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柑皮症を詳細に:原因,症状,検査,治療など

公開日: : 最終更新日:2017/12/28 皮膚

柑皮症とは

柑皮症(かんびしょう)とは、みかんやオレンジなどの柑橘(かんきつ)類に含まれているカロテンを過剰摂取することによって、手のひらなどの皮膚が黄色く変色する病気のことです。
柑橘類をたくさん食べることによって発症することから、この病名でよばれています。

カロテンは脂溶性の黄色い色素成分で、摂取後は肝臓で代謝されてビタミンAに変換されます。
ビタミンAは抗酸化作用に優れており、動脈硬化(どうみゃくこうか)、夜盲症(やもうしょう)、皮膚乾燥症(ひふかんそうしょう)を防ぐ効果もあるため、健康に欠かせない成分でもあります。

水溶性の成分であれば過剰摂取したとしても体外へと排出されますが、ビタミンAの前駆物質であるカロテンは脂溶性であるため、過剰摂取すると体内に蓄積されてしまい、血液中に含まれるカロテンの濃度が上昇することによってカロテンが持つ黄色い色素が皮膚に沈着します。

カロテンはみかんやオレンジなどの柑橘類のほかにも、ニンジンやカボチャ、ブロッコリー、ほうれん草、トマト、トウモロコシなどの緑黄色野菜や、マンゴー、メロン、スイカなどのフルーツ、コンブ、ワカメ、海苔(のり)、ひじきなどの海草、サケ、エビ、カニなどの魚介類に多く含まれています。

これまで柑皮症はみかんなどの柑橘類を多く摂取する冬季に発症しやすい病気でしたが、オレンジジュースや野菜ジュース、サプリメントなどによってカロテンをいつでも摂取できるようになったことにより、季節を問わず柑皮症を発症するようになり、とくにダイエット中の人や菜食主義者の人の発症率が高いです。

また、柑皮症はカロテンを過剰摂取することによって発症するだけでなく、脂質異常症(ししついじょうしょう)、糖尿病(とうにょうびょう)、甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)、肝機能障害(かんきのうしょうがい)といった病気を患っている人も発症リスクが高くなります。

柑皮症を発症すると、主に皮膚変色の症状が引き起こされます。
柑皮症の発症原因となるカロテンは、皮膚の表皮や角質層、皮下脂肪に沈着しやすいという特徴があり、手のひらや足の裏が黄色く変色します。

まれに指先や、一般的にはほうれい線とよばれている顔の鼻唇溝(びしんこう)も黄色く変色することがあるほか、症状が重度の場合には全身が黄色く変色することもあります。

柑皮症の症状は基本的に皮膚変色のみであり、変色部分にかゆみを伴うことはありません。
そのため、特別な検査や治療は不要であり、カロテンを含む食材の過剰摂取を控えることで皮膚変色は自然に戻ります。

ただし、脂質異常症など、ほかの病気が原因となって発症している場合には、原因となる病気の治療を行なう必要があるため、柑皮症を発症した場合はカロテンの過剰摂取以外に原因があるかどうかを検査することが重要です。

また、柑皮症と同じく黄色い皮膚変色が出現する症状として、黄疸(おうだん)をあげることができます。
黄疸とは、ビリルビンという色素成分の血中濃度が上昇することによって皮膚が黄色く変色する症状で、肝炎(かんえん)や肝硬変(かんこうへん)、肝臓や膵臓の癌(がん)など重篤な病気が原因となって発症するため、早期発見・治療が重要です。

そのため、黄色い皮膚変色の症状が現れた際は、柑皮症あるいは黄疸かを判別することが早期治療のポイントとなります。
柑皮症と黄疸は共に、黄色い皮膚変色の症状が現れますが、黄疸を発症している場合のみ目の白目部分も黄色く変色するため、このポイントを確認することで判別を行なうことが可能です。

柑皮症は発症したとしても、治療のための通院は必要ありません。
基本的にカロテンを含む食材の過剰摂取を控え、バランスの取れた食生活を心掛けることで改善・予防することができます。
ただし、脂質異常症など、ほかの疾患を患っていることが発症原因となることもあるため、日頃から健康診断を定期的に受けて健康を保つようにしておきましょう。

柑皮症の原因

柑皮症の発症原因としては、カロテンの過剰摂取とほかの病気に伴う場合をあげることができます。

カロテンの過剰摂取

柑皮症は基本的にカロテンの過剰摂取によって発症します。
黄色い色素成分であるカロテンは、摂取後に肝臓で代謝されてビタミンAに変換されます。ビタミンAは抗酸化作用に優れているほか、動脈硬化や夜盲症、皮膚乾燥症などの病気を予防する効果に優れており、また美容にも欠かせない成分でもあります。

この健康や美容に欠かせないビタミンAの前駆成分であるカロテンは、脂溶性の成分であるため、水溶性成分のように過剰摂取しても体外へと排出されず、体内で溜め込まれてしまいます。

カロテンが体内に蓄積されると、血液中のカロテン濃度が上昇し、カロテンの黄色い色素が皮膚に沈着することで、手のひらや足の裏が黄色く変色します。

カロテンは柑皮症の病名の由来にもなった、みかんやオレンジなどの柑橘類に多く含まれているほか、ほうれん草、カボチャ、ニンジン、ブロッコリー、トマト、パセリ、オクラ、トウモロコシなどの緑黄色野菜、アンズ、マンゴー、スイカ、柿、スモモなどの果実、コンブ、ワカメ、ひじき、モズクなどの海藻類、サケ、エビ、カニ、海苔、ウニなどの魚介類に多く含まれています。

カロテンを多く含むこういった食材ばかり偏って摂取した場合や、オレンジジュースやグレープフルーツジュースなど柑橘類のジュースや野菜ジュースを頻繁に摂取している人は柑皮症の発症リスクが高いです。

とくに野菜ジュースには濃縮されたカロテンが配合されており、1日に何本も飲む習慣がある人は注意しなければいけません。
さらに、サプリメントでカロテンを摂取している場合も、知らないうちに過剰摂取になりやすいため要注意といえるでしょう。

ほかの病気に伴う場合

柑皮症の発症原因となるカロテンは、肝臓で代謝されてビタミンAに変換されるため、肝機能障害を患っている場合は代謝・変換がスムーズにいかず、カロテンが体内に蓄積されて柑皮症を発症する場合があります。

また、カロテンは脂に溶けやすい性質を持った脂溶性成分であるため、脂質異常症を患っている場合にはカロテンが血液中に溶け、色素沈着を引き起こしやすくなります。

このほかにも腎機能障害(じんきのうしょうがい)や甲状腺機能低下症、糖尿病などを患っている場合にも柑皮症を引き起こす場合があります。

柑皮症の症状

柑皮症の症状は、基本的に皮膚変色の症状だけ現れます。

皮膚変色

柑皮症は黄色い色素成分であるカロテンの過剰摂取によって発症するため、発症すると皮膚が黄色く変色します。
カロテンは皮膚の表皮や角質層、皮下脂肪組織に沈着しやすいという特徴があるため、角質層が厚い手のひらや足の裏が黄色く変色します。

また、まれに手の指先や、顔の鼻唇溝が黄色くなる場合もあるほか、症状が重度の場合には全身の皮膚が黄色く変色する場合もあります。
こうした皮膚変色の症状はかゆみを伴わず、発熱や炎症といった、ほかの全身症状が現れることもありません。

柑皮症の検査・診断

柑皮症の検査は基本的に問診と視診で確定診断を下し、特別な検査は行ないません。
ただし、肝機能障害や脂質異常症が原因となって発症する場合もあるため、これらの病気が疑われる場合には肝機能検査や血清脂質値検査を行ないます。

問診・視診

柑皮症は、基本的にカロテンを多く含む食材の過剰摂取によって発症するため、問診によって普段の食生活の内容について確認します。
また、視診によって黄色い皮膚変色の有無を確認します。

肝機能検査

肝機能検査とは、肝機能障害の有無やその度合いを確認する血液検査の一種です。
採血した血液の血清に含まれる成分を分析することによって、肝機能の状態を確認することができます。

血清脂質値検査

血清脂質値検査とは血液検査の一種で、血清に含まれる脂質の量を分析することにより、脂質異常症を引き起こしているかどうかを確認することができます。

実際に検査をする際は、12時間以上食事を摂らない状態で採血を行ない、血液中の総コレステロール値、善玉コレステロール値、悪玉コレステロール値、中性脂肪値を確認します。

柑皮症は基本的にカロテンを過剰摂取することで発症するため特別な検査は必要ありませんが、検査を行なう際には柑皮症と同じく黄色い皮膚変色を引き起こす黄疸と判別する必要があります。

黄疸とは柑皮症と同じく黄色い皮膚変色を引き起こす症状で、ビリルビンという黄色い色素成分が血液中に増加することで皮膚変色を引き起こします。

ビリルビンは赤血球に含まれるヘモグロビンが破壊されることで発生する成分で、肝臓で処理されたビリルビンは胆汁(たんじゅう)と共に十二指腸から腸へと排出されます。

その後、腸内細菌によってさらに分解され、便として体外へと排出されます。
しかし、何らかの原因によって肝機能に障害が発生すると胆汁の働きが阻害され、ビリルビンが腸へと排出されず血液中に増加し、腎臓を通して尿となり体外へと排出されます。

つまり肝機能に何らかの障害が現れると黄疸を引き起こすということです。

黄疸を引き起こす疾患とは

黄疸を引き起こす病気としては、肝炎、肝硬変、肝臓癌(かんぞうがん)、膵臓癌(すいぞうがん)、溶血性貧血(ようけつせいひんけつ)、体質性黄疸(たいしつせいおうだん)などが挙げられます。

これらの病気は重症化すると完治が難しいものもあるため、できるだけ早く治療に取りかかる必要があります。

柑皮症と黄疸の判別ポイントとは

柑皮症の場合、基本的に手のひらや足の裏が黄色く変色し、変色部分にかゆみを伴うことはありません。
これに対して、黄疸の場合は全身の皮膚が黄色く変色するという特徴があり、とくに目の白目部分が黄色くなります。

柑皮症の場合は白目部分が黄色くなることはないため、白目部分が黄色くなるかどうかで判別することが可能です。

このように黄色い皮膚変色が現れた場合、柑皮症のほかにも重篤な肝疾患などが疑われるため、カロテンの過剰摂取以外の原因に心当たりがある場合は、できるだけ早く医療機関で検査を受けるようにしてください。

柑皮症の治療

柑皮症を発症した場合、基本的に治療は必要ありません。
柑皮症はカロテンを多く含む食材の過剰摂取によって発症するため、過剰摂取を控えることで自然と皮膚変色が元に戻ります。

食生活の見直し

柑皮症の発症原因となるカロテンはみかんやオレンジなどの柑橘類のほかにも緑黄色野菜や海草、魚介類に多く含まれるため、こういった食材だけを偏って摂取している場合は摂取量を控えます。

また、手軽に摂取できるオレンジジュースや野菜ジュース、サプリメントなどの摂取が原因となる場合もあるため、なるべく料理から栄養素を摂取し、サプリメントに頼りすぎるのをやめます。

その際は偏った食材を使用せず、肉や魚、野菜や果物などバランス良く、さまざまな食材を使用するようにしましょう。
実際に皮膚変色が戻るまでの期間には個人差があり、数週間で戻る場合もあれば数ヶ月かかる場合もあります。

原因となる病気の治療

柑皮症は、肝機能障害や脂質異常症といった病気が原因となって発症する場合があります。
その場合には、原因となる病気を治療することで柑皮症も治すことができます。

柑皮症は発症したとしても基本的に命に関わることはないため、それほど心配する必要はありません。
発症原因が食生活にあると心当たりがある場合には医療機関を受診する必要もなく、食生活の見直しを行なうことによって、症状を改善することが可能です。

ただし、肝機能障害や脂質異常症といった病気が原因となって発症する場合もあります。
肝機能障害や脂質異常症のように、柑皮症の原因となる病気には自覚症状にとぼしく、診断を受けても大したことがないと放置してしまう人も少なくありません。

しかし、柑皮症を招く病気は悪化すると命にかかわるものも少なくありません。
原因となる病気が見つかった場合には、しっかりと治療を受けましょう。

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