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細気管支炎を詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

公開日: : 最終更新日:2017/10/12 肺・気管支の病気

細気管支炎とは

細気管支炎(さいきかんしえん)は、主に生後18ヶ月未満の子どもが罹患しやすい病気であり、そのなかでも特に生後2ヶ月から6ヶ月ほどまでの乳幼児の患者の割合が高くなっています。

さらに先天性の疾患、免疫の不全、慢性の肺疾患が重なると重症化しやすい特徴があります。
1歳になるまでに細気管支炎にかかる子どもは100人に対し11人程度と、比較的多く見られる病気となっています。

気管支よりもっと細い「細気管支」に炎症が起こる病気で、風邪だろうと思って甘く見ていると数日のうちに重症化することもある恐ろしい病気です。

呼吸困難などの重篤な症状や、乳幼児の突然死の原因にも数えられており、ママなら絶対に知っておきたい子どもの病気の一つです。

細気管支炎の原因

細気管支炎の原因となるのはウイルスです。
この病気を引き起こすウイルスにはいくつかの種類がありますが、なかでもRSウイルスをきっかけとする発症は全体の半数ほどにも及びます。

そのほか、発症の原因となるウイルスにはインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ヒトメタニューモウイルスなどが挙げられます。
細気管支炎の主な患者は乳幼児ですが、早めに適切な治療を受ければ大半のケースで5日ほどで改善します。

適切な治療をおこなった場合での死亡率は1%もありません。
そのため、命に関わる心配はほとんどの場合はありませんが、あくまで適切な治療を受けた場合での話ですので、すみやかに治療を受けることができるよう、普段からの予防と赤ちゃんの様子の観察が不可欠となります。

RSウイルス

咳(せき)・くしゃみ・ウイルスとの接触によって感染します。
2日から8日ほどの潜伏期間を経て発症し、感染した本人が目立った症状を見せない場合でも、まわりに感染を拡大させてしまう恐れがあります。

RSウイルスそのものは、実は誕生から2歳までのあいだにほとんどの子どもが感染すると言われているほど身近なウイルスとなっています。
特に気をつけなければならないのはRSウイルスにはじめて感染した場合です。

初感染の乳幼児の約20%から40%は肺炎(はいえん)・細気管支炎にかかるリスクが高く、さらにそのうちの0.5%から2%は呼吸困難に陥るリスクがあります。

RSウイルスの感染予防

感染の予防に効果的なのはうがい・手洗いの基本的なウイルス予防策に加えマスクの着用となります。
ウイルスへの接触・咳などでの飛沫により感染するため、これらを防ぐために有用です。

RSウイルスは子どもだけが感染するものではなく、大人も感染するウイルスであるため、父親や母親からの感染を防ぐこともポイントとなります。
RSウイルスの感染リスクを高める要因として、たばこの煙も挙げられます。

妊娠・授乳中の禁煙はもちろんですが、受動喫煙を避けるためにたばこの多いところやたばこを吸っている人の近くを避けるなどの工夫も必要でしょう。

家で喫煙している人がいる場合には、禁煙をお願いするか、ベランダなど受動喫煙の恐れのない場所に移動して吸うようにしてもらうことが大切です。

未熟児で誕生した場合や先天性の疾患が見られる場合には、シナジスと呼ばれるRSウイルス用の予防接種を受けることもできます。

インフルエンザウイルス

インフルエンザウイルスを原因とした細気管支炎にかかることもあります。
ウイルスの潜伏期間は1日から5日とRSウイルスよりも短めで、急な高熱を引き起こすのが特徴です。

発熱から2、3日後に細気管支炎を引き起こすケースが多く、一度インフルエンザと診断されたあとに咳がひどくなってきた場合は、もう一度診察を受けるのが望ましいでしょう。

インフルエンザウイルスによって引き起こされてしまう細気管支炎は、ほかのウイルスを原因とする細気管支炎に比べると症状が重くなりやすく、回復までに時間がかかるというやっかいな特徴もあります。

アデノウイルス

アデノウイルスは、異なる型により51種類に区別されているウイルスです。
強い感染力を持つのが特徴で、このウイルスが原因で発症する病気は細気管支炎のほか、咽頭炎(いんとうえん)、扁桃炎(へんとうえん)などが挙げられます。

アデノウイルスでの細気管支炎では発熱に加えて、喉の痛みなどの症状があります。
潜伏期間は5日から7日、一年を通して感染のリスクがありますが、特に注意したいのが夏季で、この時期に流行しやすいウイルスとなっています。

そのほか、感染してから約2週間のあいだは周囲の人に感染させてしまう恐れがあります。

ヒトメタニューモウイルス

ヒトメタニューモウイルスでの細気管支炎は、RSウイルスを原因とする発症に次いで多くなっています。
細気管支炎のほかにも、乳幼児の呼吸器系の疾患の5%から10%はヒトメタニューモウイルスを原因としています。

潜伏期間は4日から6日ほどで、流行する時期は3月から6月頃です。
感染後は1週間もすれば症状が改善するとされていますが、本人の症状が改善したあとも、2週間程度は周囲に感染を拡大させてしまう恐れがあります。
乳幼児では1歳から2歳での感染例が多く、2歳までの感染確率は50%程度、10歳になるまでに大半の子どもが感染するウイルスとされています。

細気管支炎を引き起こすウイルスのほとんどは接触・飛沫で感染するため、ある程度の予防が可能となっています。
基本的には風邪の予防と同じ方法が有効なため、うがい・手洗い・マスクの着用が効果的でしょう。

細気管支炎の症状

この病気は、最初は軽い風邪だと思っていても、数日のうちに症状が進行することがあります。
風邪とよく似た症状が出現するのですが、特に注目したいのは咳の音です。

鼻水

鼻の粘膜にウイルスが付着すると、そのウイルスを体外に出すために鼻水が出はじめます。
鼻水自体は、ウイルスを排出しようとする体の正常な機能ですが、鼻の粘膜に炎症が生じることもあり、鼻が詰まってしまう症状が引き起こされやすくなります。

くしゃみ

ウイルスを鼻や喉から吸い込むと、くしゃみを起こすようになります。
この症状も鼻水と同様、体内に入り込んだウイルスを排出しようとする働きによるものです。

くしゃみが多く出ている状態では、鼻水・咳などほかの症状も起きているか観察してみましょう。

咳がよく出る

くしゃみ・鼻水と同じように、咳もまた体内のウイルスを排出しようとする体の正常な機能となります。
細気管支炎での咳は、最初のうちは乾いた音をしており、軽い風邪と似たような印象を受けます。

入り込んだウイルスが気管支の細胞を傷つけてしまうと炎症が進み、痰(たん)が絡んだような咳の音に変化します。

このまま症状が進行すると咳の音が重くなり、ひどい場合には呼吸困難を引き起こします。
一日じゅう咳をしている、咳がずっと止まらないなどの場合は、早めに病院での診察を受けなければなりません。

呼吸困難

炎症が進んだ場合、気管支の壁が腫れ上がって気道が狭くなります。
このことが原因でスムーズな呼吸が難しくなり、呼吸が速くなる、呼吸時に妙な音(ゼーゼーという喘鳴(ぜんめい))がするなどの症状が見られます。
症状が重篤化すると無呼吸発作(一時的な呼吸の停止状態)や意識障害を引き起こす可能性が高くなります。

頻脈(ひんみゃく)

乳幼児の場合、もともと大人よりも脈が速いという特徴があります。
細気管支炎の症状が進行すると、咳や気道の腫れから息苦しくなり、呼吸が速まることで脈も速くなります。

もともとの脈の速さなのか、病気によるものなのかを判断するのは難しい部分がありますが、呼吸が小刻みになっている、肩で息をしているように見えるなど、いくつかのチェックポイントを押さえて観察してみましょう。

このように、細気管支炎での症状は風邪の症状とよく似ており、軽度のものだと見分けがつきにくいでしょう。
子どものなかでも特に乳幼児の場合は症状の進行が早く、発症から2、3日で急速に悪化する場合があります。

呼吸の様子や咳の音、唇の色などよくチェックしてあげてください。
唇が紫色になるチアノーゼの状態や、陥没呼吸といって呼吸時に肋骨付近が陥没するという症状が見られる場合もあります。

細気管支炎の検査方法

2歳に満たない子どもではじめて喘鳴(ゼーゼーという呼吸音)の症状を示した場合は、喘息や細気管支炎が疑われ、検査が実施されます。
基本的な胸部聴診(聴診器を胸に当てておこなう検査)においては、喘鳴のほかに小水泡音(しょうすいほうおん)、呼気延長(こきえんちょう)が確認できます。

胸部のエックス線写真を撮影する場合もあり、この検査では通常よりも大きく膨張した肺(過膨張)の様子や横隔膜の下降、肺門の陰影の確認が可能です。

喘鳴は喘息でも見られる症状のため、適した治療のためにはっきりとした区別が必要ですが、患者が過去に起こした喘鳴・患者自身や家族など親しい間柄の人のアレルギー性疾患の有無を確認し、その結果細気管支炎よりまず喘息が疑われるケースもあります。

RSウイルスの診断には、迅速抗原キットを用いての検査が有効とされます。
鼻腔ぬぐい液や吸引液を使って診断します。
RSウイルスへの感染が明らかになると、喘息ではなく細気管支炎の可能性が高いとされます。

似ている病気との区別

喘息との区別

喘息と細気管支炎の大きな違いは、発症に関わる原因です。
喘息はアレルギー(アレルゲン)が原因であるのに対し、細気管支炎はウイルスへの感染を原因とします。

そのため、患者本人や家族にアレルギー性疾患が見られる場合には喘息が、検査の結果でウイルスが見つかれば細気管支炎であると判断されることが多くなっています。

気管支炎や肺炎との区別

気管支炎と細気管支炎は異なる病気です。
名前の面でややこしさがありますが、違いは気管支炎がその名の通り気管支の粘膜の炎症であるのに対し、細気管支炎は気管支よりももっと細かい細気管支にまで炎症を起こす点です。

気管支の炎症は症状が進むと肺炎になります。
そのため、気管支炎なのか肺炎なのかを区別するためにレントゲンの撮影をおこなうケースがあります。
気管支炎でははっきりと影を確認することが難しい場合がありますが、肺炎ではさまざまな影をはっきり見ることができ、診断の手がかりとなります。

細気管支炎の治療法

この病気の治療法にはいくつかの種類がありますが、共通しているのは正常な呼吸ができるよう管理をおこなうという点です。

気管支拡張薬での治療

ひどい咳や喘鳴の症状を改善するために、器官を広げて呼吸をしやすくする目的で気管支拡張薬が用いられます。
気管支拡張薬には大きく分けて「短時間で作用するもの」と「長時間効果が続くもの」の2つがあります。

短時間で作用するものはメプチン吸入剤、ベネトリン吸入剤が代表的です。
長時間効果が続くものではホクナリンテープ、セレベント吸入剤が挙げられます。

ホクナリンテープは乳幼児にも効果的

この薬は「テープ」という名前が示すとおり、体に貼り付けることが可能となっています。
背中などに貼り付けるだけで皮膚から薬剤が吸収される仕組みで、薬を吸入させるのが困難な乳幼児にも適しているのが優れたポイントです。

酸素の投与

細気管支炎によって、低酸素血症や(ていさんそけっしょう)チアノーゼの症状が起きている場合に用いられる治療法です。
酸素マスク、酸素フード、鼻カニューレなどを使用して酸素の投与がおこなわれます。
この治療を用いる際には、酸素濃度の観察のためにセンサーを指先・つま先などに装着します。

呼吸の管理

細気管支炎の症状が進み、重篤な症状が見られる場合には、医師の判断のもとで人工呼吸器が用いられます。
主に低酸素血症、高炭酸ガス血症(こうたんさんがすけっしょう)の症状が見られる場合にこの方法がとられます。

細気管支炎による入院が必要と判断された患者のうち、7%から8%は人工呼吸器での呼吸の管理が必要とされることが多いでしょう。
細気管支炎の患者には乳幼児・小児が多いため、人工呼吸器を用いることでかかる体への負担をしっかりと観察しながらの治療が求められます。

細気管支炎患者との家庭での接し方

細気管支炎の患者の咳の症状は、気温の変化・乾燥などでひどくなる場合があるので、部屋を乾燥させすぎない、十分な水分をとらせるなどを意識しましょう。

冷たい空気に触れることも症状を悪化させる原因となるため、暖かい服装はもちろん、気道に冷たい空気が入らないようにマスクを着用させるのも効果的です。

水分は冷たいものよりも温かいものが良く、適度に温めて少しずつとらせるのが理想です。
咳き込んでいる様子が見られたときは、背中を軽く叩く、さするなど楽になるようにしてあげましょう。

細気管支炎を予防するには

この病気はウイルスへの感染によって引き起こされるので、体内にウイルスが侵入しないように予防するのが効果的です。

基本的な風邪の予防法であるうがい・手洗いはもちろん、人混みなどでのマスクの着用、また流行する時期の人混みを避けるなどが高い効果を生みます。

子どもの予防のみを注意するのではなく、家庭でのウイルス感染を防ぐために大人も予防を意識していきましょう。

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