*

乾燥性皮膚炎の症状・原因・治療について

公開日: : 最終更新日:2016/01/15 皮膚


冬は外気の影響で肌が乾燥しやすく、肌のコンディションは悪化しがちです。
肌がかさかさしたり、ひりひりした痛みが生じるという人も多いでしょう。
こういった心当たりがある人は、もしかしたら乾燥性皮膚炎を発症しているのかもしれません。

乾燥性皮膚炎の症状

乾燥性皮膚炎は手指の荒れ、角化症、乾皮症、手湿疹などのことをいい、冬の肌が乾燥する時期に特に生じやすいことがわかっています。
その症状はいろいろで、かゆみはひりひりとした痛み、赤みなどの炎症、肌のかさつきなどが代表的です。
乾皮症は皮膚がもつバリア機能が低下して、乾燥状態が悪化し角質がはがれてしまうことを言います。

皮膚の表面が白い粉を吹いたような状態となる、あるいは皮膚がガサガサとした状態となります。
ひび割れが生じて、かゆみや痛みが伴うこともあります。
皮膚は通常は酸性を維持していますが、バリア機能が損なわれるとアルカリ性に傾きます。
すると、細菌が繁殖しやすい環境となって、細菌感染の危険性が高まります。

また、バリア機能が損なわれると、通常は角質層から奥へは浸透しない物質が角質層を抜けて浸透します。
その影響で、服や髪が触れるといったちょっとした刺激でかゆみが起こる、あるいはいつも使用している化粧品の成分に過剰反応してかぶれて赤くなるといったことが起こります。

乾皮症の症状は下肢や体幹、上肢などにあらわれることが多く、皮膚が乾燥状態となって粉を吹いたような見た目となります。
時間が経過すると丘疹が生じ、かきむしることで皮膚が炎症状態となります。
かゆみは常につづきますが、特に夕方から夜にかけての時間帯に悪化しやすいと言われています。

また、血行が活発になったときもかゆみが起こりやすく、入浴後や暖かい室内にいるとき、電気毛布や布団に入ったときなどにかゆみは悪化しやすいでしょう。
角化症は主に足にあらわれる乾燥性皮膚炎のひとつで、女性がなりやすいと言われています。
かかとの角質が厚みを増し、硬く変化し乾燥状態が悪化します。

肌のもっとも外側には角質層がありますが、角質層は角質細胞と細胞間皮質(セラミド)で構成されています。
角化症では角質層に含まれるセラミドや保湿因子が十分になく、細胞に水分が足りない乾燥して荒れた状態になります。

肌のもつターンオーバーサイクルも崩れてしまうため、肌のコンディションは低下します。
かかとは白い粉を吹いたような状態でガサガサとした状態となります。
悪化するとひび割れが生じるので、注意が必要です。

乾燥性皮膚炎の原因

肌は年齢を重ねるにつれて乾燥しやすくなり、それが乾燥性皮膚炎の原因のひとつだと考えられています。
肌は30歳を境に乾燥しやすくなるため、乾燥性皮膚炎の頻度が少しずつ増えていきます。
皮膚の角質には皮脂やセラミドなどの油成分が存在し、それらが皮膚の水分が蒸発するのを阻止しています。

しかし、加齢の影響で油成分が減少すると、皮膚の水分の蒸発が促進されて肌が乾燥しやすくなります。
乾燥肌となると皮膚の表面にこまかいひび割れが生じて、そこから汗など皮膚のかゆみを引き起こす物質がしみこみやすくなります。

その影響でかゆみや皮膚炎が起こりやすくなり、かゆみを感じる神経が乾燥肌に多く延びてきて、さらにかゆみが生じやすくなると言われています。
かかとに起こりやすい角化症の場合は、乾燥だけでなく外的刺激も原因と考えられます。
かかとは歩くときに全身の体重がかかり、紫外線を浴びることもあるため、外部からの刺激を受けやすいのです。

素足にサンダル、クッション性のない靴での歩行といったことがつづくと、刺激による負荷が増え、角化症が起こりやすくなります。
かかとは外部からの刺激から内部を守るために、角質に厚みをもたせていきます。
その状態で冬の乾燥が加わると、角化症が悪化してかかとががさがさとした乾燥状態となります。

そのほかにも、ストレスや疲労によって肌の再生能力が低下し、古い角質が自然に剥がれ落ちずに、溜まってしまうことも一因とされています。
アトピー性皮膚炎の人、皮脂分泌が少ない幼児、エアコンが効いたオフィスで長時間仕事をしている人などは乾燥性皮膚炎になりやすいと言われています。
また、日頃から運動をする習慣がなく、汗をかきづらく乾燥しやすいという人も発症しやすいと考えられています。

乾燥性皮膚炎の診断

冬など空気が乾燥する季節にかゆみなどの症状がある場合は、乾燥性皮膚炎が疑われます。
それ以外の季節にも常にかゆみがある場合は、甲状腺疾患や腎臓病、肝臓病、糖尿病が原因の可能性もあるため、区別のために血液検査が行われます。
疥癬症でも同じような症状が起こることがあるため、かゆみが強く、さらにまわりの人に同様の症状があらわれている場合は疑いが濃厚となります。

乾燥性皮膚炎の治療

乾燥した肌への対策として、多くの人が試すのが保湿ケアです。
保湿は肌のバリア機能を取り戻し、潤いを保つことで外的刺激から肌を守る効果があります。
しかし、それだけでは乾燥性皮膚炎の症状が改善しない場合があります。

そこで必要となるのが、抗炎症と血行促進です。
抗炎症は文字通り炎症を抑制させることで、荒れた肌を健康な状態へと改善していきます。
血行促進は血行を改善することで新陳代謝を活性化させて、肌の再生を促進します。

これらの3つの要素によって、肌を整えていくことが乾燥性皮膚炎の改善には必要となります。
保湿作用をもつ成分はいくつかあり、たとえばクリームなどに含まれていることが多い尿素は、保湿作用に加えて硬くなった角質をやわらかい状態にする角質なんか作用をもちます。

ワセリンは肌の表面の油性成分の膜を生成して、肌から水分が蒸発するのを防止します。
セラミドは角質の奥まで染み渡り、肌がもともともっている角質細胞皮質セラミドの働きをサポートします。

これらの成分を組み合わせてもいいですが、保湿や抗炎症、血行促進の3つの作用を併せ持つヘパリン類似物質という保湿成分が乾燥性皮膚炎の治療に最適です。
ヘパリン類似物質は人間の体に存在するヘパリンと呼ばれる物質と同じような働きをもち、肌の炎症を抑制して低下した保湿力やバリア機能を改善する効果をもちます。

さらに、新陳代謝を活性化させる働きももつため、乾燥によって荒れた肌の状態を良くする効果も期待できます。
ヘパリン類似物質は医療機関などではアトピー性皮膚炎のステロイド治療のあとに症状の悪化を防ぐことを目的に用いられます。
皮膚のコンディションを整え、健やかな皮膚状態を維持するためにも使用されます。
また、入浴後は特に水分や油分が消失して、肌の乾燥が促進されます。

不足した水分や油分を補うために、保湿クリームやローションが利用されることもあります。
皮膚炎が悪化している箇所には、弱めのステロイド剤を用いると、症状が改善しやすいと言われています。
かゆみがひどく寝付きが悪いなどの場合は、かゆみ止め作用のある抗ヒスタミン薬の内服が効果的です。
ただし、緑内障や前立腺肥大などの持病がある場合は、抗ヒスタミン薬の服用によって症状が悪化する場合があります。
そのため、医師や薬剤師と十分に話し合う必要があります。

外用薬を用いる場合は、塗る回数と量に気をつけなければいけません。
多くの人は時間に余裕がないからといって夜しか利用しませんが、それだけでは効果が薄い場合があります。
できれば朝と夜の1日2回は塗るようにして、しっかり治していきましょう。

あらかじめぬるめのお湯に5分以上つかって肌をしめらせたあとで、保湿剤を塗るのがおすすめです。
入浴後時間がたってから保湿剤を塗るよりも、効果が長時間つづくと言われています。

塗る量は真珠玉ほどの量を目安にします。
軟膏の場合は、塗ったあとに肌がつやつやと光って見えるくらい、クリームの場合はティッシュが付着するくらいが最適です。
薬での治療は必要ですが、日常生活で気をつけることも大切です。

症状が軽度の場合は、生活上の注意だけで症状がおさまることもあります。
皮膚が直接触れる下着や寝具はごわごわしたものは避け、肌触りがやさしい素材のものを選びます。

体を洗うのは問題ありませんが、刺激の強い石鹸やボディーソープをつかうと症状が悪化する恐れがあります。
できるだけ刺激が少ないものを選ぶようにしましょう。

体を洗うときには強い力でこすると肌に負担がかかるので、適度な力加減を心がけます。
ごわごわと硬いスポンジなどは肌への刺激が強いので、やわらかいものか素手で洗うといいでしょう。
泡をよくたてて、肌に摩擦による刺激が加わらないように気をつけながら洗うのがポイントです。
長時間の入浴は避けて、お風呂やシャワーの温度はぬるめに設定します。

空気の乾燥は肌への負担となるので、加湿器を用いたりエアコンの温度設定を高くし過ぎないといった工夫は必要です。
電気毛布を使用している場合は、就寝時には必ずスイッチをオフにするようにします。

洗剤は肌への刺激が強いので、できれば手袋を用いて直接肌に触れないよう気をつけましょう。
香辛料がたくさん入った食品やアルコールは結構を活性化させるため、かゆみを悪化させる恐れがあります。

かかとが角質化してかたくなってしまった場合は、ケアをして状態を改善させたほうがいいでしょう。
かかとの角質ケアアイテムはいろいろなものが売られており、角質ケアはそれほどむずかしいものではありません。

高価なアイテムを購入しなくても、手軽にケアすることができます。
もっとも扱いやすいのが、かかと専用のやすりです。
かかと専用のやすりはドラッグストアなどで販売されているので、そういったものを用意しましょう。

こまかい面とあらい面の2つがあって、にぎりやすいものがおすすめです。
入浴後の肌がやわらかくなった状態でケアして、化粧水やハンドクリームを塗って仕上げにサランラップで覆いましょう。
そのまま寝る場合は、靴下を履いて寝るとしっかり保湿できます。

関連記事

掌蹠膿疱症の症状・原因・治療について

掌蹠膿疱症は、主に足の裏や手のひらに生じる皮膚病のひとつです。 よくなったと思っても再び悪化す

記事を読む

毛孔性苔癬(毛孔性角化症)の症状・原因・治療について

毛孔性苔癬(毛孔性角化症) は皮膚病のひとつで、小児期や思春期に起こりやすい病気として知られてい

記事を読む

皮膚そう痒症の症状・原因・治療について

ひどいかゆみが特徴の皮膚そう痒症はどういった皮膚病なのでしょうか。 ここではこの皮膚そう痒症に

記事を読む

日光角化症を詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

日光角化症とは 日光角化症(にっこうかくかしょう)とは、太陽光などの紫外線を浴び続けて

記事を読む

Q熱の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

Q熱はコクシエラ バーネッティ(Coxiella burnetii)の感染によって起こる人間と動

記事を読む

伝染性膿痂疹の症状・原因・治療について

伝染性膿痂疹は接触によって飛び火のように広がることから、「とびひ」とも呼ばれています。 伝染性

記事を読む

伝染性紅斑の症状・原因・治療について

伝染性紅斑は主に学童期にかかる、急性ウイルス性疾患です。 両方の頬が赤みを帯びてリンゴのように

記事を読む

爪甲下出血の症状・原因・治療について

爪甲下出血は、その名が示すように爪の下に生じた出血のことを言います。 ここではその症状や原因に

記事を読む

単純疱疹(口唇ヘルペス)の症状・原因・治療について

単純疱疹はヘルペスとも呼ばれ、小水疱が口唇や陰部などに局所的に生じる病気です。 比較的発症しや

記事を読む

ふけ症(頭部粃糠疹)の原因・症状・治療・予防

ふけ症(頭部粃糠疹)とは(概要) 一般的に「ふけ症(ふけしょう)」と呼ばれている頭のトラブルは

記事を読む

肝のう胞を詳細に:原因,症状,検査,治療など

肝臓は、右の肋骨(ろっこつ)の下に位置する人間の臓器では最大の臓器であり、体重の約

習慣流産を詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

習慣流産とは(概要) 妊娠中に何らかの原因によって胎児が死亡し、妊娠が継続できな

ギランバレー症候群を詳細に:原因,症状,検査,治療など

ギランバレー症候群(ぎらんばれーしょうこうぐん)とは、進行性の筋力低下や感覚異常が

ジアノッティ症候群を詳細に:原因,症状,検査,治療など

ジアノッティ症候群とは ジアノッティ症候群(じあのってぃしょうこうぐん)とは

食道がんを詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

食道がん(しょくどうがん)とは、消化器官の一種である食道に形成される悪性腫瘍のこと

→もっと見る

PAGE TOP ↑