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悪性黒色腫(メラノーマ)の症状・原因・治療について

公開日: : 最終更新日:2015/12/01 皮膚


悪性黒色腫は「ほくろのがん」とも言われ、悪性度の高い皮膚がんのひとつとして認識されています。
ここではこの悪性黒色腫について、見ていきましょう。

悪性黒色腫(メラノーマ)とは

皮膚に生じる皮膚がんにはさまざまな種類があり、悪性黒色腫もその一種です。

皮膚の色と密接な関係のあるメラニン色素を生成する皮膚の細胞はメラノサイトと言います。

悪性黒色腫はこのメラノサイト、もしくは母斑細胞とよばれるほくろの細胞が悪性化した腫瘍と言われているため、メラノーマと呼ばれる場合もあります。

悪性黒色腫は悪性度が非常に高いがんで、男性の場合は60歳代、女性の場合は70歳代以降の死亡率が特に高いとされています。

死亡率の性別による差は、それほど大きくありません。

悪性黒色腫はオーストラリアのクイーンズランドの死亡率がもっとも高く、南欧と比べて北欧が高いことがわかっています。

日本は世界的にみると発症しにくく、白人は罹患率が高いというデータがあります。

悪性黒色腫は体中に発生しますが、特に足底で起こりやすいことが知られています。

そのほか、体幹や爪、顔面も生じやすいですが、足底は普段意識することが少ない場所のため、気づかないうちに悪化することがあります。

そのため、足底に特に注意を払う必要があります。

悪性黒色腫は、皮膚に限らず口腔や外陰部などの粘膜、角膜や目の粘膜にも起こることがあります。

色素をつくり出す働きをもつため、黒褐色の平べったい盛り上がりが起こることが大半ですが、無色の場合もあります。

悪性黒色腫(メラノーマ)の症状

悪性黒色腫は基本的に4つの型に分類されますが、どの型にも属さない症例もときどきあります。

悪性黒子型は高齢者の露出部位、特に顔面に生じやすい悪性黒色腫のひとつです。

最初は黒褐色の斑状皮疹としてあらわれることが多く、時間の経過とともに拡大して盛り上がっていきます。

表在拡大型は白人でもっとも多く確認されている病型で、高齢者だけでなく若い世代でも見られます。

背部や下肢に生じやすく、最近は日本国内でもこの病型が増えています。

なぜ日本国内で増えているかという理由は諸説ありますが、衣服の変化や野外スポーツの流行など生活様式の変化が主な原因と考えられています。

さらに、オゾン層破壊によって起こる紫外線照射量の増加も背景にあるのではないかと考えられています。

末端黒子型は日本国内でもっとも多い病型で、悪性黒色腫全体のおよそ半数を占めると言われています。

足の裏や指先、爪などに生じやすく、一般的に「ほくろのがん」と呼ばれるのはこの病型です。

爪に症状があらわれると黒色色素線条に変化し、症状が悪化していくと爪が壊れてしまいます。

最初は扁平な褐色や黒褐色の色素斑としてあらわれ、拡大するにつれて色調に均一性がなくなります。

悪化するとしこりびらんや腫瘍が発生することもあります。

結節型は日本国内で末端黒子型に次いで多く見られる病型で、ドーム状に盛り上がるのが特徴的です。

ほかの病型の場合、表皮に沿うような形で水平方向に、その後垂直方向に増えていきます。

しかし、結節型は水平方向には拡大することがありません。

そのため、見た目はほかの病型と比べて小規模に見えますが、調べてみると病気が進行しているということも少なくありません。

悪性黒色腫(メラノーマ)の原因

悪性黒色腫がなぜ起こるかはまだはっきりとわかっていません。

しかし、白色人種と有色人種を比較すると白色人種のほうがはるかに発症しやすいこと、さらに紫外線の強い地域に居住する白色人種の発症率が非常に高いことから、紫外線との関連性は指摘されています。

また、白色人種の場合は家族内で起こりやすいこと、複数箇所の皮膚に発症する家系があることから、遺伝的要素も関係あると言われています。

しかし、日本国内ではそういった家系は報告されておらず、その関係性はまだ十分にわかっていません。

日本では足底や爪など日常生活で刺激を受けやすい場所、もしくは衣類などですれる場所、外傷を受けた部位などに起こりやすいため、外部からの刺激も関係あると推測されています。

悪性黒色腫(メラノーマ)の診断

悪性黒色腫の診断では視診が重要視されています。

特徴的な症状として、潰瘍や出血が生じている、ほくろの一部が少しずつ、もしくは急激に大きくなった、形や色が変わってきた、爪の色素線条などが挙げられます。

こういった特徴を視診によって確認し、ほくろやシミと区別します。

そして、ダーモスコピー検査を行うことで、より正確な診断がくだされます。

ダーモスコピーは拡大鏡のことで、エコージェルや偏光レンズなどで光の乱反射を抑制して、強力な光線を照射することで異変がある箇所を拡大することができます。

ダーモスコピーをつかって患部を確認することで、皮膚の色素沈着や血管のパターンをくわしく調べられます。

ほかの疾患と悪性黒色腫との区別がしやすくなるため、診断でよく使用されます。

視診によっての診断がむずかしいものは、異常が生じている部位のすべて、あるいは一部を採取します。

そして、病理組織検査を実施することでより正確な診断を目指します。

悪性黒色腫であることがはっきりしたら、ほかの部位への転移などを詳しく調べるために超音波検査やX線検査、PET、MRI、CTなどの画像検査、血液検査、腎機能検査、肺機能検査、心機能検査などが行われます。

血液検査で腫瘍マーカーの値が確認されることがありますが、腫瘍マーカーはある程度進行していなければ意味はなく、早期の診断ではあまり役に立たないということも珍しくありません。

そのため、最近では腫瘍マーカーの検査が実施されないこともあります。

悪性黒色腫(メラノーマ)の治療

悪性黒色腫の治療はリンパ節以外の臓器に転移があるかどうかによって治療方法は変わってきますが、転移が見られない場合は手術によって病変を全切除するのが基本となります。

手術を実施する前には、正確な診断と腫瘍の厚みを把握するために、腫瘍の一部あるいは全部を切除して生検が実施されます。

以前は生検は行わないほうがいいと言われていましたが、最近は実施されるのが一般的です。

明確に悪性黒色腫と思われ、腫瘍の厚さがある程度推測できる場合は、生検は実施せずに最初から切除をすることもあります。

切除しなければいけない箇所が広い場合は、患者自身のおしりや太もも、脇腹などの部位の皮膚を移植することも検討されます。

リンパ節に移転が見られる場合は、リンパ節を切除する手術が実施されます。

しかし、この手術は患者への負担が大きいこと、手術後にむくみなどの後遺症が残る場合があることから、最近はセンチネル(歩哨)リンパ節生検によってリンパ節転移しているかどうかを診断するという方法が主流となっています。

画像検査や触診によって移転していないとわかった場合でも、1cm以上の厚みが確認された際には手術中にセンチネルリンパ節生検が行われる場合があります。

センチネルリンパ節はがん細胞がはじめに到達して転移するリンパ節のことで、この部位に転移が認められなかった場合はこれより先に転移していないと判断されます。

センチネルリンパ節に転移が認められた場合は、この先へのリンパ節に移転している疑いがあるため、手術が実施されます。

生検を実施することでがんの病期の診断、不要なリンパ節郭清の回避ができるので、より精度の高い治療が可能となります。

手術をしたあとに再発の可能性が高いと思われる場合は、手術で除去できなかったがん細胞を死滅させて、転移や再発を防ぐ抗がん剤をつかった術後補助化学療法が行われるのがこれまでの流れでした。

しかし、最近は術後補助化学療法の見直しがされている時期で、実際に行われることはあまりないようです。

再発や転移を防ぐために、手術後にインターフェロン製剤を切除した皮膚付近に駐車する場合があります。

インターフェロン製剤はがんや体内に入り込んだ病原体を死滅させるために細胞が分泌する物質です。

免疫に働きかけてがん細胞が増加するのを抑制します。

ほかの臓器に転移しやすい時期やさまざまな理由によって手術ができない場合があります。

その場合は抗がん剤を用いた化学療法、BRAF阻害薬や抗PD-1抗体などの標的療法薬をつかった治療、放射線療法などが実施されます。

症状を軽減させることを目的に、緩和治療を並行して行うこともあります。

これまで使用されてきた抗がん剤は悪性黒色腫にあまり効果が見られないとされてきましたが、最近開発された標的療法薬は効果が高いもの、効果が長期間継続されるものもあります。

悪性黒色腫の薬物治療は技術が進んでいるので、今後新しい薬が開発される可能性は十分あります。

悪性黒色腫(メラノーマ)の早期発見

悪性黒色腫は早期発見や早期治療がなによりも大切となります。

初期発見された悪性黒色腫のほとんどは完治に至るとされているため、早い段階で治療を開始することは重要です。

本人、あるいは家族が体をこまめに観察するようにして、皮膚に問題が生じていないか、ほくろに変化がないかを確かめましょう。

定期的に皮膚科で受診することも大切ですが、自己診察を怠らないことも大切です。

悪性黒色腫は体のあちこちに生じるので、鏡などをつかってくまなく確認しましょう。

また、過剰な日焼けは肌に負担をかけることになるので、日常的に日焼け対策をすることも重要な予防方法です。

黒褐色調のできものができたからといって、必ずしも悪性黒色腫というわけではありません。

しかし、自己判断するのは危険なので、気になる部位があるなら医師に相談することが大切です。

特にほくろの大きさや形が変化するのは悪性黒色腫の疑いがあるので、医師の診察を受けるようにしましょう。

新しくできたほくろも同様に悪性黒色腫の疑いがあるので、調べる必要があります。

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