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頚椎椎間板ヘルニアを詳しく:原因・症状・検査・治療など

公開日: : 最終更新日:2018/04/17 骨・関節の病気

頚椎椎間板ヘルニアとは

頚椎椎間板ヘルニア(けいついついかんばんへるにあ)とは、首の骨のことである頚椎を構成する椎骨(ついこつ)と椎骨の椎間板に何らかの原因によって亀裂が入って変形し、後方に飛び出すことで神経を圧迫し、首や肩、腕などがしびれるといった感覚障害や、腕や指先が動かしにくいといった運動障害が起こる病気です。

人間の首の骨は頚椎とよばれ、脊椎(せきつい)とよばれる背骨のうち、上部の首の部分にあたる7つをさします。

この7つの頚椎は上から順に第一頚椎、第二頚椎、第三頚椎と名付けられ、この7つの頚椎によって重い頭を支え、首をスムーズに動かすといった重要な役割を担っています。

頚椎をはじめ脊柱を構成する骨のひとつひとつは椎骨と呼ばれており、この椎骨と椎骨のあいだには椎間板とよばれる軟骨が存在しています。

椎間板はゼリー状の髄核(ずいかく)とコラーゲン線維で構成されてた弾力のある組織で、脊柱に加わる衝撃を吸収するクッション材の役割を担う重要な組織です。
また、頚椎の中には脊柱管(せきちゅうかん)とよばれる脊髄(せきずい)の通り道が存在します。

脊柱管の中を通る脊髄は神経の集まりで、手足をスムーズに動かすための運動神経や、痛い、熱いといった感覚を感知するための知覚神経など重要な神経が存在しています。

脳から出された指令は脊髄を通り全身に伝えられますが、この脊髄が脊柱管で守られていることによって、体の運動機能や感覚機能が正常に作用します。

しかし、何らかの原因によって椎間板が損傷し後方に飛び出すと、頚椎の中の脊柱管を通る脊髄を圧迫してしまい、その結果、運動機能や感覚機能が麻痺(まひ)する頚椎椎間板ヘルニアを発症します。

ヘルニアとは飛び出すという意味の言葉であり、頚椎椎間板ヘルニアでは椎間板の飛び出し具合によって4つの型に分類されます。

膨隆(ぼうりゅう)型

椎間板が変形し、脊椎の後方で脊柱を支えている後縦靭帯(こうじゅうじんたい)という縦に繋いだ靭帯が膨らんでいる場合。

突出型

椎間板の内部を構成する髄核が、後縦靭帯のすぐ下まで飛び出している場合。

脱出型

椎間板の内部を構成する髄核が、後縦靭帯を突き破って飛び出している場合。

移動型

椎間板の内部を構成する髄核が本来位置する場所からちぎれ、後縦靭帯の先まで大きく飛び出している場合。

頚椎椎間板ヘルニアは、女性よりも男性の発症率が3倍も高く、発症平均年齢は20~50歳代と比較的若年層の発症率が高いという特徴があります。

とくに20歳代で発症する方の多くは格闘技選手やラグビー選手、アメフト選手など首を酷使する職業の方が多いという特徴があります。

頚椎椎間板ヘルニアを発症する原因は主に、加齢、姿勢の悪さ、激しい運動、怪我などがあります。
どの原因も、椎間板が圧迫されることで椎間板の中の髄核が飛び出し、頚椎椎間板ヘルニアを発症します。
実際に頚椎椎間板ヘルニアを発症すると、首・肩、腕・手、顔面・頭部、下半身の順で症状が現れます。

首や肩、腕や手などには痛みやしびれといった症状が起こり、顔面には眼の充血や眼精疲労、頭部には頭痛やめまい、ふらつきといった症状が現れます。

さらに悪化すると、歩行障害や尿失禁といった下半身の症状が現れ、日常生活に支障をきたすようになります。
頚椎椎間板ヘルニアを発症することによって脊髄が圧迫され続けると、圧迫されている部分の神経細胞が死亡します。

死亡した神経細胞は二度と蘇らず、この段階で適切な治療をほどこしても後遺症が残るリスクが高いです。
少しでも後遺症が残らないようにするためには早期発見・早期治療が重要となります。

早期発見や確定診断のために行なう検査方法には、画像検査や下肢伸展挙上(かししんてんきょじょう)検査、知覚・筋力検査、深部腱反射(しんぶけんはんしゃ)検査などがあります。

頚椎椎間板ヘルニアの検査では、画像検査の一種であるMRI検査によって確定診断を下せる場合が多く、また進行度合いも同時に確認することができます。
頚椎椎間板ヘルニアであると確定診断が下ると、基本的に保存療法を行ないます。

保存療法には安静療法や牽引(けんいん)療法、薬物療法、神経ブロック療法などがありますが、多くの場合は保存療法で症状を改善させることができます。
しかし、保存療法では症状を改善できない場合、外科療法を行ないます。

外科療法は椎間板から飛び出した髄核を物理的に切除する外科手術によって症状を改善させる治療法で、ラブ法切開手術やPLDDレーザー治療、顕微鏡下椎間板摘出術(MD法)、内視鏡下椎間板摘出術(MED法)、経皮的内視鏡ヘルニア摘出術(PED法)などがあり、患者の状態や年齢によって最適な手術法を選択します。

頚椎椎間板ヘルニアは適切な治療をほどこしても再発率が高く、症状の改善や発症そのものを予防するには日常生活でのケアが重要となります。

正しい姿勢を心掛ける、自分に合った枕の高さに調節する、首周りの筋力をつけるといったケア方法が効果的です。

こういったケア方法を行なうと同時に、定期健診を受けるほか、少しでも異変を感じた際にはできるだけ早く医療機関を受診し、早期発見・早期治療に努めることが健康な生活をより長く送ることに繋がります。

頚椎椎間板ヘルニアの原因

頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎を構成する椎骨と椎骨のあいだのクッション材の役割を担っている椎間板に亀裂が入るなどの損傷が生じ、外部へ飛び出して脊髄を圧迫することで発症します。

椎間板に損傷が生じる主な原因としては、加齢、姿勢の悪さ、激しい運動、怪我などをあげることができます。

加齢

椎間板が外部へと飛び出す原因のひとつとして、加齢をあげることができます。

人間の体は20歳代から老化がはじまりますが、椎間板は常に強い圧力がかかっているため、体のほかの部位よりも早く老化がはじまります。

椎間板はゼリー状の髄核とコラーゲン線維の2つで構成されることにより弾力を保っていますが、椎間板が加齢によって老化すると髄核の水分が減少して弾力を失い、髄核が椎間板から飛び出します。

この飛び出した髄核が脊髄を圧迫することで、頚椎椎間板ヘルニアを発症します。

姿勢の悪さ

猫背など首に強い負担がかかる姿勢を長時間続けると脊椎全体が歪みやすくなり、椎間板にも負担がかかって髄核が飛び出しやすくなります。
その結果、頚椎椎間板ヘルニアを発症する場合があります。

激しい運動

椎間板ヘルニアはスポーツなど激しい運動を行なうことで発症リスクが高まります。

頚椎や椎間板は重い頭を支えるために、日頃から体重の約2~3倍ほどの圧力がかかっていますが、激しい運動を繰り返すと頚椎や椎間板にかかる圧力が増し、椎間板の中に存在する髄核が飛び出ることによって頚椎椎間板ヘルニアを発症する場合があります。

怪我

むち打ちや捻挫(ねんざ)など頸部へのケガによって頚椎椎間板ヘルニアの発症リスクが高まります。

頚椎に大きな怪我を負うと急性ヘルニアを発症する場合もありますが、むち打ちなど小さな怪我によって、のちに頚椎椎間板ヘルニアを発症する場合もあります。

このように頚椎椎間板ヘルニアを発症する原因はいくつか存在しますが、これらのほかにも発症リスクを高めてしまう日常習慣がいくつかあげられます。

運動不足

重い頭を支える頚椎や椎間板は、首まわりの筋肉がコルセットの役割を果たすことで大きなサポートを受けています。

しかし、運動不足であると首の筋肉が落ちやすくなり、首の筋肉が落ちることで頚椎や椎間板にかかる負担が増加し、頚椎椎間板ヘルニアの発症リスクが高まります。

デスクワーカー

一日中同じ姿勢でイスに座っているデスクワーカーは、本来ゆるいカーブを描く頚椎が真っ直ぐに変形してしまうストレートネックの発症リスクが高く、頚椎や椎間板への負担が増加し、頚椎椎間板ヘルニアを発症しやすくなります。

頚椎椎間板ヘルニアの症状

頚椎椎間板ヘルニアを発症すると、椎間板が脊髄を圧迫して全身にさまざまな症状が現れますが、椎間板が脊髄を圧迫している程度によって症状は異なります。
症状は一般的に首・肩の症状からはじまり、腕・手、顔面・頭部、下半身の順に症状が起こります。

首・肩の症状

頚椎の後方に位置する椎間板にヘルニアが生じると、首の後ろから背中や肩、胸の前にかけて痛みや違和感、だるさ、こりといった症状が引き起こされます。

ただし、生じたヘルニアによって圧迫される神経の場所によっては、両方の肩ではなく片方の肩だけに痛みやこりなどの症状が現れる場合もあります。

腕・手の症状

7つある頚椎のうち、上から4番目の第四頚椎から下の部分に位置する神経が圧迫されると、肩から手先にかけて痛みやだるさ、しびれ、むくみ、握力低下、筋肉の萎縮(いしゅく)、背中の痛みといった症状が現れ、まれに激しい痛みを感じる場合もあります。

また、握力が低下すると指先の細かい作業が難しくなり、服を着る際にボタンが留めにくくなるなど、日常生活に支障をきたすようになります。

顔面・頭部の症状

7つある頚椎のうち第三頚椎から上の部分に位置する神経が圧迫されると、首の後ろから後頭部、側頭部、顔面にかけて痛みが生じます。

主に頭痛や後頭部の痛み、めまい、ふらつき、耳鳴り、眼の充血、眼精疲労、目の奥の痛みといった症状が現れます。
こうした顔面や頭部の痛みがひどい場合には、吐き気や気分の悪さといった症状も起こります。

下半身の症状

頚椎椎間板ヘルニアが進行すると、上半身だけでなく下半身にも症状が現れます。
主に足が突っ張る、足の動きがコントロールできずに歩きにくくなるといった歩行障害、尿の排出をうまくコントロールできなくなる尿コントロール障害、尿失禁といった症状が現れます。

このように頚椎椎間板ヘルニアを発症すると、初期段階では肩こりがひどい、体がだるいといった症状が現れ、この段階で頚椎椎間板ヘルニアであると気付く方はあまり多くありません。

しかし、頚椎椎間板ヘルニアは初期であればあるほど治療が簡単であり、逆に進行するにつれて治療が難しく、長期の時間を要します。

少しでも症状が軽い初期段階で治療を開始するためには、何らかの症状が現れた時点でできるだけ早く医療機関を受診することが重要です。

頚椎椎間板ヘルニアの検査・診断

頚椎椎間板ヘルニアの検査は、椎間板の状態を実際に目で見て確認するX線検査やMRI検査などの画像検査をはじめ、造影検査、下肢伸展挙上検査、知覚・筋力検査、深部腱反射検査、スパーリングテストなどを行ないます。

X線検査

画像検査の一種であるX線検査は、X線を体に照射することによって内部を画像化します。

X線検査は体への負担が少なくさまざまな病気の診断のために行なわれる検査ですが、頚椎椎間板ヘルニアの検査においてはMRI検査が優先され、MRI検査後にX線検査を行なう場合が多いです。

MRI検査

X線を使って画像撮影を行なうX線検査に対し、MRI検査は磁力を使って体の内部を輪切り撮影する画像検査です。

頚椎椎間板ヘルニアの検査においてはじめに行なわれる場合が多く、通常白く写る椎間板にヘルニアが生じている場合には黒く写るため、その有無を確認することで確定診断を下すことができます。

また、MRI検査ではヘルニアが生じている椎間板の位置や、その度合いを確認することができます。

造影検査

造影検査とは造影剤という薬液を摂取後にX線検査を行なうことで、病気の有無を確かめることができる検査方法です。

造影剤を摂取後にX線検査を行なうと、異常が生じている部位が不自然な状態で写ります。
頚椎椎間板ヘルニアにおける造影検査では、ヘルニアが生じている部位を特定することができます。

ただし、MRIが普及したことによってMRI検査が多くの医療機関で受けることができるようになったため、現在では造影検査をすることはあまりありません。

下肢伸展挙上検査

下肢伸展挙上検査とは頚椎椎間板ヘルニアの有無を確認するために行なう検査で、膝を伸ばした状態で仰向けに寝転び、足を真っ直ぐ上に持ち上げます。

この際に太ももの裏側やふくらはぎ、すねの外側に痛みがないか確認し、痛みを感じる場合には頚椎椎間板ヘルニアを発症している可能性があります。

ただし、下肢伸展挙上検査は患者が高齢である場合、頚椎椎間板ヘルニアを発症していたとしても痛みを感じない場合があります。

知覚・筋力検査

知覚・筋力検査とは、頚椎椎間板ヘルニアを発症することで現れる麻痺症状や筋力の低下を確認することによって、ヘルニアを生じている部位を大まかに特定することができる検査方法です。

頚椎椎間板ヘルニアの場合、首や肩、腕や手など局所的に痛みやしびれといった症状が現れるため、知覚検査や筋力検査によって7つある頚椎のうち、どこにヘルニアが生じているかを大まかに特定することができます。

深部腱反射検査

深部腱反射検査とは、神経と筋肉が正常に機能しているかどうかを確認するために、筋肉に刺激を与えた際に反射的に生じる筋萎縮の反応を確認する検査です。

正常な反応が確認できない場合、頚椎椎間板ヘルニアを発症している可能性があります。

スパーリングテスト

スパークリングテストとは、頚椎部分のヘルニアによる神経圧迫の有無を確認する検査方法です。
スパークリングテストは座った状態で首を横に曲げたあと、頭の上から軽く圧力をかけます。

頚椎椎間板ヘルニアを発症している場合、頭の上から圧力がかかることによってしびれや痛みを感じます。

頚椎椎間板ヘルニアの治療

頚椎椎間板ヘルニアの治療は、保存療法と外科療法の2つです。
頚椎椎間板ヘルニアを発症し脊髄の神経が圧迫されると神経細胞は死んでしまいます。

死んでしまった神経細胞は二度と蘇ることはないため、椎間板ヘルニアを発症後に治療をほどこしたとしても、手のしびれや手先が動かしにくいといった後遺症が残る場合があります。

少しでも後遺症のリスクを少なくするためには早期発見・早期治療が重要であり、治療は画像検査などで判明している頚椎の状態や現れている症状、患者の年齢などに合わせて最適な治療法を選択します。

保存療法は、頚椎椎間板ヘルニアの治療においてはじめに選択される治療法で、基本的に症状の緩和を目的としています。

保存療法は外科手術を行なわないため患者への負担が軽いほか、入院する必要がなく、70~80%の方は保存療法で症状を改善させることができます。

保存療法には安静療法、牽引療法、薬物療法、神経ブロック療法などがあります。

安静療法

頚椎椎間板ヘルニアを発症した初期段階は、安静にすることが症状の改善に効果を発揮します。

ネックカラーとよばれる頚椎を固定する特殊な装具を首に巻き、経過を観察します。
また、ネックカラーの着用と同時にビタミン剤や消炎鎮痛剤を服用する場合もあります。

牽引療法

牽引療法とは頚椎を引っ張る専用の器具を使い、靭帯や筋肉を引き伸ばすことで椎間板にかかっている圧力を下げる治療法です。

牽引療法は、頚椎椎間板ヘルニアを発症している方のうち、痛みや炎症を引き起こしていない方に行なわれますが、頚椎椎間板部分に炎症を引き起こしえいる方や心臓ペースメーカーを使用している方の場合は注意が必要です。

牽引療法は1日2回、1回あたり10分ほど行なうことで1~2時間ほど効果が持続しますが、効果の出方には個人差があるうえに、1年ほど続けないと外科療法と同じ効果を得ることはできません。

薬物療法

頚椎椎間板ヘルニアを発症し、痛みや炎症がひどい場合には薬物療法を行ないます。

主に鎮痛作用や抗炎症作用に優れた非ステロイド性消炎鎮痛剤や、筋肉の緊張をほぐすことで痛みを改善させる筋弛緩(しかん)薬、強い鎮痛作用を持つオピオイド鎮痛薬、末梢神経障害が原因の痛みを改善させる神経性疼痛(とうつう)緩和薬などを使用します。

薬物療法は患者の体への負担が軽いというメリットがありますが、消化器障害や腎機能障害、呼吸器障害、眠気、全身の倦怠感(けんたいかん)といった副作用を引き起こす場合もあります。

神経ブロック療法

神経ブロック療法とは、痛みを感じる神経の周囲に麻酔薬を注射することで神経の興奮を鎮め、痛みや炎症を緩和させる治療法です。

頚椎椎間板ヘルニアの治療においては、薬物療法の効果が得られない場合に行なわれます。

ただし、神経ブロック療法は合併症を引き起こしやすく、注射を行なう際に感染症にかかる場合や、注射の針によって神経が損傷し神経障害を引き起こす場合があります。

保存療法では症状が改善せず、歩行障害や尿失禁など日常生活に支障をきたしている場合、外科療法を行ないます。

外科療法にはラブ法切開手術、PLDDレーザー治療、顕微鏡下椎間板摘出術(MD法)、内視鏡下椎間板摘出術(MED法)、経皮的内視鏡ヘルニア摘出術(PED法)などがありますが、患者の状態や年齢に合った術式を選択します。

ラブ法切開手術

ラブ法切開手術とは、椎間板ヘルニアの外科療法の70%を占め、全身麻酔をほどこしたあとに体を切開し、椎間板から飛び出した髄核部分を切除する外科療法です。
頚椎椎間板ヘルニアにおいては、首の前側を切除する前方徐圧術と首の後ろ側を切除する後方徐圧術の2種類があります。

ラブ法切開手術は症例が多いため実績のある医療機関や医師も多く、安心して手術を受けることができますが、手術をほどこした部分は髄核が飛び出しやすい状態となるため、術後に再発するリスクが高いというデータがあります。

また、手術中に脊髄や神経、血管を損傷し後遺症を引き起こすリスクや、脊髄変形、血栓(けっせん)症、感染症などを引き起こすリスクもあります。

PLDDレーザー治療

PLDDレーザー治療とは、局部麻酔をほどこしたあとに皮膚の上から椎間板へと直径1mmほどの針を刺し、その針の中にレーザーファイバーを挿入し、針の先からレーザーを照射する治療法です。

椎間板内にレーザーを照射することで椎間板内に小さな空間ができ、その空洞に飛び出していた髄核が引っ込むことで、痛みやしびれといった症状を改善させることができます。

PLDDレーザー治療は局所麻酔をほどこすため、全身麻酔をほどこすラブ法切開術と比べて患者への負担が小さいほか、手術時間も短く、手術当日や翌日に退院することができます。

さらに出血や副作用が少ないというメリットもあります。

顕微鏡下椎間板摘出術(MD法)

顕微鏡下椎間板摘出術(MD法)とは、外科手術用の顕微鏡で患部を観察しながら、椎間板から飛び出した髄核を切除する外科療法です。

手術の際は全身麻酔をほどこしたあとに背中側の皮膚を切開し、脊柱の一部を削って椎間板から飛び出した髄核を切除します。

手術方法はラブ法切開手術と同じですが、ラブ法切開手術と比べて皮膚を切開する範囲が狭いため、患者への負担が少ないというメリットがあります。

ただし、術後に感染症や血栓症、精髄変形といった副作用を引き起こすリスクがあります。

内視鏡下椎間板摘出術(MED法)

内視鏡下椎間板摘出術(MED法)とは全身麻酔をほどこしたあと、背中側の皮膚を2~3cmほど切開し、内視鏡を挿入して椎間板から飛び出した髄核を切除する外科療法です。

手術時の傷口が小さく、患者の体への負担も少ないため、入院期間も短いという特徴があります。

ただし、内視鏡下椎間板摘出術(MED法)は高度な技術が要求されるため専門医の数が少なく、術後に感染症や血栓症、精髄変形といった副作用を引き起こすリスクがあります。

経皮的内視鏡ヘルニア摘出術(PED法)

経皮的内視鏡ヘルニア摘出術(PED法)とは局所麻酔をほどこしたあと、皮膚に6mmほどの穴を開けて内視鏡を挿入し、内視鏡の先端に取り付けてある小さなメスによって、椎間板から飛び出した髄核を切除する外科療法です。

経皮的内視鏡ヘルニア摘出術(PED法)は傷口が小さく、患者の体への負担が少ないほか、術後の再発率が低いというメリットがあります。

ただし、経皮的内視鏡ヘルニア摘出術(PED法)を行なえる専門機関が限られているうえに、術後に感染症や血栓症、精髄変形といった副作用を引き起こすリスクがあります。

頚椎椎間板ヘルニアの予防法

頚椎椎間板ヘルニアを発症している場合、日常生活におけるちょっとしたケアによって症状の悪化を予防することができます。

また、発症していない場合には、発症そのものを予防することができます。

正しい姿勢を心掛けること

頚椎椎間板ヘルニアは、デスクワーカーの方の発症率が高い病気です。

これはデスクワーカーの方の多くがイスに座り、デスク上やパソコン画面などを長時間見続けることで猫背になりやすいことや、本来ゆるくカーブを描いている頚椎が真っ直ぐに変形してしまうストレートネックになりやすいということが原因です。

猫背やストレートネックは頚椎に負担をかけ、頚椎椎間板ヘルニアを発症する原因となるため、デスクワーカーの方など長時間姿勢が変わらない職業の方は、正しい姿勢を心掛けるようにしましょう。

就寝時はうつ伏せにならないこと

就寝時にうつ伏せになると、首が左右どちらか一方に向くことになるため、頚椎に大きな負担がかかります。
そのため、就寝時は仰向きか横向きで寝るようにしましょう。

枕の高さを調節すること

本来ゆるいカーブを描いている頚椎は、個人によって曲がり具合が異なるため、市販されている枕をそのままの状態で使用すると自分の頚椎の曲がり具合と合わず、頚椎に負担がかかります。

そのため、自分の頚椎のカーブに沿った枕を選ぶことが重要であり、枕専門店などで自分に合った枕を購入しましょう。

また、薄い枕にタオルなどを巻き、自分の首の高さに合わせて調節することも効果的です。

ストレッチをすること

首まわりに痛みが出ていない場合や、頚椎椎間板ヘルニアを発症していない場合、首まわりのストレッチは症状の悪化や発症の予防に繋がります。

ストレッチは1日3回ほどを目安に、首まわりの筋肉や腱を伸ばすイメージで行ないましょう。
また、首をゆっくり回す、左右に動かすといった血流を促す動作も予防に効果的です。

ただし、頚椎椎間板ヘルニアを発症しているうえに首まわりに痛みやしびれなどの症状が現れている場合、ストレッチを行なうことで症状を悪化させることがあることから、首まわりに症状が現れている場合にはストレッチを行なってはいけません。

入浴で血流を促すこと

入浴することで血流が促進されると、筋肉がほぐれて、頚椎椎間板ヘルニアの症状の悪化予防や発症予防に繋がります。

逆に体を冷やすと血流が滞って筋肉が硬くなり、頚椎椎間板ヘルニアの発症リスクが高まります。

首まわりの筋肉をつけること

重い頭を支えている頚椎は首まわりの筋肉によってサポートを受けています。

首まわりの筋肉はコルセットの役割をしていますが、加齢によって筋肉が衰えると頚椎への負担が増え、頚椎椎間板ヘルニアの発症リスクが高まります。

そこで、水中ウォーキングや軽いスポーツなど頚椎に負担がかからない方法で、首まわりの筋肉をつけましょう。

頚椎椎間板ヘルニアを発症し、脊髄が圧迫されることによって神経細胞が死んでしまった場合、死んだ神経細胞を蘇らせることはできません。

そのため、頚椎椎間板ヘルニアは早期発見・早期治療を行なうことが最も重要であり、初期段階であればあるほど保存療法によって後遺症のない生活を送ることができます。

しかし、初期段階で適切な治療をほどこさずに悪化した場合、外科療法が必要になるうえに治療期間も長期を要し、術後に後遺症が残るリスクが高まります。

少しでも快適な日常生活を送るためには、早期発見・早期治療に努めることが重要であり、そのためには異変を感じたらできるだけ早く医療機関を受診するとともに、日常生活でできるケア方法を実践しましょう。

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