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過換気症候の原因・症状・治療

公開日: : 最終更新日:2017/05/31 肺・気管支の病気

過換気症候群

過換気症候群とは

過換気症候群(かかんきしょうこうぐん)は過呼吸(かこきゅう)と呼ばれることもあり、おそらく耳にしたことがあるのはこちらの呼び名のほうが多いのではないでしょうか。

突然呼吸の乱れを感じ、息が荒くなる発作を起こすのと同時に、息苦しさ、胸の痛み、頭痛、めまい、手足のしびれ、動悸が激しくなるなどの症状があらわれます。

マラソンやサッカーなど、激しい呼吸をしながらおこなうスポーツの最中などにたまたま息苦しさを感じ、「このままどうにかなってしまうのでは」「このまま死んでしまうのでは」「何か重大なことが体に起きているのではないか」と、命の危険に関わるような想像からのショック状態によって引き起こされることも多く、このショック状態ががきっかけとなってその後は過呼吸症候群となる恐れがあります。

過呼吸症候群とは何らかの重篤な病気によって引き起こされているものではなく、ほとんどは精神的なものから生じるパニック障害の一種であると考えられています。

そのため、性格や普段の考え方などによってこの病気におちいりやすい人が存在します。
心配性な性格であったり、完璧にすることを好む性格であったり、神経質な性格であったりと、その人の持つ性質が影響します。

過換気症候群の原因

原因にはストレスのほかに、人工呼吸器での補助換気中に起こる換気過剰、サリチル酸など一種の薬剤での中毒、敗血症(はいけつしょう、菌が血中に混入している状態)、原因が不明な中枢神経の異常などが原因として考えられています。

日常生活のなかで発症する過換気症候群の原因のほとんどは精神的な不安やヒステリーなどによるものがほとんどで、そのような理由からも若年層や女性に比較的多く見られる病気となっており、具体的な男女比は1対2となっています。

悩みすぎや考えすぎる性格、またヒステリーを起こすことがある場合は注意したい病気の一つといえるでしょう。

パニック障害と過換気症候群

パニック障害とは、強い不安感からくる発作を繰り返す症状のことをいいます。

これまでは「不安神経症」の一部であるとみなされていたものの、特徴的な症状が見られることから独立した病気として考えられるようになりました。
具体的に「パニック障害」と呼ばれはじめたのは1980年のことです。

パニック障害は何らかの特別な理由や原因などのきっかけを要さずに突然症状があらわれ、また繰り返し引き起こしやすいことなどから患者は大きな不安を抱え、1人での外出や公共機関を利用することへの悩みの種になりやすく、この不安からくる症状は「広場恐怖」と呼ばれています。
この病気は症状を緩和するための薬の効果が出やすいという特徴があります。

パニック障害を引き起こす原因は実ははっきりと解明されてはおらず、精神的な不安やストレスからくる心理的原因説、脳内ノルアドレナリンの活動が著しく顕著になることなどの脳機能障害から引き起こされるという説があります。

現在は脳機能障害によるものという説が有力で、これは薬が非常に効きやすいという特徴からも支持されています。

実験的な研究を重ねた結果、データとしてわかっているある特徴があり、それは患者がカフェイン、乳酸、炭酸ガスなどに非常に敏感な反応を示すというものです。
これらが一種の原因となって発作を誘発し、さらに風邪や寝不足、過剰なストレスへの悩みなど体が弱っているときが発症の引き金になりやすいと考えられています。

過換気症候群、自律神経失調症、心臓神経症などと非常に似た症状があるため、これらの病気と間違われて診断がされるケースが少なくありません。

パニック発作を経験した場合は、すみやかに内科での診断を受け、体に異常がないかを検査してください。
体にとくに異常もないのに発作が繰り返される場合、パニック障害と見て良いでしょう。

過換気症候群などの似ている病気と判断される場合もあるので、少しでも不安を感じたら心療内科、もしくは精神科での診断を仰ぐのが良いでしょう。

過換気症候群の症状

呼吸が荒く、また深く速度も早まり、息苦しさや発作をともないます。
このとき、血液中の二酸化炭素が一気に増加し、血液がアルカリ性に傾くことでしびれや意識混濁、けいれんなどの神経と筋肉に関わる部分にさまざまな症状があらわれます。

過換気症候群は頻繁に起こりやすいため、周囲が「またか」「座っていれば良いだろう」など軽く見てしまうことがあるのもこの病気の特徴でしょう。
症状は本人の意志とは関係なく突然引き起こされることも多く、呼吸が荒く呼吸困難の状態におちいる場合があります。
呼吸が荒くなりはじめると口や口の周囲、手足の指先にしびれを感じることもあります。

また、外界からのなんらかの刺激によって筋肉が高ぶる「テタニー」症状や、不安からもたらされる興奮状態、意識がもうろうとする意識混濁なども見られます。

・呼吸が早くなり、呼吸を早く行うと胸が圧迫されているように感じる
・息苦しさを感じる
・めまい
・手足、口、口のまわりにしびれを感じる(テタニー)
・頭がぼーっとしてしまう
・胸の痛み
・死への恐怖を感じる
・失神

これらが過換気症候群で起こる可能性のある特徴的な症状として挙げられます。

過換気症候群の検査方法

発作が起こった際に動脈から血液を取り出し、二酸化炭素分圧の低下、動脈血酸素分圧の上昇、さらにアルカローシスの症状が見られればこの病気を患っている可能性があるとされます。

アルカローシスとは、通常であれば一定のpHに保たれているはずの血液に何らかの異常が起こり、pHが7.45以上になっている状態を指します。

病院での検査の際に発作がおさまっている場合には、強制的に過呼吸の状態にする「過呼吸テスト」が実施されることもあります。

過換気症候群の治療

過換気症候群での発作が引き起こされている最中には、まず心を落ち着かせることが必要です。

このとき、本人だけではなく、周囲に人がいる場合は周囲もパニックにならないように、落ち着いた対処ができるようにしましょう。
親しい友人・知人や家族の場合は、手を握ってそばにいることを示すのも有効です。

医師から処方があり、発作の際に使うようにいわれていれば、精神安定剤を用いることもあります。
以前であれば紙袋を口と鼻を覆うようにして呼吸をおこなう「ペーパーバッグ法」が推奨されたこともあります。

現在はペーパーバッグ法は推奨されていない

ペーパーバッグ法にはさまざまな問題があることがわかり、現在では過換気症候群の応急処置としては推奨されていません。
この方法は「紙袋の中にたまった吐き出した呼気をもう一度吸い込むことで二酸化炭素を体内に取り込む」というもので、発作が起きた場合の処置方法として広く知られたものです。

しかしながら、海外の文献や、日本でもテレビなどで専門医が警鐘を鳴らし、「ペーパーバッグ法は危険をともなう」という認識が広まりつつあります。
パーパーバッグ法をおこなうと窒息しやすく、死の危険性もあるとわかりましたが、もし、家族や知人で過換気症候群を患っている人に教える場合は表現方法に気を配ったほうが良いでしょう。

過換気症候群の原因は主に精神的なもの、またはストレスや不安感などですから、「死」というワードを伝える際には注意しなければなりません。
とくに発作がおきている状況下での伝え方は難しいものです。

ペーパーバッグ法に代わる応急処置の方法をすすめることのほか、手を握る、背中を優しくさするなど、そばにいながらポジティブな感情が伝わる行動で安心させることもできます。

ペーパーバッグ法の危険性

過換気症候群での発作、また心筋梗塞、肺塞栓などの酸素が足りなくなる状況下でペーパーバッグ法での処置を選択した結果、低酸素症で死亡した例が実際にあります。

ペーパーバッグ法により、体内の酸素が安定するどころかさらに低下してしまい、窒息してしまったというものです。
医療機関では血液検査などの結果から、酸素や二酸化炭素の具体的な数値を把握することができます。

しかし「発作が起こっている」という状況だけで私たちがこれらを判断することは不可能です。
また、けいれんやしびれなどの症状をともなう病気はほかにもいくつも存在し、安易に「過呼吸症候群かも」と判断することも危険です。

ペーパーバッグ法はあくまでも応急処置として

ペーパーバッグ法はあくまでもその場においての処置であり、呼吸困難の症状を改善していくものではありません。

過換気症候群においての手足のしびれ、けいれんは確かに二酸化炭素の不足によって起こりうるものですが、それらが改善されても呼吸自体の改善にはほとんど効果がありません。

また、紙袋を口と鼻に押し当てられ、「呼吸して!」などといわれることで、落ち着くどころかさらにパニックになる危険性も潜んでいます。

医療機関でのアドバイスのもとで選択される場合もある

知識のない者が判断して用いることには危険がともないますが、医療機関で酸素量モニタリングなどをしながら、ペーパーバッグを口元に密着させすぎない、袋の角を切り取って極端な酸素不足に陥らないようにするなどしながら用いられる場合もあります。

医療機関での専門的な知識、施設とアドバイスがあれば有用なこともある処置方法ともいえるのです。
基本的に「病院でおこなう処置方法」と認識しておくのが良いでしょう。

知人・家族が過呼吸症候群を患っていたら

身近な人が過呼吸症候群を患っているなら、一緒にいるときに発作が起こる可能性は非常に高いでしょう。
このとき一番大切なことは「一緒になって慌てないこと、パニックにならないこと」です。

過呼吸症候群の本人が身近な人がパニックになっているのを感じてさらに不安になる恐れがあります。
必ず発作はおさまるからゆっくり呼吸してみよう、など明るい声で話しかけてあげましょう。

「話しかける」ことは過呼吸症候群にとって重要なポイントで、ほかにも「大丈夫だよ」「自分のことわかる?」など話しかけてあげることで安心させるだけではなく、過呼吸をおさえる働きもあるとされています。
人は常に呼吸しているように見えますが、言葉を発しているときは呼吸がおこなわれていません。

そのため、患者が「大丈夫」など応答しているうちは呼吸が一時的に停止し、このことで体内の二酸化炭素濃度が上がるというものです。
話しかけることはパニック状態の改善とともに、発作の時間を出来る限り短くできる可能性があります。

応急処置は落ち着いて

過換気症候群で起こるしびれ、けいれん、失神などはさまざまな病気で起こりうる症状です。
身近な人がこれらの症状をはじめて訴えた場合には、あまり安易に考えずにほかの病気である可能性も考えて救急車を呼ぶのが良いでしょう。

過去にも同じような症状を見せている場合でも、呼吸が止まっている、失神時に頭を打ったなどの場合は救急車をすみやかに呼んでください。
救急車が来るまでのあいだ、患者に意識がある場合は声をかけ、手を握りながらそばに寄り添い、患者を安心させるようにしましょう。

声をかけてもらっていることや救急車に乗った安心感などから、病院に到着するころには発作がおさまっているケースも珍しくありません。
しかしながら、大事をとって救急車を呼ぶことは悪いことではないので、患者にあらわれている症状などをよく観察し、医師に伝えましょう。

話しかけながら、ゆっくりと小さな呼吸をしてみるよう促しましょう。
過呼吸症候群の場合には深呼吸をさせるという認識の人も多いのですが、実際には小さな呼吸を繰り返すことが重要になります。

小さな呼吸をゆっくりと繰り返しながら、患者本人に無理がなければその間に5秒程度息を止めてみます。
あくまでも無理のない範囲でおこなうべきなので、息を止めることが難しければ小さな呼吸の繰り返しだけでもかまいません。

普段の生活にも気を配る

過換気症候群は繰り返すことの多い病気で、いつ発作が起こるかわかりません。

精神的なストレスやショックなどから引き起こされるとされていますが、風邪をひいて発熱しているときや疲労感が大きいときなど、体が弱まっているときにも起こる可能性があります。

充分な睡眠はストレスの軽減にも役立ちますし、さまざまな生活習慣を見なおして改善することも予防につながるとされています。

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