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気管支拡張症を詳細に:原因,症状,検査,治療など

公開日: : 最終更新日:2018/04/01 肺・気管支の病気

気管支拡張症とは

鼻や口と繋がっており、気道の一部で肺にいたるまでの管のことを気管支(きかんし)といいます。
気管支は肺の内部へと空気を送り届ける通り道の役割を果たしています。

この気管支がひろがったまま元に戻らない病気のことを、気管支拡張症(きかんしかくちょうしょう)といいます。

気管支拡張症は、先天性(せんてんせい)=生まれつきのほか、幼小児期の肺炎(はいえん)、感染を何度も起こしたことなどにより、気管支壁(きかんしへき)が破壊されたり弱まったりすることによって引き起こされます。

気管支がひろがることにより、複数の異常が引き起こされます。
まず、気管支が破壊されたところに、細菌やかびが増殖して炎症が生じ、気管支が破壊されることにより気管支のひろがり具合が悪化してしまいます。

さらに増殖した細菌やかびは肺の内部にまで到達し、肺炎が引き起こされて肺の破壊が進んでしまいます。

気管支がひろがったところでは炎症に伴い血管が増加するため、気管支や肺などの呼吸器の病気が原因で出血し、口から血を吐く喀血(かっけつ)の症状が引き起こされることがあります。
そのほか、気管支と肺の破壊がひどくなれば、段々と肺機能が低下していってしまいます。

気管支拡張の症状としては、咳(せき)、痰(たん)、肺炎が起こるリスクが高まることのほか、先述した喀血や、痰に血が混じる血痰(けったん)の症状がよく起こります。
喀血に関しては、多量の血を吐いてしまうこともあります。

診断はレントゲン(X線)やCTで行ない、感染の可能性があるケースでは原因となっている菌を特定するために、痰を培養(ばいよう)する検査が行なわれます。

また、喀血が多いケースでは、血管が増加していることを確認するため、血管造影(ぞうえい)検査が行なわれる場合があります。

気管支拡張症の治療は、症状を軽くすることや炎症の抑制効果を狙ってマクロライド系の抗菌薬を使用するほか、痰の排出を促す薬なども一緒に使用されます。
感染の可能性がある人に対しては、抗生物質が使用することによって感染に対処します。

血痰や喀血の症状には止血剤などを使用する方法が選択されますが、量が多い、止まらない人に対しては、血管撮影を行ない、血管に挿入したカテーテルという細く柔軟な管からゼラチンなどを注入し、血管を塞ぐことで止血されます。

こうした内科的治療で症状がよくならなければ、外科的治療によって気管支がひろがっているところを含めた肺の切除が行なわれることがあります。

気管支拡張症が引き起こされている人は、気道の感染症によって病状が悪くなるため、風邪などを患うことがないよう気をつけなければいけません。
また、痰がたまらないようにすることも大事です。

なお、この病気の予後=経過の見通しに関しては、どのぐらいのレベルの気管支拡張症や感染症なのかなどによって異なります。

国内ではおよそ25,000人が気管支拡張症にかかっていて、性別では男性と比較して女性の割合が高い病気です。

咳や黄~緑色の痰が続いていて、血痰や喀血の症状が出ることがある人、一般に蓄膿症(ちくのうしょう)とよばれている副鼻腔炎(ふくびくうえん)といわれた経験がある人や、いま治療を受けているという人、幼小児期に肺炎を経験している人は、気管支拡張症が引き起こされている可能性があります。

気管支拡張症の原因

先天性の気管支拡張症

気管支拡張症は、出生時にすでに起こっていることがあります。

後天性(こうてんせい)の気管支拡張症

後天性というのは、出生時には正常であったものの、何らかの原因で持つことになってしまった病気の性質のことをいいます。

後天性の気管支拡張症としては、気管支に入り込んできた異物をを喉(のど)のほうへと押し出し、気管支を清浄に保ってくれる役割を担っている線毛の運動機能が低下しているために、気道の感染を何度も起こすことが原因の一つに含まれます。

気管支拡張症は、一般に蓄膿症として知られている、正式名称が副鼻腔炎という病気が一緒に起こっていることが多いです。

また、重い呼吸器の感染症を幼小児期に起こしていると、病気にかかったところの気道が損傷を負い、そこで何度も感染を起こすことによって、気管支拡張症を招いてしまうことがあります。

別の病気に続いて引き起こされる気管支拡張症

結核菌(けっかくきん)に感染し、発症する肺結核(はいけっかく)、肺に生じた炎症が肺組織の構造を壊し、それによってできた空洞に膿(うみ)が貯留した状態になる肺膿瘍(はいのうよう)、粉塵(ふんじん)を長期にわたり肺に吸入することで引き起こされる塵肺(じんはい、じんぱい)といった病気に続いて、気管支拡張症を招いてしまうことがあります。

気管支拡張症の症状

どういう症状が出現するのか?
最初はこれといった自覚症状が出ず、病気とは思わない時期があります。
無症状のケースでは、経過観察が行なわれることもあります。

ただ、次第に持続する咳や痰、血痰、喀血、呼吸困難の症状や、38度以上の発熱、体がだるくなる倦怠感(けんたいかん)、脱力感、体重減少などの症状が出るようになります。

咳は痰と一緒に出て、痰は黄~緑色の場合が多いです。
また、呼吸困難は感染の拡大によって、喀血は咳と共に起こります。

気管支拡張症の症状に関する注意点
咳や痰、発熱、倦怠感などの、気管支拡張症によって出現する症状のなかには、風邪で出現するような症状も含まれています。
風邪をひいたと思い込んでほうっておくことがないよう、気をつけなければいけません。

気管支拡張症の検査・診断

気管支拡張症の受診に適した診療科

この病気で出現する症状は別の病気でも起こるものも多く含まれていますが、気管支拡張症にあてはまるような症状があり、病気が心配なときには何科へ行けばいいのでしょうか?
気管支拡張症で受診するのに向いている診療科としては、内科、呼吸器科、気道食道科をあげることができます。

持続する咳や黄~緑色の痰があり、血痰や喀血の症状が出現することがある人、副鼻腔炎(ふくびくうえん)といわれた経験がある人や、いま副鼻腔炎の治療中の人、幼小児期に肺炎を起こしたことがある人は、気管支拡張症が引き起こされている可能性があります。

該当する人は、放置することなく医療機関へ行きましょう。

レントゲン・CT検査

健康診断のときのレントゲン撮影で気管支拡張症が発見されることもありますが、この検査では異常がはっきりしないことがあります。
その場合には、胸のCT写真を撮影することによって診断を行ないます。

普通のCT写真と比較して高分解能のCT写真を撮影することにより、症状のない気管支拡張症の存在を把握できることが多くなりました。

培養検査

感染の可能性がある場合に、原因となっている菌を突き止めることを目的に行なわれている検査です。
痰を培養することにより、菌の種類を確認します。

血管造影検査

喀血が多く、血管が増殖している様子を調べることを目的に行なわれている検査です。
血管のなかにカテーテルという細く柔軟な管を挿入し、その管に造影剤という薬を注入し、血管だけを写し出す検査です。
カテーテルは股の付け根の動脈から挿入し、気管支に行っている血管を写します。

気管支拡張症の治療

痰に対する治療

気管支拡張症では気管支を浄化する機能が低下しており、痰が貯留しやすく、感染リスクが高まっています。

繰り返し感染すると拡張部分はますます拡大してしまうため、感染を未然に防ぐことが非常に重要です。
痰が貯留していると気道が塞がって息が苦しくなるほか、感染を起こしやすくなります。

気道から痰を排出するためには胸部叩打法(きょうぶこうだほう)といって、胸を叩いて痰を排出しやすくする方法や、体を傾けて痰を排出しやすくする体位ドレナージ、痰の排出を促進する去痰薬(きょたんやく)や気管支拡張薬を使用したネブライザー吸入も効果的です。
また、水分補給を行なうことは、痰切れをよくする効果があります。

感染症に対する治療

感染症の合併があるケースでは、原因菌に対して有効な抗菌薬が使用されています。
マクロライド系抗菌薬を使用し、症状が悪くなったときには違う抗菌薬での治療を試みることがあります。

病状が非常に重くなったときには内服薬ではなく、入院して抗菌薬の静脈注射を行なうなどの方法を選択しなければいけなくなります。

出血に対する治療

血痰の症状を伴っている人に対しては、出血を止める効果のある止血薬が使用されています。

また、喀血が続いている人に対しては、止血薬の注射を行なうほか、内視鏡(ないしきょう)の一種である気管支鏡(きかんしきょう)を挿入し、出血を起こしている気管支に直接に止血薬を使用する方法や、太ももの付け根から動脈にカテーテルを挿入し、出血を起こしている血管を調べ、その血管を塞ぐ治療である気管支動脈塞栓術(きかんしどうみゃくそくせんじゅつ)が行なわれています。

内科的治療で改善しない人に対する治療

薬物療法やカテーテル治療のような内科的治療=保存的治療がうまくいかない人に対しては、手術が選択されることがあります。
気管支がひろがっているところを含む肺の切除を行なうことがあります。

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