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変形性関節症を詳しく:原因・症状・検査・治療など

公開日: : 最終更新日:2018/05/27 骨・関節の病気

変形性関節症とは

骨と骨のあいだに存在し、クッションとしての役割や動きをスムーズにしてくれる役割を担っている組織が軟骨(なんこつ)です。
変形性関節症(へんけいせいかんせつしょう)では、軟骨がすり減り、スムーズに動かすことができなくなり、大きな摩擦が起こるようになります。

このような状態では破壊された軟骨組織の欠片により、関節の内側に存在し、関節液を分泌してスムーズな関節の動きを実現してくれている滑膜(かつまく)に炎症が生じ、関節液が貯留してはれあがってしまうこともあります。

変形性関節症は、関節の痛み、はれが生じる病気です。
変形性関節症では骨にまで悪影響がおよび、軟骨の下の骨がかたくなることや、骨がトゲのように変形した骨棘(こつきょく)ができることがあり、関節の形に異常が出ます。

そしてこの状態をほうっておくことによって、関節の動きに異常が出ることもあります。
最初は動きだしなどの限定された状況で関節痛が起こる程度で、医療機関へ行かずに我慢している方も多いです。

ただ、そうしているあいだにも、変形性関節症は進行していきます。
一度でも形に異常が生じた関節は、元どおりにすることができません。
気になる症状がある方は、ほうっておくことはせずに早期に医療機関で受診、相談し、適切な処置を受けることが重要です。

なお、変形性関節症は45歳以下では女性に比べて男性のほうが高い割合を占めていますが、55歳以上では逆転し、女性のほうが男性に比べて高い割合を占めています。
また、変形性関節症は年齢が高いほど多く、60歳以上では程度の違いはあるものの、80%以上の方に起こっているといわれています。

変形性関節症の原因

変形性関節症には、一次性(いちじせい)の変形性関節症と二次性(にじせい)の変形関節症があります。
一次性と二次性の変形性関節症では、原因に違いがあります。

また、この病気の原因が気になっている方の中には、変形性関節症が遺伝するのかが気になっているという方もいるのではないでしょうか。
以下に遺伝する病気なのかどうかを含めて変形性関節症の原因に関する情報をまとめていますので、参考情報としてお役立ていただければ幸いです。

一次性の変形性関節症は何が原因となって起こるのか

一次性の変形性関節症は、もともと既存障害や形の異常がなく、さまざまな要因が重なって発症するタイプです。
要因としては遺伝、年齢、性別、体型、職業をあげることができます。

遺伝に関しては、家族に変形性関節症にかかった方がいる場合、同じ病気にかかるリスクが上昇するという報告があります。

年齢は高いほど変形性関節症にかかっている方が多いです。
高齢になると筋力が衰えて関節にかかる負担が増すことや、長年にわたって関節を使ってきたことにより、軟骨のすり減りがひどくなったことなどが影響しているという見方がされています。

ただ、必ずしも高齢の方だけに変形性関節症が起こるというわけではありません。
アスリートなど特定の関節を酷使し続けるなどすれば、若い方でも変形性関節症は起こり得ます。

性別は45歳以下では女性と比較して男性の割合が高いものの、55歳以上では男性と比較して女性の割合が高くなります。
体型については、肥満の方は膝関節や股関節にかかる負担が大きくなります。

そのため、変形性関節症の発症リスクが高まります。
職業に関しては、特定の関節は長いあいだ使い続けると、関節の軟骨がすり減って変形性関節症を起こすリスクが高まります。

先述したアスリートもそうですが、肉体労働をしている方、ピアノ奏者などがこれにあてはまります。
使用頻度の高い部位の関節に変形性関節症が起こることがあるのです。
日本国内では、膝関節に起こる変形性関節症は一次性のケースが多く、中年以降の女性に多く起こっています。

二次性の変形性関節症は何が原因となって起こるのか

二次性の変形性関節症は、病気やケガなどが原因となって起こるタイプです。
骨折や靭帯(じんたい)・半月板(はんげつばん)の損傷といった外傷、生まれつきの関節の形態異常、痛風(つうふう)、関節リウマチ(かんせつりうまち)、化膿性関節炎(かのうせいかんせつえん)といった病気のあとに発症します。

股関節に起こる変形性関節症は、国内では二次性のケースが多いです。
また、ほとんどが女性で、膝関節に起こる変形性関節症に比べて低年齢で発症します。

変形性関節症の症状

変形性関節症は、どの部位の関節に起こることが多いのでしょうか。

また、変形性関節症ではどういった症状が出現するのでしょうか。
ここでは変形性関節症の症状について取り上げますので、気になるという方は以下の内容をご一読ください。

好発部位

この病気は体のどの部分の関節でも起こり得ます。
全身の関節の中で、とりわけ発症した場合に日常生活に支障をきたしやすいのは、体を支えて体重の負荷がかかっている膝、股、背中などです。

起こる部位によって変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)、変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)、変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)という病名がついています。

ほかには、手指(しゅし)に起こる変形性関節症もあります。
指先の関節に起こる変形性関節症はへバーデン結節(へばーでんけっせつ)といって、指先の関節の痛み、はれ、変形が生じます。
このへバーデン結節は中年以降の女性に非常に多く起こっています。

男性の10倍は多いといわれており、常染色体性伴性遺伝(じょうせんしょくたいせいばんせいいでん)によって起こります。
ほかには肩に起こる変形性肩関節症(へんけいせいかたかんせつしょう)も割と多く起こっています。

変形性関節症で出現する症状

変形性関節症は、最初はあまり症状を自覚しないことも多いのですが、病気が進行してくると関節の症状が出てくるようになります。
変形性関節症の主な症状の一つとしては、痛みをあげることができます。

軟骨がすり減ったり、骨が変形したりすると、骨同士がぶつかって滑膜に炎症が生じることや、関節まわりの筋肉や腱(けん)などに炎症が生じることによって痛みが出ます。

関節に負荷がかかることや、関節を動かすことによって痛みが出ます。
最初は安静にすると楽になりますが、変形性関節症が進行することによって、安静にしても痛みが落ち着きにくくなります。

背中の変形性脊椎症では、骨の変形がひどくなると、背骨の中を走っている神経が圧迫を受けてしまい、お尻から足にかけて痛みやしびれを感じることがあります。
痛み以外の変形性関節症で出現する主な症状としては、はれをあげることができます。

滑膜に炎症が生じると、関節液が過剰に貯留してはれの症状が出現します。
正常な関節液にはある粘り気がなくなっており、よく関節に水がたまったと表現される状態になります。

このようなはれの症状は、膝の変形性関節症などでよく起こるものです。
痛みやはれ以外では、関節の変形が変形性関節症の主な症状に含まれます。

軟骨がすり減って骨に大きな衝撃が加わるようになると、骨がかたくなることや、骨がトゲのように変形した骨棘ができることがあります。
こうした骨の変形がひどくなれば、外見にも異変が出てきます。

具体的には、膝の関節に起こる変形性関節症では、膝の関節の形に異常が生じることで、O脚(おーきゃく)になることがあります。
また、股関節に起こる変形性関節症では、左脚と右脚の長さに差が出てくることがあります。

そのほか、筋力が弱まってしまうのも、変形性関節症で起こり得る症状の一つです。
関節の痛みや形の異常などが生じると、関節をスムーズに動かすことができなくなり、変形性関節症を起こしている方は段々、関節を動かさないようになります。
すると、関節周囲の筋肉がかたくなり、筋力が弱まってしまいます。

変形性関節症の検査・診断

関節の痛みなど、変形性関節症で出現する症状の中に、自分にあてはまるものがあった場合には、その症状を放置することなくできるだけ早く医療機関で受診、相談しましょう。
ただ、受診しましょうといわれても、何科へ行くのが適切なのかがわからないという方もいるのではないでしょうか。

また、病院へ行って苦痛を伴う検査を受けるようなことはないかと、不安に感じている方もいるはずです。

ここでは受診に適した診療科や変形性関節症を調べる方法を解説させていただきますので、上記のようなことが気になっている方はぜひ内容をご覧になってください。

受診に適した診療科

変形性関節症を疑うような症状がある場合には、何科へ行けば良いのでしょうか。
中にはこのことが気になり、どこの病院へ行くかで迷ってしまう方もいることでしょう。

この点に関してですが、変形性関節症は整形外科で対応してくれます。
変形性関節症で起こった関節の変形は、一度でも起こると元に戻すことはできません。

はじめは負荷がかかったり動かしたりしたときだけに起こっていた痛みが、安静時にまで感じるようにもなってきます。
そのため、気になる症状が出はじめたら、我慢したりそのうち良くなるだろうと思って放置するのではなく、できるだけ早く医療機関へ行くことが重要です。

検査の方法

変形性関節症では、診察によって症状がいつから出るようになったのか、どういうタイミングで出るのか、どの程度の頻度で出るのか、これまで関節を負傷した経験がないかなどが質問されます。
このような問診のほか、患部を見る視診や触る触診によって、はれや骨の変形が起こっていないかを確認します。

検査では、関節の状態を把握することを目的に、画像検査が行なわれています。
レントゲン撮影を行なうことにより、軟骨の状態を詳しく観察することはできないものの、軟骨がすり減ることによる関節の隙間の狭まり、骨棘やO脚の有無などを確認することが可能です。

より詳細な関節の状態の把握や、別の病気と見分けるため、CT検査やMRI検査といった方法が選択されることもあります。
診察や画像検査以外では、血液検査が病院で行なわれています。
赤血球沈降速度、C反応性たんぱく、リウマトイド因子といった検査項目を確認することで、関節リウマチや化膿性関節炎といった、別の病気にかかっていないかどうかの判断材料になります。

そのほかには、関節液が貯留してはれ・痛みの症状が生じているケースでは、貯留している液を抜いて調べることもあります。
どのぐらいの量なのか、何色なのか、どの程度にごっているのか、何が混じっているのかといった情報を得ることにより、関節の状態を把握することや、別の病気と見分けることに役立ちます。

変形性関節症の治療

変形性関節症によってすり減った軟骨や、変形を起こした関節を、治療で完全に元どおりに戻すことはできません。
ただ、早期発見・治療によって、痛み・はれなどの症状が軽減し、病気の進行を抑えることが可能です。

無治療のまま過ごしていると、関節の変形は悪化し、長距離の歩行ができなくなるなど、普段の暮らしに支障をきたしてしまいます。
少しでも気になる関節の症状が起こったときには、放置することなく整形外科へ行って、適切な治療を受けましょう。

変形性関節症の治療法としてはさまざまな種類がありますが、大きくわけると保存療法と手術療法があります。

保存療法

まず日常生活で気をつけることとして、長時間にわたって歩き続けることや、階段ののぼりおり、正座といった関節への負担が大きい動作はできるだけ避けましょう。
歩くときには杖をつく、サポーターを身に着けることも効果的です。

また、靴にも注意が必要で、ハイヒールや底がかたいものではなく、クッション性に優れているスニーカーをはきましょう。
そのほか、関節の冷えを避け、肥満体型の方は健康的なダイエットに取り組むことも大切です。

保存療法としては、薬物療法があります。
薬物療法は炎症による痛み、はれの緩和、関節機能の悪化防止が狙いです。
非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド薬、ヒアルロン酸などが使用されます。

薬物療法のほかには、運動療法をあげることができます。
関節機能の維持・改善を目的に行ないます。
家庭で実践可能な簡単な運動、水中ウォーキング、ストレッチなどにより、関節が動く範囲を大きくする効果や、関節周囲の筋肉を強化して関節にかかる負担を軽減する効果を得ることにつながります。

また、変形性関節症の一因である肥満の改善効果を得ることもできます。
保存療法としては温熱療法もあります。
ホットパック、マイクロ波のほか、温泉に入ることや家庭のお風呂で湯船に浸かることも効果的です。
温熱療法によって、関節や筋肉の痛みを緩和し、血行を良くする効果を期待することができます。

そのほかの保存療法としては、装具や補助具を使用する方法をあげることができます。
矯正用インソール、膝装具を使用することによって、関節の矯正、関節の破壊防止効果が期待できます。
杖、サポーターを使用すれば、関節にかかる負担を軽減することが可能です。

手術療法

変形性関節症の手術療法としては、関節鏡視下手術(かんせつきょうしかしゅじゅつ)、骨切り術(こつきりじゅつ)、人工関節置換術(じんこうかんせつちかんじゅつ)があります。
保存療法を行なっても改善しない方や、現状で関節の変形がひどく、普段の生活に大きな支障をきたしているような方に対して手術療法は選択されることになります。

まず、関節鏡視下手術ですが、これは主に膝の変形性関節症の方に行なわれる手術です。
関節に内視鏡を挿入し、軟骨の欠片の摘除、骨棘の切除によって、痛みなどの症状を緩和することが可能です。

次に骨切り術ですが、骨の変形を改善することを目的に行なわれます。
骨を切ったあとでつなぎ直すなどし、形を矯正します。
矯正した骨がくっつくまで2~3ヶ月間を要するため、退院まで長期間を要することになるほか、リハビリテーションにも取り組まなければいけません。

なお、骨切り術は関節軟骨が完全にすり減っている方に対しては行なわれません。

そして人工関節置換術ですが、特殊な金属製やプラスチック製などの人工関節と、変形性関節症を起こしている関節と入れかえます。
関節軟骨が完全にすり減り、関節がひどく変形している方に対して選択されることになる手術療法です。

手術を受けたあと、退院するまでにはひと月ほどの期間を要することになります。
痛みを取り除く効果は絶大で、歩行することも可能ですが、正座をはじめとする関節を大きく曲げる動作が困難になることは避けられません。

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