人が感染によって死亡しています。

ここでは具体的な症状や予防方法などを見ていきます。

アメーバ赤痢の症状

アメーバ赤痢は赤痢アメーバという原虫が大腸に感染することで起こる病気で、世界で年間およそ5000万人の感染者、4~10万人の死亡者が存在すると言われており、日本国内でも感染者は確認されています。

ほかの寄生虫感染症と比較して、日本国内での感染者が多い病気でもあります。

1年で700~800人の届け出があり、数年前と比べると、その数は大きく増加しています。

しかし、日本国内では死亡にいたる人はそれほど多くなく、死亡例は数例にとどまっています。

感染者の多くは海外渡航歴がなく、その大半が男性同性愛者あるいは知的障害者だと言われています。

免疫不全者が発症しやすいとも言われ、日本国内でも福祉施設での集団感染がいくつか報告されています。

国内で食中毒として起こることは、あまりないと言われています。

感染しても必ず症状があらわれるわけではなく、症状が見られるのは5~10%ほどと、それほど多くはありません。

排便時の下腹部痛や鼓脹、しぶり腹、下痢、粘血便などが主な症状です。

起こりやすいパターンとしては、イチゴゼリーのような粘血便を排泄して、数日から数週間の感覚で悪化と症状の軽減を繰り返します。

悪化しているときは腸穿孔という腸に孔があく状態となったり、腹膜炎を起こしたりすることもあります。

また、大腸炎症状が見られる人のおよそ5%に腸管外への播種が確認されています。

肺や脳、肝臓などで膿瘍がつくられ、症状は重症化し、命を落とす危険性も高まります。

このなかで肝膿瘍がもっとも多く確認されています。

潜伏期間は1~14週間ほどありますが、人によっては1年以上経過してから発症することもあるため、注意が必要です。

アメーバ赤痢は細菌性赤痢よりもゆるやかに症状があらわれることが多く、少しずつ腹部の痛みや粘血性下痢などの症状が見られるようになります。

回盲部やS状結腸に圧痛が見られ、腹部の不快感が特徴的です。

腹痛はそれほど強くなく、残便感や発熱などはあるものの何度も排便がしたくなる感覚はあまりありません。

アメーバ赤痢の原因

もともと赤痢アメーバは、世界人口のおよそ1割が感染していると言われてきました。

感染者の糞便を光学顕微鏡で確認すると、赤痢アメーバと同一性を認められる原虫が検出されます。

最近になって、これらの赤痢アメーバは2種類の原虫に分けられるということが明らかになりました。

この2種類のうち、病原種と非病原種の割合は1:9ほどだと言われています。

赤痢アメーバは赤痢アメーバ原虫の経口感染によって、起こることがわかっています。

赤痢アメーバには栄養型、そして嚢子の2種類の形態があり、栄養型は運動性にすぐれています。

そのため、大腸の組織などを捕食して増えて、大腸粘膜に集落をつくって、場合によっては血行性に移動します。

そうすると一定割合で肝腫瘍などの腸外アメーバ症が起こります。

大腸に存在する栄養型の一部が嚢子に変化し、便と一緒に排出されます。

排出された栄養型は抵抗力があまりなく死滅しますが、嚢子は残ってしまいます。

この嚢子が人間から人間、あるいは水や食物を介して拡散します。

また、副腎皮質ステロイド材の投与や妊娠などによって、アメーバ赤痢の症状は悪化することはわかっています。

この病気は男性の同性愛者に多くみられ、性行為中に肛門と口が接触することで感染に至ると言われています。

熱帯地域やの海外渡航者や知的障害施設の入所者、風俗施設で働く女性なども感染率が高いとされています。

症状がみられず自覚がないままアメーバ赤痢の嚢子を体外に出してしまう人もいるので、注意しなければいけません。

国や地域によっては手を洗うことが習慣化していないこともあり、そういった人が調理したものを口にして感染に至ることもあります。

アメーバ赤痢は数週間ほど生存することもあるので、人糞を肥料としてつくられた野菜などはじめから付着したものを知らず知らずのうちに食べて感染してしまうこともあります。

上下水道などが完備されていない場所では、飲み物も人糞で汚染されている可能性があります。

加熱されていない食品、果物、生肉、生魚、生野菜などが汚染されていると、感染のリスクが高まり、非常に危険だと言われています。

アメーバ赤痢の診断

粘血便をともなう症例のほとんどで、栄養型が確認されます。

活発に活動する原虫が確認されれば診断が可能ですが、それには糞便排出後数時間の観察が不可欠です。

また、検体は保温に注意して、過度に冷やさないように気をつける必要があります。

軽症あるいは無症状の場合は、シストと呼ばれる休眠状態の原虫が確認されます。

シストの種類によって投薬の必要性の有無が変わってくるため、それを調べることは重要なポイントとなりますが、光学顕微鏡での鑑別は困難です。

そのため、アメーバのモデムパターンの検討、あるいはPCR 法による解析が推奨されますが、医療現場で活用できるほど確立されていないというのが現状です。

赤痢アメーバによって起こる大腸潰瘍はアフタ様、あるいはヘビタマ様と呼ばれます。

腫瘍まわりは浮腫上に盛り上がって、腫瘍底にはクリームのような白苔が確認されます。

病変の分布は部分的で、病変と病変の間の粘膜に異常は見られません。

これらの特徴はアメーバ病変独特なもので、診断に大きく役立ちます。

血清抗体について調べられることもありますが、測定方法によって陽性率はちがってしまいます。

抗体陽性の場合はアメーバ赤痢の可能性が高まるでしょう。

アメーバ赤痢によって肝膿瘍が生じた場合は、超音波やCT検査によって腫瘍の有無を確認します。

この方法は診断に役立ちますが、確実な診断に結びつきません。

しかし、肝右葉につくられた円形あるいは楕円形膿瘍が確認された場合は、アメーバ赤痢の確率が高まります。

肝膿瘍を直接穿刺あるいはドレナ-ジによって取り出し、原虫が含まれないか調べる方法もあります。

光学顕微鏡での確認の確実性は50%ほどで、それほど精度の高い診断法とは言えないでしょう。

しかし、超音波で確認しつつ穿刺によって腫瘍内容を採取する方法は、細菌性かどうか判断するのに有効です。

赤痢アメ-バ性肝膿瘍での血清抗体検査では、陽性率が非常に高いと言われています。

そのため、信頼性の高い方法と言えるでしょう。

アメーバ赤痢の治療

腸赤痢アメーバでも腸外アメーバであっても、メトロニダゾールが治療に用いられるのが一般的です。

経口メトロニダゾールの場合は5~10日間ほど投与、あるいは薬の副作用を軽減することを目的に2.4gを2日間投与されます。

このメトロニダゾールによる治療後に赤痢アメーバの集落がつくられることを予防するために、パラモマイシンが投与される場合があります。

これといった症状がみられず嚢子の排出のみがみられる場合は、メトロニダゾールをつかった治療のあとに経口ジロキサニドフロエートの投与が行われるのが一般的です。

便に赤痢アメーバが確認された場合は、ヨードキノールをメトロニダゾール治療後に20日投与されることもあります。

アメーバ赤痢は再発することもあるので、一滴期間ごとに検査をする必要があります。

何度か検査を行って糞便中になにも確認されなければ、完治したとみて間違いないでしょう。

腸外アメーバ症の場合も、メトロニダゾールはよく用いられます。

重症腸炎など肝膿瘍破裂が起こった場合はデヒドロエメチンが同時に用いられることもあります。

メトロニダゾール注射液は発疹や白血球減少、肝障害、嘔吐、嘔気、うつ傾向、めまい、運動失調などの副作用のリスクがあります。

投与期間中、終了後一定期間は飲酒は禁じられています。

また、妊娠中の女性にも投与は避けるべきだと言われています。

症状が強くあらわれている場合は、食事をとることは控えて、しばらく点滴で対処することもあります。

アメーバ赤痢の予防

アメーバ赤痢のワクチンは現在開発にいたっていないため、自分で注意することが大切となります。

有効な予防方法のひとつが、清潔さを保つと言うことです。

手洗いを徹底して原因物質を除去することは大切なので、正しい手洗い方法を知っておくようにしましょう。

旅行などで海外に行く場合は、飲食物は必ず加熱することが大切です。

人の手が加わった食べ物はできるだけ控えたほうがいいので、カットフルーツなども注意が必要です。

果物などを洗った水が汚染させれているケースもあるので、気をつける必要があります。

水道水はできるだけとらず、缶やペットボトルに入った飲料水を利用するようにします。

性行為を行う場合は、必ずコンドームを用います。

感染の疑いがある人との性行為はできる限り、避けるべきです。

煮沸は赤痢アメーバの嚢子を死滅させるのに有効だと言われています。

塩素やヨウ素を含む化合物をつかった化学的消毒法は、水温や水中の有機残屑によってその有用性はかわってきます。

携帯用濾過器の使用も一般的に意味があると言われていますが、そのつくりなどにとって効果は大きくちがってきます。

腸炎の症状がみられるアメーバ赤痢の場合、クローン病や細菌性の赤痢、潰瘍性大腸炎などとまちがわれることがあります。

アメーバ赤痢は全身症状がいいことが多く、改善と悪化を繰り返すという特徴があります。

そういった特徴も診断に役立ちますが、症状があらわれはじめたらできるだけ早く医師による正確な診断を受けることが大切となります。

特に腸穿孔、腸管外播種などは命を落とすこともある危険な状態なので、症状を自覚したら内科や感染症科などでしかるべき検査を受けることが望ましいでしょう。

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