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伝染性膿痂疹(とびひ)を詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

公開日: : 最終更新日:2018/03/19 皮膚

伝染性膿痂疹(とびひ)とは

伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)は、皮膚の感染症の一種で、なじみ深い呼び方として「とびひ」という別名があります。
最初は皮膚の一部分に水疱(すいほう)ができますが、かゆみを我慢できずにかきむしると体じゅうの皮膚に伝染していきます。

この様子が火事の火の粉があちこちに飛んで被害を大きくする様子に似ていることから「とびひ」と呼ばれるようになったといわれています。
「膿痂疹」は皮膚が細菌に感染することによって、患部に黄色いかさぶたができる症状をまとめて呼ぶものです。

伝染性膿痂疹(とびひ)の原因

伝染性膿痂疹には、大まかに分けて2つの種類があります。

水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)

このタイプの伝染性膿痂疹の原因となるのは黄色(おうしょく)ブドウ球菌(きゅうきん)と呼ばれる細菌です。

主に夏季に多く見られるものであり、患者の多くが乳幼児や小児などの子どもたちです。
黄色ブドウ球菌が生み出す毒素が皮膚にダメージを与えて、水ぶくれを引き起こします。

黄色ブドウ球菌は、本来はとくに珍しい細菌ではなく、日常生活のごく近いところにせい息していて、健康な人の皮膚、鼻のなか、喉のなかなどにも存在します。

通常であれば熱に弱く、病気の原因となることも少ないとされていますが、風邪や体の疲れ、手術のあとや病気のときなど、免疫機能が落ち込んだときにはあらゆる病気の原因となりがちです。

このときに黄色ブドウ球菌が生み出す毒素は熱にも強く、加熱調理でも残りやすいために食中毒の原因となることもあります。
伝染性膿痂疹では、虫刺され、失神、すりきず、小さな切り傷などから菌が入り込むことで感染します。

痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)

このタイプの伝染性膿痂疹の特徴は、子どもたちだけではなく大人にも多く見られる点です。
とくに発症しやすい季節もとくになく、一年を通して注意が必要です。

溶連菌(ようれんきん)という細菌を原因とし、伝染性膿痂疹のなかでも炎症などの症状が強くあらわれます。
また、皮膚の上に黄色いかさぶたができるのも特徴です。

A郡溶連菌というグループのなかに、化膿レンサ球菌と呼ばれる細菌があります。
こちらも珍しい菌ではなく、皮膚のうえなど日常生活の身近なところで見られる菌です。

化膿レンサ球菌を原因とする伝染性膿痂疹は、患部に厚みのあるかさぶたができあがることが特徴で、大人にみられる膿痂疹の多くの原因となります。

化膿レンサ球菌での伝染性膿痂疹は日本では少ないですが、アメリカでは比較的よく見られると言います。
感染の経路は黄色ブドウ球菌と同じで、皮膚上の小さな傷からの侵入です。

伝染性膿痂疹(とびひ)の主な症状

主な症状は皮膚のじゅくじゅくとした症状に伴うただれ、化膿、水ぶくれ、かさぶた、皮膚炎となります。
伝染性膿痂疹で注意したいのは自分の体じゅうに広がる点だけではなく、他人にどんどんうつしてしまう可能性があることです。

そのため、伝染性膿痂疹の疑いがある場合はできるだけ早く治療を受けることにより、感染を最少にとどめたいものです。
最初の症状が出やすい場所は、黄色ブドウ球菌が住んでいる鼻のまわり、中耳炎(ちゅうじえん)での耳だれが起こりやすい耳の穴の周囲となっています。

また、子どもに見られやすい「鼻水を手でぬぐう」行動をもととして菌が移動しやすい手足、ひじ、ひざ、胸、背中、おしり、陰部なども症状が見られやすい場所です。
皮膚上の小さな傷から感染するので、そのような小さな傷ができる可能性がある場所であればどこでも発症します。

また、伝染性膿痂疹の水ぶくれやかさぶたがはがれた部分から出る膿や汁が皮膚に触れれば、それだけでも感染が広がるので注意しなければなりません。
かきむしった手でまぶたなどを触れば、そこにも症状が出現してしまいます。

伝染性膿痂疹(とびひ)の治療方法

主な治療方法は薬剤を用いた薬物療法となります。
患者それぞれの症状にあわせ、抗生剤軟膏、ステロイド剤などを皮膚に塗布するのが中心となります。

それらに加え、感染症の治療という観点から飲み薬が用いられることもあります。
この場合は抗アレルギー剤、抗生剤を内服します。

伝染性膿痂疹用の薬剤はドラッグストアなどでも購入できますが、一般的に市販薬ではしっかりとした治療ができないと考えられています。
製薬会社もこのような見解を示しており、まずはしっかりと病院で診察を受けて、適した薬での治療を進めましょう。

また、治療の中心となる抗生剤はドラッグストアでの購入ができません。
このことも考えると、やはり医師の判断のもとで治療するのが望ましいでしょう。

医師の判断のもとで処方される薬剤

伝染性膿痂疹の治療に用いられる主な薬には、ゲンタシン、キンダベート、フシジンレオ、アクアチム、アクアチムクリーム、デルモゾール、テラマイシンなどがあります。
中心は塗り薬となりますが、かゆみがとくに強い場合にはアレルギーに対応した薬剤が用いられます。

診療科はどこにすればいい?

子どもの場合は、普段からアトピーや乾燥肌・アレルギーなどの疾患の治療をしているかかりつけの皮膚科がある場合はその皮膚科を、普段の肌トラブルがない場合はまずは小児科で受診します。

小児科での受診は、肌に見られるトラブルだけではなく発熱や頭痛などを併発しているときにはとくにおすすめです。
子どもの症状はできるだけ細かく医師に伝え、皮膚の状態やそれに対する子どもの行動なども把握してもらいましょう。

大人であれば、皮膚科での受診が基本となります。
伝染性膿痂疹はどの世代にも平均的に起こる病気ですが、高齢者の場合はとくに注意が必要とされます。

免疫力や肌のバリア機能の低下から感染が起こりやすく、また、実際は伝染性膿痂疹ではない別の病気の症状としてあらわれている場合も多いからです。

医師の専門的な診断と治療を早期に行なうことが大切であり、皮膚症状はすぐ治るだろうと軽く見ることはせず、早めに病院を訪れることが大切です。

伝染性膿痂疹(とびひ)での大人と子どもの違い

この病気での大人と子どもの違いは、原因となりやすい細菌にもありますが、もっと大きなポイントは「子どもは症状が悪化しやすい」「感染を広げやすい」ということです。

大人であれば、伝染性膿痂疹の注意点や怖い部分を把握して十分な対処が可能な場合でも、子どもとなるとそれでもかゆければかきむしりたくなりますし、かきむしった手で体じゅうを触る、友達に触れるなども起こりやすいものです。

また、決められた時間の薬の塗布や内服、日常生活での注意点なども大人がしっかりと見てあげる必要があります。

伝染性膿痂疹(とびひ)と間違われやすい病気

この病気を多く見てきた医師であれば、問診・視診からすぐに伝染性膿痂疹を判断することも難しくないとされていますが、似た症状を持つ病気がいくつかあるので注意しなければなりません。

とくに気をつけたいのが似た症状の別の病気だと自己判断して症状が進んでしまうことです。

症状が似ている病気

・水いぼ
・あせも
・アトピー性皮膚炎
・接触生皮膚炎
・水ぼうそう

挙げられる病気に共通するのは肌の炎症、ブツブツ、水ぶくれ、じゅくじゅくした状態が見られる点です。

伝染性膿痂疹と似ている点も多いために間違いやすく、専門的な医師の診断による適切な治療を必要とします。

子どもの伝染性膿痂疹(とびひ)での注意点

保育園・幼稚園・学校などは休まないとだめ?

伝染性膿痂疹の特徴として、膿による汁を介して感染が広がりやすいことが挙げられます。
学校保健安全法のなかでは「第三種・その他の感染症」に分類されており、流行が広がる可能性が危惧されるという扱いになっています。

ほかの園児・生徒にうつしてしまう可能性があるため、基本的には本人や親の判断ではなく医師に任せるべきです。
医師により休ませたほうが良いとの判断が出た場合には素直に従いましょう。

患部の状態や包帯・ガーゼなどでの保護によっては登校の許可がおりることもありますが、これも自己判断は危険なので、あくまでも医師の判断をしっかりと聞くようにしてください。
どのくらい休ませるべきか、登校を再開する時期をどうするかなども基本的に医師が決めることとなります。

登校が許可された場合に注意したいこと

「もう大丈夫なんだ」とするのではなく、ほかの生徒に感染させないようにいくつかの注意点があります。

・爪を短く切る
・石鹸で手をよく洗うことを習慣化する
・完治するまでプールの授業には参加しない
・患部をかきむしらない
・患部がじゅくじゅくと湿っている場合はガーゼでの保護をしっかりと行なう
・患部に不用意に触らないことを教えておく

これらの注意点は、本人の症状を早く治すためにはもちろん、ほかの子どもに感染させないためにも大切なポイントとなります。

プールの授業はどうなる?

伝染性膿痂疹を患っているときには基本的にプールの授業は禁止となります。

また、保育園・幼稚園・学校以外のプール施設での遊泳もやめましょう。
プールの許可がおりるのは症状が完治してからとなります。

プールというと水を介して感染するというイメージが強いですが、実際は遊んでいるなかでの皮膚と皮膚の接触や、ビート板などを介しての感染が主なようです。

入浴はどうしたらいい?

伝染性膿痂疹の場合、入浴は普通におこなって良いとされます。
むしろ患部をきちんと洗い、清潔に保つことが推奨されます。
ですが入浴時の注意点がいくつかあり、

・湯船に入ることはしないで、シャワーを利用すること
・ほかの家族の入浴後、一番最後にすること
・刺激の少ない石けんをよく泡立てて、やさしく洗うこと
・ほかの家族とのタオルの共用を避けること

などのポイントがあります。
患部を石鹸で洗うことに抵抗があるかもしれませんが、伝染性膿痂疹ではしっかりと石鹸で洗うことが推奨されています。

患部にしみるなどの刺激を最低限に抑えるために、添加物の少ない昔ながらの石鹸の使用がおすすめです。
体を拭くタオルには患部の汗や体液が付着することが多いのでほかの家族との共用は避け、洗う際にも分けるのがベストです。

洗濯後は十分に日光に当てるか乾燥機を使用し、しっかりと乾燥させましょう。
日光での乾燥は消毒効果も高いので、とくにおすすめできます。

しかし、洗濯は夜に行なうなどの場合は不安が大きいかもしれません。
その場合は、80度以上に沸かしたお湯に10分程度つける熱湯での消毒も有効とされます。

伝染性膿痂疹(とびひ)の予防と対策

この病気にかかった場合や予防のための対策としては、まずは体を清潔に保つことが重要とされています。
入浴時に石鹸でしっかりと洗うことはもちろん、菌が集まりやすい手や爪のあいだなどをよく洗うことも重要です。

手洗いの習慣化は、風邪などのほかの病気の予防対策としても有効です。
体や手を洗う石鹸は香料などの添加物が少なく、泡立ちの良いものを選びます。

また、黄色ブドウ球菌は鼻のなかにも住んでいる菌なので、むやみに鼻のなかに指を入れたり、鼻の穴をいじる癖がある場合はできるだけ直したいものです。
さらに、皮膚をかきむしる癖が付いてしまっている場合も注意が必要でしょう。

これらの注意点を意識するのは、子どもの予防策としてだけではなく、大人の予防策としてもたいへん有効なものです。

黄色ブドウ球菌を原因とする伝染性膿痂疹は、子どもに多く見られる症状ですが、大人にはあらわれないというものではありません。
皮膚上の異常が見られた場合は、早めに病院での診察を受けて治療を開始することが理想です。

大人の場合は自分で以上に気付き、気になることがあれば自らの足で病院に行くことができますが、小さな子どもには難しいものです。
そのため、まわりの大人が様子をよく観察し、皮膚を異常にかきむしっていないか、皮膚が荒れていないかなどをチェックしてあげましょう。

とくに乳幼児は、自分で体の異常に気付くことができません。
おむつ替えや入浴の際に、しっかりとチェックしてあげましょう。

伝染性膿痂疹は、治療が早ければ早いほど治りも早いとされている病気です。
治りが早ければ、そのぶん全身に症状が起こる可能性も、まわりの人にうつしてしまう可能性も低くなります。

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