*

脂漏性角化症(老人性疣贅)を詳しく:原因・症状・検査・治療など

公開日: : 最終更新日:2018/11/10 皮膚

脂漏性角化症(老人性疣贅)とは

まず、脂漏性角化症は「しろうせいかくかしょう」と読み、老人性疣贅は「ろうじんせいゆうぜい」と読みます。
脂漏性角化症と老人性疣贅は、同じ病気です。

ここでは脂漏性角化症(老人性疣贅)と表記させていただきます。
脂漏性角化症(老人性疣贅)とは、主に中年以降に起こり、年齢の高まりとともに増える皮膚の良性腫瘍(りょうせいしゅよう)です。

80歳以上のほとんどの方に起こっており、皮膚に生じる老化現象のひとつに含まれます。
そのため、老人性イボ(ろうじんせいいぼ)や年寄りイボ(としよりいぼ)ともよばれています。

ただし、脂漏性角化症(老人性疣贅)は若い方に生じることもあります。
なお、脂漏性角化症(老人性疣贅)は自然に消失することはありません。

日光にさらされる皮膚の露出部に多発しますが、衣服で隠れている部位にも生じます。
なお、手のひら、足の裏に生じることはありません。

良性腫瘍のサイズは直径数mmから2、3cm程度で、少し隆起しているものもあれば、突出したしこりになるものもあります。

色は褐色調や黒色調のもののほか、正常な皮膚の色みに近いものもあります。
脂漏性角化症(老人性疣贅)の表面は、ザラザラしている場合が多いです。

なお、脂漏性角化症(老人性疣贅)は、悪性化して癌(がん)になる心配はありません。

脂漏性角化症(老人性疣贅)の原因

皮膚の老化現象のひとつに含まれる脂漏性角化症(老人性疣贅)。

露出部位に生じる脂漏性角化症(老人性疣贅)は、紫外線にさらされることによる遺伝子の異常、服で隠れている部位に生じる脂漏性角化症(老人性疣贅)は、年齢の高まりによる遺伝子の異常が関わっているとされています。

脂漏性角化症(老人性疣贅)が起こるしくみ

皮膚の一番外側で外界と接している部分を表皮(ひょうひ)といいます。
表皮の最下層のことを基底層(きていそう)といい、この層に存在する小さな円形の細胞のことを基底細胞(きていさいぼう)といいます。

皮膚の色を決める要素のひとつであるメラニン色素は、基底層に存在する色素細胞(しきそさいぼう)のメラノサイトによって生み出されています。

メラニンというとシミの原因になる色素として有名ですが、顔面や手足のような露出部位に発生するシミは、長年にわたって日光を浴びることにより、日光に含まれている紫外線によって表皮の基底細胞の遺伝子に異常が発生したことが原因です。

異常が発生した表皮の基底細胞は増殖して皮膚が隆起するようになり、メラノサイトに刺激を与えてメラニンを大量に生成させて、濃い色のシミができてしまいます。

一般的によばれているシミには、平坦なものと隆起したものに大別することができ、平坦なものは老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)、隆起したものは脂漏性角化症(老人性疣贅)として扱われます。

脂漏性角化症(老人性疣贅)の一部は、老人性色素斑が隆起してできます。
老人性色素斑と比較して、脂漏性角化症(老人性疣贅)は強く遺伝子の異常が生じている証なのです。

年齢が高まるとわきの下、腹部、股などの日光があたらない部位に、脂漏性角化症(老人性疣贅)が発生します。

年齢の高まりによって、表皮の遺伝子に異常が発生したことが原因になっているのではないか、という見方がされています。

脂漏性角化症(老人性疣贅)はどんな人に起こる?

主に40歳以降の方に脂漏性角化症(老人性疣贅)は生じます。
80歳以上では、ほとんどの方に生じている良性腫瘍です。

そのため、年齢が高い人に脂漏性角化症(老人性疣贅)は起こりやすいということができます。
とくに屋外でのスポーツをしている方や仕事をしている方はリスクが高いです。

また、皮膚の色が白い女性で、屋外に出ているときに化粧や日焼け止めを使用していない場合、中年を迎えて多発しやすいといわれており注意が必要です。

なお、脂漏性角化症(老人性疣贅)は中高年だけに生じる良性腫瘍ではありません。

日焼けサロンを利用する方は、20歳前半で老人性色素斑が、20歳後半で脂漏性角化症(老人性疣贅)が生じる場合があります。

脂漏性角化症(老人性疣贅)の症状

脂漏性角化症(老人性疣贅)は、主に老化により皮膚に生じる良性腫瘍です。

自然に消失することはなく、放置しておくと徐々に大きくなり、数が増えてくるなど、この良性腫瘍にはさまざまな特徴があります。

脂漏性角化症(老人性疣贅)が生じる部位

日光にさらされる部位によく発生します。
中でも顔面、頭部、前胸部(ぜんきょうぶ)、上背部(じょうはいぶ)に生じていることが多いです。

また、日光にさらされていない、服で隠れている部位にも脂漏性角化症(老人性疣贅)は発生します。

具体的には、わきの下、腹部、そけい部(脚のつけ根)、股、陰部、太ももといった部位をあげることができます。
なお、手のひらや足の裏に脂漏性角化症(老人性疣贅)は発生しません。

脂漏性角化症(老人性疣贅)の見た目

脂漏性角化症(老人性疣贅)は直径数mmから2、3cm程度で、わずかに隆起するものや、突出したしこりになるものもあります。
肉眼でみると平坦に見えても、拡大鏡で観察すると少し隆起しているのがわかります。

色は褐色調や黒色調のこともあれば、正常な皮膚の色と大差ないものもあります。
表面の質感は多くの場合、ザラザラしています。

普通のイボやホクロとの違い

普通のイボのことを尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)といいますが、このイボはウイルスが皮膚に感染することで発生する良性腫瘍です。

これに対して脂漏性角化症(老人性疣贅)はウイルスによって発生するものではなく、まわりの人にうつしてしまう心配はありません。

脂漏性角化症(老人性疣贅)は足の裏に出ることはないですが、尋常性疣贅は足の裏にもできます。
また、脂漏性角化症(老人性疣贅)には漢方薬のヨクイニン、市販薬のイボコロリで消すことはできません。

次にホクロについてですが、ホクロは正式には単純黒子(たんじゅんこくし)といいます。
脂漏性角化症(老人性疣贅)は硬くてもろく、この点が単純黒子と異なります。

痛みやかゆみは出る?

通常、脂漏性角化症(老人性疣贅)に痛みやかゆみが伴うことはありません。

ただし、かゆみに関しては脂漏性角化症(老人性疣贅)が大きくなるときに生じる場合があります。

なお、短期間で全身に脂漏性角化症(老人性疣贅)が多発し、かゆみの症状が出現する場合にはレーザー・トレラ徴候といって、内臓に癌が生じている可能性があります。

脂漏性角化症(老人性疣贅)の検査・診断

脂漏性角化症(老人性疣贅)は視診、ダーモスコピー検査で診断します。
癌が疑わしい場合には、組織検査が行なわれています。

受診に適した診療科

脂漏性角化症(老人性疣贅)かもしれないと思ったときには、皮膚科で受診しましょう。

脂漏性角化症(老人性疣贅)は自然に消失することはなく、ほうっておくことで徐々に大きくなり、数も増えてきます。

目立つところにできると人の視線が気になったり、ヒゲなどを処理するときに邪魔になったりします。

また、脂漏性角化症(老人性疣贅)は癌化する心配はありませんが、脂漏性角化症(老人性疣贅)と思っていても実は皮膚癌であることがあります。

たとえば悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)という皮膚癌の一種は、脂漏性角化症(老人性疣贅)と同じような皮膚の症状が起こることがあります。

この病気は別の臓器に転移することもあり、命を落としてしまうこともあります。

そのため、脂漏性角化症(老人性疣贅)ではなく悪性黒色腫などの皮膚癌である場合はとくに、症状を放置することなくできるだけ早く医療機関へ行くことがきわめて重要です。

脂漏性角化症(老人性疣贅)を調べる方法

通常は、肉眼で良性腫瘍の性状を確認するほか、ダーモスコピー検査によって診断をつけることが可能です。

ダーモスコピー検査というのは、ライトのついた拡大鏡を使って、皮膚の状態をくわしく調べることができる検査です。
検査を受ける方に対して痛みなどの苦痛はまったくなく、簡単に行なえます。

癌が疑わしい場合には、組織検査が行なわれています。
組織の一部または全部を切除して、顕微鏡で観察する方法です。

脂漏性角化症(老人性疣贅)の治療

見た目を気にしない高齢の方に多く、悪性の腫瘍ではないといった理由で、脂漏性角化症(老人性疣贅)の多くは治療の対象外です。

診断が確かでないもの、炎症が生じている、頭に発生して髪をとかすときに引っかかるなどして日常生活に支障をきたしているもの、顔に発生するなど外見に問題のあるものなどが治療の対象になります。

なお、いまは高齢の方でも見た目を理由として、治療を受けることを望む方が増加しています。

脂漏性角化症(老人性疣贅)の治療方法としては凍結療法、光治療、レーザー治療、電気外科的治療、手術治療といったものをあげることができます。

凍結治療

脂漏性角化症(老人性疣贅)に超低温の液体窒素をあてて凍結させることにより、異常な表皮の細胞を壊して腫瘍を取り除く方法です。

麻酔不要で行なえる治療ですが、処置をほどこすときと処置をほどこしたあとに痛みを感じます。

凍結が甘ければ再び脂漏性角化症(老人性疣贅)が生じるリスクがあり、凍結が強すぎれば痕が残るリスクがあり、経験が求められます。
処置を行なったところには6ヶ月~2年ほど、炎症後の色素沈着が消えません。

顔に凍結治療を行なうとこの色素沈着による美容上の問題が生じるため、主に顔以外の脂漏性角化症(老人性疣贅)に対して行なわれています。

光治療

強力な光をあてることにより、脂漏性角化症(老人性疣贅)の黒いメラニン色素に光が反応を起こして熱を出し、細胞にダメージを加えます。

わずかに隆起した程度の腫瘍を改善させることはできますが、除去しきれないことが少なくありません。

また、一度は消失しても6ヶ月~1年ほど過ぎて再発を招くことも多く、0.5mm以上の隆起に対しては無効です。
そのため、光治療は効果が高いとはいえません。

レーザー治療

CO2レーザー、Qスイッチレーザーをあげることができます。
まず、CO2レーザーは隆起の程度とは無関係に腫瘍をきれいに蒸散させることができます。
治療後に色素沈着が残りますが、液体窒素を使った凍結治療より短く、数ヶ月間で消えます。

脂漏性角化症(老人性疣贅)は基底層の異常な表皮基底細胞まで除去しなければいけないため、皮膚の深部まで細胞を蒸散させることで、治療後に痕ができる心配があります。
基底層に細胞が残っていると、数ヶ月間~数年後に再び脂漏性角化症(老人性疣贅)が発生することがあります。
再発は遅い場合は5年ほどで起こります。
次にQスイッチレーザーは、盛り上がりかたが軽い脂漏性角化症(老人性疣贅)であれば十分に改善することが可能です。

色素の存在するところを完全に取り除くことができ、傷を残すことなく改善させることができます。
ただし、盛り上がりかたが強い厚みのある腫瘍では、表皮基底細胞を除去しきれず、治療が難しい場合があります。

基底層に細胞が残っていると、数ヶ月~5年で再び脂漏性角化症(老人性疣贅)が発生することがあります。
なお、CO2レーザーとQスイッチレーザーを併用する治療方法もあります。

2種類のレーザーのいいとこ取りで、厚みのある腫瘍でもCO2レーザーで蒸散させ、基底層に残った細胞をQスイッチレーザーで壊すことが可能です。

治療したところが傷になるリスクは非常に低く、再発を招くことはほぼありません。

電気外科的治療

単純黒子の治療でも使用されている、電気メスによる切除術です。
患部を削りとりますが、削りかたが浅いと再発を招くリスクがあり、深いと痕が残ってしまうリスクがあります。

なお、電気外科的治療で脂漏性角化症(老人性疣贅)の治療を行なっている皮膚科は多くありません。

手術治療

脂漏性角化症(老人性疣贅)が大きいことで、凍結治療やレーザー治療での対処が難しいケース、組織検査を行なうケースで選択されています。

メスを使用し、主要部分を浅く切除します。
より範囲の大きい切除術では、皮膚を移植することもあります。

脂漏性角化症(老人性疣贅)の予防

脂漏性角化症(老人性疣贅)の主な原因のひとつは、紫外線にさらされることです。
このことを把握することにより、予防方法は自ずとみえてくるでしょう。

脂漏性角化症(老人性疣贅)の予防方法

脂漏性角化症(老人性疣贅)は、屋外での活動が多い方、たとえばスポーツや仕事をしている方によく起こっています。

また、肌の色が白い女性で化粧や日焼け止めを使用していない場合、中年を迎えて多発することが多いです。
日焼け止めを使用することは、脂漏性角化症(老人性疣贅)予防に効果的ということができるでしょう。

屋外での活動が少ない方も、出かけるときには日焼け止めを使用するほか、日傘をさすような対策をおすすめします。
紫外線が多く降り注ぐ時間帯の外出は避けるというのもよいでしょう。

ほかには、紫外線というのは屋外だけでなく、屋内にも入ってきていることをご存じない方が少なくありません。

屋内に入ってくる紫外線に対しては、紫外線カットのカーテンを使用するなどの対策がよいでしょう。
そのほか、脂漏性角化症(老人性疣贅)は日焼けサロンを利用する若い方にも起こることがあります。

脂漏性角化症(老人性疣贅)を避けたいと思うのであれば、過度に紫外線を浴びるようなことをするのは避けるに越したことはありません。

日光にさらされない部位の脂漏性角化症(老人性疣贅)は予防可能?

脂漏性角化症(老人性疣贅)は皮膚が露出していて、日光があたる部位にだけ起こるわけではありません。

年齢が高まることにより、わきの下、腹部、そけい部、陰部といった服や下着で隠れているところに発生します。

この日光にさらされない部位の脂漏性角化症(老人性疣贅)は、残念なことに確実に防ぐ方法はありません。

関連記事

水痘の症状・原因・治療について

水痘はみずぼうそうともいい、水疱性の発疹が見られる病気です。 その症状は全身にあらわれ、人によ

記事を読む

『あせも』はこーして予防せよ!おススメの市販薬は?

あせもになってわかった「これがあせもの原因だ!」 「あせも」をしてみてから、初めて知ったのだけ

記事を読む

日光角化症を詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

日光角化症とは 日光角化症(にっこうかくかしょう)とは、太陽光などの紫外線を浴び続けて

記事を読む

掌蹠膿疱症の症状・原因・治療について

掌蹠膿疱症は、主に足の裏や手のひらに生じる皮膚病のひとつです。 よくなったと思っても再び悪化す

記事を読む

汗疱を詳細に:原因,症状,検査,治療など

汗疱(かんぽう)とは、手のひらや手指、足の裏に小さい水疱(すいほう)が多発する病気です。

記事を読む

単純疱疹(口唇ヘルペス)の症状・原因・治療について

単純疱疹はヘルペスとも呼ばれ、小水疱が口唇や陰部などに局所的に生じる病気です。 比較的発症しや

記事を読む

伝染性軟属腫の症状・原因・治療について

子供がかかりやすい皮膚感染症はいくつかありますが、そのひとつが伝染性軟属腫です。 伝染性軟属腫

記事を読む

肛門掻痒症を詳しく:原因・症状・検査・治療など

肛門掻痒症とは お尻の穴の肛門(こうもん)に起こるかゆみに悩まされている人は630万人いるとさ

記事を読む

扁平苔癬を詳しく:原因・症状・検査・治療など

扁平苔癬とは 扁平苔癬(へんぺいたいせん)とは、体の胴体や手足など全身の皮膚や陰部、口腔内(こ

記事を読む

乾燥性皮膚炎の症状・原因・治療について

冬は外気の影響で肌が乾燥しやすく、肌のコンディションは悪化しがちです。 肌がかさかさしたり、ひ

記事を読む

虚血性心疾患を詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

虚血性心疾患とは 心臓は1日に約10万回の収縮・拡張を繰り返しており、体全体へと

脂漏性角化症(老人性疣贅)を詳しく:原因・症状・検査・治療など

脂漏性角化症(老人性疣贅)とは まず、脂漏性角化症は「しろうせいかくかしょう」と読み

放射線肺臓炎を詳しく:原因・症状・検査・治療など

放射線肺臓炎とは 放射線肺臓炎(ほうしゃせんはいぞうえん)とは、肺・食道・乳房などの

眼球突出を詳しく:原因・症状・検査・治療など

眼球突出とは 眼球突出(がんきゅうとっしゅつ)とは、眼球が前方に飛び出ているように見

白板症を詳しく:原因・症状・検査・治療など

白板症とは 白板症(はくばんしょう)とは、口内の粘膜表面が白色に厚く変化する病気です

→もっと見る

PAGE TOP ↑