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疥癬(疥癬)の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

公開日: : 最終更新日:2015/10/13 感染症


疥癬は皮膚に生じる、感染症のひとつです。
ダニを介してもたらされる症状で、激しいかゆみをともないます。
ここでは疥癬について、詳しく紹介していきます。

疥癬の症状

疥癬はダニに寄生されることで起こる感染症で、その最大の特徴は強いかゆみです。
かゆみの多くは夜の間に悪化する傾向にあります。
皮膚に寄生したダニはトンネルのようなものをつくり、それは最長で1cmほどの細い線のように見えます。
そして、どちらか片側に小さな隆起が形成されますが、その隆起のみを眼で確認できることもあります。
強いかゆみに耐えきれずほとんどの人が患部を掻きむしるため、隆起の多くは掻き壊されています。
ダニは顔以外の全部の部位にトンネルを形成しますが、特に多いのが乳頭やお尻、足首、手首、指の間などです。
男性の場合は、性器に寄生されることもあります。
ダニが寄生した箇所は炎症状態になりやすく、ダニが形成したトンネルは炎症によって見づらくなる場合もあります。
寄生された人が健康状態であれば、通常の疥癬の症状だけで済むことがほとんどです。
しかし、免疫機能に問題があるとダニ感染症は重篤化しやすく、広範囲におよぶ皮膚が厚みを帯びて、かさぶたが生じることもあります。
免疫機能が低下する原因はさまざまですが、悪性腫瘍や重症感染症などの基礎疾患があること、高齢で体の機能そのものが落ちていること、ステロイド剤や免疫抑制剤の投与中であることなどが主な原因として挙げられます。
この場合は寄生しているダニの数も多くなることが多く、感染力がその分強くなるので、場合によっては感染を拡大させないように個室隔離などの処置 が必要となります。
ここまで悪化することは珍しく、多くの場合は通常の疥癬の症状だけで済みます。
人によっては爪だけに症状があらわれることもあり、ほかにもよく似た症状が見られる病気との区別がむずかしい場合があります。
そのため、診断や治療が遅れることも珍しくなく、集団発生の原因ともなり得るので気をつけなればいけません。

疥癬の感染経路

疥癬はヒゼンダニという種類のダニが原因で起こります。
ヒゼンダニはとても小さな種類のダニで、肉眼で確認することはできません。
洋なし型の体で、短い4本の脚、腹部にひだ、背部にたくさんの短い突起があります。
卵から幼虫となり、若虫、成虫へと変化していきます。
人間の体温がもっとも生存しやすい温度と言われ、人間から離れると動きが低下して16℃以下になると動作が止まります。
そのため、人間から離れると長く生存することはできません。
皮膚に付着したヒゼンダニの雌は人間の皮膚にトンネルのようなものをつくり、そこを巣穴として産卵します。
数日経過するとダニの幼虫は卵からかえります。
疥癬は強いかゆみをもたらす感染症ですが、これはダニに対するアレルギー反応だと考えられています。
卵からかえってすぐに症状があらわれることは少なく、ほとんどは一定の潜伏期間を経てから発症します。
ただし、症状が重篤な患者から感染すると、数日で症状があらわれることがあります。
重篤な患者はたくさんのダニに寄生されており、増殖に要する時間が短くて済むため、感染後短期間で発症すると推定されます。
疥癬は直接的な皮膚の接触によって感染が広がりやすいという特徴をもち、同じ家に住む家族全員が感染するということも珍しくありません。
高齢者の施設で集団感染するというケースも少なからずあります。
寝具や衣類を複数人で共有することで感染が広がることがありますが、ダニはそういった場所で長期間生存することはできません。
人からだけでなく動物と接触することでも、感染することはあります。
特に猫による感染は非常に多いので、しっかり予防する必要があります。
犬や狸などに感染する症例が報告されていますが、ヒゼンダニはその環境では繁殖できないため、寄生は一時的なものとなります。

疥癬の治療

疥癬の治療では、ペルメトリンという成分を5%含むクリームを使用します。
このクリーム患部に塗って就寝し、翌朝きれいに洗浄することで、多くの場合は治癒します。
年長児や成人の治療では、リンデンのローションを用いる場合もあります。
どちらの薬も、1週間後に再度治療が必要となります。
イベルメクチンという薬を1周空けて2度内服するという治療も有効とされており、特に免疫機能に問題がある人への効き目が優れていると言われています。
治療が終了したあともダニの死骸は皮膚に一定期間残留するため、ダニへのアレルギー反応が起きる場合があります。
そのため、状態がよくなってもかゆみは2~4週間ほどつづくことがあります。
かゆみに対しては、弱めのコルチコステロイドクリームや抗ヒスタミン薬などで改善することができます。
皮膚の炎症部分やかきむしってできた傷に細菌感染が起こることがありますが、そういった場合は抗生物質を用います。
家族など患者と直接的接触がある人がいる場合は、感染している可能性があるので一緒に治療を受けることが望ましいでしょう。
寝具や衣服は発症の数日前に使用していたものも含めて、お湯をつかって洗ったあとに乾燥機でかわかします。
もしくは、ドライクリーニングで選択してもいいでしょう。

疥癬の予防

疥癬への感染を拡大させないためには、患者の早期発見が大切です。
疥癬の疑いがある場合は、できるだけ早く皮膚科を受診して検査をするようにしましょう。
患者がひとりでもみつかると、一緒に住む家族や寝泊まりした人にも感染が拡大している恐れがあるので、そういった人たちも同様の検査をすべきです。
集団発生があった場合は、感染源をできるだけ早く特定することが重要です。
通常の疥癬患者の場合は、皮膚の直接的接触がなければ感染リスクはそれほど高くはありません。
隔離をしなくても問題ありませんが、症状が重篤な場合は個室隔離が必要になる可能性があります。
また、その場合は患者がつかっていたベッドマットや布団、毛布、シーツなどはダニが潜んでいる恐れがあるので、キレイに洗浄する必要があります。
25℃湿度90%という環境で3日間生存が確認されたというデータもあるので、患者が直接触れた寝具などは50℃以上のお湯に10分以上つける、あるいは

大きな乾燥機で20~30分乾燥させれば、ダニを死滅させられます。
マットは洗濯できないので、表面をこまかく掃除することで対応します。
洗濯物を持ち運ぶときには、余計なものが飛び散らないように大きな袋などに入れて密閉した状態で行うようにします。
また、パジャマや下着類など直接肌に触れる衣服は、毎日替えるようにしましょう。
入浴時にはこまかいところまで、丁寧に洗うことも大切です。

疥癬の検査

疥癬の特徴であるかゆみと、ダニがつくったトンネル状のものが確認できれば、ほぼ疥癬だと診断できます。
診断をより確かなものにするため、トンネルの少し盛り上がったところから皮膚をサンプル採取して、顕微鏡で観察する場合もあります。
サンプルはスライドグラスにのせられ、20%水酸化カリウム液を垂らして透明な状態にしてから観察されます。
顕微鏡で観察したときにダニの糞や卵、ダニのかけらなどの形跡がみつかれば、疥癬だと断定されます。
より確かな方法としてヒゼンダニそのものを検出するための方法が試みられることもあります。
ただし、問診や症状から疥癬の可能性が高い患者からでも、ヒゼンダニが検出される確率は60%前後にとどまると言われています。
1度の検査で陰性であってもかゆみなどの症状が継続する場合は、数週間おいてから同じ検査を行う必要があります。
ヒゼンダニの検出方法としては、拡大鏡を用いて潜んでいそうな箇所を確認するというものが一般的です。
血液検査などは実施しても異常は見られないので、通常は行いません。

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