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脂漏性皮膚炎を詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

公開日: : 最終更新日:2017/05/20 皮膚

脂漏性皮膚炎とは(概要)

脂漏性皮膚炎は「しろうせいひふえん」と読み、脂漏部位と呼ばれる顔面や頭部などの皮脂量が多いところや、わきの下や太もものつけ根などの汗が多く摩擦が起こりやすいところに皮膚炎が生じる病気です。
炎症によって皮膚が赤くなり、荒れてかさついてはがれ落ちる症状や、軽いかゆみをともなうこともあります。
頭皮が発症部位の場合には、フケが多量に出るようにもなります。

原因はかびの一種である真菌の説が有力視されていますが、まだ完全に解明されているわけではありません。
なお、脂漏性皮膚炎は新生時期~乳児期に発症するものと、思春期以降、主に大人に発症するものに分類されています。
性別や年齢に関係なく起こり得る病気ですが、皮脂は女性に比べ男性のほうが分泌量が多いということで、比較的男性の割合のほうが高いです。

脂漏性皮膚炎の種類

生後~1歳未満までに起こる「乳児脂漏性皮膚炎(にゅうじしろうせいひふえん)」と、思春期以降、主に大人に起こる「成人型脂漏性皮膚炎(せいじんがたしろうせいひふえん)」があります。
まず、乳児脂漏性皮膚炎に関してですが、出産までの期間におけるホルモンの働きで皮脂が多量に出ることにより、脂漏性皮膚炎が起こりやすくなります。
大人と比較して厚く、脂でベタベタとした、黄色いかさぶたが頭部や顔面に発生するほか、顔面に赤色の吹出物が発生するケースもあります。
乳児脂漏性皮膚炎は多くの場合、自然に軽快するのですが、人によっては脂漏性皮膚炎からアトピー性皮膚炎へと変化を遂げてしまう場合もあります。

なお、かゆみの症状はほとんど出ないというのが特徴の一つでもあります。
次に成人型脂漏性皮膚炎に関してですが、年齢では20歳代~40歳代の割合が高く、性別では女性と比較して男性の割合が高くなっているのが特徴です。
皮脂の分泌量が多い人によく引き起こされており、かさつきのある厚いうろこのような発疹が発生し、皮膚表面から角質がはがれおちます。
乳児脂漏性皮膚炎ではかゆみの症状がほとんどないのに対し、成人型脂漏性皮膚炎では軽いかゆみの症状が起こるのが特徴の一つです。

また、大人の場合は慢性の経過をたどり再発を何度も招いてしまいやすく、根治しにくいというのがやっかいなところです。
これに対して赤ちゃんの脂漏性皮膚炎に関しては、生後2~4週で発症し、8~12ヶ月までに勝手に軽快してしまうといわれています。

脂漏性皮膚炎の原因

人間の皮膚には、肉眼では確認できない菌が数多くせい息しています。
このような菌のことを常在(じょうざい)菌といいますが、通常は皮膚に悪影響をおよぼすようなことはせず、バランスのよい状態でせい息していれば病原菌が入り込むことを食い止めるなど、皮膚の健康維持に貢献してくれる存在でもあります。

しかしながら、寝不足が続いている、ストレスがたまっている、食生活が乱れている、ホルモンバランスに狂いが生じているといったことで過度に皮脂が出ると、菌の異常増殖が起こってしまいます。
異常増殖した菌は、皮脂内に存在する中性脂肪の種類の一つであり、皮脂の主成分であるトリグリセリドを分解し、その過程で遊離脂肪酸を生み出させます。
菌が多くなると遊離脂肪酸が生み出される量も多くなり、それが皮膚に刺激を加えることで皮膚炎が引き起こされるのではないかという見方がされています。

なお、皮膚にせい息している常在菌の種類は数多くありますが、皮脂を分泌する働きをしている皮脂腺には癜風(でんぷう)菌というマラセチア属真菌がせい息しており、この菌が脂漏性皮膚炎を招くことに深く関わっているのではないかと考えられています。
「脂漏性皮膚炎とは」の項目で解説しましたが、脂漏性皮膚炎の原因は現状において完全にわかっているわけではありません。
前述した真菌が原因になっていると「考えられている」こと、そしてその説が「有力視されている」ことにとどまっている点を頭に入れておくとよいでしょう。

脂漏性皮膚炎の症状

脂漏性皮膚炎の症状の種類

脂漏性皮膚炎を引き起こしている人には、いったいどのような症状が出現するのでしょうか?代表的な症状をあげていきますが、まず一つめの症状として紅斑を解説しましょう。
紅斑は「こうはん」と読みますが、あまり見聞きしたことがないという人もいるのではないでしょうか。

これは皮膚が赤くなる症状と思っておいていただければ大丈夫です。
次にあげる脂漏性皮膚炎の主な症状としては「フケ」があります。
フケはご存じないという人はあまり多くはないでしょうが、くしで髪をとかすなどした際に肩にふってくる白い粉状のものがフケです。
健康な人でも生理的な減少としてフケは出るものなのですが、脂漏性皮膚炎の場合には大量に出てしまう点で違いがあります。

紅斑、フケ以外には、落屑と呼ばれる症状も脂漏性皮膚炎の主な症状の一つとしてあげることが可能です。
この症状の名称も一般的にはあまり知られていませんが、皮膚がはがれ落ちる症状のことと認識しておけば間違いありません。
そのほか、赤ちゃんの場合にはほとんど起こりませんが、主に大人に起こる脂漏性皮膚炎では軽いかゆみの症状がともなうことがあります。

脂漏性皮膚炎の症状の出かた

脂漏性皮膚炎は別の皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎や尋常性乾癬(じんじょうせんかんせん)の症状と間違いやすいといわれています。
しかしながら、脂漏性皮膚炎で起こる症状は、基本的に左右対称であり、汗が多く摩擦が生じやすいところに症状が引き起こされる点が特徴です。
いずれにしても、どの病気なのかをはっきりとさせて、治すためには病院へ行くことが大切といえるでしょう。

脂漏性皮膚炎の検査・診断

何科で受診すればいいのか

脂漏性皮膚炎の症状にあてはまるようなことを自覚している場合、どの診療科に行けばよいのかということで迷ってしまう人がいます。
脂漏性皮膚炎は皮膚に起こる病気であることから、皮膚科に診察を受けにいけば間違いありません。
乳幼児に関しても皮膚科専門医で問題ありませんが、近所にないという人はまず、かかりつけの小児科に行ってみると対応可能な場合があります。

どのような検査を行なって診断するのか

病院に行った場合、どうやって脂漏性皮膚炎かどうか判断されることになるのでしょうか。
この点に関してですが、問診や視診といった方法のほか、KOH検査(皮膚真菌検査)が皮膚科では行なわれています。

KOH検査は、脂漏性皮膚炎の原因とされている菌を検出することを目的に行なわれている検査方法です。
また、症状に関しては引き起こされている部位が頭皮、顔面、わきの下などの脂漏部位や汗・摩擦が多い部位かどうか、境界が明確な紅斑が出ているかどうか、顔面などに起こっている症状が左右対称かどうか、フケ状の物質が出ているかどうかなどが確認されることになります。

病院で行なわれている脂漏性皮膚炎の治療

乳児脂漏性皮膚炎の場合は特別な方法を選択せずとも、毎日お風呂に入り、症状が起こっているところを清潔な状態に維持していくだけで改善していくケースが多いです。
この方法以外では、頭部に生じた厚いうろこ状のかさぶたに対しては、ベビーオイルやワセリンを塗布して数時間が経ったあと、髪を洗ってやさしく除去してあげる対処法や、皮膚の炎症がひどい子どもに対しては、外用薬であるステロイド剤を使用する対処法があります。
次に成人型脂漏性皮膚炎の場合ですが、症状が軽い患者に対しては外用薬の抗真菌薬が使用されています。

これに対し、軽症より思い脂漏性皮膚炎に対しては、外用薬のステロイド薬、内服薬の抗アレルギー薬を使った治療が行なわれています。
頭皮の脂漏性皮膚炎に関しては、薬用シャンプーのうち、抗真菌薬のサリチル酸、硫黄(いおう)、タールといった成分が配合されているものや、ジンクピリチオン、硫化セレン配合のシャンプーが使われています。
また、ビタミンB2やビタミンB6の不足は症状を悪化させるということで、内服薬のビタミン剤が処方されるケースもあります。

そのほか、かゆみの症状を軽減することを目的として、抗ヒスタミン薬が使用されることもあります。
脂漏性皮膚炎はいったん状態がよくなったからといって治療をやめてしまうと、再発してしまうリスクがある病気です。
何度も不快な症状に悩まされる羽目になりたくない人は、最後まで根気よく治療を継続していくことが大切といえるでしょう。

家庭で行なえる脂漏性皮膚炎の予防・対処法

脂漏性皮膚炎を未然に防いだり、早く改善させたりするためには、普段の生活のなかでとくに注意したいことがあります。

食事内容に注意する

まずそのなかの一つとしては、食事の内容に関してあげることが可能です。
脂っこい食品を摂る機会がよくあるという日本人はいま多くなっていますが、このような食事内容では皮脂の過剰分泌を招いて菌の増殖を招いてしまう原因になります。
脂っこい食品を好んで多く摂取する人には肥満体型の人が少なくありませんが、適切なダイエットによって肥満を解消した結果、脂漏性皮膚炎が完治したという報告もあります。

また、刺激性の食品にも注意しなければいけません。
とうがらし、からし、わさびといった刺激の強い食品を好んで摂る人に、脂漏性湿疹の人が多いというのが理由の一つとしてあります。
刺激性の食品は皮膚に刺激を加えてしまい、皮脂の分泌量が増加するといわれていますので、摂り過ぎないようにするのが賢明といえるでしょう。

なお、コーヒーやアルコールなども刺激性の強い食品に含まれますので注意しなければいけません。
一方、意欲的に摂りたい成分もあります。
ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンCは皮膚の代謝をよくし、ダメージの回復を促す作用があるため、毎日十分な量を補給したいところです。
日々の通常の食事で必要量を摂ることが難しい人は、サプリメントで不足を補うようにするのもおすすめです。

そのほか、肥満とも関係のある話ですが、便秘にも気をつける必要があります。
悩まされている人は皮膚症状を悪化させてしまうリスクがあるため、食物繊維や水分といった栄養成分を積極的に摂るなどして、便秘解消に努めたほうがよいでしょう。

洗髪・洗顔に注意する

顔を洗う際に使用する石けんは、低刺激性のものが適しています。
石けんは十分に泡立てて、汗でやさしくなでるように洗うことが大切です。

また、濡れた顔を拭くときにはタオルをやさしく皮膚に押し当てるようにして水分を取り除いてください。
ゴシゴシ力を入れて洗ったり拭いたりするのはよくありません。
洗髪時に使用するシャンプーも低刺激性のものがよいのですが、抗真菌剤配合のものもGoodです。
ツメを立てずに指の腹を使ってやさしくなでるように洗います。

また、すすぎ残しがないよう、時間をかけてていねいに洗い流すことが大切です。
なお、洗い流す際にも頭皮をゴシゴシこするようなことをしてはいけません。
そのほか、体を洗う際のボディソープも低刺激性のものや抗真菌剤が含まれているものを選択するとよいでしょう。

紫外線に注意する

そのほか、頭皮などの皮膚というのは、紫外線を浴びることによって傷んでしまいます。
とくに紫外線が強い時期には、帽子や日傘などのアイテムをうまく取り入れてダメージを抑えましょう。
なお、帽子はむれてしまう問題が起こり得るため、通気性に優れているものを選ぶことが大切です。

ストレス・過労・寝不足に注意する

これらはいずれも免疫力ダウンの原因となり、脂漏性皮膚炎を悪化させることになりかねません。
十分な時間・良質な睡眠をとり、疲労やストレスを取り除いてあげることが大切です。
また、ストレスに関しては、暴飲暴食のような不健康な方法で発散してはいけません。
過食過飲のような悪しき習慣は脂漏性皮膚炎にとって悪影響でしかありません。
また、肥満や肥満による生活習慣病、お酒の飲み過ぎによる肝臓障害、アルコール依存症など、別の問題を引き起こす原因にもなってしまいます。

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