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多発性骨髄腫を詳細に:原因,症状,治療,予防など

公開日: : 最終更新日:2018/04/11 がん

多発性骨髄腫とは

多発性骨髄腫(たはつせいこつずいしゅ)とは血液のがんの一種で、リンパ球から作り出される形質細胞が何らかの原因によって異常に増殖して、がん化することによりさまざまな症状が現れる病気です。

赤血球や血小板、白血球などで構成される血液は骨髄にある造血細胞によって作り出されています。
赤血球や血小板、白血球はそれぞれ異なった役割を担っており、白血球は体内に侵入した細菌やウイルスなどの病原体に対して抗体を作り出し、抗体で攻撃することによって体を守るといった免疫機能を担っています。

白血球にはいくつか種類があり、そのうちの一つがリンパ球です。
リンパ球はB細胞・T細胞・NK細胞と異なる働き方をする3つの細胞に分類され、B細胞から作り出されているのが形質細胞です。
形質細胞は体に侵入した病原体を攻撃するために必要な免疫グロブリンという抗体を作り出す細胞で、多発性骨髄腫を発症すると形質細胞が異常に増殖してがん化すると骨髄腫細胞とよばれる悪性細胞へと変化するほか、正常な抗体ではなくMタンパクとよばれる全く役に立たない抗体が無秩序に作り出されます。

形質細胞の異常な増殖によって骨髄腫細胞やMタンパクが増加すると、正常な血液が製造されなくなるほか、Mタンパクが血液に乗って全身へと運ばれさまざまな悪影響をおよぼします。

多発性骨髄腫は人口10万人あたり2~3人の確率で発症しますが、40歳未満の若年層の発症率は低く、主に40~50歳以上の中高齢に発症し、高齢になるほど発症率も上昇して60歳代でピークを迎えるほか、女性と比べて男性の発症率が高いという特徴があります。

血液のがんの一種である多発性骨髄腫は、血液疾患の中でも患者数が多く、完治が難しい病気でもあります。
とくに発症時の年齢が65歳未満であるか、65歳以上であるかによって生存率が大きく異なります。

65歳未満で発症した場合の5年生存率は約50~60%ですが、65歳以上で発症した場合の5年生存率は10~30%と低いです。
しかし、発症年齢に関係なく発症後半年で死亡する場合もあれば、10年以上生存する場合もあります。

多発性骨髄腫を発症する詳しい原因は未だ解明されていませんが、先天性の遺伝子異常や環境要因が大きく関係していることは判明しています。
多発性骨髄腫を発症した方の遺伝子を調べるといくつかの遺伝子異常が確認できるほか、親族間での発症率の高さから遺伝子が発症原因の一つとされています。

また、消防士や理容師、美容師、農業従事者など化学薬品に触れやすい方、ダイオキシンに触れることが多い方、放射性被ばくのリスクが高い職業の方などの発症率が高いことから、環境要因が発症原因の一つとされています。

実際に多発性骨髄腫を発症すると、息切れ、ふらつき、めまい、疲れやすい、動悸などの貧血症状、骨の破壊による高カルシウム血症や頭痛、意識障害、喉の渇き、足の麻痺、腰や胸、背中の痛み、Mタンパクの増加による臓器障害といった症状が現れます。

多発性骨髄腫は、生存率が低いことからできるだけ初期段階で適切な治療をはじめることが望ましく、検査では血液検査や尿検査、骨髄検査などにより発症の有無を確認すると同時にCT検査やMRI検査、PET検査などの画像検査で重症度の確認を行い、症状や重症度によってステージ(病期)を決定します。
検査によって確定診断が下されると、ステージ(病期)に合わせて化学療法や放射線療法、造血幹細胞移植などから最適な治療法を選択します。

多発性骨髄腫の原因

多発性骨髄腫の詳しい発症原因は、未だ解明されていません。
ただし、高齢者の発症率が高い、女性よりも男性の発症率が高いといった特徴から、遺伝子や環境要因が大きく関係していることが判明しています。

遺伝子

実際に多発性骨髄腫を発症した方の遺伝子を詳しく調べてみると、いくつかの遺伝子異常を確認することができます。
遺伝子は染色体の中に存在し、染色体は2本で1対を構成する44本の常染色体と2本の性染色体があります。

44本ある常染色体は2本で1対となるため、第1番から第22番まで存在します。
多発性骨髄腫を発症した方は、第14番染色体に存在する遺伝子に異常が見られるほか、第1番、第13番、第17番にも遺伝子の異常が見られます。

このうち第14番染色体は、形質細胞が体に侵入した病原体を攻撃するために必要な、免疫グロブリンという抗体を作り出す働きに関係しており、第14番染色体の遺伝子に異常が発生することで免疫グロブリンが正常に作り出せず、全く役に立たないMタンパクとよばれる抗体を作り出すことで多発性骨髄腫を発症します。
遺伝子の異常は親族間で遺伝する場合も多く、実際に多発性骨髄腫も近親者間での発症率が高いです。
ただし、遺伝子異常が発生する詳しい原因は未だ解明されていません。

環境要因

多発性骨髄腫は遺伝子の異常といった先天的な原因だけでなく、環境など後天的な原因によって発症する場合があります。
後天的な主な原因には消防士や理容師、美容師、農業従事者など化学薬品に触れやすい方、ダイオキシンに触れることが多い方、放射性被ばくのリスクが高い職業の方などが挙げられます。

多発性骨髄腫の症状

多発性骨髄腫を発症すると、リンパ球から作り出される形質細胞が異常に増殖してがん化し、本来は形質細胞が作り出すはずの免疫機能を担った抗体ではなく、全く役に立たないMタンパクという抗体が作り出されます。

血液は骨髄中の造血幹細胞によって作り出されますが、多発性骨髄腫を発症すると血液そのものも正常に作り出されなくなるため、貧血をはじめ骨の破壊、Mタンパクが血流によって全身へと運ばれることで引き起こされる臓器障害などの症状が現れます。

貧血

血液は骨髄中の造血幹細胞によって赤血球や血小板、白血球が作り出されます。
しかし、多発性骨髄腫を発症すると、白血球の一種であるリンパ球から作り出される形質細胞が異常に増殖し、血液の構成成分のバランスが崩れます。

中でも赤血球の量が減少しやすく、全身に酸素を運ぶ役割を担う赤血球の量が減少することで貧血症状が現れます。
主な貧血症状には息切れ、ふらつき、めまい、疲れやすい、動悸などが挙げられます。

骨の破壊

多発性骨髄腫を発症すると、骨を破壊する細胞が活性化され、高カルシウム血症や病的骨折といった症状が現れます。
高カルシウム血症とは血液中のカルシウム濃度が上昇した状態で、多発性骨髄腫を発症したことにより骨を破壊する細胞の活性により破壊された骨のカルシウムが血液中に溶けることで引き起こされます。

高カルシウム血症を引き起こすと、頭痛や意識障害、喉の渇きといった症状が現れます。
病的骨折とは骨に外部から衝撃が加わっていないにもかかわらず骨折してしまうことをさし、足の麻痺や腰の痛み、胸や背中の痛みといった症状が現れます。

Mタンパクが引き起こす症状

Mタンパクとは、形質細胞が異常に増殖してがん化することにより作り出される抗体です。
形質細胞が正常な場合には、免疫グロブリンという抗体が作り出されますが、Mタンパクは全く役に立たない抗体であるうえに血流によって全身へと運ばれさまざまな悪影響をおよぼします。

Mタンパクの増加によって正常な抗体が減少すると免疫力が低下し、肺炎や尿路感染、帯状疱疹といった感染症を引き起こしやすくなります。
Mタンパクが腎臓に蓄積するとむくみ、急性腎不全、慢性腎不全といった腎機能障害を引き起こします。
この腎機能障害は、多発性骨髄腫を発症した方のうち約50%に現れる症状です。

血液中に含まれるMタンパクの量が増加しすぎると、血液がドロドロ状になり過粘稠度症候群(かねんちょうどしょうこうぐん)を発症します。
過粘稠度症候群を発症すると視力低下や失明、頭痛、めまい。倦怠感、痙攣、食欲不振、血が止まりにくいといった症状が現れます。

また、Mタンパクはアミロイドという物質を形成しやすく、Mタンパクによって形成されたアミロイドが全身の臓器に定着すると、各臓器に機能障害が現れるアミロイドーシスを引き起こします。

多発性骨髄腫の検査・診断

多発性骨髄腫の検査は発症の有無を確認するほかに、全身の臓器に機能障害が現れているかどうかを確認する目的があります。
主に血液検査や尿検査、骨髄検査などで発症の有無を確認し、CT検査やMRI検査、PET検査などの画像検査で重症度の確認を行います。

血液検査

血液検査とは、採血した血液中に含まれる成分を分析することで、病気の有無や内臓の機能障害を確認することができる検査方法です。
多発性骨髄腫の検査における血液検査では、赤血球や血小板、白血球の値をはじめ、カルシウム値、免疫グロブリン値、β2ミクログロブリン値、Mタンパク値、アルブミン値、クレアチニン値、LDH値、BUN値などを測定します。

尿検査

尿検査とは、採取した尿の中に含まれる成分の分析を行うことで、病気の有無を確認する検査方法です。
多発性骨髄腫の検査における尿検査では、尿蛋白やベンス=ジョーンズ蛋白、クレアチニン・クリアランスなどが含まれているかどうかを確認します。
また、腎機能障害の有無や重症度も確認するほか、24時間で排出した全ての尿を集めて含まれるMタンパクの量を測定する全尿検査を行う場合もあります。

画像検査

多発性骨髄腫を発症すると、全身の臓器に機能障害を引き起こすため、X線検査やCT検査、MRI検査、PET検査などの画像検査によって臓器障害の有無や重症度を確認します。
X線検査とは、放射性物質であるX線を体の表面に照射し、体内の臓器や骨の様子を撮影する画像検査です。

X線検査は体への負担が少ないというメリットがありますが、少量の放射線被ばくを伴うというデメリットがあります。
画像検査にはいくつか種類がありますが、X線検査は全身や骨の状態を確認するために行います。
CT検査とは、X線を使って体内の様子を輪切り状に撮影し、臓器や骨の様子を確認することができる画像検査です。

CT検査はX線検査と同じく少量の放射性被ばくを伴いますが、X線検査よりもより詳細に臓器や骨の様子を確認することができます。
MRI検査とは磁力や電磁波を使って体内の様子を輪切り状に撮影し、臓器や骨の様子を確認することができる画像検査です。

MRI検査はX線検査やCT検査のような放射性被ばくのリスクは全くありませんが、体内にペースメーカーなどの金属を埋め込んでいる方や、閉所恐怖症の方は行うことができません。

PET検査とは、がん細胞に集まるブドウ糖の性質を利用し、ブドウ糖に似た物質のFDGと放射性物質を結合させた薬剤を注入し、画像撮影を行ってがん細胞の位置を特定する検査方法です。

心エコー検査

心エコー検査とは心臓の超音波検査のことです。
超音波検査とは、超音波を発する特殊な機械を体にあて、跳ね返ってきた波を画像化することで体内の様子を確認することができる画像検査の一種です。

多発性骨髄腫を発症すると、体の臓器にMタンパクが形成したアミロイドが蓄積し機能障害が現れるアミロイドーシスを引き起こす場合があります。
心臓にアミロイドが蓄積した場合を心アミロイドーシスと呼び、実際に発症しているかどうかを心エコー検査によって確認することができます。

骨髄検査

骨髄検査とは、局部麻酔をほどこしたうえで腰骨や胸の骨から骨髄中へと針を刺し、髄液を採取して顕微鏡で観察する検査方法です。
多発性骨髄腫を発症している場合、髄液中に異常な形質細胞を確認することができます。
また、採取した髄液を使って染色体検査を行う場合もあります。

さまざまな検査によって多発性骨髄腫と確定診断が下ると、治療方針の参考にするために主に5種類の発症型に分類されます。

無症候性骨髄腫(くすぶり型多発性骨髄腫)

無症候性骨髄腫(くすぶり型多発性骨髄腫)は、がん化した形質細胞やMタンパクの量が一定以上確認できるものの、症状が少なく臓器障害を伴わないタイプです。

症候性骨髄腫

症候性骨髄腫は、血液中や尿中にがん化した形質細胞やMタンパクが確認でき、臓器障害が現れているタイプです。

形質細胞白血病

形質細胞白血病は、がん化した形質細胞が末梢の血液中で増殖するタイプです。
臓器やリンパ節の腫大が確認できるほか、臓器障害が重篤化した場合が多いです。

孤立性形質細胞腫

孤立性形質細胞腫とは臓器障害はないものの、骨や骨以外の組織に腫瘍が確認できるタイプです。

意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症

エムガスとよばれるタイプで、骨髄内にがん化した形質細胞やMタンパクが少なく、臓器障害も現れていないため治療の必要がありません。
ただし、悪化するリスクがあるため、定期的な検査を行う必要があります。

さらに多発性骨髄腫はがん化した形質細胞の量などによってステージ(病期)がⅠ~Ⅲの3段階に分類されています。

ステージ(病期)

Ⅰ期

貧血症状や高カルシウム血症の症状がないほか、骨に異常がない、あるいは孤立性形質細胞腫が確認でき、Mタンパクの量が少ない場合。

Ⅱ期

Ⅰ期とⅢ期にあてはならない場合。

Ⅲ期

血液中のヘモグロビン濃度がが8.5g/dl以下で貧血症状が強い、血液中のカルシウム濃度が12mg/dl以上で高カルシウム血症を引き起こしている、骨の破壊や溶解が広範囲で確認できる、血液中に含まれるMタンパクの量が多い、この4つのうちどれか1つに当てはまる場合。

多発性骨髄腫の治療

多発性骨髄腫の治療法には薬物を使った化学療法や、放射線療法、造血幹細胞移植などがあり、患者の年齢やステージ(病期)、肉体的・精神的に耐えられるかどうかによって最適な治療法を選択します。

BD療法

BD療法とは、抗がん剤や抗悪性腫瘍薬などの薬物を使った化学療法の一種です。
主にステージ(病期)がⅡ期かⅢ期の方、重症の方、再発した方に対して行いますが、高齢者の方や肝機能障害を引き起こしている方、肺機能障害の既往歴がある方には注意が必要です。

実際にBD療法を行う際は、ボルテゾミブなどの薬物を静脈注射で投与し、ボルテゾミブを投与した当日と翌日にデカトロンを経口投与します。
BD療法はほかの化学療法であるMP療法やVAD療法と比べて高い効果を発揮しますが、副作用として手足の痺れ、吐き気、嘔吐、悪心、尿量の低下や倦怠感、むくみといった腎機能障害、免疫力低下による感染症、感染症による発熱、咳、痰といった症状を引き起こす場合があります。

MP療法

MP療法とは抗がん剤や抗悪性腫瘍薬、ステロイド、アルキル化薬などの薬物を使った化学療法の一種です。
主にステージ(病期)がⅡ期かⅢ期の方に対して行いますが、腎機能障害を引き起こしている方や尿毒症を患っている方、放射線療法を行っている方、他の化学療法を行っている方は注意が必要です。

実際にMP療法を行う際はプレドニゾロンとメルファランという薬物を4日間ほど定期的に投与します。
MP療法は通院による治療が可能であるため生活スタイルを変更することなく治療を受けることができますが、使用する薬物は経口投与であるため効果が現れるまでに時間を要します。
また、副作用として手足の痺れ、吐き気、嘔吐、免疫力低下による感染症、感染症による発熱、咳、痰といった症状を引き起こす場合があります。

VAD療法

VAD療法とは、抗がん剤や抗悪性腫瘍薬などの薬物を使った化学療法の一種です。
主にステージ(病期)がⅡ期かⅢ期の方や再発した方に対して行いますが、腎機能障害や肝機能障害、感染症、骨髄抑制を引き起こしている方や、神経疾患または筋疾患、水痘、虚血性心疾患などを患っている方、高齢者の方には注意が必要です。

実際にVAD療法を行う際は、デキサメタゾン、アドリアマイシン、ビンクリスチンの3種類を心静脈カテーテルによって1~4日間ほど投与します。
VAD療法はMP療法と比べて即効性に優れていますが、副作用として手足の痺れ、吐き気、嘔吐、悪心、免疫力低下による感染症、感染症による発熱、咳、痰といった症状を引き起こす場合があります。

サリドマイド

サリドマイドとは、多発性骨髄腫の化学療法に使用する薬物の一種です。
主にステージ(病期)がⅡ期かⅢ期の方や再発した方、重症の方に対して行いますが、妊娠の可能性がある方や妊娠してる方には使用できません。

また、深部静脈血栓症のリスクがある方や、HIV感染者には注意が必要です。
さらにサリドマイドには副作用があり、眠気、ふらつき、めまい、だるさ、便秘、肌荒れ、肩こり、疲労感、手足の痺れや力が入らなくなる末梢神経障害、感染症などを引き起こす場合があります。

レナリドミド

レナリドミドとは、多発性骨髄腫の化学療法に使用する薬物の一種です。
主にステージ(病期)がⅡ期かⅢ期の方や再発した方、重症の方に対して行いますが、妊娠の可能性がある方や妊娠してる方には使用できません。

また、深部静脈血栓症のリスクがある方や、HIV感染者には注意が必要です。
レナリドミドはサリドマイドと比べて副作用が少ないものの、眠気やふらつき、めまい、だるさ、血栓症、感染症などの副作用を引き起こす場合があります。

放射線療法

放射線療法とは、X線や高エネルギーを持つ放射線を体に照射する治療法で、全ステージ(病期)の方や化学療法の効果が得られなかった方に対して行います。
実際に放射線療法を行う際は、体の局所部分だけ照射しますが、副作用として照射部分の皮膚の色素沈着や腫れといった症状が現れる場合があります。

造血幹細胞移植(骨髄移植)

造血幹細胞移植とは、一般的に骨髄移植とよばれている治療法です。
主に主にステージ(病期)がⅡ期かⅢ期の方で65歳以下の方に対して行い、65歳以上の方には行いません。
実際に造血幹細胞移植を行う際は、事前に大量の化学療法を行って、正常な造血細胞と異常な細胞の両方を破壊します。

その後、血液を作り出す造血幹細胞を血液中に注入します。
移植する造血細胞は、あらかじめ患者本人から採取した造血幹細胞を移植する自家移植と、他人の造血幹細胞を移植する同種移植がありますが、自家移植のほうが効果や安全性が高いです。

支持療法

支持療法とは、主にステージ(病期)がⅠ期の方に対して副作用への対処や合併症の治療を目的とした一連の治療方法のことです。
症状によって行う支持療法は異なり、高カルシウム血症に対してはビスフォスフォネート製剤と生理食塩水の輸液を点滴します。

貧血症状に対しては、症状が軽度あるいは中度の場合は赤血球を増殖させるためにエリスロポエチンを投与し、重症の場合には輸血を行います。
骨の破壊よる痛みに対しては、ビスフォスフォネート製剤の投与や放射線療法を行います。

感染症に対しては抗生物質を投与し、白血球の数が減少している場合にはノイアップ、ノイトロジン、グランなどの薬物を投与します。

多発性骨髄腫は、近年の医療技術向上により昔と比べて生存率が大幅にアップしましたが、根本的な治療方法は確立されておらず、実際に行う治療は現れている症状に対する対症療法でしかありません。

そのため、初期段階で治療をはじめることが望ましいため、少しでも異変を感じた場合はできるだけ早く医療機関で受診し早期発見・早期治療に努めましょう。

尋常性疣贅(いぼ)とは

尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)とは、一般に「いぼ」とよばれているもので、ヒトパピローマウイルスが皮膚に感染して良性腫瘍(りょうせいしゅよう)のいぼが生じる感染症です。
全身に起こり得る病気ですが、外傷を負いやすい手指、足の裏、膝、顔のような露出している部位に出現します。
爪(つめ)のまわりに生じることもあります。

傷のある皮膚に感染し、何ヶ月間か経過すると1mm程度の半球状に盛り上がった発疹(ほっしん)が生じ、だんだん大きくなって、表面が角質化して粗く灰白色になります。
なお、足の裏に生じると体重がかかって盛り上がることができず、魚の目のようになるか敷石を敷き詰めたような状態になります。
また、頭、顔、首に出ると先端がとがった細長い突起になることもあります。

1個だけ生じることもありますが、何個も生じることが多く、直径2~10mmですが、尋常性疣贅(いぼ)同士が融合することによって2~3cmのサイズになることもあります。
かゆみ、痛みといった自覚症状が起こることは基本的にありません。

魚の目(うおのめ)とは異なり出血を起こしやすいため、容易に見分けることが可能ですが、古い尋常性疣贅(いぼ)の場合は角質が厚みを増して見分けるのが難しくなります。

尋常性疣贅(いぼ)はどの年齢でも起こる感染症ですが、こどもに一番多く、高齢者では少ないです。
まわりの人には簡単にうつることはありませんが、自分の皮膚には感染を起こすことがあり、数が多くなっていきます。

免疫力を高めることによって自然に消失することがあり、これまでにもさまざまな民間療法が試されてきましたが、民間療法で確実な効果は見込めません。

尋常性疣贅(いぼ)の原因

尋常性疣贅(いぼ)は、何が原因でどのようにして起こる病気なのでしょうか。
ここで解説しますので、気になるという方は以下の内容をご一読ください。

尋常性疣贅(いぼ)の病原体

尋常性疣贅(いぼ)は、ヒトパピローマウイルスに感染して発症する病気です。
ヒトパピローマウイルスはHPV、ヒト乳頭腫(にゅうとうしゅ)ウイルスともよばれています。

このウイルスには数多くの種類が存在することがわかっています。
確認されているものだけで、120種類以上のヒトパピローマウイルスがあります。

現在わかっている種類以外にもまだまだ多くの種類があるのではないかといわれています。
ヒトパピローマウイルスには、大きくわけて皮膚型と粘膜・性器型があります。
尋常性疣贅(いぼ)は皮膚型のヒトパピローマウイルスに感染し、発症する感染症です。

尋常性疣贅(いぼ)はどのようにして起こるのか

ヒトパピローマウイルスが皮膚の小さな傷から入り込み、皮膚の細胞に感染することによって尋常性疣贅(いぼ)が起こります。
傷つけられることによって活発に増殖するのが特徴です。
削ったりいじったりすることによって活発に増殖します。

かゆみの症状があり、皮膚をひっかいて生じる傷、ひげ剃りあと、ささくれ、靴ずれ、水虫(みずむし)、アトピー性皮膚炎(あとぴーせいひふえん)、乾燥肌といった具合に、皮膚に障害がある方に尋常性疣贅(いぼ)は生じやすいです。

また、どの年齢でも生じる可能性のある病気ですが、とくにこどもに多く、高齢者では少ないのが特徴の一つです。

尋常性疣贅(いぼ)は人にうつる病気なのか

尋常性疣贅(いぼ)は、周囲の人に簡単にうつることはありません。

しかし、自分の皮膚には感染を起こすことがあります。
その場合には、尋常性疣贅(いぼ)の数が増加することになります。

尋常性疣贅(いぼ)の症状

尋常性疣贅(いぼ)は、ヒトパピローマウイルスが皮膚の小さな傷に入り込み、皮膚の細胞に感染することによって生じる病気です。

この病気では、一体どのような症状が出現するのでしょうか。
ここでは尋常性疣贅(いぼ)の症状について解説させていただきます。

尋常性疣贅(いぼ)で出現する症状とは

尋常性疣贅(いぼ)は、良性腫瘍のいぼが形成される感染症です。
体のどこでも起こり得る病気ですが、皮膚が傷つきやすい露出部位に起こることが多いです。
手指、足の裏、膝、顔のほか、爪のまわりに生じることもあります。

傷ついた皮膚にヒトパピローマウイルスが侵入して皮膚の細胞に感染し、何ヶ月間かが過ぎると1mm程度の半球状に盛り上がった発疹(ほっしん)が生じ、だんだん大きくなって、表面は硬くて粗く、灰白色になります。

なお、足の裏に生じると体重がかかるために盛り上がることができず、魚の目のようになるか敷石を敷き詰めたような状態になります。
また、頭、顔、首に出ると先端がとがった細長い突起になることもあります。

1個だけしか出ないこともありますが、何個も出ることが多く、直径2~10mmのサイズですが、尋常性疣贅(いぼ)同士が融合することによって2~3cmのサイズになることもあります。
なお、かゆみ、痛みといった自覚症状が起こることは基本的にありません。
ただ、二次感染を起こすと痛みの症状が生じることがあります。
そのほか、魚の目(うおのめ)とは異なり、尋常性疣贅(いぼ)は出血を起こしやすいのが特徴の一つです。

尋常性疣贅(いぼ)の検査・診断

尋常性疣贅(いぼ)と思われる皮膚の異常が起こった場合には、何科へ行けば良いのでしょうか。
また、尋常性疣贅(いぼ)を起こしているかどうかは、医療機関ではどうやって調べているのでしょうか。
このような疑問をお持ちの方のため、以下で回答させていただきます。

受診に適した診療科とは

尋常性疣贅(いぼ)にあてはまるような症状が起こっている場合、何科へ行くかで迷ってしまう方もいるでしょう。
この病気を疑うような症状があれば、皮膚科へ行けば対応してくれます。
尋常性疣贅(いぼ)は数が増加することもある病気です。

病状が悪化する前の段階で、なるべく早く受診することをおすすめします。
そのほか、妊娠中は赤ちゃんを攻撃しないように全身の抵抗力(免疫力)が落ちて、治療に対する反応が悪くなります。
妊娠後期または出産後しばらくすると、この能力は元の状態にまで戻るのが普通です。

尋常性疣贅(いぼ)は妊娠中にひどくなることがあるため、妊娠前に治療を受けたほうが良いでしょう。
妊娠中の治療に対する反応が良くない尋常性疣贅(いぼ)にも、出産後であれば治療への反応も良く、自然に快復することもあります。

尋常性疣贅(いぼ)かどうかを調べる方法

多くの場合、尋常性疣贅(いぼ)は視診によって診断することが可能です。
尋常性疣贅(いぼ)は表面を削ることによって出血を起こしやすく、この点で魚の目と見分ける方法があります。
ただし、古い尋常性疣贅(いぼ)の場合は、角質が厚みを増して見分けにくくなります。

ただ、こどもの場合は魚の目ではなく尋常性疣贅(いぼ)の場合が多いです。
ほかに病院で行なわれていることとしては、ダーモスコピーという虫めがねのような拡大鏡での観察をあげることができます。
また、視診で尋常性疣贅(いぼ)と確定することができない場合には、患部からサンプルを採取して顕微鏡で観察する生検(せいけん)を行ないます。

尋常性疣贅(いぼ)の治療

生じている皮膚の異常が尋常性疣贅(いぼ)とわかった場合には、病院ではどのような治療が行なわれているのでしょうか。
以下に尋常性疣贅(いぼ)の治療に関する情報をまとめていますので、気になるという方はご一読ください。

尋常性疣贅(いぼ)の治療方法

基本的に尋常性疣贅(いぼ)では痛みの症状は出ませんが、二次感染を起こすことによって痛みを感じるようになります。
その場合、まずは抗生物質などにより二次感染の問題を解決させて、尋常性疣贅(いぼ)の治療を行ないます。

なお、尋常性疣贅(いぼ)の病原体であるヒトパピローマウイルスに対して直接効果を発揮する内服薬や外用薬はありません。
尋常性疣贅(いぼ)の快復は、患者の自然治癒能力に大きく左右されることになります。

尋常性疣贅(いぼ)の主な治療方法としては、凍結療法があります。
綿棒またはスプレーで液体窒素を尋常性疣贅(いぼ)にあて、そのあとで溶かします。
皮膚を凍結させるため、かなりの痛みを伴います。

この治療を1~3週間に1回程度のサイクルで行ない、尋常性疣贅(いぼ)が取れるまで続けます。
大人に比べるとこどものほうが改善しやすいことが多いです。
また、かかとなど皮膚が厚く硬いところに生じた尋常性疣贅(いぼ)は、そうでないところに生じた場合より治りにくいことが多いです。

そのため、治療回数には個人差があり、1回で治ることもあれば、10回以上この治療を続けなければいけないこともあります。
溶けたあとの皮膚は水ぶくれになりますが、しばらくするとかさぶたに変わって治ります。
なお、いじってはいけません。
強引に取ると正常な皮膚が傷ついて、悪化することがあります。

凍結療法以外の治療方法は何があるのか

抗がん薬のブレオマイシンを尋常性疣贅(いぼ)に局所注射する方法があります。
この方法も相当な痛みがあります。
基本的に1~2週間に1回のペースで、数回試みることになります。
この治療で尋常性疣贅(いぼ)は黒色に変わり、そのあと治癒します。
ほかには抗がん薬のファイブ-FU軟膏(なんこう)やブレオマイシン軟膏を尋常性疣贅(いぼ)に塗布し、その上をラップで包む方法もあります。

痛みのない治療方法ではあるものの、効果では凍結療法やブレオマイシンの局所注射のような治療方法に劣るため、快復するまでには長期間を要してしまいます。
さらに、かぶれが生じる化学物質を尋常性疣贅(いぼ)に塗布する方法もありますが、かぶれが生じている状態ではかゆみの症状が出ます。

化学物質を塗布する治療は尋常性疣贅(いぼ)が多数生じているケースや、治りにくい尋常性疣贅(いぼ)の場合に高い効果を発揮することがあります。
治りにくい尋常性疣贅(いぼ)に対しては、ほかにもモノクロロ酢酸(さくさん)やグルタールアルデヒドなどの腐食薬品を塗る方法もあります。

そのほか、電気焼灼(しょうしゃく)や炭酸ガスレーザーによって除去する方法もありますが、傷あとが残ってしまうことがあります。
ウイルスに対する抵抗力を上げるため、漢方のヨクイニンなどを内服する治療方法が選択されることもあります。

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がん細胞と正常細胞の違い

日本人の死因トップであり、2人に1人が発症している国民病のがん。 この病気はがん細胞が増殖する

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咽頭がんを詳細に:原因,症状,治療,予防,術後など

私たち人間が声を出したり、ものを飲み込んだりすることを司っている器官には「喉頭(こうとう)」

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がんの成長速度とダブリングタイム

がんが成長するスピードはがんが発生した部位により異なり、またその人の状態によっても違いが出ます。

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がん治療の詳細についてのまとめ

標準治療と先進医療の違い がんの治療において「標準治療」と「先進医療」というものがあります。

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乳房肥大症を詳しく:原因・症状・検査・治療など

乳房肥大症とは 小児乳房肥大症(しょうににゅうぼうひだいしょう) 小児乳房肥大症と

機能性子宮出血を詳しく:原因・症状・検査・治療など

機能性子宮出血とは 生理時以外に性器から出血することを不正出血(ふせいしゅっけつ)と

腸結核を詳しく:原因・症状・検査・治療など

腸結核とは 腸結核(ちょうけっかく)とは、細菌の一種である結核菌(けっかくきん)が腸

腎臓の役割

腎臓について 腎臓(じんぞう)は腰のあたりの背中側に、左右に1個ずつある臓器です。

加齢黄斑変性を詳しく:原因・症状・検査・治療など

加齢黄斑変性とは 年齢が高まると、体のさまざまな部位に病気が起こってくることがありま

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