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マラセチア毛包炎の症状・原因・治療について

公開日: : 最終更新日:2018/04/11 皮膚

マラセチア毛包炎とは

マラセチア毛包炎(まらせちあもうほうえん)とは、一般に身体ニキビという名前で呼ばれている皮膚の病気です。

毛穴の奥で毛根を包んでいる袋状の組織の毛包(もうほう)で、マラセチア菌という皮膚の常在菌(じょうざいきん)であり、真菌(しんきん)=カビの一種であるマラセチア菌の感染が起こり、炎症が生じた状態です。

これに対し、一般に顔ニキビと呼ばれている皮膚の病気は、正式には尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)といいます。

マラセチア毛包炎はマラセチア菌によって起こりますが、尋常性ざ瘡は皮膚の常在菌で、細菌の一種であるアクネ菌が毛穴で増殖することによって炎症が生じた状態です。
尋常性ざ瘡を起こすアクネ菌は、正式にはプロピオバクテリウム・アクネスといいます。

一方、人間の皮膚に常在するマラセチア菌は9種類あり、その中でマラセチア・ファーファー(Malassezia furfur)、マラセチア・ダーマティス(Malassezia dermatis)、マラセチア・グロボーサ(Malassezia globosa)、マラセチア・レストリクタ(Malassezia restricta)、マラセチア・シンポディアリス(Malassezia sympodialis)の5種類がマラセチア毛包炎を起こすことがわかっています。

マラセチア毛包炎の原因

マラセチア菌により炎症が起こるまでの道のりは、2通りあります。
また、マラセチア毛包炎が起こることと、温度や湿度といった環境、皮膚の状態には、関係があることが知られています。

マラセチア毛包炎が起こるしくみ

マラセチア菌は皮膚の常在菌であり、条件さえ整ってしまえば異常増殖し、誰にでもマラセチア毛包炎は起こり得ます。
マラセチア毛包炎が起こるまでの道のりは、2通りあると先述しました。

まず、免疫反応によって炎症が生じる道のりがあります。
マラセチア菌のことを、毛穴の細胞が異物として認識することによって炎症が生じます。

マラセチア毛包炎を起こすのは皮膚に常在する9種類のマラセチア菌の中でマラセチア・ファーファー、マラセチア・ダーマティス、マラセチア・グロボーサ、マラセチア・レストリクタ、マラセチア・シンポディアリスですが、マラセチア・ファーファーは毛穴に入り込んだ時点で異物と判断される特徴があり、ほかの種類のマラセチア菌と比較して早く免疫反応による炎症が起こります。

マラセチア毛包炎が起こるまでのもう一つの道のりは、マラセチア菌が生み出す皮脂分解酵素(ひしぶんかいこうそ)リパーゼによるものです。

この皮脂分解酵素リパーゼによって皮脂が分解されて、遊離脂肪酸(ゆうりしぼうさん)という炎症物質に変化し、毛穴の中が刺激を受けて炎症が生じます。

免疫反応によるマラセチア毛包炎に大きく影響するのはマラセチア・ファーファーですが、皮脂分解酵素リパーゼによるマラセチア毛包炎に大きく影響するのはマラセチア・ダーマティス、マラセチア・グロボーサ、マラセチア・レストリクタ、マラセチア・シンポディアリスという研究結果が出ています。

尋常性ざ瘡も皮脂分解酵素リパーゼが分泌されることによる皮脂の分解によって起こる点では共通しています。

マラセチア毛包炎が起こりやすい環境や皮膚の状態

マラセチア毛包炎に大きく影響する環境としては、高温、多湿、多汗、不潔といった要因をあげることができます。

皮膚の状態としては、脂性肌(しせいはだ)で皮脂の量が多い方はマラセチア毛包炎に気をつけなくてはいけません。
また、マラセチア毛包炎は皮膚が光にさらされたことによって起こる場合もあります。

ステロイド内服薬(ないふくやく)やステロイド外用薬(がいようやく)を使用中に起こることがあります。
なお、尋常性ざ瘡の原因菌であるアクネ菌も、皮脂が多く多湿の環境を好みます。

マラセチア毛包炎の症状

マラセチア毛包炎は、身体に数mmほどの赤いブツブツが多発します。
症状が強い方では、ブツブツが膿を持つこともあります。

1個1個のブツブツはわかれていて、互いにくっつき合って大きくなるということはありません。
症状は長引くことがあり、色素沈着(しきそちんちゃく)が発生しやすいです。

アクネ菌による尋常性ざ瘡に比べると、あまり痛みやかゆみがありません。
押して潰すことができない、内容物が出ないことも、尋常性ざ瘡と異なる点です。

マラセチア毛包炎の好発部位

尋常性ざ瘡は、顔面、胸、背中に生じることが多いです。
これに対してマラセチア毛包炎は、胸、背中、肩、二の腕といった部位によく起こります。
頭部でマラセチア菌が増殖すると、抜け毛の原因になってしまうため注意が必要です。

マラセチア毛包炎は男女のどちらに多い?できやすい年齢は?

尋常性ざ瘡は、思春期以降に起こりやすく、成人では年齢の高まりに伴い減少します。
女性の場合には、中年過ぎまで起こることがあります。

男女での尋常性ざ瘡の発生には大した差がないものの、病院へ行く方は女性のほうが倍近く多いといわれています。

一方、マラセチア毛包炎は、青年や中年によく起こっています。
マラセチア毛包炎の発生に男女差はありません。

マラセチア毛包炎の検査・診断

背中、胸、肩、二の腕といった体にマラセチア毛包炎の症状かもしれないと思うような赤いブツブツが発生した場合には、医療機関へ行くことをおすすめします。

理由としては、尋常性ざ瘡とは異なり、自然治癒が期待しにくい点、そしてその一方で病院で適切な治療を受けると改善しやすい点をあげることができます。

受診に適した診療科

尋常性ざ瘡の場合と、受診に適した診療科は変わりません。
尋常性ざ瘡もマラセチア毛包炎も皮膚の病気です。
そのため、皮膚科へ行けば診療を受けることができます。

マラセチア毛包炎を治すには、尋常性ざ瘡と見分けることが重要です。
なかなか改善しないニキビに悩まされている方は、マラセチア毛包炎を起こしている可能性があるため、医療機関で受診しましょう。

マラセチア毛包炎を調べる方法

医療機関では症状を診ます。
このほか、採取した膿や角質を薬で染色し、顕微鏡で観察することで、マラセチアの有無を確認します。

マラセチア毛包炎の治療

マラセチア毛包炎を起こしている場合、薬を使った治療が基本です。
1日や2日で治ってしまうような病気ではないため、根気強く治療を続けていくことが大切です。

マラセチア毛包炎の治療方法

マラセチア菌に対して抗菌力を発揮する薬が、マラセチア毛包炎の治療では使用されています。
イミダゾール系の抗真菌外用薬を使って治療します。

外用薬というのは塗り薬のことをいいます。
塗り薬のため副作用は少ないですが、使用者によってはかぶれを起こすことがあります。
赤み、かゆみが悪化してくるようであれば早めに病院へ行きましょう

なかなか改善しにくい方に対しては飲み薬のことをさす内服薬が使われています。
具体的な薬の種類として、真菌を殺す作用のあるイトラコナゾール(イトリゾール)をあげることができます。

この内服薬も副作用を起こすことがあり、肝機能の数値に異常が出る、皮疹、かゆみ、光に過敏、胃の不快感、吐き気、嘔吐(おうと)、お腹が痛くなる、お腹を下す、そして重い副作用では眼の白目部分や皮膚が黄色くなる黄疸(おうだん)などの重い肝臓の症状、呼吸が苦しくなる、手足がむくむ、急に体重が落ちるなどするうっ血性心不全(うっけつせいしんふぜん)といった問題を招くことがあります。

抗真菌薬を使った治療を受けることにより、1~2ヶ月間で快復することが多いです。

日常生活の注意点

マラセチア毛包炎は、皮膚の常在菌であり、真菌(カビ)の一種であるマラセチア菌が原因で起こる病気です。
いくら薬を使用しても、原因菌を完全になくすことはできません。
そのため、マラセチア毛包炎は再発リスクのある病気なのです。

マラセチア毛包炎は、高温多湿の環境、多汗、不潔、皮脂分泌量の多いオイリー肌が関わっているとされています。
お風呂ではしっかりと体を洗い、清潔な状態を維持していくほか、乾燥させることが、マラセチア菌の増殖を抑えるためには大事です。

顔に症状が起こることがないわけではないため、化粧をした状態で多量の汗をかかないようにします。
汗をかいたあとは顔を洗い、メイク直しをするのがよいでしょう。

また、油分がたっぷりの下地乳液類の使用はしないに越したことはありません。
そのほか、ヘアケア剤がついたままになる首すじに起こることもあるため、しっかりと洗い流すことが大切です。

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