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ぺルテス病を詳細に:原因,症状,検査,治療など

公開日: : 最終更新日:2018/04/13 骨・関節の病気

ペルテス病とは

ぺルテス病(ぺるてすびょう)とは、大腿骨(だいたいこつ)の付け根部分の骨頭(こっとう)が何らかの原因によって壊死(えし)や破壊、変形を起こし、股関節の痛みや歩行障害が引き起こされてしまう病気です。

そもそも大腿骨の骨頭は10歳頃まで成長軟骨で構成されており、骨頭の中心には骨頭核(こっとうかく)とよばれるものが存在しています。

骨頭核は血液によって運ばれる栄養素を吸収することで骨頭全体の成長を促しますが、4~7歳頃までは骨頭核に栄養を供給する外側骨端動脈(がいそくこったんどうみゃく)が1本しかなく、この外側骨端動脈の血流が滞ることによって骨頭核に栄養素が届かなくなると、約2週間ほどで骨頭核が壊死します。

ぺルテス病とは、骨頭核が壊死することによって骨頭そのものも壊死、破壊、変形を起こす病気です。

ぺルテス病は主に2~12歳、特に4~8歳の子どもの発症率が高い病気です。
女性よりも男性の発症率が5~10倍も高く、主に活発な子どもの発症率が高い傾向があります。

日本国内でのぺルテス病患者は20,000人ほどされていますが、あまり馴染みのない病気であることから初期段階では見逃される場合が多く、潜在患者数を含めると20,000人以上いると推測されています。
また、基本的に片側の大腿骨の骨頭に発症しますが、約10~20%の人では左右両方に発症します。

ペルテス病を発症する詳しい原因は未だ解明されていませんが、大腿骨の骨頭への血流障害によって壊死するということが知られています。

血流障害を引き起こす要因としては、小さな外傷の繰り返しや感染症による炎症、内分泌障害などがあげられ、ほかにも喫煙世帯の子どもの発症率が高いことから、受動喫煙も深く関係していると考えられています。

ペルテス病を発症した場合、初期段階ではあまり痛みを感じないため発見が遅れやすいという特徴があります。

症状が進行するにつれて股関節の痛みや可動域の制限、歩行障害などの症状が現れますが、発症年齢が低い場合は症状をうまく伝えることができないということもあり、発見が遅れやすくなっています。
そのため、親が異変を感じ医療機関を受診する頃にはかなり進行し、治療もより困難になる場合があります。

ぺルテス病を疑う場合、主にレントゲン検査やMRI検査、超音波検査などの画像検査を行ないます。

ぺルテス病を発症した場合に現れる股関節の痛みや歩行障害は、ほかの病気でも引き起こされる症状であるため、画像検査によって大腿骨の骨頭の状態を精密に確認し、単純性股関節炎(たんじゅんせいこかんせつえん)や大腿骨頭すべり症(だいたいこっとうすべりしょう)、膠原病(こうげんびょう)など、別の病気と区別する必要があります。

ぺルテス病であると診断が下されると、症状に合わせた治療法が選択されます。
発症年齢が5歳未満である場合には自然治癒が見込めるため、基本的に経過観察を行ないます。

しかし、症状が進行進行している場合には、壊死したり破壊されたりした大腿骨の骨頭の再生や修復を目的とした治療を行ないます。

治療法には牽引(けんいん)治療、装具療法、手術療法などがあり、患者の年齢や症状の度合いを見極めながら最も適した方法を選択します。

ペルテス病は完治するまでに数年を要し、そのあいだは定期的な検査が必要となります。

しかし、活発に動きたい幼少期に発病することや、装具治療など見た目への違和感がストレスとなる場合が多く、家族の精神的フォローが重要となります。

ぺルテス病は早期に発見できれば完治も早いため、日頃から子どもの様子をよく観察し、少しでも異変を感じたときにはできるだけ早く医療機関へ行きましょう。

ペルテス病の原因

ぺルテス病を発症する根本の原因は現状においてはっきりしていません。
ただ、発症のメカニズムはわかっています。

大腿骨骨頭への血流障害

ぺルテス病は、大腿骨の骨頭とよばれる頭の部分への血流が滞った場合や途絶えた場合に、骨頭の一部分が壊死を起こす、または破壊される病気です。

血流障害を引き起こすと、血液中に含まれる栄養が大腿骨の骨頭にいきわたらなくなるため、ぺルテス病を発症します。

血流障害を引き起こす原因は解明されていませんが、小さな外傷を繰り返すこと、感染症による炎症、内分泌障害、血液の凝固異常、受動喫煙、遺伝などが要因として考えられています。
また、血流障害が改善されると大腿骨の骨頭も徐々に再生・修復され、2~5年ほどで回復します。

ペルテス病の症状

ぺルテス病の症状は、主に股関節の痛みと歩行障害です。

股関節の痛み

ぺルテス病を発症した際の初期症状として、股関節の痛みが現れます。

しかし、ぺルテス病は2~12歳、とくに4~8歳の子どもの発症率が高く、股関節に痛みを感じてもうまく説明できない場合もあり、股関節の痛みだけでぺルテス病であると診断することができない場合があります。

また、まれに股関節だけではなく膝関節の痛みが現れる場合もあり、股関節よりも膝関節のほうが強い痛みを感じることもあります。

股関節の可動域の制限

ぺルテス病を発症し股関節の痛みが現れると、徐々に股関節の可動域に制限がかかるようになります。
主に外側や内側にひねると痛みを強く感じるようになり、あぐらをかけなくなります。

歩行障害

ぺルテス病が進行すると足を引きずりながら歩く跛行(はこう)という症状が引き起こされて、徐々に歩行そのものが困難になってきます。

そのほかの症状

ぺルテス病を発症すると、股関節のほかにも骨盤や腰に痛みを感じる場合があり、進行すると安静時でも痛みを感じるようになります。

また、徐々に歩行障害が現れることによって、大腿骨の周囲の筋肉が萎縮する場合があります。

ぺルテス病は股関節の痛みが現れるまで発症に気づきにくいという特徴があり、歩行障害が現れるまで進行すると大腿骨の骨頭の壊死や破壊、変形がかなり進み治療が難しくなります。

また、子ども自身も股関節の痛みをうまく伝えられない場合が多く、初期段階で治療をほどこすことができない場合もあります。

そのため、日頃から子どもの様子をよく観察し、痛みを訴えた場合や歩行に異常が見られた場合は、できるだけ早く医療機関で検査を受けましょう。

ペルテス病の検査・診断

ぺルテス病は、大腿骨の骨頭が壊死を起こす、または破壊されることによって変形や痛み、歩行障害が現れる病気です。

そしてペルテス病は子どもの発症率が高いこと、子ども自身がうまく症状を伝えられない場合が多いこと、ほかの病気と間違いやすいことなどから、的確に病変部分を特定する必要があります。

そのため、検査では触診をはじめ、レントゲン検査やMRI検査、超音波検査などを行ない、総合的にみて診断を下すことになります。

触診

ぺルテス病はまれに左右両方の大腿骨の骨頭に発症しますが、基本的には片方の骨頭に発症します。
そのため、まずは触診で左右の股関節の動きを比較します。

股関節に痛みを感じるか、可動域に左右で違いはあるか、跛行の症状が確認できるかなどを確認します。

レントゲン検査

レントゲン検査とは、X線を使用して骨の状態を撮影する画像検査の一種です。

ぺルテス病は、発症直後はレントゲンに病変が写りにくいという特徴がありますが、初期症状が現れて1ヶ月ほど経過するとレントゲン検査によって大腿骨の骨頭の変形や壊死、破壊が確認できます。

MRI検査

MRI検査とは、磁場を使用して骨の状態を撮影する画像検査の一種で、レントゲン検査と比べてより詳細に大腿骨の骨頭の状態を確認することができます。

MRI検査では大腿骨の骨頭の壊死範囲を詳細に確認することができるほか、レントゲン検査では難しい初期の場合でも診断することが可能であり、さらにぺルテス病と似た症状が引き起こされる、別の病気との区別に役立ちます。

超音波検査

超音波検査とは、超音波を発する機械を体にあて、はね返ってきた波を画像化することにより、体の内部を確認することができる画像検査の一種です。
ぺルテス病の検査では、股関節の腫れ、滑膜炎(かつまくえん)、大腿骨の骨頭の変化を確認することができます。

区別が必要な病気

ぺルテス病を発症した場合に現れる股関節の痛みは、別の病気でも引き起こされる症状であるため、その痛みがぺルテス病によるものなのか、あるいは別の病気によるものなのかを区別する必要があります。

鑑別が必要な病気としては、単純性股関節炎、大腿骨の骨頭の軟骨がずれる大腿骨頭すべり症、いくつかの臓器に炎症を引き起こす膠原病などをあげることができます。

ペルテス病の治療

ぺルテス病の治療は、壊死や破壊、変形した大腿骨の骨頭の再生や修復を目的に、経過観察、牽引治療、装具療法、外科療法を行ないます。

経過観察

ぺルテス病の発症年齢が5歳未満の場合など、年齢が低ければ低いほど自然治癒を見込むことができ、後遺症が少なく予後も良好です。

大腿骨の骨頭に変形がなければ1~2年ほどで血流が改善するため、定期的に通院しながら経過観察を行ないます。

ただし、症状が悪化した場合には、症状に合わせて牽引治療や装具療法、外科療法を行ないます。
経過観察で最も注意したい後遺症が変形股関節症(へんけいせいかんせつしょう)です。

大腿骨の骨頭が自然治癒する過程でどのように変形するかによって、変形股関節症を発症する場合があり、骨頭は一度変形すると元には戻りません。

変形股関節症を発症すると生涯にわたり後遺症に悩まされるため、経過観察中は骨頭の治癒過程をよく観察し、必要な場合には別の治療をほどこします。

牽引治療

牽引治療とは、ぺルテス病の初期に現れる股関節の痛みや可動域の制限を改善することを目的に行なう治療法です。
子どもの場合は1~3kgの重りを両足につけて引っ張ります。

牽引治療中はMRI検査などで股関節の可動域を確認し、その後は装具療法へと移行します。

装具療法

装具療法とは、特別な装具を装着することで下肢の位置を保ち、壊死や破壊、変形した大腿骨の骨頭の再生または修復を待つ治療法です。

装具の装着期間は平均1.5~2年ほどですが、発症年齢が低いほど装着期間も短いです。

装具には立って移動が可能なタイプ、座って両足を開くタイプなどさまざまな種類があり、患者の状態に合ったタイプを選択します。

手術療法

手術療法とは、壊死や破壊された大腿骨の骨頭を外科手術によって本来の球形に修復する治療法で、主に発症年齢が9歳以上である場合に行ないます。

手術療法には大腿骨内反骨切り術(だいたいこつないはんこつきりじゅつ)と臼蓋骨切り術(きゅうがいこつきりじゅつ)の2種類があります。

大腿骨内反骨切り術とは、大腿骨の股関節付近を人工的に骨折させ、骨頭の向きを変えることで臼蓋の奥へと骨頭を埋める手術法です。

人工的に骨折させることによって血流促進効果を期待することができ、骨の修復を加速させることができるなどのメリットがありますが、脚の長さが左右で変わってしまう下肢短縮(かしたんしゅく)という症状を引き起こすリスクも伴います。

臼蓋骨切り術とは、骨盤を構成する骨の一つである腸骨(ちょうこつ)を人工的に骨折させ、臼蓋の向きを変えることで大腿骨の骨頭を包む込む手術法です。

臼蓋骨切り術には大腿骨内反骨切り術のように下肢短縮を引き起こすリスクはありませんが、骨折した骨の再生が遅いというデメリットがあります。

手術療法は基本的に大腿骨内反骨切り術と臼蓋骨切り術のどちらかを行ないますが、ごくまれに両方行なう場合もあります。

このようにぺルテス病の治療にはさまざまな方法がありますが、どの治療を選択した場合でも大腿骨の骨頭が元の状態に再生されるには3~5年ほどの期間を要します。

そのあいだは激しい運動を控えると共に、定期的に大腿骨の骨頭の状態を確認するための通院が必要となります。

少しでも早期治療を行なうために日頃から子どもの歩きかたなどを注意深く観察し、少しでも異変を感じた場合や子どもが痛みを訴えた場合には、できるだけ早く医療機関で検査を受けましょう。

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