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シンスプリントを詳しく:原因・症状・検査・治療など

公開日: : 最終更新日:2018/04/15 骨・関節の病気

シンスプリントとは

シンスプリント(しんすぷりんと)とは、運動をした際や運動をした後に脛の内側の下1/3に痛みを感じる病気です。
シンスプリントの「シン」とは英語で脛(すね)を表す「Shin」のことです。

シンスプリントの正式名称は脛骨過労性骨膜炎(けいこつかろうせいこつまくえん)といい、脛骨内側症候群(けいこつないそくしょうこうぐん)や、過労性脛部痛(かろうせいけいぶつう)、過労性骨膜炎(かろうせいこつまくえん)などとも呼ばれています。

日本では弁慶の泣きどころとも呼ばれている脛は腓骨(ひこつ)と脛骨(けいこつ)、腓腹筋(ひこつきん)、ヒラメ筋(ひらめきん)、後脛骨筋(こうけいこつきん)、長母趾屈筋(ちょうぼしくっきん)、長趾屈筋(ちょうしくっきん)で構成されており、それぞれが重要な役割を担っています。

腓骨・脛骨

腓骨とは脛の外側に位置する細い骨のことで、脛骨とは脛の内側に位置する太い骨のことです。

腓腹筋

腓腹筋とはふくらはぎ部分の筋肉のことで、太もも部分に位置する大腿骨の遠位部からアキレス腱(あきれすけん)、踵(かかと)へと付いている筋肉のことです。

腓腹筋は膝を曲げる動きや足の爪先を下へ下げる底屈(ていくつ)という動きに必要な筋肉です。

ヒラメ筋

ヒラメ筋は腓腹筋の深部に位置する筋肉のことで、脛骨からアキレス腱、踵へと付いています。
ヒラメ筋は足の爪先を下へ下げる底屈に必要な筋肉です。

後脛骨筋

後脛骨筋とは脛骨と腓腹筋のあたりから足の裏の骨である楔状骨(けつじょうこつ)や舟状骨(しゅうじょうこつ)へと付いています。

後脛骨筋は足の爪先を下へ下げる底屈や、足の裏を内側に向ける内反(ないはん)という動きに必要な筋肉です。

長母趾屈筋

長母趾屈筋とは、腓腹筋から足の親指の根元部分へと付いている筋肉で、足の親指を曲げる動きに必要な筋肉です。

長趾屈筋

長趾屈筋とは、脛骨から親指以外の指の根元へと付いている筋肉で、親指以外の指を曲げる動きに必要な筋肉です。

このように脛は腓骨と脛骨、そのまわりのさまざまな筋肉で構成されており、つま先立ちや走る、ジャンプするといった動きに合わせて筋肉が伸び縮みすることでスムーズな動きができます。

しかし、腓骨や脛骨のまわりの筋肉が、何らかの原因によって過度のストレスがかかり炎症を発生した場合には、脛に痛みを感じるシンスプリントを発症します。

シンスプリントはマラソンやサッカー、野球、バスケットボール、バレーボールなど走る動きが多いスポーツをしている方が発症しやすく、中でもマラソンやジョギングなどをよくする方の約20~50%が発症するというデータがあります。

また、スポーツ以外にも足をよく動かすバレリーナやダンサーの発症率も高いという特徴があります。
シンスプリントの発症原因となる腓骨や脛骨のまわりの筋肉の炎症は、さまざまな要因によって引き起こされます。

主に過剰な運動量による過度なストレス、偏平足(へんぺいそく)、踵の骨の歪み、走る場所などの練習環境、合わない靴、運動前のストレッチ不足、成長期の急激な体型変化などが挙げられます。

シンスプリントを発症すると、初期段階では運動中や運動後に脛に痛みを感じる程度ですが、悪化するにつれて運動をしていないときや安静にしているときに激しい痛みを感じるようになり、日常生活に支障をきたす場合があります。

また、シンスプリントが悪化すると炎症だけでなく疲労骨折も引き起こし、完治が難しくなる場合があります。

シンスプリントを治療するには、炎症が発生している部位や症状の度合いをしっかり確認する必要があり、問診や触診をはじめMRI検査や骨(こつ)シンチグラフィー検査などを行ない、総合的に判断を下します。

治療内容は症状の度合いに合わせて薬物療法や運動制限、温熱療法、アイシング、筋力アップトレーニング、サポーターの使用、テーピングなどを行ないます。

シンスプリントは初期段階に治療をほどこせば、完治までの期間が短く再発リスクも低いですが、悪化してから治療をほどこすと完治までに長期間を要するほか再発リスクも高くなります。

そのため、少しでも脛に痛みを感じた場合には、我慢せずにできるだけ早く医療機関を受診してください。

シンスプリントの原因

シンスプリントの発症原因は腓骨と脛骨の周囲の筋肉の炎症です。

腓骨や脛骨の周囲の筋肉である腓腹筋、ヒラメ筋、後脛骨筋、長母趾屈筋、長趾屈筋などは走る、ジャンプするといった動きに合わせて伸び縮みしていますが、筋肉に過度のストレスがかかると脛骨の表面の骨膜(こつまく)をまわりの筋肉が引っ張ってしまい、炎症を起こすことで痛みが現れます。

腓骨や脛骨の骨膜を引っ張り炎症を引き起こす過度のストレス要因としては、過剰な運動量や偏平足、踵の骨の歪み、走る場所、合わない靴、ストレッチ不足、急激な体型の変化などが挙げられます。

ここではシンスプリントの原因に関する情報を提供させていただきますので、お役立ていただければ幸いです。

過剰な運動量

運動量が多いと、それだけ腓骨や脛骨のまわりの筋肉を酷使し、過度なストレスをかけてしまいます。
すると筋肉が骨膜を引っ張って炎症を引き起こし、シンスプリントを発症する場合があります。

偏平足

足の裏は本来、緩やかなアーチ状の土踏まずと呼ばれる凹みがあります。
この土踏まずは走った際やジャンプした際に足の裏にかかる衝撃を吸収する役割や、足の裏にかかる体重のバランスを取る役割を担っています。

しかし、この土踏まずがなく足の裏がまっ平らな偏平足の場合、足の裏にかかる衝撃をうまく吸収できずにその衝撃がダイレクトに腓骨や脛骨のまわりの筋肉へと伝わり、その結果、腓骨や脛骨の骨膜を引っ張ってシンスプリントを発症する場合があります。

踵の骨の歪み

足の骨は本来、真っ直ぐなのですが、踵の骨が歪んで傾いている場合があります。
踵の骨が内側に傾いている場合を回内足(かいないそく)と呼び、外側に傾いている場合を回外足(かいがいそく)と呼びます。

回内足は正常な状態と比べると後脛骨筋が後ろに強く引っ張られ、回外足は腓腹筋やヒラメ筋、後脛骨筋の柔軟性が低下することで引き起こされます。

どちらも正常な状態と比べて腓骨や脛骨のまわりの筋肉に過度のストレスがかりやすい状態であるため、シンスプリントを発症する場合があります。

走る場所

マラソンやジョギング、野球やサッカーなど走る動きが多いスポーツやトレーニングを行なう際、アスファルトなどの硬い地面を走ると足裏から脛にかけて強い衝撃が加わり、腓骨や脛骨のまわりの筋肉に過度なストレスがかかってシンスプリントを発症する場合があります。

合わない靴

野球やサッカーなどのスパイクは靴底が硬く、マラソンやジョギングに使用すると腓骨や脛骨のまわりの筋肉に衝撃が加わり、過度なストレスによってシンスプリントを発症しやすくなります。

また、古いランニングシューズなどもクッション性が衰え、靴底も擦り減っている場合が多く、腓骨や脛骨のまわりの筋肉に衝撃が加わり過度なストレスによってシンスプリントを発症しやすくなります。

ストレッチ不足

シンスプリントは腓骨や脛骨のまわりの筋肉に過度なストレスがかかることで発症しますが、腓骨や脛骨のまわりの筋肉が硬いと体の動きに合わせて柔軟に伸び縮みできず、シンスプリントを発症しやすくなります。

運動前はストレッチを行なうことで、筋肉を柔らかくほぐす効果がありますが、ストレッチ不足の状態で運動を行なうと筋肉が柔軟に伸び縮みできず、その結果、シンスプリントを発症しやすくなります。

急激な体型の変化

成長期の10代は、短期間で体型が急激に変わりやすい時期でもあります。

この体型が急激に変化する時期に、同じ運動やスポーツの練習を続けると腓骨や脛骨、そのまわりの筋肉に過度のストレスがかかりやすくなります。

とくに10代の女子はこの変化によるストレスを受けやすく、体重が3㎏増加するだけでシンスプリントの発症率が高くなります。

シンスプリントの症状

シンスプリントは初期段階と進行段階では症状が異なります。
以下にシンスプリントの症状に関する情報をまとめています。

どのような症状が起こるのか、このような疑問をお持ちの方はぜひご一読ください。

初期段階の症状

シンスプリントを発症したばかりの初期段階では、主に脛の内側に痛みが現れます。
脛の内側の痛み、ふくらはぎの痛み、骨がきしむように感じる、こういった症状が現れます。

また、痛みはズーンと重く響くような痛みで、走ったりジャンプしたりした際に痛みを感じます。
さらに脛の内側を押すと激しい痛みを感じます。

この初期段階では脛に触らなければ痛みを感じないうえに、スポーツなどをしていないときは症状が現れないため、とくに治療はほどこさずに放置する方や我慢する方が多いです。

進行段階の症状

初期段階から症状が進行すると、スポーツをしていないときでも痛みが現れます。

歩くだけや、立ち座りするだけでも痛みが現れるほか、さらに症状が進行すると何もしていない状態でも常に痛みを感じるようになります。
この段階になると、日常生活にも支障をきたすようになります。

シンスプリントは、症状の度合いによってステージⅠからステージⅣまでの4段階に分類されており、どのステージに属しているかが治療方針の決定に役立ちます。

ステージⅠ

脛に痛みを感じるが、ウォーミングアップをすることで痛みが消える場合。

ステージⅡ

ウォーミングアップによって痛みが消えるが、スポーツを終了する間際や終了後に再び痛みが現れる場合。

ステージⅢ

スポーツをしているあいだは常に痛みを感じるが、日常生活には支障をきたさない場合。

ステージⅣ

痛みを常に感じ、日常生活に何らかの支障をきたしている場合。
ステージⅠとステージⅡの段階では、スポーツすること自体に影響がないためシンスプリントと気付かずに放置されるケースが少なくありません。

しかし、この段階で適切な治療をほどこさないと、悪化してからでは完治するまでに長期間を要するようになります。

また、シンスプリントが悪化すると、骨の表面に細かいヒビが入る疲労骨折を引き起こす場合があります。
そのため、できるだけ初期段階で治療をほどこすことが重要となります。

シンスプリントの検査・診断

シンスプリントは主に問診と触診で診断を下すことができますが、このほかにもMRI検査や骨シンチグラフィー検査を行なう場合があります。
ここでは各診察、検査の内容について解説させていただきます。

問診・触診

問診ではどの部位に痛みを感じるか、どんな痛みを感じるか、いつ痛みを感じるかなどに加え、普段どういったスポーツや運動をしているかどうかを確認します。

触診では実際に痛みが現れている脛の部分に触れ、腓骨や脛骨、そのまわりの筋肉の状態を確認します。

シンスプリントは基本的に問診と触診である程度の診断が下せますが、さらに詳しい状態を確認するためにMRI検査や骨シンチグラフィー検査を行ない、総合的に見て確定診断を下します。

MRI検査

シンスプリントは腓骨と脛骨のまわりの筋肉に炎症が発生している状態であり、放射線を使ったX線検査では病変を確認することができません。

しかし、磁力を使ったMRI検査では炎症が発生している病変部位がはっきりと確認できます。

骨シンチグラフィー検査

骨シンチグラフィーとは、骨に集まる特性を持つ放射性物質を使った検査方法で、放射性物質を静脈投与後に特殊なカメラで撮影し、骨の代謝状況を確認することができます。

主にがんの有無や転移などを確認する際に行なわれる検査ですが、シンスプリントにおいては炎症を発症している部位を特定することができます。

シンスプリントの治療

シンスプリントを発症した場合、どういった症状がどの部位に現れるかは個人差があるため、治療も個人の症状に合わせて行ないます。
以下にシンスプリントの治療方法の内容を記載していますので、気になっているという方はぜひご覧ください。

症状が軽い場合の治療

シンスプリントの初期段階で、痛みが運動後にのみ現れる場合は過度の運動量を控えるようにします。

また、運動前にはヒラメ筋を中心にふくらはぎのストレッチを行ない、筋肉をほぐします。
運動後は、脛やふくらはぎ全体を水道水などで冷やすアイシングを行ないます。

シンスプリントがかなり進行し激しい痛みを感じる場合には、薬物療法と同時に運動制限や筋力アップトレーニング、テーピングなど症状に合わせてさまざまな処置を行ないます。

薬物療法

日常生活に支障をきたすほど激し痛みを感じる場合には、痛みを緩和させるために消炎鎮痛剤を服用します。
また、内服薬と同時に、塗り薬や湿布などの外用薬も使用します。

運動制限

日常生活に支障をきたすほど症状が重い場合には、運動をいっさい禁止し、安静に過ごすようにします。

温熱療法

関節や筋肉の萎縮を改善するためにホットパックなどで温め、血流を促進させて筋肉を柔らかくほぐします。

アイシング

シンスプリントの症状が悪化している段階では、アイシングによって痛みを完全に緩和させることはできませんが、ほかの治療法と併用することで痛みを若干緩和させることができる場合もあります。

筋力アップトレーニング

筋力アップトレーニングを行なうことで関節の拘縮が改善され、痛みを改善させることができます。
筋力アップトレーニングにはパワーウォーク、カーフレイズ、トウレイズ、タオルギャザーなどがあります。

パワーウォークとは、脛の前側の筋力をアップさせるトレーニングで、体重全体を体の前方にかけ、踵を上げずにすり足で歩きます。

カーフレイズとは、ふくらはぎの筋力をアップさせるトレーニングで、階段などの段差に立ってアキレス腱を伸ばし、その状態から背伸びをします。

トウレイズとは、脛の前側の筋力アップや足の指を伸ばす筋力をアップさせることができるトレーニングで、椅子に座って足を床に置き、踵を離さず爪先だけを上に引き上げます。

タオルギャザーとは、足首を内外反させることで足の指を曲げ伸ばしするための筋力をアップさせるトレーニングで、床に敷いたタオルの上に足を置き、足の指を曲げ伸ばししてタオルを引き寄せます。

サポーターの使用

回内足や偏平足の場合はサポーターを使用することで歩行をサポートすることができるほか、症状が治まったあとの再発を予防することができます。

テーピング

テーピングは回内足や偏平足の改善にも効果を発揮するほか、痛みを緩和させて歩行をサポートすることができます。

ただし、テーピングは正しい向きや強さで行なわないと逆に症状を悪化させる場合があるため、自己流は控えて病院で正しい方法を指導してもらいましょう。

シンスプリントは症状の出方や完治するまでの時間に個人差があるため、医療機関でしっかり状態を確認したうえで適切な治療を受けることが重要です。

また、治療の開始が初期であればあるほど完治までの時間が短く、悪化すればするほど完治するまでに数年を要し再発リスクも高くなります。

症状が悪化すると日常生活にも支障をきたすため、少しでも異変を感じた場合は我慢せずにできるだけ早く医療機関を受診しましょう。

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