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扁平苔癬を詳しく:原因・症状・検査・治療など

公開日: : 最終更新日:2018/04/25 皮膚

扁平苔癬とは

扁平苔癬(へんぺいたいせん)とは、体の胴体や手足など全身の皮膚や陰部、口腔内(こうくうない)の粘膜にかゆみを伴う発疹(ほっしん)が生じ、ひろがるとともに徐々に発疹の表面がガサガサしてくる病気です。

扁平苔癬は炎症性角化症(えんしょうせいかくかしょう)の一種であり、現れる発疹は線状や環状に現れるほか、発疹部分の皮膚が厚くなる肥厚(ひこう)、萎縮(いしゅく)、潰瘍(かいよう)、小水疱(しょうすいほう)などの状態が現れることもあります。

扁平苔癬の発症率に男女差はありませんが、強いていえば全体を見ると40~50歳代女性の発症率が高いという特徴があります。
また、基本的に人から人へと感染することはありません。

扁平苔癬を発症する詳しい原因は未だ解明されていませんが、HIV(エイチアイブイ)ウイルスやヒトパピローマウイルス、ピロリ菌、スピロヘータなどのウイルスや細菌への感染、肝機能障害(かんきのうしょうがい)、歯科用金属アレルギー、薬物に対する自己免疫反応(じこめんえきはんのう)などが発症に関与していると考えられています。

扁平苔癬を発症すると、主に胴体や手足など全身の皮膚や陰部、口腔内の粘膜に発疹が生じます。
発疹は約2~4mmほどと小さく赤紫色をしており、徐々に数が増えて融合します。
皮膚に現れる発疹はかゆみを伴い、人によっては我慢できないほど激しいかゆみを伴います。

口腔内の粘膜に現れる発疹は、痛みやかゆみを伴わないことから気付かれにくいですが、潰瘍やびらんを引き起こすと痛みを感じるほか、食事の際には不快感が出るようになります。

また、ごくまれにではありますが、爪に症状が現れることもあります。
扁平苔癬を治療するうえで、はじめに問診や視診、皮膚生検(せいけん)、血液検査、パッチテストなどを行ない、発症原因を突き止めます。

検査によって診断が確定すると、発疹の状態や痛み、かゆみの有無など患者の状態に合わせて薬物療法を行ないます。

薬物療法は基本的にかゆみや痛みに対する対症療法が目的であり、抗ヒスタミン剤やステロイド剤などを使用するほか、特殊な波長を病変部分に当てる光線療法を行なうこともあります。

扁平苔癬は痛みやかゆみ、潰瘍やびらんを伴わない場合には、特別な治療をほどこさなくても1~2年ほどで治癒します。

しかし、口腔内の粘膜に症状が出現した場合、長期化するほど発疹ががん化するリスクが高いことから、できるだけ早く治療を受けることが重要です。

また、治癒後の発症率は20%というデータがあり、再発を予防するために食事をはじめとする生活習慣の見直しに取り組み、免疫力を低下させないことが重要です。

扁平苔癬の原因

扁平苔癬を発症する詳しい原因は未だ解明されていませんが、自己免疫反応によってリンパ球が皮膚の表皮基底角化細胞(ひょうひきていかくかさいぼう)に対し攻撃することで発症すると考えられています。

自己免疫反応によるリンパ球が肌細胞を攻撃する理由も詳しく解明されていませんが、ウイルスや細菌への感染、肝機能障害、歯科用金属アレルギー、薬物への免疫反応などが考えられている要因として含まれています。

感染症

扁平苔癬を発症する要因のひとつとして、ウイルスや細菌への感染をあげることができます。

主にHIVウイルス、ヒトパピローマウィルス、II型単純ヘルペスウィルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスといったウイルスへの感染や、ピロリ菌、スピロヘータなどの細菌への感染が関与していると考えられています。

こうしたウイルスや細菌に感染すると、合併症として扁平苔癬を発症する場合があります。

肝機能障害

B型肝炎やB型肝炎ワクチン、C型肝炎が原因による肝機能障害や、肝機能不全(かんきのうふぜん)、原発性胆汁性肝硬変(げんぱつせいたんじゅうせいかんこうへん)などの肝機能障害が扁平苔癬の発症に関わっていると考えられています。

歯科用金属アレルギー

金属アレルギーを持っている人が、銀歯や歯の詰め物に使用する金属にアレルギー反応を起こすことで、扁平苔癬を発症することがあります。

薬物

薬剤に対する免疫反応によって扁平苔癬のような発疹が現れる場合がありますが、その場合は扁平苔癬型薬疹(へんぺいたいせんがたやくしん)と呼ばれています。

扁平苔癬型薬疹を引き起こす主な薬剤としては、β(ベータ)遮断薬、ACE(エース)阻害薬、NSAID(エヌセイズ)、ペニシラミン、抗マラリア薬、金製剤、サイアザイド系薬剤、スルホニル尿素薬などが挙げられます。

そのほかの要因

扁平苔癬の発症には自己免疫が関わっているという見方がされており、骨髄移植後に発疹が現れることがあります。

また、自己免疫機能の低下を招くストレスの蓄積も、扁平苔癬の発症の要因のひとつとして考えられています。

扁平苔癬の症状

扁平苔癬を発症すると、胴体や手足など全身の皮膚や口腔内の粘膜に発疹が現れますが、皮膚と口腔内では発疹の状態が異なります。

皮膚に現れる症状

扁平苔癬を発症すると、赤紫色をした発疹が現れます。
発疹は直径2~4mmほどのサイズで、縁が角ばった多角形をしており、平らに盛り上がった状態をしています。

発疹の表面には蝋(ろう)でコーティングしたような光沢感があり、基本的にかゆみを伴いますが、人によっては我慢できないほどの激しいかゆみを伴います。

初期段階では発疹のひとつひとつは離れて現れますが、症状が進行するにつれて発疹の数が増え、増加するにつれて発疹同士が融合するほか、萎縮や水疱を生じることがあります。

発疹の表面は時間の経過とともにガサガサするようになり、うろこ状のカサついた発疹へと変化します。

発疹は初期段階からかゆみを伴うため、ついかきむしってしまいがちですが、かきむしると新たな発疹が現れるケブネル現象を引き起こします。

また、発疹が消失したとしても肌に色素沈着を起こしやすく、痕となって残る場合が多いです。

発疹そのものは体の全身に現れますが、とくに胴体や手足に現れる場合が多いです。

また、男性の場合は性器の亀頭部分、女性の場合は膣(ちつ)部など陰部に現れる場合もあります。

発疹のサイズは基本的に小さいですが、胴体、とくに足に現れると発疹のサイズが大きくなりやすく、また厚くなりやすいという特徴があります。

また、まれに顔面や頭皮に現れる場合があり、頭皮に現ると小さな脱毛斑(だつもうはん)や瘢痕性脱毛症(はんこんせいだつもうしょう)の発症原因となります。

口腔内に現れる症状

扁平苔癬を発症すると約50%の人が、口腔内の粘膜に発疹が現れます。
口腔内の粘膜に現れる発疹は、網目状やレース状で青白色をしており、主に両側の頬粘膜に現れるほか、まれに舌縁(ぜつえん)や歯肉(しにく)粘膜に現れることがあります。

口腔内の粘膜に現れる発疹は痛みやかゆみを伴わないことが多いため、気が付かないケースも多いですが、発疹に強い疼痛(とうつう)を伴う潰瘍やびらん、水疱性病変を生じると飲食時に不快感が出るようになり、食べる、飲むといった行為がスムーズにできなくなることがあります。

口腔内の粘膜に現れる発疹は慢性化しやすく、症状が良くなる寛解と悪くなる増悪(ぞうあく)を繰り返すという特徴があります。

また、慢性化することで口腔内の粘膜に長期間発疹が現れている状態では、まれにがん化することがあります。

そのほかの部位に現れる症状

扁平苔癬は基本的に全身の皮膚や口腔内に症状が現れますが、約10~15%は爪に何らかの異常が現れます。

爪の変色をはじめ、爪甲(そうこう)と呼ばれる爪の表面が薄くなる、爪が短くなる、爪に縦皺(たてじわ)が入る、爪甲が裂ける、爪甲がはがれる、爪甲が消失する、爪下の角質が増殖するといった症状が起こることがあります。

このように扁平苔癬を発症すると全身の皮膚や口腔内、爪などに症状が現れますが、基本的に1~2年ほどで治癒します。

しかし、症状の経過には個人差があるほか、口腔内の粘膜に症状が現れると、完治するまでに長い時間を要することが多いです。

また、完治したとしても約20%の人が再発を招いてしまうというデータがあります。

扁平苔癬の検査・診断

扁平苔癬の検査は主に問診・視診、皮膚生検、血液検査、薬剤検査、パッチテストなどを行ないます。

問診・視診

問診や視診では、全身や口腔内に現れた発疹の状態を確認します。

皮膚生検

問診・視診によって扁平苔癬が疑われる場合には、確定診断を下すために皮膚生検を行ないます。

扁平苔癬を発症した場合に現れる発疹は、第二期梅毒(ばいどく)やエリテマトーデスなどの病気を発症した場合に生じる発疹と似ているほか、口腔内の粘膜に生じる発疹はアフタ性潰瘍(あふたせいかいよう)や慢性多形紅斑(まんせいたけいこうはん)、天疱瘡(てんぽうそう)、瘢痕性類天疱瘡(はんこんせいるいてんぽうそう)、カンジダ症(かんじだしょう)、悪性腫瘍(あくせいしゅよう)などの病気と似ていることから、こういった別の病気と見分けるために皮膚の一部を切除し、顕微鏡で観察する皮膚生検を行ないます。

血液検査

扁平苔癬はウイルスや細菌への感染、肝機能障害などが発症に関係していると考えられているため、感染症の有無や肝機能の状態を確認するために血液検査を行なうことがあります。

薬剤検査

扁平苔癬は、服用している薬剤に対する自己免疫反応によって発症する場合があると考えられているため、服用している薬剤の種類を調べることがあります。

パッチテスト

扁平苔癬を口腔内の粘膜に発症した場合には、歯科用金属に対するアレルギーが疑われるため、金属アレルギーのパッチテストを行なうことにより、アレルギーの有無を確認します。

扁平苔癬の治療

扁平苔癬は基本的に、特別な治療をほどこさなくても1~2年ほどで治癒します。
しかし、全身の皮膚に現れる発疹はかゆみを伴うほか、口腔内に現れる発疹は長引くとがん化するリスクがあるため、対症療法として薬物を使った薬物療法や光線療法などを行なう場合があります。

皮膚の症状に対する薬物療法

扁平苔癬を発症するとかゆみを伴う発疹が現れますが、人によっては我慢できないほど激しいかゆみを伴う場合があります。

かゆみを我慢できずにかきむしってしまうと、新たな発疹が現れるケブネル現象を引き起こすため、薬物によってかゆみを抑える必要があります。

かゆみを抑えるためには、主に抗ヒスタミン剤を使用しますが、ステロイド剤を使用する場合もあります。
また、ひどい発疹に対してはステロイド剤を使用し、主にコルチコステロイド剤を使用します。

薬物療法で使用する薬は発疹に直接注射する場合や、発疹部分に塗る軟膏やクリーム状の外用薬、飲み薬として服用する内服薬、ステロイド含有テープなど、症状の程度や患者に合わせて医師が選択します。

また、ステロイド剤のほかにも抗アレルギー薬や漢方薬などを使用する場合もあり、扁平苔癬の発症原因に肝機能障害が考えられる場合には、強肝(きょうかん)剤を使用する場合もあります。

口腔内の症状に対する薬物療法

扁平苔癬の症状として発疹が口腔内の粘膜に現れた場合、基本的に痛みやかゆみを伴わないため気付かない場合が多いです。

しかし、口腔内の粘膜に現れた症状は、皮膚に現れた症状よりも治りにくく、発疹に潰瘍やびらんを引き起こすと食事の際に不快感を感じるようになり、さらに発疹が長期間にわたり現れた状態が続くとがん化するリスクが高まるため、口腔内の粘膜に扁平苔癬を発症したらできるだけ早い治療が重要となります。

口腔内の粘膜に現れた発疹に対する薬物療法としては、ビタミンAの類似物質であるレチノイドを服用します。

発疹に潰瘍やびらんが見られる場合には、リドカインビスカスやダプソン、シクロスポリン、コルチコステロイドなどの薬物を使用します。

発疹が悪化し食事の際に不快感や痛みを感じる場合には、麻酔薬の一種であるリドカインを液体に含ませ、その液体で口をゆすぐことで口腔内を麻痺させる対症療法を行ないます。

光線療法

扁平苔癬の治療として、特殊な波長の光を病変部分に当てる光線療法が効果的な場合があります。

光線療法は基本的に、コルチコステロイドやレチノイドを内服する薬物療法とともに行なわれますが、コルチコステロイドやレチノイドなどを使用した薬物療法での効果が得られない場合や、内服薬が使用できない場合には、紫外線A波とソラレンという薬物を併用したPUVA(プバ)療法やナローバンドUVB(ユーブイビー)療法を行ないます。

PUVA療法とは、紫外線への感受性を高めるソラレンという薬物を服用、あるいは病変部分に塗布、あるいは溶かしたお湯に入浴後、紫外線A波=UVA(ユーブイエー)を照射する治療法です。

ナローバンドUVB療法とは、病変部分に紫外線B波(UVB)を照射する治療法で、紫外線B波(UVB)はPUVA療法に使用される紫外線A波(UVA)よりも皮膚の深部に到達することから、ソラレンを使用する必要がなく、照射時間も短いうえに副作用のリスクが低いという特徴があります。

このように扁平苔癬の治療は発疹の状態や痛み、かゆみの有無などに合わせて行ないますが、基本的に1~2年ほどで治癒します。

ただし、約20%の人は扁平苔癬の再発を招いてしまうというデータがあることから、また治療中は規則正しい生活習慣を心がけ、バランスの良い食生活やストレスを適度に発散するなどして、免疫力が下がらないように健康ケアを行なうことが、再発予防のためには重要です。

さらに扁平苔癬は、色素沈着を引き起こして痕に残りやすいという特徴もあるため、女性などはできるだけ早く治療を受けることが重要です。

そのためには日頃から体の変化を見逃さないようにし、少しでも異変を感じた場合には、そのまま放置することなく病院へ行きましょう。

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